のぞ)” の例文
しのぐ事あたはざるもの飢餲きかつにうれふるものには其金銀を與へてくるしみをのぞき給ひしが當時たうじのありさまを見るにさしてこゝ一日人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
 寛平法皇の(帝の御父)御心には時平のにんのぞき 菅神御一人に国政をまかせ玉はんとのおぼしめしありしに、延喜元年正月三日
代金だいきんだれがきめたものか、いづこも宿賃やどちん二三百円びやくゑんのぞいて、をんな収入しうにふきやく一人ひとりにつき普通ふつうは三百円びやくゑんから五百円ひやくゑん、一ぱく千円せんゑん以上いじやうだとふ。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「幸七と孫作は死體を抱き起してゐますから、此二人は一番ひどく、若い女共をのぞけば少しつづは皆んなが附いてゐましたよ」
今詳に之を知るによしなしと雖も、蛤貝の殼の内に魚鱗の充實じうじつしたるを發見はつけんする事有れば貝殼を以て魚鱗をのぞく事の有りしはたしかなるべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
さういふかたわの年輪ねんりんのことを『擬年輪ぎねんりん』とびます。これはその生長年數せいちようねんすうかぞへるときはのぞいてかぞへなければなりません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
〔譯〕歴代れきだいの帝王、唐虞たうぐのぞく外、眞の禪讓ぜんじやうなし。商周しやうしう已下いか秦漢しんかんより今に至るまで、凡そ二十二史、皆武を以て國を開き、文を以て之を治む。
さうしてまた食料しよくれうもとめるため勞力らうりよくくことによつて、作物さくもつ畦間うねまたがやすことも雜草ざつさうのぞくことも一さい手後ておくれにる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そうしてそのにはあたたか健全けんぜんかがやきがある、かれはニキタをのぞくのほかは、たれたいしても親切しんせつで、同情どうじょうがあって、謙遜けんそんであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あせと、わきがと、湯無精ゆぶしやうのぞいては、をんなは——化粧けしやう香料かうれうのほか、だしなみのいゝをんなは、くさくはないものとおもつてる。はゞかりながらはなはきく。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから競技者プレーヤーことごとく、王樣わうさま女王樣ぢよわうさまあいちやんとをのぞいては、禁錮きんこなかれられ、死刑しけい宣告せんこくつばかりでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
だから、私たちが城塞の下についたころには、私たち二人をのぞいたあとの一行全部は、後遅おくれてしまったのであった。
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
火口かこう上皮じようひ一兩日いちりようじつあひだのぞかれると、噴火現象ふんかげんしようさら高調こうちようしてて、つひ鎔岩ようがん流出りゆうしゆつせしめる程度ていどたつする。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
自分はもと山多き地方に生長せいちょうしたので、河といえばずいぶん大きな河でもその水は透明であるのを見慣れたせいか、初めは武蔵野の流れ、多摩川をのぞいては
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
しかし、この人達も、短い練習の時間だけは、非常に真摯しんしに、熱心で、漕法そうほうは、英国の剣橋ケンブリッジ大学をのぞいては、皆、レカバリイが少ないのが、目につきました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
今日、ある人(しひて名をのぞく)から聞けば、君と加藤の妹との間には多少の意義があるとのことに候ふが、それはほんたうか如何いかに、お知らせくだされたくそうろう
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
しかしただ一人久保田さんが纎細せんさいみつ作品さくひんを書く人でありながら球突たまつきではひどく不器用ぶきようなのをのぞけばそれぞれに球突たまつきの中にも作品さくひんかんじがあらはれてくるからおも白い。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
その形は小なれども、さきに見つる龍卷に似て、碧き光眼を射たり。こはわが未だのぞかざる驚怖の幻出する所なるか、將た未だえざる記念の化現けげんする所なるか。
かれが、どんなことをあたまなかおもっているかったひとはありません。ただ、かれが、こうして、いるうちに、かれのぞいてなかは、せっせとあしをしていたのであります。
生きている看板 (新字新仮名) / 小川未明(著)
有毒うどく雜木ざつぼくこれらの境界さかひの内に滿つれば、今はたとひ耕すともたやすくのぞき難からむ 九四—九六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ほんにあつめたものは、その二ツ三ツをのぞいて、みんなわたしの獨創どくそうによる作品さくひんであります。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
さうして日本人にほんじん衣服いふく絹物きぬもののぞいたほかのものはこと/″\外國ぐわいこくから輸入ゆにふされるものである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
「青木! おい、堪忍かんにんしてくれ、なあおいおれは悪かった、おれは今日から三害をのぞくんだ」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
いまその面影おもかげのこつて、この朝日島あさひたうちう武村兵曹たけむらへいそうわたくしとをのぞいたらそのつぎ撰手チヤンピオンつてもよからう、わたくし世界せかい漫遊まんゆう以來いらいひさしく「ボール」をにせぬから餘程よほど技倆ぎりようちたらうが
また民間ではこれを薬用に用いるので有名でもある。ドクダミとは毒痛どくいたみの意だともいわれ、またあるいは毒をのぞくの意だともいわれ、身体の毒を追い出すに使われている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
そんなことが出來るなら、私はあなたが大好きだと云つたでせう。だけど、私はあなたを好かないと云ひます。ジョン・リードをのぞけば、世界中で誰よりもあなたが一番嫌ひです。
