トップ
>
黒髪
>
くろかみ
ふりがな文庫
“
黒髪
(
くろかみ
)” の例文
年齢
(
としのころ
)
三十あまりと見ゆる女白く青ざめたる㒵に
黒髪
(
くろかみ
)
をみだしかけ、今水よりいでたりとおもふばかり
濡
(
ぬれ
)
たる袖をかきあはせて
立
(
たて
)
り。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
袖も
靡
(
なび
)
く。……山嵐
颯
(
さっ
)
として、白い雲は、その
黒髪
(
くろかみ
)
の
肩越
(
かたごし
)
に、裏座敷の崖の
欄干
(
てすり
)
に掛って、水の落つる如く、
千仭
(
せんじん
)
の谷へ流れた。
栃の実
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
星の空にそびえた一本の
白樺
(
しらかば
)
、その高き枝にみどりの
黒髪
(
くろかみ
)
風に吹かして、腰かけていたひとりの美少女、心なくしてふと見れば
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
姉
(
あね
)
は、なんと
思
(
おも
)
ったか、その
女
(
おんな
)
のそばに
近
(
ちか
)
づいて、
瞳
(
ひとみ
)
の
中
(
なか
)
をのぞきました。すると、
長
(
なが
)
い
黒髪
(
くろかみ
)
が
女
(
おんな
)
の
肩
(
かた
)
にかかりました。
灰色の姉と桃色の妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
腕
(
うで
)
をくんで背中をまるめている、あなたの緑色のスエタアのうえに、お下げにした
黒髪
(
くろかみ
)
が、
颯々
(
さつさつ
)
と、風になびき、
折柄
(
おりから
)
の月光に、ひかっていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
▼ もっと見る
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
膝
(
ひざ
)
もとから、
黒髪
(
くろかみ
)
の
束
(
たば
)
を
取
(
と
)
りあげた
春重
(
はるしげ
)
は、
忽
(
たちま
)
ちそれを
顔
(
かお
)
へ
押
(
お
)
し
当
(
あ
)
てると、
次第
(
しだい
)
に
募
(
つの
)
る
感激
(
かんげき
)
に
身
(
み
)
をふるわせながら、
異様
(
いよう
)
な
声
(
こえ
)
で
笑
(
わら
)
い
始
(
はじ
)
めた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
据
(
す
)
えて精限り根限り弾いた「
黒髪
(
くろかみ
)
」のようなやさしいものや「茶音頭」のような難曲や
素
(
もと
)
より何の順序もなく聞き
噛
(
かじ
)
りで習ったのであるからいろいろのものを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
きらりと
光
(
ひか
)
る
金属
(
きんぞく
)
のもとに、
黒髪
(
くろかみ
)
うつくしい
襟足
(
えりあし
)
ががっくりとまへにうちのめつた。
血汐
(
ちしほ
)
のしたヽる
生首
(
なまくび
)
をひっさげた
山賊
(
さんぞく
)
は、
黒
(
くろ
)
い
口
(
くち
)
をゆがめてから/\からと
打笑
(
うちわら
)
つた。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
八雲
(
やくも
)
さす
出雲
(
いづも
)
の
子等
(
こら
)
が
黒髪
(
くろかみ
)
は
吉野
(
よしぬ
)
の
川
(
かは
)
の
奥
(
おき
)
になづさふ 〔巻三・四三〇〕 柿本人麿
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
驚
(
おどろ
)
いたことには、
虎
(
とら
)
の
子
(
こ
)
のやうに
大切
(
たいせつ
)
にしてゐるウェルスの
手紙
(
てがみ
)
など
入
(
い
)
れた
折鞄
(
をりかばん
)
のなかから、
黒髪
(
くろかみ
)
の
一
(
ひ
)
と
束
(
たば
)
と
短刀
(
たんたう
)
とが、
紙
(
かみ
)
にくるんで、
紐
(
ひも
)
で
結
(
いは
)
へられたまゝ、
竹村
(
たけむら
)
の
前
(
まへ
)
に
引出
(
ひきだ
)
されたことであつた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
その
時
(
とき
)
たちまち、
右手
(
みぎて
)
に
高
(
たか
)
く、
御秘蔵
(
ごひぞう
)
の
御神剣
(
ごしんけん
)
を
打
(
ふ
)
り
翳
(
かざ
)
し、
漆
(
うるし
)
の
黒髪
(
くろかみ
)
を
風
(
かぜ
)
に
靡
(
なび
)
かせながら、
部下
(
ぶか
)
の
軍兵
(
つわもの
)
どもよりも十
歩
(
ぽ
)
も
先
