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吹落
吹落しければ思はず兩人は
顏見合ける此時兵助聲をかけ汝は山口六郎右衞門ならずや
我斯零落せしも皆汝が
仕業ぞと
傍にある
竿竹を
把て突て掛る六郎右衞門も
心得たりと身を
茴香の実を
吹落す
夕嵐 来
致しける其七日の
滿ずる日の
暮方山の上よりして
颯と
吹下す風に飄然と眼の前に
吹落す一枚の
牌あり手に取て見るに
立春大吉護摩祈祷守護可睡齋と記したれば三五郎は心に思ふやう彼の
可睡齋と云ば
東照宮より御
由緒ある寺にして當國の
諸侯も御歸依寺也因ては可睡齋へ參り
委曲事を