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塗
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ぬ
ふりがな文庫
“
塗
(
ぬ
)” の例文
ペムペルがキャベジの太い根を
截
(
き
)
ってそれをはたけにころがすと、ネリは両手でそれをもって水いろに
塗
(
ぬ
)
られた一輪車に入れるのだ。
黄いろのトマト
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
天上の山が、下界同様、人出に埋まって、ここの深山も、世間と変わりない色に
塗
(
ぬ
)
られたからである。牛若も、その中の一人だった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
塗
(
ぬ
)
りたての
壁
(
かべ
)
は
狹苦
(
せまくる
)
しい
小屋
(
こや
)
の
内側
(
うちがは
)
を
濕
(
しめ
)
つぽく
且
(
かつ
)
闇
(
くら
)
くした。
壁
(
かべ
)
の
土
(
つち
)
の
段々
(
だん/\
)
に
乾
(
かわ
)
くのが
待遠
(
まちどほ
)
で
卯平
(
うへい
)
は
毎日
(
まいにち
)
床
(
ゆか
)
の
上
(
うへ
)
の
筵
(
むしろ
)
に
坐
(
すわ
)
つて
火
(
ひ
)
を
焚
(
たい
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
これが
又
(
また
)
大
(
だい
)
のおめかしと
來
(
き
)
て、
當世風
(
たうせいふう
)
の
廂髮
(
ひさしがみ
)
、
白粉
(
おしろい
)
をべた/\
塗
(
ぬ
)
る。
見
(
み
)
るもの、
莫不辟易
(
へきえきせざるなし
)
。
豈
(
あに
)
それ
辟易
(
へきえき
)
せざらんと
欲
(
ほつ
)
するも
得
(
え
)
んや。
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
材料は細い鋼鉄を使ってあるらしく、それがまっ黒に
塗
(
ぬ
)
ってあるので、伸びたときには、よほどよく見ないとわからないほどです。
おれは二十面相だ
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
その時彼女のうしろを
塗
(
ぬ
)
り潰している濃い闇の中で、一陣の風が羽ばたきのようにすうッと空を切ったけはいがして、不意に彼女が
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二人
(
ふたり
)
はあちらに
見
(
み
)
える、
白
(
しろ
)
く
塗
(
ぬ
)
った三
階建
(
がいだ
)
ての
家屋
(
かおく
)
を
見
(
み
)
ましたときに、それがなんであるかすらもよくわからなかったのでした。
幸福に暮らした二人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
舞台
(
ぶたい
)
はまだ昔のままになっていました。
壁
(
かべ
)
を
塗
(
ぬ
)
った側面と、背景に二つのアーチがあって、そこから以前の時代と同じ
装飾
(
そうしょく
)
が見えました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
はまぐりは急いで水を出して、その黒い粉をこねて、おちちのようにどろどろにして、二人で大国主神のからだじゅうへ
塗
(
ぬ
)
りつけました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
幸いにカンプラチンキを持って居りましたから自分でよく腰を
揉
(
も
)
んでそれを
塗
(
ぬ
)
ったり何かしたので、格別の事もなく治ってしまいました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ソレ御覧、色狂いして親の顔に
泥
(
どろ
)
を
塗
(
ぬ
)
ッても仕様がないところを、お勢さんが出来が宜いばっかりに叔母さんまで人に
羨
(
うらや
)
まれる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
血は
塗
(
ぬ
)
った血、おろか千万なこのつくり十五郎は、まぎれもなく昼間
森田座
(
こびきちょう
)
で見かけたあの黒鍬組の小侍のひとりなのです。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
それは、森をうしろに、海を前にして
建
(
た
)
てられていました。壁は赤く
塗
(
ぬ
)
ってあり、
屋根
(
やね
)
はキリのように、とがっていました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
橋本のいさちゃんが、浜田の
婆
(
ばあ
)
さんに連れられ、
高島田
(
たかしまだ
)
、
紋付
(
もんつき
)
、真白に
塗
(
ぬ
)
って、
婚礼
(
こんれい
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
に来たそうだ。
美
(
うつく
)
しゅうござんした、と
婢
(
おんな
)
