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朽
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く
ふりがな文庫
“
朽
(
く
)” の例文
件
(
くだん
)
の
古井戸
(
ふるゐど
)
は、
先住
(
せんぢう
)
の
家
(
いへ
)
の
妻
(
つま
)
ものに
狂
(
くる
)
ふことありて
其處
(
そこ
)
に
空
(
むな
)
しくなりぬとぞ。
朽
(
く
)
ちたる
蓋
(
ふた
)
犇々
(
ひし/\
)
として
大
(
おほ
)
いなる
石
(
いし
)
のおもしを
置
(
お
)
いたり。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あるいは彼らが骨冷かに肉
朽
(
く
)
ち、
世人
(
せじん
)
の一半は彼等が名を忘却したる時において、始めて彼らの
播
(
ま
)
きたる種子の収穫を見ることあり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
柄は木質にて
朽
(
く
)
ちて居りし事故、
如何
(
いか
)
なる方法にて
石斧
(
いしおの
)
を
括
(
くく
)
り付けしか詳ならされど、
其状
(
そのじやう
)
現今
(
げんこん
)
行
(
おこな
)
はるるタガネと
大差
(
たいさ
)
無かりしならん。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
だけど、私たちがこの
朽
(
く
)
ちてしまふ肉體を
脱
(
ぬ
)
ぎ捨てることによつて、その重荷も捨てゝしまふ時が間もなく來ると、私は信じてゐるの。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「さればよ、惜しいのは、
朽
(
く
)
つるなき、流転の移りなき、名のみではある……が、又左殿、安んじておくりゃれ。
決定
(
けつじょう
)
はつけておるで」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
あゝ、老いたくない、
朽
(
く
)
ちたくない、
何時迄
(
いつまで
)
も同じ位置と名誉とを保つて居たい、後進の書生輩などに
兜
(
かぶと
)
を脱いで降参したくない。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そも/\汝等に屬する物はみな汝等の如く
朽
(
く
)
つ、たゞ永く續く物にありては、汝等の
生命
(
いのち
)
の短きによりて、この事隱るゝのみ 七九—八一
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
枕木は重にドス
楢
(
なら
)
で、北海道に栗は少なく、釧路などには栗が三本と無いが、ドス
楢
(
なら
)
は
堅硬
(
けんこう
)
にして容易に
朽
(
く
)
ちず栗にも劣らぬそうである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
鼻名
(
びめい
)
を
千載
(
せんざい
)
に垂れる資格は充分ありながら、あのままで
朽
(
く
)
ち果つるとは
不憫千万
(
ふびんせんばん
)
だ。今度ここへ来たら美学上の参考のために写生してやろう
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
雨になったのでいっそうせいてやってるようすである。もとより
湿
(
しっ
)
けのある
朽
(
く
)
ち
葉
(
ば
)
に、
小雨
(
こさめ
)
ながら降ってるのだから、
火足
(
ひあし
)
はすこしも立たない。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
老宰相と
供
(
とも
)
の者は
窟
(
あな
)
の口へ来て内を
覗
(
のぞ
)
いていた。李張は
朽
(
く
)
ちかけた
衣服
(
きもの
)
に包まれた白骨を抱いてその眼の前にあらわれた。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ても恨めしい雪の湖ではあると、わたくしはいつまでも眺め入っています。渚に
朽
(
く
)
ちた重箱の殻が一つ目にとまりました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
朽
(
く
)
ちた
低
(
ひく
)
い
竹
(
たけ
)
の
垣根
(
かきね
)
は
其
(
そ
)
の
強
(
つよ
)
い
手
(
て
)
の
筋力
(
きんりよく
)
を
以
(
もつ
)
て
破壤
(
はくわい
)
するに
何
(
なん
)
の
造作
(
ざうさ
)
もない
筈
(
はず
)
であるが、
手
(
て
)
の
先端
(
せんたん
)
を
觸
(
ふ
)
れしめることさへ
出來
(
でき
)
ないで
居
(
ゐ
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あとに
独
(
ひと
)
り
父親
(
ちちおや
)
は
残
(
のこ
)
されました。
海辺
(
うみべ
)
に
横
(
よこ
)
たわった
船
(
ふね
)
は、
古
(
ふる
)
く
朽
(
く
)
ちてしまいました。
煙突
(
えんとつ
)
から
煙
(
けむり
)
の
上
(
あ