(
さき
)
んじて、
草原
(
くさはら
)
の
内部
(
なか
)
から
打
(
う
)
って
出
(
い
)
でられた
命
(
みこと
)
の
猛
(
たけ
)
き
御姿
(
おんすがた
)
、あの
時
(
とき
)
ばかりは
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
これは四十がらみの、
黒髪
(
くろかみ
)
に白を交えた男である。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
紅玉の
唇
(
くちびる
)
や
蘭麝
(
らんじゃ
)
の
黒髪
(
くろかみ
)
をどれだけ
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
いまさらに
何
(
なに
)
とか云はむ
黒髪
(
くろかみ
)
の
じいさんばあさん
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
黒髪
(
くろかみ
)
長き吾身こそ
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
と
口
(
くち
)
には
云
(
い
)
へどむづかしかるべしとは
十指
(
じつし
)
のさす
処
(
ところ
)
あはれや
一日
(
ひとひ
)
ばかりの
程
(
ほど
)
に
痩
(
や
)
せも
痩
(
や
)
せたり
片靨
(
かたゑくぼ
)
あいらしかりし
頬
(
ほう
)
の
肉
(
にく
)
いたく
落
(
お
)
ちて
白
(
しろ
)
きおもてはいとゞ
透
(
す
)
き
通
(
とほ
)
る
程
(
ほど
)
に
散
(
ち
)
りかかる
幾筋
(
いくすぢ
)
の
黒髪
(
くろかみ
)
緑
(
みどり
)
は
元
(
もと
)
の
緑
(
みどり
)
ながら
油
(
あぶら
)
けもなきいた/\しさよ
我
(
われ
)
ならぬ
人
(
ひと
)
見
(
み
)
るとても
誰
(
たれ
)
かは
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
美女
(
たをやめ
)
は、やゝ
俯向
(
うつむ
)
いて、
其
(
そ
)
の
駒
(
こま
)
を
熟
(
じつ
)
と
視
(
なが
)
める
風情
(
ふぜい
)
の、
黒髪
(
くろかみ
)
に
唯
(
たゞ
)
一輪
(
いちりん
)
、……
白
(
しろ
)
い
鼓草
(
たんぽゝ
)
をさして
居
(
ゐ
)
た。
此
(
こ
)
の
色
(
いろ
)
の
花
(
はな
)
は、
一谷
(
ひとたに
)
に
他
(
ほか
)
には
無
(
な
)
かつた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして、竹童はそのまえに
疲
(
つか
)
れたからだをすえ、咲耶子はうちしおれて、
紫蘭
(
しらん
)
のかおる
黒髪
(
くろかみ
)
を、あかい
獣蝋
(
じゅうろう
)
の
灯
(
ひ
)
のそばにうつむけていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さるをおん
僧
(
そう
)
しば/\こゝにきたりて
回向
(
ゑかう
)
ありつる
功徳
(
くどく
)
によりてありがたき
仏果
(
ぶつくわ
)
をばえたれども、
頭
(
かしら
)
の
黒髪
(
くろかみ
)
が
障
(
さは
)
りとなりて
閻浮
(
えんぶ
)
に
迷
(
まよ
)
ふあさましさよ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「あたしね、「
黒髪
(
くろかみ
)
」をあげたらこんどは「
春雨
(
はるさめ
)
」だわ。いヽわね。は る さ め…………」
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
ある
日
(
ひ
)
のことです。りっぱな、お
嬢
(
じょう
)
さまの
馬車
(
ばしゃ
)
が
門
(
もん
)
の
前
(
まえ
)
に
止
(
と
)
まると、お
嬢
(
じょう
)
さまは、
黒髪
(
くろかみ
)
を
両方
(
りょうほう
)
のふくよかな
肩
(
かた
)
に
乱
(
みだ
)
した、
半裸体
(
はんらたい
)
の
若
(
わか
)
い
女
(
おんな
)
をつれて、お
家
(
うち
)
の
中
(
なか
)
へはいられました。
初夏の空で笑う女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
福
(
さきはひ
)
のいかなる
人
(
ひと
)
か
黒髪
(
くろかみ
)
の
白
(
しろ
)
くなるまで
妹
(
いも
)
が
音
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
く 〔巻七・一四一一〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
梅花
(
ばいか
)
の油
黒髪
(
くろかみ
)
の
