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何等
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なんら
ふりがな文庫
“
何等
(
なんら
)” の例文
第二、上等士族を
給人
(
きゅうにん
)
と称し、下等士族を
徒士
(
かち
)
または
小役人
(
こやくにん
)
といい、給人以上と徒士以下とは
何等
(
なんら
)
の事情あるも
縁組
(
えんぐみ
)
したることなし。
旧藩情
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
而
(
しか
)
も其れが、趣味とか流行とかの問題に関して、
何等
(
なんら
)
の教養をも受けた筈のない、貧乏人の子供なのだから一層特筆すべきである。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
のつそり立ち上りざま「
何
(
いづ
)
れ近日
何等
(
なんら
)
かの沙汰をしようが、余り
当
(
あて
)
にしない方がよからう。」と
体
(
てい
)
よく志望者を送り出してしまふ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
自分のためにあれほどの
深傷
(
ふかで
)
を負わせられながら、しかも彼女自身
何等
(
なんら
)
の償いを求めようとする
気色
(
けしき
)
も無いような節子に対しては
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼が前の日「やっつけちまおう」と云った時は
何等
(
なんら
)
の用意はなかった。然し最早、犯罪の種は彼の頭の中で芽を出しはじめたのであった。
夢の殺人
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
▼ もっと見る
それから今一つは、その文化向上のプライドを
何等
(
なんら
)
かの方法に依って標示したいという内的の刺激からこんな風に発達して来たものである。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
然
(
しか
)
るに
何等
(
なんら
)
玉石を顧みることなく、霊媒の全部を精神異常者と
見做
(
みな
)
して、懲罰を加えんとするに至りては、愚にあらずんば正に冒涜である。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
全力をあげて職務に勉励し、
何等
(
なんら
)
の根拠なきによく余の計画を看破し、保険会社をして四十五万フランの損害を
妨
(
ふせ
)
ぎ得たり。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
もしも、私にこんなことがあったら、
何等
(
なんら
)
悲劇のともなわない恋愛などと口にしていても
芯
(
しん
)
ではひどいかしゃくを感じるのはあたりまえの事だ。
恋愛の微醺
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
すると戦争は戦争の為の戦争ではなくつて、他に
何等
(
なんら
)
かの目的がなくてはならない、
畢竟
(
ひつきやう
)
ずるに一の手段に過ぎないといふ事に帰着してしまふ。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
つまり六郎氏は結婚の当初から、
何等
(
なんら
)
かの事情により、夫人の秘密を
知悉
(
ちしつ
)
していたのです。そして、それを夫人には一言も云わなかったのです。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
既
(
すで
)
に水も
艸木
(
くさき
)
も、虫も土も空も太陽も、皆我々蛙の為にある。
森羅万象
(
しんらばんしやう
)
が
悉
(
ことごと
)
く我々の為にあると云ふ事実は、
最早
(
もはや
)
何等
(
なんら
)
の
疑
(
うたがひ
)
をも
容
(
い
)
れる余地がない。
蛙
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自分の家が貧しい為、
何等
(
なんら
)
の金銭上の補助を仰ぎ得ない譲吉に取っては、近藤夫人が何かにつけて唯一の頼りであった。
