トップ
>
颯
>
さつ
ふりがな文庫
“
颯
(
さつ
)” の例文
こまかき
雨
(
あめ
)
ははら/\と
音
(
おと
)
して
草村
(
くさむら
)
がくれ
鳴
(
なく
)
こほろぎのふしをも
乱
(
みだ
)
さず、
風
(
かぜ
)
一
(
ひと
)
しきり
颯
(
さつ
)
と
降
(
ふり
)
くるは
彼
(
か
)
の
葉
(
は
)
にばかり
懸
(
かゝ
)
るかといたまし。
雨の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
右手の
肱
(
ひじ
)
を、顔と顔のあいだへあげたのは、いうまでもなく、居合の身がまえで、手練の一
颯
(
さつ
)
を見せようかという意思の表示である。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
息切
(
いきぎ
)
れのする
瞼
(
まぶた
)
が
颯
(
さつ
)
と、
氣
(
き
)
を
込
(
こ
)
めた
手
(
て
)
に
力
(
ちから
)
が
入
(
はひ
)
つて、
鸚鵡
(
あうむ
)
の
胸
(
むね
)
を
壓
(
お
)
したと
思
(
おも
)
ふ、
嘴
(
くちばし
)
を
踠
(
もが
)
いて
開
(
あ
)
けて、カツキと
噛
(
か
)
んだ
小指
(
こゆび
)
の
一節
(
ひとふし
)
。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次は頃合を
測
(
はか
)
つて足を止めると、
袂
(
たもと
)
を探つて取出した得意の青錢、右手は
颯
(
さつ
)
と擧ります。朧を
剪
(
き
)
つて飛ぶ投げ錢、二枚、五枚、七枚。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と同時に、怎やら頭の中の熱が一時
颯
(
さつ
)
と引いた様で、急に気がスツキリとする。
凝
(
じつ
)
と目を据ゑて竹山を見た。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
便
(
たよ
)
りに一
筋道
(
すぢみち
)
權現堂
(
ごんげんだう
)
の村中へ
來懸
(
きかゝ
)
る
折
(
をり
)
しも
颯
(
さつ
)
と吹來る川風に
提灯
(
ちやうちん
)
消
(
きえ
)
て眞の
闇
(
やみ
)
となりしかば平兵衞は南無さん
明
(
あか
)
りが
消
(
きえ
)
ては一
足
(
あし
)
も歩行れぬとて
腰
(
こし
)
をさぐり用意の火打を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其の夜
丑三
(
うしみ
)
つの頃に、道臣は京子の枕元で看病をしながら、ツイうと/\と居眠りをしてゐたが、蚊帳越しに
颯
(
さつ
)
と吹き込む夜露を含んだ冷たい風に顏を撫でられ、驚いて眼を覺ますと
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
生れて初めての強敵を
刺止
(
しと
)
めし事とて、ほつと一息、長き溜息しつゝ、あたり見まはす折しもあれ最前の若衆、
血飛沫
(
ちしぶき
)
乱れ流れたる
明障子
(
あかりしやうじ
)
を
颯
(
さつ
)
と開きて走り寄り、わが
腰衣
(
こしごろも
)
に縋り付きつゝ
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
上より
颯
(
さつ
)
と落し來て、平野の空に鳥を逐ふ
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
立ち騒ぐ刹那か、
颯
(
さつ
)
と
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「敗軍の将となっては、もうよけいな口はききたくない。足下もいらざる質問をせず、その剣を抜いて一
颯
(
さつ
)
に僕の血けむりを見給え」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
櫻
(
さくら
)
の
樹
(
き
)
の
梢
(
うら
)
を、ぱつと
照
(
て
)
らして、
薄明
(
うすあか
)
るく
掛
(
かゝ
)
るか、と
思
(
おも
)
へば、
颯
(
さつ
)
と
墨
(
すみ
)
のやうに
曇
(
くも
)
つて、
月
(
つき
)
の
面
(
おもて
)
を
遮
(
さへぎ
)
るや
否
(
いな
)
