醫者いしや)” の例文
新字:医者
で、高等かうとうればしたがつてよりつよ勢力せいりよくもつて、實際じつさい反應はんおうするのです。貴方あなた醫者いしやでおゐでて、如何どうして那麼譯こんなわけがおわかりにならんです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
單純たんじゆんなレウマチスせい頭痛づつうではあつたが、りよ平生へいぜいからすこ神經質しんけいしつであつたので、かりつけ醫者いしやくすりんでもなか/\なほらない。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
きに病氣びやうきとばかりおもひぬれば、よしらうかぎりもなくいたましくて、醫者いしやにかゝれの、くすりめのと悋氣りんきわすれて此事このことこゝろつくしぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかそのもつとおそれをいだくべき金錢きんせん問題もんだいそのこゝろ抑制よくせいするには勘次かんじあまりにあわてゝかつおどろいてた。醫者いしや鬼怒川きぬがはえてひがしる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「ではられるだけかしていても差支さしつかへありませんか」といたら、醫者いしやようさへなければべつおこ必要ひつえうもあるまいとこたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
眞淵まぶち弟子でし本居宣長もとをりのりなが、その弟子でし夏目甕麿なつめかめまろ、このひとで、紀州きしゆう醫者いしやいへ養子ようしとなつた加納諸平かのうもろひらといふひとがあります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ならぶるものなき劔術けんじゆつの大先生なり其上見懸みかけに依ず慈悲じひふかい御人にて金銀に少しも目を懸ずもし貧窮者ひんきうものや病人のある時は醫者いしやに懸て下されたり金銀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
玄竹げんちくなみだれたかほをあげて、但馬守たじまのかみた。奉行ぶぎやう醫者いしやとは、しばらくとを見合みあはせてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
つかねてまでことで、醫者いしやびますにも、はぬとふので、大層たいそうあはてました。
きみ御存知ごぞんぢごと病後びやうごせき字社じしや醫者いしやすゝめられて二ヶ月間げつかんこの湯原ゆがはら滯在たいざいしてときである。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
彼女かのぢよ病院びやうゐん生活せいくわつつてから三年目ねんめあきに、ある地方ちはうから一人ひとりわか醫者いしやて、その病院びやうゐん醫員いゐんになつた。かれ所謂いはゆる人好ひとずきのするをとこで、こと院内ゐんない看護婦達かんごふたちをすぐになづけてしまうことが出來できた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
醫者いしやつてね。昨夜ゆうべくすりいたゞいてから寐出ねだして、いまになつてもめませんが差支さしつかへないでせうかつていてれ」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勘次かんじ醫者いしやと一しよかへるからさういつておしな安心あんしんさせてれといつて醫者いしやもんたゝいた。醫者いしや丁度ちやうどそつちへついでつたからと悠長いうちやうである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わたし醫者いしやで、貴方あなた精神病者せいしんびやうしやであるとふことにおいて、徳義とくぎければ、論理ろんりいのです。つま偶然ぐうぜん場合ばあひのみです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
醫者いしやれい安田やすだるので素人しろうとまかせではわがまゝばかりつのつてくあるまいとおもはれる、わし病院びやうゐんれること不承知ふしようちかと毎々まい/\かれるのであるが
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
早速さつそくくすり調合てうがふし、土地とち醫者いしや方劑はうざいさづけたが、玄竹げんちくは、塔頭たつちううめばうといふのへ案内あんないされて、精進料理しやうじんれうり饗應きやうおうけ、下男げだんとともに一ぱくして、翌朝よくてうかへることになつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
うちあに作藏は當時たうじ江戸麹町三丁目にて村井長庵といひ立派りつぱなる醫者いしやに成て居るとの由ゆゑ出府しゆつぷして兄の長庵に委細ゐさいはなたのまんものと委敷くはしく手紙てがみしたゝめて長庵方へおくりける其文面ぶんめんいは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勿論もちろんさうひとだから、かりつけ醫者いしやふのも人選にんせんをしたわけではなかつた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
其時そのときあつまツてツた、一どうものよろこびはくらいりましたか、商家抔せうかなどではおうおわし取扱とりあつかつてるから、醫者いしやぶもはぬとようときは、實驗上じつけんぜう隨分ずいぶんもちひて宜敷よろしほうようぞんじます。
院内ゐんないの一わか醫者いしやしゝてゐることは公然こうぜんになつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
もなく小六ころくかへつてて、醫者いしや丁度ちやうど徃診わうしん出掛でかけるところであつた、わけはなしたら、ではいまから一二けんつてすぐかうとこたへた、とげた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
先生せんせいさん、わたしやれでもどうしたものでがせうね」おしな突然とつぜんいた。醫者いしやたゞ口髭くちひげひねつてだまつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まちではじつにもう退屈たいくつです。だれ相手あひてはなしするものもなし。はなしものもなし。あたらしい人間にんげんはなし。しか此頃このころハヾトフとわか醫者いしやまちにはたですが。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
養父やうふ清左衞門せいざゑもん去歳こぞより何處どこ开處そこからだに申分まうしぶんありてきつとのよしきしが、常日頃つねひごろすこやかのひとなれば、さしてのことはあるまじと醫者いしや指圖さしづなどを申やりて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
素問そもん靈樞れいすうでもむやうな醫者いしやさがしてめてゐたのではなく、近所きんじよんでゐてぶのに面倒めんだうのない醫者いしやかつてゐたのだから、ろくなくすりませてもらふことが出來できなかつたのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
月代さかやきらせるのにあたまうごかして仕樣しやうがないとはいてゐたが、醫者いしや坊主ばうずあたま草紙さうしにして、近習きんじゆ剃刀かみそり稽古けいこをするとは面白おもしろい。大名だいみやうあたまきずけては、生命いのちがないかもれないからな。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
見て世の中に能物よきもの醫者いしやなり何程の療治れうぢ出來できずとも流行出せばかくの如し我も故郷は勘當され此江戸へ來りて所々しよ/\方々はう/″\彷徨さまようばかりにて未だ何の仕出しいだしたる事もなくこれぞと云身過みすぎの思ひ付もなきをりなれば此上は何卒なにとぞして我も醫師いしやとなり長棒ながぼう駕籠かごにて往來なし一身の出世しゆつせ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
醫者いしや心安こゝろやすきをまねいへぼく太吉たきちといふがりてこゝろまかせの養生やうじやう一月ひとつきおなところすまへば物殘ものゝこらずいやになりて、次第しだいやまひのつのることおそろしきほどすさまじきことあり。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
昨日きのふ午後ごゝより谷中やなかかゝさんが急病きうびやう癪氣しやくけ御座ござんすさうな、つよく胸先むなさきへさしみまして、一はとても此世このよものではるまいとふたれど、お醫者いしやさまの皮下注射ひかちうしややらなにやらにて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さま/″\ものをおもひたまへば、奧樣おくさま時々とき/\しやくおこくせつきて、はげしきとき仰向あほのけたほれて、いまにもるばかりのるしみ、はじめ皮下注射ひかちうしやなど醫者いしやをもちけれど、日毎夜毎ひごとよごとたびかさなれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御兩親ごりやうしんがどれほどおなげきなさるかをかんがへて、取直とりなほしてれ、え、いか、おまへこゝろなほさうとおもへば今日けふいまなほれるではないか、醫者いしやにもおよばぬ、くすりにもおよばぬ、こゝろひと居處ゐどころをたしかにしてな
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)