大島が出来る話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
併
(
しか
)
し
凡
(
すべ
)
てに
共通
(
けうつう
)
した
手法
(
しゆはふ
)
の
方針
(
はうしん
)
は、
由來
(
ゆらい
)
化物
(
ばけもの
)
の
形態
(
けいたい
)
には
何等
(
なんら
)
か
不自然
(
ふしぜん
)
な
箇所
(
かしよ
)
がある。それを
藝術
(
げいじゆつ
)
の
方
(
ちから
)
で
自然
(
しぜん
)
に
化
(
くわ
)
さうとするのが
大體
(
だい/\
)
の
方針
(
はうしん
)
らしい。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
彼が寂しさ苦しさのあまり、自分を救ふ
何等
(
なんら
)
かの手段を、
衆生済度
(
しゅじょうさいど
)
僧たる老師が持ち合せるであらうといふ一面功利的な思ひつきからでもあつた。
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
第七十六条 法律規則命令又ハ
何等
(
なんら
)
ノ名称ヲ
用
(
もち
)
ヰタルニ
拘
(
かかわ
)
ラス
此
(
こ
)
ノ憲法ニ
矛盾
(
むじゅん
)
セサル現行ノ法令ハ
総
(
すべ
)
テ
遵由
(
じゅんゆう
)
ノ効力ヲ
有
(
ゆう
)
ス
大日本帝国憲法
(旧字旧仮名)
/
日本国
(著)
子供の服装は近頃ル・マタン紙の婦人欄の記者が批難した通り「
何等
(
なんら
)
らの熟慮を経ない、
唯
(
た
)
だ
華美
(
はで
)
に過ぎた複雑な装飾」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
白氏
(
はくし
)
が
晴天
(
せいてん
)
の雨の
洒落
(
しやれ
)
ほどにはなく
候
(
そろ
)
へども
昨日
(
さくじつ
)
差上
(
さしあ
)
げ
候
(
そろ
)
端書
(
はがき
)
十五
枚
(
まい
)
もより風の
枯木
(
こぼく
)
の吹けば飛びさうなるもののみ、
何等
(
なんら
)
風情
(
ふぜい
)
をなすべくも
候
(
そろ
)
はず
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
何はあれ、ここは
屈竟
(
くっきょう
)
の隠れ家である。万一、𤢖が昔のままに棲んでいるならば、
之
(
これ
)
に乞うて
何等
(
なんら
)
かの食物を得て、一時の空腹を
凌
(
しの
)
ごうとも思った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その一つ一つに
何等
(
なんら
)
かの意味を見出そうと努力するようになったのも、主としてこの言葉の
影響
(
えいきょう
)
だったのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
つまりそれはガリレイが
何等
(
なんら
)
の私心もなく、ひたすらに真理のために尽した偉大な仕事のおかげによるのです。
ガリレオ・ガリレイ
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
この都会の
澱
(
よど
)
んでカスばかり溜った小路をあるきながら、例によって
何等
(
なんら
)
の感銘もなく、ただ
徒
(
いたず
)
らに歩行するだけの毎夜の疲労にとぼとぼ歩いていたとき
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
兩者
(
りやうしや
)
の
間
(
あひだ
)
には
何等
(
なんら
)
其
(
そ
)
の
性質
(
せいしつ
)
を
變化
(
へんくわ
)
せしむべき
作用
(
さよう
)
の
起
(
おこ
)
るでもなく、
其
(
そ
)
れは
水
(
みづ
)
が
油
(
あぶら
)
を
疎外
(
そぐわい
)
するのか、
油
(
あぶら
)
が
水
(
みづ
)
を
反撥
(
はんぱつ
)
するのか
遂
(
つひ
)
に
溶
(
と
)
け
合
(
あ
)
ふ
機會
(
きくわい
)
が
無
(
な
)
いのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
斗滿川
(
とまむがは
)
は
余
(
よ
)
が
家
(
いへ
)
を
去
(
さ
)
る
半町餘
(
はんちやうよ
)
の
處
(
ところ
)
に
在
(
あ
)
り。
朝夕
(
あさゆふ
)
灌水
(