や、むら/\と
亂
(
みだ
)
れて
走
(
はし
)
る……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こまかき雨ははら/\と音して
草村
(
くさむら
)
がくれ
鳴
(
なく
)
こほろぎのふしをも乱さず、風
一
(
ひと
)
しきり
颯
(
さつ
)
と
降
(
ふり
)
くるは、あの葉にばかり
懸
(
かか
)
るかといたまし。
あきあはせ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
無雜作に投り出して、切り立ての
牘鼻褌
(
ふんどし
)
に、紺の香が匂ふ
腹掛
(
はらがけ
)
のまゝ、もう一度ドシヤ降の中へ
颯
(
さつ
)
と飛出しました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
日射が上から
縮
(
ちゞま
)
つて、段々下に落ちて行く。
颯
(
さつ
)
と室の中が暗くなつたと思ふと、モウ私の窓から日が遁げて、向合つた今井病院の窓が、遽かにキラ/\とする。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
磔刑柱
(
はりつけばしら
)
の上にて
屹度
(
きつと
)
、
面
(
おもて
)
を
擡
(
もた
)
げ、小さき唇をキリ/\と噛み、美しく血走りたる
眥
(
まなじり
)
を輝やかしつゝ乱るゝ黒髪、
颯
(
さつ
)
と振り上げて左右を見まはすうち、
魂切
(
たまぎ
)
る如き声を立てゝ何やら叫び
出
(
いだ
)
せば
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
颯
(
さつ
)
と
押開
(
おしひら
)
き
御免成
(
ごめんなさ
)
れと長兵衞の弟なる中仙道熊谷宿の
寶珠花屋
(
はうじゆはなや
)
八五郎此所へ入來たり是は/\後藤先生新藤市之丞樣
誠
(
まこと
)
に久々の御目
通
(
どほ
)
り先々御
機嫌
(
きげん
)
克
(
よく
)
恐悦
(
きようえつ
)
に存じ奉つる
道理
(
だうり
)
こそ
先程
(
さきほど
)
より一ト間の内にて御
咄
(
はな
)
しの
聲
(
こゑ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一
颯
(
さつ
)
の剣光がサッと彼の影をかすめた。と見えたと思うとドブンと
瀞
(
とろ
)
の水面に
飛沫
(
しぶき
)
が上がり、つづいてもう一人は彼の足蹴を食って
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雲
(
くも
)
は
暗
(
くら
)
からう……
水
(
みづ
)
はもの
凄
(
すご
)
く
白
(
しろ
)
からう……
空
(
そら
)
の
所々
(
ところ/″\
)
に
颯
(
さつ
)
と
藥研
(
やげん
)
のやうなひゞが
入
(
い
)
つて、
霰
(
あられ
)
は
其
(
そ
)
の
中
(
なか
)
から、
銀河
(
ぎんが
)
の
珠
(
たま
)
を
碎
(
くだ
)
くが
如
(
ごと
)
く
迸
(
ほとばし
)
る。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日射
(
ひざし
)
が上から
縮
(
ちぢま
)
つて、段々下に落ちて行く。
颯
(
さつ
)
と
室
(
へや
)
の中が暗くなつたと思ふと、モウ私の窓から日が遁げて、向合つた今井病院の窓が、
遽
(
には
)
かにキラ/\とする。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
虹のやうな
啖呵
(
たんか
)
を、ポカンとして居る向う
額
(
びたひ
)
に浴びせて、娘は路地の中へ
颯
(
さつ
)
と消えて了ひました。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
致しける其七日の
滿
(
まん
)
ずる日の
暮方
(
くれがた
)
山の上よりして
颯
(
さつ
)
と
吹下
(
ふきおろ
)
す風に飄然と眼の前に
吹落
(
ふきおと
)
す一枚の
牌
(
ふだ
)
あり手に取て見るに
立春
(
りつしゆん
)
大吉
(
だいきち
)
護摩祈祷
(
ごまきたう
)
守護
(
しゆご
)
可睡齋
(
かすゐさい
)
と記したれば三五郎は心に思ふやう彼の
可睡齋
(
かすゐさい
)
と云ば
東照宮
(
とうせうぐう
)
より御
由緒