が云う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
灰小屋の中で灰に
塗
(
ぬ
)
れて「焼け焦げの乾鰮」のようになって、この哀れな叛逆者は、三日三晩叫び続けて死んでしまった。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
然
(
しか
)
し
間
(
ま
)
もなくこの
陰鬱
(
いんうつ
)
な
往来
(
わうらい
)
は
迂曲
(
うね
)
りながらに
少
(
すこ
)
しく
爪先上
(
つまさきあが
)
りになつて
行
(
ゆ
)
くかと思ふと、
片側
(
かたがは
)
に赤く
塗
(
ぬ
)
つた
妙見寺
(
めうけんじ
)
の
塀
(
へい
)
と
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
安井
(
やすゐ
)
は
黒
(
くろ
)
い
髮
(
かみ
)
に
油
(
あぶら
)
を
塗
(
ぬ
)
つて、
目立
(
めだ
)
つ
程
(
ほど
)
奇麗
(
きれい
)
に
頭
(
あたま
)
を
分
(
わ
)
けてゐた。さうして
今
(
いま
)
床屋
(
とこや
)
へ
行
(
い
)
つて
來
(
き
)
た
所
(
ところ
)
だと
言譯
(
いひわけ
)
らしい
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども今度はさっきのように、一町も二町も逃げ出しはしません。
芝生
(
しばふ
)
のはずれには
棕櫚
(
しゅろ
)
の木のかげに、クリイム色に
塗
(
ぬ
)
った犬小屋があります。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お
前
(
まえ
)
さんが、どこまで
出来
(
でき
)
たか
見
(
み
)
たいという。その
心持
(
こころもち
)
ァ、
腹
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
から
察
(
さっ
)
してるが、ならねえ、あっしゃァ、いま、
人形
(
にんぎょう
)
を
塗
(
ぬ
)
ってるんじゃァねえ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
いま
申
(
まを
)
した
古墳
(
こふん
)
は
皆
(
みな
)
圓塚
(
まるづか
)
でありまして、その
中
(
なか
)
に
漆
(
うるし
)
で
塗
(
ぬ
)
つた
棺
(
かん
)
を
埋
(
うづ
)
め、その
上
(
うへ
)
を
大
(
おほ
)
きな
石塊
(
いしころ
)
で
包
(
つゝ
)
んだものであります。これを
積
(
つ
)
み
石
(
いし
)
塚
(
づか
)
といひます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
そして全体をさわれないくらい熱くしておいて
封蝋
(
ふうろう
)
を
塗
(
ぬ
)
り、その上をさらにすっぽり封蝋でつつんでしまうのである。
実験室の記憶
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
血潮は
糊
(
のり
)
のやうに固まつて、不氣味さは一通りではありませんが、その血潮に
塗
(
ぬ
)
れた、死骸の胸——乳のふくらみの美しさは、眼に沁みるやうです。
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
大路
(
おほぢ
)
の
柳
(
あなぎ
)
月
(
つき
)
のかげに
靡
(
なび
)
いて
力
(
ちから
)
なささうの
塗
(
ぬ
)
り
下駄
(
げた
)
のおと、
村田
(
むらた
)
の二
階
(
かい
)
も
原田
(
はらだ
)
の
奧
(
おく
)
も
憂
(
う
)
きはお
互
(
たが
)
ひの
世
(
よ
)
におもふ
事
(
こと
)
多
(
おほ
)
し。
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
子爵といふ金箔を
塗
(
ぬ
)
ツて社會に立たうと思はぬといふのを
冒頭
(
のつけ
)
にして、彼の如き事情の下に生まれた子は、親の命令に服從する義務が無いと
喝破
(
かつぱ
)
し
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
一
時
(
じ
)
は
天井
(
てんぜう
)
から
骨
(
ほね
)
がぶら
下
(
さが
)
つて
居
(
ゐ
)
るの、セメントで
内部
(
ないぶ
)
が
塗
(
ぬ
)
つて
有
(
あ
)
るのと、
高等野次馬
(
かうとうやじうま
)
の
騷
(
さは
)
ぎと
云
(
い
)
つたら
無
(
な
)
かつた。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
英色に
塗
(
ぬ
)
られるか、仏色を帯びるか、独色を
呈
(
てい
)
するか、つまり将来の対トルコ関係がいま決定されるといっていい。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
私
(
わたくし
)
は
三々五々
(
さん/\ごゞ
)
群
(
むれ
)
をなして、
其處此處
(
そここゝ
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