くわんすゐ
)
に
赴
(
おもむ
)
くに、
如何
(
いか
)
なる
嚴寒
(
げんかん
)
大雪
(
おほゆき
)
の
候
(
こう
)
と
雖
(
いへど
)
も、
浴衣
(
ゆかた
)
を
纒
(
まと
)
ひ、
草履
(
ざうり
)
を
穿
(
うが
)
つのみにて、
他
(
た
)
に
何等
(
なんら
)
の
防寒具
(
ばうかんぐ
)
を
用
(
もち
)
ゐず。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
しかし猟師は僧の非難を聞いても
何等
(
なんら
)
後悔憤怒の色を表わさなかった。それから
甚
(
はなは
)
だ穏かに云った。——
常識
(新字新仮名)
/
小泉八雲
(著)
それをまた一面から云うと、甲の味いを感ずるのは
何等
(
なんら
)
かの錯覚に基きやしないかと疑うことも出来る。
歌の潤い
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
こんな事をば、出入の
按摩
(
あんま
)
の
久斎
(
きゅうさい
)
だの、
魚屋
(
さかなや
)
の
吉
(
きち
)
だの、鳶の清五郎だのが、台所へ来ては
交
(
かわ
)
る
交
(
がわ
)
る話をして行ったが、然し、私には
殆
(
ほとん
)
ど
何等
(
なんら
)
の感想をも与えない。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
だから、変化のないようで、やはりこの疲れた沙原にも変化を求めれば、
何等
(
なんら
)
か求められるものだ。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それから三千
年
(
ねん
)
前
(
ぜん
)
の
往古
(
わうこ
)
を
考
(
かんが
)
へながら、
寐
(
しん
)
に
就
(
つ
)
くと、
不平
(
ふへい
)
、
煩悶
(
はんもん
)
、
何等
(
なんら
)
の
小感情
(
せうかんじやう
)
は
浮
(
うか
)
ぶなく、
我
(
われ
)
も
太古
(
たいこ
)
の
民
(
たみ
)
なるなからんやと
疑
(
うたが
)
はれる
程
(
ほど
)
に、
安
(
やす
)
らけき
夢
(
ゆめ
)
に
入
(
い
)
るのである。
探検実記 地中の秘密:01 蛮勇の力
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
腰
(
こし
)
をだに
掛
(
か
)
くる所もなく、唯両脚を以て
躰
(
たい
)
を
支
(
ささ
)
へて
蹲踞
(
そんきよ
)
するのみ、躰上に
毛氈
(
もうせん
)
と油紙とを
被
(
かふ
)
れども
何等
(
なんら
)
の
効
(
こう
)
もなし、人夫に
至
(
いた
)
りては
饅頭笠
(
まんじうがさ
)
既
(
すで
)
に初日の
温泉塲
(
をんせんば
)
に於て
破
(
やぶ
)
れ
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
私
(
わし
)
は一角という者は存じませぬ、知りもしない奴に
仮令
(
たとえ
)
どの様な慾があっても、頼まれて旦那様を殺させたろうという御疑念は
何等
(
なんら
)
の
廉
(
かど
)
を取って左様なことを仰しゃる
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その二人が五日前の晩から行方不明になって
了
(
しま
)
い、捜査に努力した水陸両警察署も、
何等
(
なんら
)
の
手掛
(
てがかり
)
を得る事も出来ず、事件はそのまま忘れられようとしていた時の事だけに
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
即
(
すなは
)
ち
隙見
(
すきみ
)
したる眼の無事なるを取柄にして、
何等
(
なんら
)
の発見せし事なく、
踵
(
きびす
)
を返して血天井を見る。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
もし
此手段
(
このしゆだん
)
の
實行上
(
じつこうじよう
)
に
伴
(
ともな
)
ふ
犧牲
(
ぎせい
)
があるならば、それを
考慮
(
こうりよ
)
することも
必要
(
ひつよう
)
であるけれども、
何等
(
なんら
)
の
犧牲
(
ぎせい
)
がないのみならず、
火災防止
(
かさいぼうし
)
といふ