)
がる
曇
(
くも
)
った
日
(
ひ
)
に、オルゴールが
鳴
(
な
)
っています。
汽船の中の父と子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その奧に、七年の
濕氣
(
しつけ
)
に
朽
(
く
)
ちて、ボロボロになつた千兩箱が、十も積んであるのを發見したことは言ふ迄もありません。
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
古びて、ぼろぼろに
朽
(
く
)
ち
果
(
は
)
てた館内をひととおり見終ると、やがて若い僧侶ロザリオは、一行をヘクザの塔に案内した。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
台所の流しの下には、
根笹
(
ねざさ
)
や、
山牛蒡
(
やまごぼう
)
のような
蔓草
(
つるくさ
)
がはびこっていて、
敷居
(
しきい
)
の根元は
蟻
(
あり
)
の
巣
(
す
)
でぼろぼろに
朽
(
く
)
ちていた。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
子
(
し
)
の
言
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
の
者
(
もの
)
は
其人
(
そのひと
)
と
骨
(
ほね
)
と
皆
(
みな
)
已
(
すで
)
に
朽
(
く
)
ちたり、
獨
(
ひと
)
り
其言
(
そのげん
)
在
(
あ
)
る
耳
(
のみ
)
。
且
(
か
)
つ
君子
(
くんし
)
は、
其時
(
そのとき
)
を
得
(
う
)
れば
則
(
すなは
)
ち
(二)
駕
(
が
)
し、
其時
(
そのとき
)
を
得
(
え
)
ざれば
則
(
すなは
)
ち
(三)
蓬累
(
ほうるゐ
)
して
行
(
さ
)
る。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
「日蓮は日本国東夷東条、安房の国海辺の
旃陀羅
(
せんだら
)
が子なり。いたづらに
朽
(
く
)
ちん身を法華経の
御故
(
おんゆゑ
)
に捨てまゐらせん事、あに石を
金
(
こがね
)
にかふるにあらずや」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
人を
欺
(
だま
)
いて
可惜
(
あたら
)
しき若き命をむざむざと枯木の如く
朽
(
く
)
ちさす教……(やうやう夢幻的になり)
某
(
それがし
)
在家の折柄は蝴蝶は花に舞ひ戯れ、鳥が歌へばわが心
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
と、
蝋燭
(
ろふそく
)
の火を
下
(
さ
)
げて身を
屈
(
かゞ
)
めた
途端
(
とたん
)
に、
根太板
(
ねだいた
)
の上の或物は
一匹
(
いつぴき
)
の白い
蛇
(
へび
)
に成つて、するすると
朽
(
く
)
ち
重
(
かさな
)
つた
畳
(
たヽみ
)
を
越
(
こ
)
えて
消
(
き
)
え去つた。
刹那
(
せつな
)
、貢さんは
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
バル すれば、
何事
(
なにごと
)
も
大事
(
だいじ
)
ござりませぬ、
姫
(
ひい
)
さまは
御安穩
(
ごあんのん
)
にカピューレット
家
(
け
)
代々
(
だい/\
)
のお
墓所
(
はかどころ
)
にお
休
(
やす
)
み、
朽
(
く
)
ちぬ
靈魂
(
みたま
)
は
天使
(
てんし
)
がたと
御
(
ご
)
一しょにござります。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
牡山羊が暴れるたびに、無花果のひろい
朽
(
く
)
ち葉が、背に散りかかる。牝山羊は青空に頭をむけ、鼻の穴をひろげて「ミイ、ミイ」と哀れな声をだしている。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
しかしその
小屋
(
こや
)
の
柱
(
はしら
)
だとか
屋根
(
やね
)
などは
朽
(
く
)
ちやすいもので
造
(
つく
)
つてあつたから、
今日
(
こんにち
)
ではまったく
遺
(
のこ
)
つてゐません。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
世に何の貢献もせずに死んだ、
艸木
(
さうもく
)
と同じく
朽
(
く
)
ちたと云はれても、私はさうでないと弁ずることが出来ない。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
垣もすっかり
朽
(
く
)
ち果てて、犬や猫も自由に通るし、
蜘蛛
(
くも
)
もあちこち巣を張るし、空には小鳥やアブや蜂がとび廻り、地には蟻やトカゲや
斑猫
(
はんみょう
)
が這い廻っている。
庭の眺め
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
朽
(
く
)
ちかけたような陰気な建物に比べて、この煙だけがばかに威勢よく見える。この住人は余ほどの寒がりに違いない。それとも何か特別の理由があるのかしら。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