を
)
る、
顏色
(
いろ
)
の
際立
(
きはだ
)
つて
白
(
しろ
)
い
白耳義人
(
ベルギーじん
)
や、「コスメチツク」で
鼻髯
(
ひげ
)
を
劍
(
けん
)
のやうに
塗
(
ぬ
)
り
固
(
かた
)
めた
佛蘭西
(
フランス
)
の
若紳士
(
わかしんし
)
や
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
益々
(
ますます
)
雄弁
(
ゆうべん
)
に「ほんとに
嫌
(
いや
)
らし。山田さんや高橋さんみたいに、
仰山
(
ぎょうさん
)
、
白粉
(
おしろい
)
や紅をべたべた
塗
(
ぬ
)
るひといるからやわ」
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
うかれ
女
(
め
)
のやうに化粧した
薔薇
(
ばら
)
の花、
遊女
(
あそびめ
)
の心を
有
(
も
)
つた
薔薇
(
ばら
)
の花、
綺麗
(
きれい
)
に顏を
塗
(
ぬ
)
つた
薔薇
(
ばら
)
の花、
情
(
なさけ
)
深さうな
容子
(
ようす
)
をしておみせ、
僞善
(
ぎぜん
)
の花よ、
無言
(
むごん
)
の花よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
鏡に映つた兒どもの、
面
(
つら
)
には凄いほど
眞白
(
まつしろ
)
に
白粉
(
おしろひ
)
を
塗
(
ぬ
)
つてあつた、
睫
(
まつげ
)
のみ黒くパツチリと
開
(
ひら
)
いた
兩
(
ふたつ
)
の眼の底から
恐怖
(
おそれ
)
に
竦
(
すく
)
んだ瞳が
生眞面目
(
きまじめ
)
に
震慄
(
わなな
)
いてゐた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
美しい
塗
(
ぬ
)
り
下駄
(
げた
)
、博多の帯、
縮緬
(
ちりめん
)
の衣裳、
綸子
(
りんず
)
の長襦袢、銀の平打ち、
珊瑚
(
さんご
)
の前飾り、高価の品物が数々出る。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
四五 猿の
経立
(
ふったち
)
はよく人に似て、女色を好み里の婦人を盗み去ること多し。
松脂
(
まつやに
)
を毛に
塗
(
ぬ
)
り砂をその上につけておる故、
毛皮
(
けがわ
)
は
鎧
(
よろい
)
のごとく鉄砲の
弾
(
たま
)
も
通
(
とお
)
らず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
瑠璃子は、父にそう云われると、
止
(
や
)
むなく自分の部屋に帰ったが、一人自分の部屋にいると、墨のような不安が、胸の中を一杯に
塗
(
ぬ
)
り
潰
(
つぶ
)
してしまうのだった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
坐礁
(
ざしょう
)
した大戦艦淡路が傾いており、そのまわりには大小いろいろな軍艦がぐるっととりまき、空には
尻尾
(
しっぽ
)
を赤く
塗
(
ぬ
)
った海軍の偵察機が舞い、それを背景にして
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして劇薬から毒薬まで貯へられてある薬棚から、消毒薬と膏薬とを取りだして来て、
塗
(
ぬ
)
つてくれた。軍隊でやりつけたので、繃帯捲きも手際なものであつた。
閾
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
奴国
(
なこく
)
の宮からは、面部の
玦形
(
けっけい
)
の
刺青
(
ほりもの
)
を
塗
(
ぬ
)
り
潰
(
つぶ
)
された五人の
使部
(
しぶ
)
が、偵察兵となって
不弥
(
うみ
)
の国へ発せられた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
夕飯の前になると、わたしはまたポマードを
塗
(
ぬ
)
りたくって、またもやフロックコートとネクタイを着けた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
なるほどなるほどと自分は感心して、
小短冊
(
こたんじゃく
)
位の大きさにそれを
断
(
き
)
って、そして有合せの
味噌
(
みそ
)
をその
杓子
(
しゃくし
)
の背で五
厘
(
りん
)
か七厘ほど、一
分
(
ぶ
)
とはならぬ厚さに
均
(
なら
)
して
塗
(
ぬ
)
りつけた。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
十
兩
(
りやう
)
以上
(
いじやう
)
の
盜賊
(
たうぞく
)
でなくても、
首
(
くび
)
は
繋
(
つな
)
がらなかつた。
死刑
(
しけい
)
は
連日
(
れんじつ
)
行
(
おこな
)
はれた。
彼
(
か
)
れが
月番
(
つきばん
)
の
時
(
とき
)
は、
江戸
(
えど
)
なら
淺右衞門
(
あさゑもん
)
ともいふべき
首斬
(
くびき
)
り
役
(
やく
)
の
刃
(
やいば
)
に、
血
(
ち
)
を
塗
(
ぬ
)
らぬ
日
(
ひ
)
とてはなかつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