最
(
もつと
)
も
有利
(
ゆうり
)
な
條件
(
じようけん
)
が
伴
(
ともな
)
ふのである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
米國經濟界
(
べいこくけいざいかい
)
全般
(
ぜんぱん
)
には
何等
(
なんら
)
懸念
(
けねん
)
すべき
状態
(
じやうたい
)
を
認
(
みと
)
めざるも、
人氣
(
にんき
)
の
中心
(
ちうしん
)
たる
證劵市場
(
しようけんしぢやう
)
が
大變動
(
だいへんどう
)
を
來
(
きた
)
したことであるから
勢
(
いきほ
)
ひ
生糸相場
(
きいとさうば
)
にも
波及
(
はきふ
)
して十
月
(
ぐわつ
)
初旬
(
しよじゆん
)
より
低下
(
ていか
)
の
趨勢
(
すうせい
)
となり
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
背負揚
(
しよいあげ
)
のうちに、
何等
(
なんら
)
の
秘密
(
ひみつ
)
があらうとは
思
(
おも
)
はぬ。が、もし
有
(
あ
)
つたら
如何
(
どう
)
する?と
叫
(
さけ
)
んだのも、
恐
(
おそら
)
く
此
(
こ
)
の
猜疑心
(
さいぎしん
)
であらう。
私
(
わたし
)
はそれを
感
(
かん
)
ずると
同時
(
どうじ
)
に、
妙
(
めう
)
に
可厭
(
いや
)
な
気
(
き
)
が
差
(
さ
)
した。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
『
同郷
(
どうきやう
)
』『
同藩
(
どうはん
)
』といふ
事
(
こと
)
から
何等
(
なんら
)
の
利益
(
りえき
)
も
保護
(
ほご
)
も
受
(
う
)
けなくなると
共
(
とも
)
に、
日本國内
(
にほんこくない
)
に
於
(
お
)
ける
私
(
わたし
)
のコスモポリタニズムはいよ/\
徹底
(
てつてい
)
してゐたが、
世界列國
(
せかいれつこく
)
といふものに
對
(
たい
)
しては
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
夏
(
なつ
)
の
初
(
はじめ
)
の
旅
(
たび
)
、
僕
(
ぼく
)
は
何
(
なに
)
よりも
是
(
これ
)
が
好
(
すき
)
で、
今日
(
こんにち
)
まで
數々
(
しば/\
)
此
(
この
)
季節
(
きせつ
)
に
旅行
(
りよかう
)
した、
然
(
しか
)
しあゝ
何等
(
なんら
)
の
幸福
(
かうふく
)
ぞ、
胸
(
むね
)
に
樂
(
たの
)
しい、
嬉
(
う
)
れしい
空想
(
くうさう
)
を
懷
(
いだ
)
きながら、
今夜
(
こんや
)
は
彼
(
あ
)
の
娘
(
むすめ
)
に
遇
(
あ
)
はれると
思
(
おも
)
ひながら
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
よし僕等の
生涯
(
しようがい
)
は、勞働者と
比較
(
ひかく
)
して
何等
(
なんら
)
の
相違
(
さうゐ
)
がないとしても、僕等は
常
(
つね
)
に勞働者的生涯から
脱
(
だつ
)
して、もう少し意味ある、もう少し價値あるライフに
入
(
い
)
りたいと
希望
(
きぼう
)
してゐる。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
其
(
そ
)
れは
彼
(
かれ
)
が
古
(
ふる
)
くから
病院
(
びやうゐん
)
にゐる
爲
(
ため
)
か、
町
(
まち
)
で
子供等
(
こどもら
)
や、
犬
(
いぬ
)
に
圍
(
かこ
)
まれてゐても、
决
(
けつ
)
して
他
(
た
)
に
何等
(
なんら
)
の
害
(
がい
)
をも
加
(
くは
)
へぬと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
町
(
まち
)
の
人
(
ひと
)
に
知
(
し
)
られてゐる
爲
(
ため
)
か、
左
(
と
)
に
右
(
かく
)
、
彼
(
かれ
)
は
町
(
まち
)
の
名物男
(
めいぶつをとこ
)
として
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
