手段しゆだん)” の例文
コロボツクルはいづれの仕方にしたがつて火を得たるか。直接ちよくせつ手段しゆだんにては到底たうてい考ふ可からず。コロボツクルの遺物中ゐぶつちうには石製の錐有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
じつ著者ちよしやごときは、地震學ぢしんがく今日こんにち以上いじよう進歩しんぽしなくとも、震災しんさいほとんど全部ぜんぶはこれをまぬか手段しゆだんがあるとかんがへてゐるものゝ一人ひとりである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
勿論もちろん今日こんにちおいても潜水器せんすいき發明はつめいいま充分じゆうぶん完全くわんぜんにはすゝんでらぬから、この手段しゆだんとて絶對的ぜつたいてき應用おうようすること出來できぬのはまでもない。
A ハガキ文學ぶんがくいね。ソラよく雜誌社ざつししやなどで原稿げんかうあつめる一手段しゆだんとして、諸名士しよめいし往復葉書わうふくはがきしたりするぢやないか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
きかねど晦日みそかつきなか十五夜じふごややみもなくてやはおく朦朧もうろうのいかなる手段しゆだんありしか新田につた畫策くわくさくきはめてめうにしていさゝかの融通ゆうづうもならず示談じだん
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さうして一ぱうには全國ぜんこく此方針このはうしん實行じつかうせしむるために、らゆる手段しゆだんつたのであるが、さいはひにこのことは國民こくみん歡迎くわんげいされて徹底てつていしたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
どうにもならない事を、どうにかする爲には、手段しゆだんを選んでゐるいとまはない。選んでゐれば、築土ついぢの下か、道ばたの土の上で、饑死うゑじにをするばかりである。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
おつぎは燒趾やけあと始末しまつせはしいあひだにも時々とき/″\卯平うへいた。しか卯平うへいなぐさめるに一せんたくはへもないおつぎは猶且やつぱりなん方法はうはふ手段しゆだん見出みいだなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さそひしか共少し外に用事も有し故三五郎ばかり先へつかはし置たり然れば是得難えがた時節じせつなりと云ふに三人の者是を聞て大によろこび何卒よき手段しゆだんを以て三五郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
午迄ひるまでこんな姑息こそく手段しゆだんえずひたひやしてたが、一向いつかうはか/″\しいげんもないので、御米およね小六ころくのために、わざ/\きて、一所いつしよ食事しよくじをする根氣こんきもなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
掃守かもりかたはらはべりて、ももの大なるをひつつ三一えき手段しゆだんを見る。漁父が大魚まなたづさへ来るをよろこびて、三二高杯たかつきりたる桃をあたへ、又さかづきを給うて三三こん飲ましめ給ふ。
みづしろあかるつた……おうら行方ゆくへれ、在所ありかわかり、草鞋わらぢ松明たいまつさぐつたところで、所詮しよせん無駄むだだと断念あきらめく……それに、魔物まものから女房にようばう取返とりかへ手段しゆだん出来できた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「どのくらゐ程度ていどであつたか、それを懺悔ざんげさしてやらう。」とかひない手段しゆだんめぐらしてた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
じつ非常ひじやう手段しゆだんではあるが、※日くわじつ自動鐵車じどうてつしやすなすべりのたに陷落かんらくしたとき君等きみらすくはんがため製作せいさくした大輕氣球だいけいきゝゆうが、いまのこつてる。
自分じぶんやうよわをとこはふすには、もつと穩當をんたう手段しゆだん澤山たくさんでありさうなものだとしんじてゐたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
老若男女ろうじやくだんじよすべちからのあらんかぎ災害防止さいがいぼうしつとむべきである。火災かさい防止ぼうし眞先まつさきにし、人命救助じんめいきゆうじよをそのつぎとすること。これすなは人命じんめい財産ざいさん損失そんしつ最小さいしようにする手段しゆだんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