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
人心地
(
ひとごこち
)
もなく苦しんだ目が、
幽
(
かすか
)
に
開
(
あ
)
いた時、初めて見た姿は、
艶
(
つやや
)
かな
黒髪
(
くろかみ
)
を、男のような
髷
(
まげ
)
に結んで、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
襦袢
(
じゅばん
)
を
片肌
(
かたはだ
)
脱いでいました。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
笛は
喨々
(
りょうりょう
)
とうむことなく、樺の林をさまよっている。やがて、そこに人かげがうごいた。見ればひとりの美少女である。長くたれた
黒髪
(
くろかみ
)
に、
蘭
(
らん
)
の花をさしていた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒髪
(
くろかみ
)
のかげの
根付
(
ねづけ
)
の
珠
(
たま
)
は、
空
(
そら
)
へとんでいつては
青
(
あを
)
く
光
(
ひか
)
つた。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
といひかけて
衝
(
つツ
)
と
立
(
た
)
ち、つか/\と
足早
(
あしばや
)
に
土間
(
どま
)
へ
下
(
お
)
りた、
余
(
あま
)
り
身
(
み
)
のこなしが
活溌
(
くわツぱつ
)
であつたので、
其
(
そ
)
の
拍手
(
ひやうし
)
に
黒髪
(
くろかみ
)
が
先
(
さき
)
を
巻
(
ま
)
いたまゝ
頷
(
うなぢ
)
へ
崩
(
くづ
)
れた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
軽
(
かる
)
く
其
(
そ
)
の
黒髪
(
くろかみ
)
を
戦
(
そよ
)
がしに
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
もなしに、
空
(
そら
)
なる
桜
(
さくら
)
が、はら/\と
散
(
ち
)
つたが、
鳥
(
とり
)
も
啼
(
な
)
かぬ
静
(
しづ
)
かさに、
花片
(
はなびら
)
の
音
(
おと
)
がする……
一片
(
ひとひら
)
……
二片
(
ふたひら
)
……
三片
(
みひら
)
……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
棟
(
むね
)
に咲いた
紫羅傘
(
いちはつ
)
の花の紫も手に取るばかり、峰のみどりの
黒髪
(
くろかみ
)
にさしかざされた
装
(
よそおい
)
の、それが
久能谷
(
くのや
)
の
観音堂
(
かんおんどう
)
。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
脚絆
(
きゃはん
)
を堅く、
草鞋
(
わらじ
)
を
引〆
(
ひきし
)
め、背中へ十文字に
引背負
(
ひっしょ
)
った、四季の
花染
(
はなぞめ
)
の
熨斗目
(
のしめ
)
の
紋着
(
もんつき
)
、
振袖
(
ふりそで
)
が
颯
(
さっ
)
と
山颪
(
やまおろし
)
に
縺
(
もつ
)
れる中に、女の
黒髪
(
くろかみ
)
がはらはらと
零
(
こぼ
)
れていた。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女
(
をんな
)
の
像
(
ざう
)
は
胴
(
どう
)
の
間
(
ま
)
へ
仰向
(
あふむ
)
けに、
肩
(
かた
)
が
舷
(
ふなべり
)
にかゝつて、
黒髪
(
くろかみ
)
は
蘆
(
あし
)
に
挟
(
はさ
)
まり、
乳
(
ち
)
の
下
(
した
)
から
裾
(
すそ
)
へ
掛
(
か
)
けて、
薄衣
(
うすぎぬ
)
の
如
(
ごと
)
く
霞
(
かすみ
)
が
靡
(
なび
)
けば、
風
(
かぜ
)
もなしに
柔
(
やはら
)
かな
葉摺
(
はず
)
れの
音
(
おと
)
がそよら/\。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
うつくしく、
中肉
(
ちうにく
)
で、
中脊
(
ちうぜい
)
で、なよ/\として、ふつと
浮
(
う
)
くと、
黒髪
(
くろかみ
)
の
音
(
おと
)
がさつと
鳴
(
な
)
つた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雲の
黒髪
(
くろかみ
)
、
桃色衣
(
ももいろぎぬ
)
、
菜種
(
なたね
)
の上を
蝶
(
ちょう
)
を連れて、庭に来て、
陽炎
(
かげろう
)
と並んで立って、しめやかに窓を
覗
(
のぞ
)
いた。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とそれならぬ、
姉様
(
あねさん
)
が、山賊の手に
松葉燻
(
まつばいぶ