そうしてそれが人間の毬栗頭いがぐりあたまであった。——広い部屋には、自分とこの二人をのぞいて、誰もいない。ただ電気灯がかんかんいている。大変静かだ、と思うとまた下座敷でわっと笑った。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さうとはらずチッバルトどのをおなげきゃるとのみ思召おぼしめされ、そのなげきのぞかうとてパリスどのへ無理強むりじひの婚禮沙汰こんれいざた其時そのときひめ庵室いほりへわせられ、この祝言しうげんのがるゝ手段すべをしへてくれい
美田みたの源次が堀川ほりかはの功名にうつゝかして赤樫あかがしの木太刀を振り舞はせし十二三の昔より、空肱からひぢでて長劒の輕きをかこつ二十三年の春の今日けふまで、世に畏ろしきものを見ず、出入いでいる息をのぞきては
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
先年名佐なさ技師ぎし地質調査ちしつてうさの為め探検たんけんして之よりかへられし処とす、衆露宿ろしゆくを此にる、人夫十数人拮据勉励きつきよべんれい、大石をのぞきて磧中をり温泉塲二ヶしよつくる、泉石幾年のこけ汚穢をくわい甚しきを以て
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ずうっと遠くで少しの音が思い出したようにっているだけ、雨もやみ電光ばかりが空をわたって、雲の濃淡のうたん、空の地形図をはっきりと示し、またただ一本をのぞいて、嵐にちほこった百合のむれ
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
東京から引越ひっこし当座とうざの彼等がざまは、笑止しょうしなものであった。昨今の知り合いの石山さんをのぞく外知人しりびととてはもとよりなく、何が何処にあるやら、れを如何どうするものやら、何角なにかの様子は一切からず。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
穀物が第一膏而已のみに相成候趣に御座候、今より二ヶ月も相立候得ば必病氣をのぞき可申と、口を極めて申居候。此度は決而きつと全快仕可申候間御安心可成候。此度荒々あら/\病氣の所行なりゆきも申上置候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
入京会葬をとどむるの事、遺詔にづと云うといえども、諸王、せめ讒臣ざんしんたくして、しこうして其の奸悪かんあくのぞかんと云い、こう孝陵こうりょうに進めて、而して吾が誠実を致さんと云うに至っては、けだ辞柄じへい無きにあらず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
餘程よほど頑固がんこひとのぞいてたいていみなしんずることになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
 寛平法皇の(帝の御父)御心には時平のにんのぞき 菅神御一人に国政をまかせ玉はんとのおぼしめしありしに、延喜元年正月三日
この八は間違ひもなく當るよ。——お松と仲の良い男は一體誰なんだ。お松が命にかけてもかばつてやらうと言ふのは——八五郎をのぞいてだよ
さうして其眼そのめにはあたゝか健全けんぜんかゞやきがある、かれはニキタをのぞくのほかは、たれたいしても親切しんせつで、同情どうじやうつて、謙遜けんそんであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ちかい。が焼山やけやまである。唐黍たうもろこしげてゐやう。茄子なすびあかからう。女気をんなげとほざかることかばんのぞいて十あまつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しがみいてたけのこかは自然しぜんみきからはなれるやうに、與吉よきち段々だん/\おつぎのからのぞかれるやうにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
二萬六千にまんろくせん人口中じんこうちゆう地下室ちかしつ監禁かんきんされてゐた一名いちめい囚徒しゆうとのぞほかこぞつて死滅しめつしたことにおい有名ゆうめいである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
彼女の持ち役である南海なんかい女神めがみはその途中で演技が済み、あとは終幕が開くので彼女をのぞく一座は総出そうでの形となって、ひとりジュリアは楽屋に帰ることができるのであった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
魚の中にて鱗の粗きものは調理てうりする前に之を取りのぞきたりと見えて、貝塚中に於て魚鱗ぎよりん散布さんふせるをみとむる事屡〻有り。コロボツクルは如何にして魚鱗ぎよりん魚体ぎよたいより取りはなしたるか。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
住吉町吉兵衞願書は本件ほんけん第十一回目に記載かきのせ之あるに付こゝのぞく因て其回と見合せ讀給へ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きはめて重大ぢゆうだいなるまた單純たんじゆんなるものをのぞいては、萬國ばんこく共通けうつうのものはいのである。
このむらひとたちは、おばあさんが金持かねもちだということをっていました。そこで、むらちいさくて、いたって戸数こすうすくなかったけれど、おばあさんのうちのぞいては、いずれも貧乏びんぼうでありました。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
小介川文學士こすけがはぶんがくしともなふて一人ひとりをとこのぞいては此倶樂部このくらぶ會員くわいゐんで、一人ひとりはオックスホード大學だいがく出身しゆつしん其一人そのひとりはハーバード大學だいがく出身しゆつしんなど、なそれ/″\の肩書かたがきもつ年少氣鋭ねんせうきえい
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
地を卷く海をのぞきては、水たゝふるたにの中にていと大いなるもの 八二—八四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
および余をあはせて総計十七名、中途ちうとかへりし者をのぞけば十二名とす、右の三角印は中途ちうとかへりしものとす、此他人夫十九名同道者どう/\しや三人、合計ごうけい三十九名とす、ただし人夫中四人及道者三人は中途にかへりたるを以て
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
それはインデペンデントには違いないが、はなはだどうも結構でない事かも知れません。それは我儘、横着であるが自然でもある、インデペンデントともなるけれども、これも取りのぞけということになる。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)