)” の例文
しかれどもべつ社界しやかい大弊根たいへいこんながそんするありて、壯年有爲そうねんゆういをして徃々おう/\にして熱火ねつくわ焔柱ゑんちういだくの苦慘くさんこゝろよしとせしむることあり。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
うしてつてまゐります品物しなものらないと、ひどいんですぜ、そりや、んだり、つたり、ポカ/\でさ。我又不善擇人參可否われまたにんじんのかひをえらぶことをよくせず
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うしろから吹きつける風にあおられて身体ぐるみちゅうに浮いたまま、二三歩前へよろけてから、やっとみとどまるくせがついてしまった。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
女神は、その岩にさえぎられて、それより先へは一足もみ出すことができないものですから、うらめしそうに岩をにらみつけながら
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
山母はこれはたいへんだと水がめからね上がって外へ走り出ようとすると、踏み台のベゴの糞でずらのめってステンところんだ。
東奥異聞 (新字新仮名) / 佐々木喜善(著)
「そうしたほうがいいだろう。ここへ捕手とりてン込んで、枕元から縄付きになった日には、養父おやじさんも安々と行く所へも行かれまい」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
れがしきりに交代かうたいされるので、卯平うへいは一しか郷里きやうりつちまなくても種々しゆ/″\變化へんくわみゝにした。かれは一ばんおつぎのことが念頭ねんとううかぶ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「わツ驚いた、ドブ板が陷穴おとしあなになつて居るぜ。み返したとたんに赤犬が噛み付きさうに吠える仕掛は念入り過ぎやしませんか、親分」
数千年来、数億の人々がかためてくれた、坦々たんたんたるたいらかな道である。吾人ごじんが母の胎内たいないにおいてすでに幾分か聞いて来た道である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そして、身体をあちこちに廻しながら物をにじるような格好をして母を見い見い外へ出て行こうとした。「かよいは?」と母が訊いた。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
わたくしべつ婦道ふどううの、義理ぎりうのとって、六ヶむずかしい理窟りくつからして、三浦みうらみとどまったわけでもなんでもございませぬ。
また鎔岩ようがん次第しだい冷却れいきやくしてるとどんな成分せいぶんのものも流動りゆうどうがたくなり、其後そのご固形こけい岩塊がんかい先頭せんとう岩塊がんかいえて前進ぜんしんするのみである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
仰ぎ見る彼等は、流るゝ雲に引きずられてやゝもすればけ出しそうになる足をみしめ踏みしめ立って居なければならなかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
これはかみなりがあんまり調子ちょうしって、くもの上をまわるひょうしに、あしみはずして、の上にちて、目をまわしたのでした。お百姓ひゃくしょう
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
短遮等より投げたる球を攫み得て第一基をむこと(もしくは身体からだの一部をるること)走者より早くば走者は除外となるなり。
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
茶店、旅宿などにても、極上等の座敷ざしきのたたみは洋服ならではみがたく、洋服着たる人は、後に来りて先ず飲食いんしょくすることをも得つべし。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そしてそれが水上すいじょうわたってむこうへえたとおもうと、幾匹いくひきかの猟犬りょうけん水草みずくさの中にんでて、くさすすんできました。
よし存在してもすぐ他から排斥はいせきされつぶされるにきまっているからです。私はあなたがたが自由にあらん事を切望するものであります。
私の個人主義 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わしはもはやふたたび都の土をむ望みはない。一指いっしを加えることができないで敵とともに一つの天をいただくことは限りない苦しみだ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
やはり、手探りしながら、歩く暗さで、しばらくゆくと、突然とつぜん、足下のゆかが左右にれだし、しっかりみしめて歩かぬと、転げそうでした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
地方によって多少作り方も違い、タチツケ、あるいは略してタッケ、猿袴、みなどともいい、庄内辺ではマタシャリとも言うそうな。
春雪の出羽路の三日 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
その一しゅんだ。富田六段の右の手が、さっとひらめくように動いたと見ると、モンクスのみ出した足首をさっとすくい上げた。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
それもうあらうかとはゝなどはしきりにいやがるのでわしあしんでる、無論むろん病院びやうゐんけば自宅じたくちがつて窮屈きゆうくつではあらうが
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一、二ねんのちには、天才てんさいは、まったくみにじられて、あとかたもなく、如才じょさいのない、きざな一商人しょうにんができあがるでありましょう。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
流石さすがに、無暗むやみむ訳にも行かぬので、一同玄関の土間にためらっていると、奥の方から、幽かに誰かの泣きじゃくる声が漏れて来た。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