(
ゆゐしよ
)
ある寺にして當國の
諸侯
(
しよこう
)
も御歸依寺也因ては可睡齋へ參り
委曲
(
くはしき
)
事を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
武蔵は、三名のなかへ割って入ると、
真
(
ま
)
っ
向
(
こう
)
の者を、大刀で一
颯
(
さつ
)
の下に断ち伏せ、左側の男を、左手で抜いた脇差で、横に
薙
(
な
)
いだ。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夜中頃
(
よなかごろ
)
には
武生
(
たけふ
)
の
町
(
まち
)
を
笠
(
かさ
)
のやうに
押被
(
おつかぶ
)
せた、
御嶽
(
おんたけ
)
といふ
一座
(
いちざ
)
の
峰
(
みね
)
、
根
(
ね
)
こそぎ
一搖
(
ひとゆ
)
れ、
搖
(
ゆ
)
れたかと
思
(
おも
)
ふ
氣勢
(
けはひ
)
がして、
風
(
かぜ
)
さへ
颯
(
さつ
)
と
吹
(
ふ
)
き
添
(
そ
)
つた。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『マア!』と言つて、智恵子は
暗
(
やみ
)
ながら
颯
(
さつ
)
と顔を染めた。今まで男に
凝視
(
みつめ
)
られてゐたと思つたので。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
長谷倉甚六郎の手に
閃
(
ひら
)
めく一刀、平次の肩先へ電光の如く浴びせるのを、引つ外して懷へ入つた右手、それが
颯
(
さつ
)
と擧がると、得意の投げ錢、七八枚の四文錢が、續けざまに飛んで
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
湯
(
ゆ
)
の
宿
(
やど
)
と、
湯
(
ゆ
)
の
宿
(
やど
)
で、
川底
(
かはそこ
)
の
巖
(
いは
)
を
抉
(
ゑぐ
)
つた
形
(
かたち
)
で、
緑青
(
ろくしやう
)
に
雪
(
ゆき
)
を
覆輪
(
ふくりん
)
した
急流
(
きふりう
)
は、
颯
(
さつ
)
と
白雲
(
はくうん
)
の
空
(
そら
)
に
浮
(
う
)
いて、
下屋
(
げや
)
づくりの
廂
(
ひさし
)
に
呑
(
の
)
まれる。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一
颯
(
さつ
)
ごとに、その
鋩子
(
きっさき
)
から虹のように血を
噴
(
ふ
)
き、血は
脳漿
(
のうみそ
)
を
撒
(
ま
)
き、指のかけらを飛ばし、
生
(
なま
)
大根のように人間の腕を草むらへ
抛
(
ほう
)
り出した。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分は、人の眠を妨げぬやうに靜かに起きて、柱に懸けてあつた手拭を取つて、サテ音させぬ樣に障子を明けた。秋の朝風の冷たさが、
颯
(
さつ
)
と心地よく全身に沁み渡る。庭へ下りた。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
温泉
(
いでゆ
)
は、やがて
一浴
(
いちよく
)
した。
純白
(
じゆんぱく
)
な
石
(
いし
)
を
疊
(
たゝ
)
んで、
色紙形
(
しきしがた
)
に
大
(
おほき
)
く
湛
(
たゝ
)
へて、
幽
(
かす
)
かに
青味
(
あをみ
)
を
帶
(
お
)
びたのが、
入
(
はひ
)
ると、
颯
(
さつ
)
と
吹溢
(
ふきこぼ
)
れて
玉
(
たま
)
を
散
(
ち
)
らして
潔
(
いさぎよ
)
い。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「いや、その噂があったので、もしこれへ来たら。一
颯
(
さつ
)
のもとに、大矛の
餌食
(
えじき
)
にしてやろうと、待ちかまえていたところだ」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
出たかと見ると、其舌がザザーッといふ響きと共に崩れ出して、磯を目がけて凄まじく、白銀の齒車を捲いて押寄せる。
警破
(
すは
)
やと思ふ束の間に、逃足立てる暇もなく、敵は見ン事
颯
(
さつ
)
と
退
(
ひ
)
く。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ひら/\、と