)
しの、乱るる、
揺
(
ゆら
)
めく、
黒髪
(
くろかみ
)
までが
目前
(
めさき
)
にちらつく。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手
(
て
)
をあげて
黒髪
(
くろかみ
)
をおさへながら
腋
(
わき
)
の
下
(
した
)
を
手拭
(
てぬぐひ
)
でぐいと
拭
(
ふ
)
き、あとを
両手
(
りやうて
)
で
絞
(
しぼ
)
りながら
立
(
た
)
つた
姿
(
すがた
)
、
唯
(
たゞ
)
これ
雪
(
ゆき
)
のやうなのを
恁
(
かゝ
)
る
霊水
(
れいすい
)
で
清
(
きよ
)
めた、
恁云
(
かうい
)
ふ
女
(
をんな
)
の
汗
(
あせ
)
は
薄紅
(
うすくれなゐ
)
になつて
流
(
なが
)
れやう。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さらば、といって、土手の下で、分れ
際
(
ぎわ
)
に、やや遠ざかって、見返った時——その紫の
深張
(
ふかばり
)
を帯のあたりで横にして、少し
打傾
(
うちかたむ
)
いて、
黒髪
(
くろかみ
)
の
頭
(
かしら
)
おもげに見送っていた姿を忘れぬ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雨露
(
あめつゆ
)
に
黒髪
(
くろかみ
)
は
霜
(
しも
)
と消え、
袖
(
そで
)
裾
(
すそ
)
も
苔
(
こけ
)
と変って、影ばかり残ったが、お
面
(
かお
)
の細く
尖
(
とが
)
った
処
(
ところ
)
、以前は
女体
(
にょたい
)
であったろうなどという、いや女体の地蔵というはありませんが、さてそう聞くと
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
流
(
ながし
)
の
処
(
ところ
)
に、
浅葱
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
が、時ならず、雲から射す、濃い月影のようにちらちらして、
黒髪
(
くろかみ
)
のおくれ毛がはらはらとかかる、鼻筋のすっと
通
(
とお
)
った横顔が
仄見
(
ほのみ
)
えて、白い
拭布
(
ふきん
)
がひらりと動いた。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婿君
(
むこぎみ
)
のふみながら、
衣絵
(
きぬゑ
)
さんの
心
(
こゝろ
)
を
伝
(
つた
)
へた
巻紙
(
まきがみ
)
を、
繰戻
(
くりもど
)
すさへ、さら/\と、
緑
(
みどり
)
なす
黒髪
(
くろかみ
)
の
枕
(
まくら
)
に
乱
(
みだ
)
るゝ
音
(
おと
)
を
感
(
かん
)
じて、
取
(
と
)
る
手
(
て
)
の
冷
(
つめた
)
いまで
血
(
ち
)
を
寒
(
さむ
)
くしながらも、
園
(
その
)
は、
謹
(
つゝしん
)
で
其
(
そ
)
の
意
(
い
)
を
体
(
たい
)
したのである。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
薄紅
(
ときいろ
)
の
撫子
(
なでしこ
)
と、
藤紫
(
ふじむらさき
)
の
小菊
(
こぎく
)
が
微
(
かすか
)
に
彩
(
いろ
)
めく、
其
(
そ
)
の
友染
(
いうぜん
)
を
密
(
そつ
)
と
辿
(
たど
)
ると、
掻上
(
かきあ
)
げた
黒髪
(
くろかみ
)
の
毛筋
(
けすぢ
)
を
透
(
す
)
いて、ちらりと
耳朶
(
みゝたぼ
)
と、
而
(
さう
)
して
白々
(
しろ/″\
)
とある
頸脚
(
えりあし
)
が、すつと
寝
(
ね
)
て、
其
(
そ
)
の
薄化粧
(
うすげしやう
)
した、きめの
細
(
こま
)
かなのさへ
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雲
(
くも
)
は
黒髪
(
くろかみ
)
の
如
(
ごと
)
く
野
(
の
)
に
捌
(
さば
)
けて、
棟
(
むね
)
を
絡
(
まと
)
ひ、
檐
(
のき
)
に
乱
(
みだ
)
るゝとゝもに、
向
(
むか
)
うの
山裾
(
やますそ
)
に、ひとつ、ぽつんと
見
(
み
)
える、
柴小屋
(
しばごや
)
の
茅屋根
(
かややね
)
に、
薄
(
うす
)
く
雨脚
(
あめあし
)
が
掛
(
か
)
かつて、
下草
(
したぐさ
)
に
裾
(
すそ
)
をぼかしつゝ
歩行
(
ある
)
くやうに、
次第
(
しだい
)
に
此方
(
こちら
)
へ
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“黒髪”の意味
《名詞》
黒い頭髪。
女性の黒くて長い頭髪。くろかみ。
(出典:Wiktionary)
黒
常用漢字
小2
部首:⿊
11画
髪
常用漢字
中学
部首:⾽
14画
“黒髪”で始まる語句
黒髪山