物語るにぞ平兵衞は聞終きゝをはり是は喜八を助くる手段しゆだんも出來たりと云へば吉右衞門それは何故ぞと云ふ平兵衞はひざすゝめ喜八がとがなき次第を女房に呑込のみこま斯樣かやう/\訴状そじやうしたゝめ喜八を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一念いちねん此處こヽあつまりては今更いまさらまぎらはすべき手段しゆだんもなく、あさひるしよくをとりても、はては學校がくかうきてもしよらきても、西行さいぎやううた令孃ひめ姿すがただれてまへはなれぬに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
手段しゆだんを選ばないといふ事を肯定こうていしながらも、この「すれば」のかたをつける爲に、當然たうぜん、その後に來る可き「盗人ぬすびとになるより外に仕方しかたがない」と云ふ事を、積極的せきゝよくてきに肯定する丈の
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
與吉よきちはじ野外やぐわい惡戲あくぎもちゐた手段しゆだんもつたゝいてさうとしまたさうとした。乾燥かんさうした落葉おちば迅速じんそく誘導いうだうしてかれ横頬よこほゝねぶつて、かれおもはずこゑはなつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
はふはいまだ一個人いつこじん食物しよくもつ干渉かんせふせざる以上いじやうは、警吏けいりほどこすべき手段しゆだんなきを如何いかんせむ。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其他そのた手段しゆだんでは、到底とうてい今日けふ明日あすに、このしま出發しゆつぱつする方法てだてもありませんから、むをず、ある時期ときまでは、吾等われら一行いつかうともに、この絶島ぜつたう御滯在ごたいざいほかはありません。
たゝいても駄目だめだ。ひとりでけてはひれ」とこゑきこえただけであつた。かれうしたらこのもんくわんのきけること出來できるかをかんがへた。さうしてその手段しゆだん方法はうはふあきらかにあたまなかこしらえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さらさんよりいつそ江戸の淺草にて水茶屋渡世の甚兵衞は從弟いとこえんもある事故彼を便たよりて行ならば又よき手段しゆだんも有べきやと心の内に思ひを定め賣殘したる家財かざいを集め金にかへつゝ當歳の子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
といつたわけで……さしあたり、たぬきのつりだしにはず、とすると、こゝにたう朝日新聞あさひしんぶんのお客分きやくぶん郷土學きやうどがく總本山そうほんざん内々ない/\ばけものの監査取かんさとりしまり、柳田やなぎださん直傳ぢきでん手段しゆだんがある。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
畢竟ひつきやう何事なにごとかの手段しゆだんかもれたことならずやさしげな妹御いもとごてにならぬよし折々をり/\たこともあり毒蛇どくじやのやうな人々ひと/″\信用しんようなさるおこゝろにはなにごとまをすとも甲斐かひはあるまじさりとて此儘このまゝ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ゆゑ彼等かれら隱約いんやくあひだ巧妙かうめう手段しゆだんほどこさうとして其處そこ工夫くふうこらされるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
また有珠山うすさん明治四十三年めいじしじゆうさんねん噴火ふんか數日前すうじつぜんから地震ぢしん先發せんぱつせしめたので、とき室蘭警察署長むろらんけいさつしよちよう飯田警視いひだけいし爆發ばくはつ未然みぜんさつし、機宜きゞてきする保安上ほあんじよう手段しゆだんつたことは特筆とくひつすべき事柄ことがらである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
翌年よくねん一月いちぐわつ親類見舞しんるゐみまひに、夫人ふじん上京じやうきやうする。ついでに、茅屋ばうをく立寄たちよるといふ音信たよりをうけた。ところで、いまさら狼狽らうばいしたのは、そのとき厚意こうい萬分まんぶんいちむくゆるのに手段しゆだんがなかつたためである。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……いて、眞實ほんたうにはなさるまい、伏木ふしき汽船きせんが、兩會社りやうくわいしやはげしく競爭きやうさうして、乘客じようきやく爭奪さうだつ手段しゆだんのあまり、無賃銀むちんぎん、たゞでのせて、甲會社かふくわいしや手拭てぬぐひ一筋ひとすぢ乙會社おつくわいしや繪端書ゑはがき三枚さんまい景物けいぶつすとふ。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
手段しゆだんがなかつたのではない、はなむかふるに蝶々てふ/\がなかつたのである。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)