いかに多くの見棄てられた民藝品に、来るべき茶器が
匿
(
かく
)
れているでしょう。私達は
何等
(
なんら
)
の
躊躇
(
ちゅうちょ
)
を感ずることなく、それ等のものの随所に、茶器の美を発見することができるわけです。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
幾度
(
いくたび
)
と無く
畏
(
おそ
)
るべき危険の境を冒して、無産無官又
無家
(
むか
)
、
何等
(
なんら
)
の
恃
(
たの
)
むべきをも
有
(
も
)
たぬ孤独の身を振い、
終
(
つい
)
に天下を一統し、四海に君臨し、心を尽して世を治め、
慮
(
おも
)
い
竭
(
つく
)
して民を
済
(
すく
)
い
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
余は
模糊
(
もこ
)
たる功名の念と、検束に慣れたる勉強力とを持ちて、
忽
(
たちま
)
ちこの
欧羅巴
(
ヨオロツパ
)
の新大都の中央に立てり。
何等
(
なんら
)
の光彩ぞ、我目を射むとするは。何等の色沢ぞ、我心を迷はさむとするは。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
卒
(
にはか
)
に
踵
(
きびす
)
を
回
(
かへ
)
して急げば、
行路
(
ゆくて
)
の雲間に
塞
(
ふさが
)
りて、
咄々
(
とつとつ
)
、
何等
(
なんら
)
の物か、と
先
(
まづ
)
驚
(
おどろ
)
かさるる
異形
(
いぎよう
)
の
屏風巌
(
びようぶいは
)
、地を抜く何百
丈
(
じよう
)
と
見挙
(
みあぐ
)
る絶頂には、はらはら松も
危
(
あやふ
)
く
立竦
(
たちすく
)
み、
幹竹割
(
からたけわり
)
に
割放
(
さきはな
)
したる断面は
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二十年の三助生活が彼をその様な変質者にしたのか、不能者に等しい無感覚に近づけたのかは不明であったが、彼が女体やその姿態から
何等
(
なんら
)
の慾情もそそられなかった事実は動かせなかった。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
何等
(
なんら
)
論理的まちがいのないことなどが
今更
(
いまさら
)
のように考えられるのである。
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
僕にいわせるなら、あのとき科学小説時代の約束が
反古
(
ほご
)
になるべき
何等
(
なんら
)
本質上の理由はなかったと思う。いやむしろ、本質的には、あのとき科学小説が一段と栄えてしかるべきであったと思う。
『十八時の音楽浴』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
我々の方はすっかり覚悟は出来ているんだから、たとえ万一ここでばったりと大納言にぶつかったとしたって
何等
(
なんら
)
狼狽
(
ろうばい
)
することはない。堂々と計画通りに我々の初志を貫徹するまでの話だ。なあ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
斯
(
こ
)
うした
場合
(
ばあい
)
には
必
(
かな
)
らず
何等
(
なんら
)
かの
方法
(
ほうほう
)
で
報知
(
しらせ
)
がありますもので、それは
死
(
し
)
ぬる
人
(
ひと
)
の
思念
(
おもい
)
が
伝
(
つた
)
わる
場合
(
ばあい
)
もあれば、
又
(
また
)
神様
(
かみさま
)
から
特
(
とく
)
に
知
(
し
)
らせて
戴
(
いただ
)
く
場合
(
ばあい
)
もあります。その
他
(
ほか
)
にもまだいろいろありましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
昔の書物の『下学集』などに仮令「おうち」を樗としてあってもそれは誤も甚だしいもので、
何等
(
なんら
)
信ずるに足らぬのである。また臭椿を「くそつばき」とはよくもマーよい加減な事を言ったものかな。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
等
常用漢字
小3
部首:⽵
12画
“何”で始まる語句
何
何処
何時
何故
何人
何方
何卒
何處
何日
何事