夕空
(
ゆふぞら
)
の
雲
(
くも
)
を
泳
(
およ
)
ぐやうに
柳
(
やなぎ
)
の
根
(
ね
)
から
舞上
(
まひあが
)
つた、あゝ、
其
(
それ
)
は
五位鷺
(
ごゐさぎ
)
です。
中島
(
なかじま
)
の
上
(
うへ
)
へ
舞上
(
まひあが
)
つた、と
見
(
み
)
ると
輪
(
わ
)
を
掛
(
か
)
けて
颯
(
さつ
)
と
落
(
おと
)
した。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……あれば、宋朝治下の
塗炭
(
とたん
)
の民土に、一
颯
(
さつ
)
の清風と、一望の
緑野
(
りょくや
)
を
展
(
てん
)
じるものと、望みをかけ得られないこともないのだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
出たかと見ると、其舌がザザーツといふ響きと共に崩れ出して、磯を目がけて凄まじく、
白銀
(
しろがね
)
の歯車を捲いて押寄せる。
警破
(
すは
)
やと思ふ束の間に、逃足立てる暇もなく、敵は見ン事
颯
(
さつ
)
と
退
(
ひ
)
く。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
峨峰
(
がほう
)
、
嶮山
(
けんざん
)
に
囲
(
かこ
)
まれた
大湖
(
たいこ
)
だから、
時々
(
とき/″\
)
颯
(
さつ
)
と
霧
(
きり
)
が
襲
(
おそ
)
ふと、この
飛
(
と
)
んでるのが、
方角
(
はうがく
)
に
迷
(
まよ
)
ふうちに
羽
(
はね
)
が
弱
(
よわ
)
つて、
水
(
みづ
)
に
落
(
お
)
ちる
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いてゐた。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あっといううちに長い右剣が唸ってきて、一
颯
(
さつ
)
のもとに、一個の人間を、びゅッと、血しおの花火にしてしまった。後に、ずっと後年にである。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と同時に、(老いたる尊とき導師は
震
(
わな
)
なくダンテの手をひいて、更に他の修羅圈内に進んだのであらう。)新らしき一陣の殺氣
颯
(
さつ
)
と
面
(
おもて
)
を打つて、別箇の光景をこの室内に描き出したのである。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
二間
(
ふたま
)
三間
(
みま
)
、
段々
(
だん/\
)
に
次第
(
しだい
)
に
奧
(
おく
)
へ
深
(
ふか
)
く
成
(
な
)
ると……
燈火
(
ともしび
)
の
白
(
しろ
)
き
影
(
かげ
)
ほのかにさして、
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
へ、
颯
(
さつ
)
と
紅
(
くれなゐ
)
の
簾
(
すだれ
)
が
靡
(
なび
)
く、
花
(
はな
)
の
霞
(
かすみ
)
に
入
(
い
)
る
心地
(
こゝち
)
。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
とたんに、一
颯
(
さつ
)
の風が楊志のいるところをびゅっと通り抜けた。——もし寸前に身を跳び開いていなかったら、楊志の形はもうなかったにちがいない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と同時に、(老いたる尊とき導師は
震
(
わな
)
なくダンテの手をひいて、更に他の修羅圏内に進んだのであらう。)新らしき一陣の殺気
颯
(
さつ
)
と面を打つて、別箇の光景をこの室内に描き出したのである。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
軒
(
のき
)
に
干
(
ほ
)
したる
日
(
ひ
)
は、
時雨
(
しぐれ
)
颯
(
さつ
)
と
暗
(
くら
)
くかゝりしが、
曳
(
ひ
)
く
頃
(
ころ
)
は
霙
(
みぞれ
)
、
霰
(
あられ
)
とこそなれ。
冷
(
つめ
)
たさ
然
(
さ
)
こそ、
東京
(
とうきやう
)
にて
恰
(
あたか
)
もお
葉洗