やがて寺の
本堂
(
ほんどう
)
へついた。大きな屋根は
朽
(
く
)
ち、広い
回廊
(
かいろう
)
は
傾
(
かたむ
)
きかけ、太い柱は
歪
(
ゆが
)
み、見るから怪物の住みそうなありさまに、勘太郎も始めはうす気味悪くなった。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
永い間の戦いに夏彦の部下も俺の部下も一人残らず死に絶えた。俺の弓矢は
朽
(
く
)
ちて折れ夏彦の弓矢も朽ちて折れた。しかも二人の怨みばかりは
綿々
(
めんめん
)
として尽きぬのだ
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
わしとともにこの島で
朽
(
く
)
ち果てさすに
忍
(
しの
)
びない。都へ帰ってよき主に仕え、世に出る道を
計
(
はか
)
ってくれ。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
方々の
機
(
はた
)
の音が遠くの虫を聞くようである。自分は足もとのわが宿を見下す。宿は小鳥の逃げた空籠のようである。離れの屋根には木の葉が一面に積って
朽
(
く
)
ちている。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
また山林を
開拓
(
かいたく
)
するに、大なる木の根はそのままさしおきて、まわりを切り開くべし。而して二三年を
経
(
へ
)
れば、木の根おのづから
朽
(
く
)
ちて、力を入れずして取るるなり。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
もう老い
朽
(
く
)
ちてしまえば山へも行かれず、海へも出られないでいますが、その代り
小庭
(
こにわ
)
の
朝露
(
あさつゆ
)
、
縁側
(
えんがわ
)
の夕風ぐらいに満足して、無難に平和な日を過して行けるというもので
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
多数の漂着物は永い年代に
亙
(
わた
)
って、誰ひとり
省
(
かえり
)
みる者もなく、空しく
磯山
(
いそやま
)
の
陰
(
かげ
)
に
朽
(
く
)
ち去った。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
これと
申
(
もう
)
すも
皆
(
みな
)
神様
(
かみさま
)
の
御加護
(
ごかご
)
、お
蔭
(
かげ
)
で
他所
(
よそ
)
の
銀杏
(
いちょう
)
とは
異
(
こと
)
なり、
何年
(
なんねん
)
経
(
た
)
てど
枝
(
えだ
)
も
枯
(
か
)
れず、
幹
(
みき
)
も
朽
(
く
)
ちず、
日本国中
(
にほんこくじゅう
)
で
無類
(
むるい
)
の
神木
(
しんぼく
)
として、
今
(
いま
)
もこの
通
(
とお
)
り
栄
(
さか
)
えて
居
(
い
)
るような
次第
(
しだい
)
じゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「けれども、あなたは、高く光のそらにかかります。すべて草や花や鳥は、みなあなたをほめて歌います。わたくしはたれにも知られず
巨
(
おお
)
きな森のなかで
朽
(
く
)
ちてしまうのです。」
マリヴロンと少女
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「あの方さえお
為合
(
しあわ
)
せになっていて下されば、わたくしは此の
儘
(
まま
)
朽
(
く
)
ちてもいい。」
曠野
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そればかりではなく、年のはじめに山へ上ったものの話では、お寺の中は荒れ次第で、仏具は錆び
朽
(
く
)
ち、庭や廊下には見るかげもない草枯れの這うのにまかしてあることが分りました。
あじゃり
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
武士らかしこまりて、又豊雄を押したてて
彼所
(
かしこ
)
に行きて見るに、
厳
(
いかめ
)
しく造りなせし門の柱も
朽
(
く
)
ちくさり、軒の
瓦
(
かはら
)
も大かたは
砕
(
くだ
)
けおちて、
一八二
草しのぶ
生
(
お
)
ひさがり、人住むとは見えず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
それにしても
生憎
(
あやにく
)
に雪が酷い。
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も一時を
凌
(
しの
)
ぐ為に、
彼女
(
かれ
)
は
此
(
こ
)
の
空屋
(
あきや
)
の戸を明けようとすると、
半
(
なかば
)
朽
(
く
)
ちたる雨戸は
折柄
(
おりから
)
の風に煽られて
礑
(
はた
)
と倒れた。お葉は転げるように内へ入った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
せめて、私の死後、これらの紙片が泥にまみれて監獄の中庭で風になぶらるることさえなければ、あるいは、看守のガラス戸の破れめに点々と貼られて雨に
朽
(
く
)