鰭
(
ひれ
)
は神女の
裳
(
も
)
のように
胴
(
どう
)
を包んでたゆたい、体色は
塗
(
ぬ
)
り立てのような
鮮
(
あざや
)
かな
五彩
(
ごさい
)
を
粧
(
よそお
)
い
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
薄板
(
うすいた
)
を
組合
(
くみあは
)
せて名
刺
(
し
)
形
(
かた
)
の
暗箱
(
あんはこ
)
をこしらへる。内
部
(
ぶ
)
を
墨
(
すみ
)
で
塗
(
ぬ
)
る。
眼
(
め
)
鏡
屋
(
や
)
から十五錢ばかりで
然
(
しか
)
るべき
焦點距離
(
せうてんきより
)
を持つ虫
眼
(
め
)
鏡を
買
(
か
)
つて來て竹
筒
(
つゝ
)
にはめ
込
(
こ
)
んだのを、一方の
面
(
めん
)
にとりつける。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
小に
過
(
す
)
ぎて用を爲さざる物有り、
赤色
(
あかいろ
)
の
色料
(
しよくれう
)
を
塗
(
ぬ
)
りて明かに
裝飾
(
かざり
)
を加へし物有り。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
私は裏側へ
廻
(
まわ
)
って、水色のペンキ
塗
(
ぬ
)
りの歪んだ窓へよじ登って下を覗いてみた。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
行田の町の中ほどに
西洋造
(
せいようづく
)
りのペンキ
塗
(
ぬ
)
りのきわだって目につく
家
(
うち
)
があった。陶器の標札には医学士原田龍太郎とあざやかに見えて、門にかけた原田医院という看板はもう古くなっていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
近江屋「なに、それはもつと小さい丸いので、ぶら
提灯
(
ぢやうちん
)
といふのだが、あれは
神前
(
しんぜん
)
へ
奉納
(
ほうなふ
)
するので、
周囲
(
まはり
)
を
朱
(
あか
)
で
塗
(
ぬ
)
り
潰
(
つぶ
)
して、
中
(
なか
)
へ
墨
(
くろ
)
で「
魚
(
うを
)
がし」と書いてあるのだ、
周囲
(
まはり
)
は
真
(
ま
)
ツ
赤
(
か
)
中
(
なか
)
は
真
(
ま
)
ツ
黒
(
くろ
)
。
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
堀の水は、松の影を宿して暗く静まり、
塗
(
ぬ
)
りつぶしたような
闇黒
(
やみ
)
のなかに、ほの白い石垣が
亀甲
(
きっこう
)
につづいて大浪のごとく起伏する木立ちのむこうに、天守閣の屋根が夜空をついて望見される。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
薄野
(
すすきの
)
遊廓の一隅に来てしまったことを柿江は
覚
(
さと
)
った。そこには一丈もありそうな
棒矢来
(
ぼうやらい
)
の塀と、昔風に
黒渋
(
くろしぶ
)
で
塗
(
ぬ
)
られた火の見
櫓
(
やぐら
)
があった。柿江はまた思わず自分の顔が
火照
(
ほて
)
るのを痛々しく感じた。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
... お
孃
(
じやう
)
さん、
私共
(
わたしども
)
は
女王樣
(
ぢよわうさま
)
のお
出
(
い
)
でになる
以前
(
まへ
)
に、一
生懸命
(
しやうけんめい
)
にそれを
塗
(
ぬ
)
つて
置
(
お
)
くんです、それ——』
此時
(
このとき
)
恰
(
あだか
)
も
花園
(
はなぞの
)
の
向
(
むか
)
ふを
氣遣
(
きづか
)
はしげに
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
た
五點
(
フアイブ
)
が、『
女王樣
(
ぢよわうさま
)
が!
女王樣
(
ぢよわうさま
)
が!』と
叫
(
さけ
)
んだので
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
年少組はバクスターを
首領
(
しゅりょう
)
にして、ヴィクンヤなどを入れておく
小舎
(
こや
)
を建てることにむちゅうになった、小舎はサクラ号から持ってきた板をもってつくり、屋根は松やにを
塗
(
ぬ
)
った
油布
(
あぶらぬの
)
をもっておおい
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
香
(
こり
)
塗
(
ぬ
)
れる塔になよりそ
川隅
(
かわくま
)
の
屎鮒
(
くそぶな
)
はめるいたき
女奴
(
めやつこ
)
(巻十六)
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
“塗”の意味
《名詞》
(ぬり)塗ること。また、塗った物。
(ぬり)漆塗り。
(出典:Wiktionary)
塗
常用漢字
中学
部首:⼟
13画
“塗”を含む語句
朱塗
塗籠
塗抹
血塗
蝋塗
泥塗
塗料
糊塗
上塗
丹塗
塗師
漆塗
蝋塗鞘
塗香
塗付
塗板
紅殻塗
黒塗
溜塗
白塗
...