(
はあらひ
)
と
言
(
い
)
ふ
頃
(
ころ
)
なり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その時はもう、風か影か、空を一
颯
(
さつ
)
した大刀は、彼の腰間の
鞘
(
さや
)
に吸われているのだった。肉眼では、その
間
(
かん
)
の剣のうごきは、見て取れないくらい
迅
(
はや
)
かった。
剣の四君子:03 林崎甚助
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時
(
とき
)
に、
真先
(
まつさき
)
に、
一朶
(
いちだ
)
の
桜
(
さくら
)
が
靉靆
(
あいたい
)
として、
霞
(
かすみ
)
の
中
(
なか
)
に
朦朧
(
もうろう
)
たる
光
(
ひかり
)
を
放
(
はな
)
つて、
山懐
(
やまふところ
)
に
靡
(
なび
)
くのが、
翌方
(
あけがた
)
の
明星
(
みやうじやう
)
見
(
み
)
るやう、
巌陰
(
いはかげ
)
を
出
(
で
)
た
目
(
め
)
に
颯
(
さつ
)
と
映
(
うつ
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
出鼻に先頭の一人が、敵の大太刀の一
颯
(
さつ
)
に、無造作な死を目前に遂げたのを見ると、
後
(
あと
)
六名の者は、途端に
脳中枢
(
のうちゅうすう
)
の正確を欠いて、行動の統一を全然
失
(
うしな
)
ってしまった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
廂
(
ひさし
)
に
漾
(
たゞよ
)
ひ
羽目
(
はめ
)
に
靡
(
なび
)
いて、
颯
(
さつ
)
と
水
(
みづ
)
に
落
(
お
)
つる、
幅
(
はゞ
)
二間
(
にけん
)
ばかりの
紫
(
むらさき
)
を、
高樓
(
たかどの
)
で
堰
(
せ
)
き、
欄干
(
らんかん
)
にしぶきを
立
(
た
)
たせて
散
(
ち
)
つたも
見
(
み
)
える、
藤
(
ふぢ
)
の
花
(
はな
)
なる
瀧
(
たき
)
である。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
菊王の手の
水馴棹
(
みなれざお
)
が、水の中で、ぶると
顫
(
ふる
)
えた。もすこし、男のことばの裏に何かが
密
(
ひそ
)
んでいたら、一
颯
(
さつ
)
の水玉と共に、棹は、相手を河へ叩き落していたかも知れない。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
籠
(
かご
)
を
開
(
あ
)
ける、と
飜然
(
ひらり
)
と
來
(
き
)
た、が、
此
(
これ
)
は
純白
(
じゆんぱく
)
雪
(
ゆき
)
の
如
(
ごと
)
きが、
嬉
(
うれ
)
しさに、
颯
(
さつ
)
と
揚羽
(
あげは
)
の、
羽裏
(
はうら
)
の
色
(
いろ
)
は
淡
(
あは
)
く
黄
(
き
)
に、
嘴
(
くち
)
は
珊瑚
(
さんご
)
の
薄紅
(
うすくれなゐ
)
。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
沍寒
(
ごかん
)
の
大床
(
おおゆか
)
は氷を張つめたようである。泥舟はりゅうと一
颯
(
さつ
)
氷気を
裂
(
さ
)
いて相手の影へ迫った。
剣の四君子:04 高橋泥舟
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
聲
(
こゑ
)
も
出
(
で
)
ないまで、
舌
(
した
)
も
乾
(
かわ
)
いたか、
息
(
いき
)
せはしく、
男
(
をとこ
)
は
慌
(
あわたゞ
)
しく、
懷中
(
ふところ
)
へ
手
(
て
)
を
突込
(
つゝこ
)
んだが、
顏
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
は
血
(
ち
)
が
褪
(
あ
)
せて
颯
(
さつ
)
と
變
(
かは
)
つた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
颯
漢検1級
部首:⾵
14画
“颯”を含む語句
颯々
颯爽
颯然
一颯
英姿颯爽
颯急
松籟颯々
爽々颯々
青嵐颯々
颯々淙々
颯々爽々
颯光
颯地
颯爽味
颯秣建
颯血