が、くさたけ落葉おちばは、一めんあらされてりましたから、きつとあのをとこころされるまへに、餘程よほど手痛ていたはたらきでもいたしたのにちがひございません。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
おもひせまつて梅川うめかはは、たもとをだいてよろ/\よろ、わたしはうへよろめいて、はつとみとまつて、をあげたときしろゆびがかちりとつたのです。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
太い女だ、ひどいやつがあるもんだ、どうかしてもう一度江戸えどつちみ、女房にようばうつて死にたいものだ、お祖師様そしさまばちでもあたつたのかしら。
それから五にん手分てわけをして、窟内くつないくまなく調査てうさしてると、遺骨ゐこつ遺物ゐぶつ續々ぞく/″\として發見はつけんされる。それをあやまつてみさうにる。大騷おほさはぎだ。
げたでまれたひたいのこぶがしくしく痛みだす。がかれはそれよりも痛いのは胸の底をされるような大なる傷であった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
わたしの心の花々は、一時いちどきに残らずもぎ取られて、わたしのまわりに散り敷いていた。——投げ散らされ、みにじられて。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
さるとりいばらにひっかけられたり、くぼみにどんと足をみこんだりしながらも、一生けん命そっちへ走って行きました。
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そこで日々の勤めは否定されねばならない。その最後の一線はどうしてえるか。ここで逡巡することは許されない。
そのころわかいもんたちは、三日三晩みっかみばん、たたらというおおきなふいごをあしんで、かねをとかすをおこしたもんだそうだ。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
今日までみとどまっている士族は少なかった。昔は家から家へと続いたものであるが、今はあしたの星のように畠と畠の間に一軒二軒と残っている。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「君達も今は劇は芸術だからつて、高くとまつてゐるが、芝居に足をむだ抑々そも/\は、まさか芸術家になつてみたいと思つた訳でも無かつたらう。」
すると夜中の一時ごろであろうか。本堂ほんどうの方の廊下ろうかを歩く大きな足音がきこえて来た。その足音は少なくも八本か十本ぐらいの足でみならす音であった。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
是などもあとの句はこし大徳だいとくの故事をんだものらしいが、まん中はやはり荒々しい山伏村の写実であった。そうかと思うと『続猿蓑ぞくさるみの』の夏の夜の章には
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さア、お腹は空いてくるわ、なんぼ泣いてもほっとかれるわ。お襁褓むつもかえてくれんわ。んだりったりや。
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
父の行方ゆくえの心配、都に小娘一人住みのあやうさ、とうとう姫も決心して国元へ帰ろうとほとんど路銀も持たずただ一人、この街道をみ出して来たのでした。
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
故十方斎先生は、此室ここ皆伝かいでんの秘密の口述くちずをしたもので、大廊下からわかれてこっちへ通ずる小廊下のゆかが、鶯張うぐいすばりになっている。むと音がするんです。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
山の案内人などの話でも老爺さんが一足み入れて、あるといった山に硫黄のなかったためしがなく、歩いていると、ふと向うの山の格好を見て言いあてる。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
こゝからは岩石がんせき砂礫されきみち一歩々々いつぽ/\みすゝんで、つひに海拔かいばつ一萬二千餘尺いちまんにせんよしやく絶頂ぜつちようへたどりつくわけです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
あの水松いちゐしたで、長々なが/\よこになって、このほらめいたうへひたみゝけてゐい、あなるので、つちゆるんで、やはらいでゐるによって、めばすぐ足音あしあときこえう。
無垢むく若者わかものまへ洪水おほみづのやうにひらけるなかは、どんなにあまおほくの誘惑いうわくや、うつくしい蠱惑こわくちてせることだらう! れるな、にごるな、まよふなと
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
だってこうなってからというものア運とは云いながらることも為ることもどじをんで、うめえ酒一つ飲ませようじゃあ無し面白い目一つ見せようじゃあ無し
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
うちたからうばわれでもしたように、藤吉とうきち地駄じだんで、あとから、土橋どばしをひとびにんでった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そうして一めんに生い茂った雑草をみ分けて行くうちに、この家のこうした光景は、数年前、最後にこれを見た時とそれが少しも変っていないような気がした。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
所詮しょせんは大体のうえに眼をつけて、それから細かいところへみ込んで行かないと、前にも云ったような、飛んだ見込み違いで横道へそれてしまうことがありますよ
半七捕物帳:25 狐と僧 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
新室にひむろしづ手玉ただまらすもたまごとりたるきみうちへとまをせ 〔巻十一・二三五二〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)