ちることさえなければ……。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
潮
(
うしお
)
遠く引きさりしあとに残るは
朽
(
く
)
ちたる板、
縁
(
ふち
)
欠けたる
椀
(
わん
)
、竹の
片
(
きれ
)
、木の片、柄の折れし
柄杓
(
ひしゃく
)
などのいろいろ、皆な
一昨日
(
おととい
)
の夜の
荒
(
あれ
)
の
名残
(
なごり
)
なるべし。童らはいちいちこれらを拾いあつめぬ。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
どんな災難もよりつけないような
福々
(
ふくぶく
)
しい見かけであったかやの、何を求めるでもなく成行にしたがって生きていたようなまっとうな生涯、
朽
(
く
)
ちて倒れる古木のような自然さで最後を閉じ
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
遠
(
とほ
)
き
島
(
しま
)
は
近
(
ちか
)
く
見
(
み
)
え、
近
(
ちか
)
き
船
(
ふね
)
は
却
(
かへつ
)
て
遠
(
とほ
)
く
見
(
み
)
え、
其爲
(
そのため
)
に
數知
(
かずし
)
れず
不測
(
ふそく
)
の
禍
(
わざはひ
)
を
釀
(
かも
)
して、
此
(
この
)
洋中
(
やうちゆう
)
に
難破
(
なんぱ
)
せる
沈沒船
(
ちんぼつせん
)
の
船體
(
せんたい
)
は
既
(
すで
)
に
海底
(
かいてい
)
に
朽
(
く
)
ちて、
名殘
(
なごり
)
の
檣頭
(
しやうとう
)
のみ
波間
(
はかん
)
に
隱見
(
いんけん
)
せる
其
(
その
)
物凄
(
ものすご
)
き
光景
(
くわうけい
)
を
吊
(
とふら
)
ひつゝ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
水
(
みず
)
くきのあとも
細々
(
ほそぼそ
)
と、
流
(
なが
)
したように
書
(
か
)
きつらねた
木目
(
もくめ
)
の
浮
(
う
)
いた
看板
(
かんばん
)
に、
片枝折
(
かたしおり
)
の
竹
(
たけ
)
も
朽
(
く
)
ちた
屋根
(
やね
)
から
柴垣
(
しばがき
)
へかけて、
葡萄
(
ぶどう
)
の
蔓
(
つる
)
が
伸
(
の
)
び
放題
(
ほうだい
)
の
姿
(
すがた
)
を、三
尺
(
じゃく
)
ばかりの
流
(
なが
)
れに
映
(
うつ
)
した
風雅
(
ふうが
)
なひと
構
(
かま
)
え
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
つまり身分
不相応
(
ふそうおう
)
に力を表門に
注
(
そそ
)
ぎて
美麗
(
びれい
)
宏壮
(
こうそう
)
に築き上げ、人目を驚かし、しかして裏門は柱が曲り、戸が
朽
(
く
)
ち、満足に開閉することも出来ず、出入りにも
危険
(
きけん
)
ならしむるがごときものである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
あれほど深い自信のあるらしい芸術上の仕事などは忘れて、
放擲
(
はうてき
)
して、ほんとうにこの田舎で一生を
朽
(
く
)
ちさせるつもりであらうか。この人は、まあ何といふ不思議な夢を見たがるのであらう……。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
それは、立ち木の
朽
(
く
)
ちたのを投げ渡しただけのあぶないものであった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
町立病院
(
ちやうりつびやうゐん
)
の
庭
(
には
)
の
内
(
うち
)
、
牛蒡
(
ごばう
)
、
蕁草
(
いらぐさ
)
、
野麻
(
のあさ
)
などの
簇
(
むらが
)
り
茂
(
しげ
)
つてる
邊
(
あたり
)
に、
小
(
さゝ
)
やかなる
別室
(
べつしつ
)
の一
棟
(
むね
)
がある。
屋根
(
やね
)
のブリキ
板
(
いた
)
は
錆
(
さ
)
びて、
烟突
(
えんとつ
)
は
半
(
なかば
)
破
(
こは
)
れ、
玄關
(
げんくわん
)
の
階段
(
かいだん
)
は
紛堊
(
しつくひ
)
が
剥
(
は
)
がれて、
朽
(
く
)
ちて、
雜草
(
ざつさう
)
さへのび/\と。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
三軒が皆
行
(
ゆ
)
き
通
(
とお
)
しのようになっていて、その
中央
(
なか
)
の家の、
立腐
(
たちぐさ
)
れになってる畳の上に、木の
朽
(
く
)
ちた、
如何
(
いか
)
にも怪し気な
長持
(
ながもち
)
が二つ置いてある、
蓋
(
ふた
)
は開けたなりなので、気味
悪
(
わ
)
る
悪
(
わ
)
る
内
(
なか
)
を
覘
(
のぞ
)
いて見ると
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
朽
常用漢字
中学
部首:⽊
6画
“朽”を含む語句
朽木
老朽
朽果
不朽
朽葉
朽木倒
朽葉色
朽目
朽尼
腐朽
朽草
朽樹
朽沈
万古不朽
朽縁
朽敗
錆朽
朽沼
長栄不朽
朽舟
...