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手拭
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てぬぐひ
ふりがな文庫
“
手拭
(
てぬぐひ
)” の例文
ところが
少
(
すこ
)
し
行
(
い
)
つたとき、
嘉十
(
かじふ
)
はさつきのやすんだところに、
手拭
(
てぬぐひ
)
を
忘
(
わす
)
れて
来
(
き
)
たのに
気
(
き
)
がつきましたので、
急
(
いそ
)
いでまた
引
(
ひ
)
つ
返
(
かへ
)
しました。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
揃ひの
手拭
(
てぬぐひ
)
、叔母さんに達引かした
袷
(
あはせ
)
、
身扮
(
みなり
)
は氣の毒なほど粗末だつたが、きりやうは向島一帶をクワツと明るくしたお糸ですよ。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「十三
囘忌
(
くわいき
)
、はあ、
大分
(
だいぶ
)
久
(
ひさ
)
しいあとの
佛樣
(
ほとけさま
)
を、あの
徒
(
てあひ
)
には
猶更
(
なほさら
)
奇特
(
きとく
)
な
事
(
こと
)
でござります。」と
手拭
(
てぬぐひ
)
を
掴
(
つか
)
んだ
手
(
て
)
を、
胸
(
むね
)
に
置
(
お
)
いて
傾
(
かたむ
)
いて
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
読んでしまふと、しばらく開かれた手紙を、
手拭
(
てぬぐひ
)
のやうに、両手の上にひろげたまま、ぼんやりしてゐたが、やがて
捲
(
ま
)
きかへした。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
伯父
(
をぢ
)
さんはもう
困
(
こま
)
つてしまつて、
父
(
とう
)
さんの
締
(
し
)
めて
居
(
ゐ
)
る
帶
(
おび
)
に
手拭
(
てぬぐひ
)
を
結
(
ゆは
)
ひつけ、その
手拭
(
てぬぐひ
)
で
父
(
とう
)
さんを
引
(
ひ
)
いて
行
(
い
)
くやうにして
呉
(
く
)
れました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
取出して
飮
(
のみ
)
暫時
(
しばし
)
其處に休み居ける中段々夜も
更行
(
ふけゆき
)
四邊
(
あたり
)
も
寂
(
しん
)
としける此時
手拭
(
てぬぐひ
)
に深く
面
(
おも
)
てを
包
(
つゝ
)
みし男二人伊勢屋の
門
(
かど
)
に
彳
(
たゝず
)
み内の樣子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
手拭
(
てぬぐひ
)
を
浸
(
ひた
)
す
度
(
たび
)
に
小
(
ちひ
)
さな
手水盥
(
てうずだらひ
)
の
水
(
みづ
)
に
月
(
つき
)
が
全
(
まつた
)
く
其
(
そ
)
の
影
(
かげ
)
を
失
(
うしな
)
つて
暫
(
しばら
)
くすると
手水盥
(
てうずだらひ
)
の
周圍
(
しうゐ
)
から
聚
(
あつま
)
る
樣
(
やう
)
に
段々
(
だん/\
)
と
月
(
つき
)
の
形
(
かたち
)
が
纏
(
まと
)
まつて
見
(
み
)
えて
來
(
く
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
荷車
曳
(
ひ
)
きの爺さんは、薄ぎたない
手拭
(
てぬぐひ
)
で、額の汗を
拭
(
ふ
)
き拭き、かう言つて、前に立つた婦人の顔を敵意のある眼で見返しました。
黒猫
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ふんどしの
尻
(
しり
)
に
手拭
(
てぬぐひ
)
をブラ下げたり、お尻ばかりプツクリ浮べたり、仲間を背中に乗せたりして、さかんに騒ぎまはつてゐます。
プールと犬
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
なほさら
五月蠅
(
うるさ
)
く
厭
(
いと
)
はしく
車
(
くるま
)
のおとの
門
(
かど
)
に
止
(
とま
)
るを
何
(
なに
)
よりも
氣
(
き
)
にして、それお
出
(
いで
)
と
聞
(
きく
)
がいなや、
勝手
(
かつて
)
もとの
箒
(
はうき
)
に
手拭
(
てぬぐひ
)
をかぶらせぬ。
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
俄盲目
(
にはかめくら
)
で
感
(
かん
)
が
悪
(
わ
)
るいけれども、
貰
(
もら
)
つた
手拭
(
てぬぐひ
)
で
傷
(
きず
)
を
二重
(
ふたへ
)
ばかり
巻
(
ま
)
いて、ギユツと
堅
(
かた
)
く
緊
(
し
)
めますと、
薬
(
くすり
)
の
効能
(
かうのう
)
か
疼痛
(
いたみ
)
がバツタリ止まりました。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
赤い
襦袢
(
じゆばん
)
の上に
紫繻子
(
むらさきじゆす
)
の幅広い
襟
(
えり
)
をつけた
座敷着
(
ざしきぎ
)
の遊女が、
冠
(
かぶ
)
る
手拭
(
てぬぐひ
)
に顔をかくして、
前
(
まへ
)
かゞまりに
花道
(
はなみち
)
から
駈出
(
かけだ
)
したのである。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
氷嚢
(
こほりぶくろ
)
が
生憎
(
あいにく
)
無
(
な
)
かつたので、
清
(
きよ
)
は
朝
(
あさ
)
の
通
(
とほ
)
り
金盥
(
かなだらひ
)
に
手拭
(
てぬぐひ
)
を
浸
(
つ
)
けて
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
た。
清
(
きよ
)
が
頭
(
あたま
)
を
冷
(
ひ
)
やしてゐるうち、
宗助
(
そうすけ
)
は
矢張
(
やは
)
り
精一杯
(
せいいつぱい
)
肩
(
かた
)
を
抑
(
おさ
)
えてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
部屋の隅のシツクイ塗りの天井に、針金を渡して、
手拭
(
てぬぐひ
)
が二本かゝつてゐた。ベッドの裏側には、林業に関する本が二十冊ばかり積んであつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
焔
(
ほのほ
)
の
下
(
した
)
をくゞるときは、
手拭
(
てぬぐひ
)
にて
頭部
(
とうぶ
)
を
被
(
おほ
)
ふこと。
手拭
(
てぬぐひ
)
が
濕
(
ぬ
)
れてゐれば
猶
(
なほ
)
よく、
座蒲團
(
ざぶとん
)
を
水
(
みづ
)
に
浸
(
ひた
)
したものは
更
(
さら
)
によし。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
それで、人足たちの手も足も、着てゐる仕事着も、
頬
(
ほゝ
)
かぶりにした
手拭
(
てぬぐひ
)
まで——身体ぢゆう泥だらけになつてゐた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
赤
(
あか
)
い
襠
(
しかけ
)
をきた
人形
(
にんぎやう
)
は、
白
(
しろ
)
い
手拭
(
てぬぐひ
)
のしたに
黒
(
くろ
)
い
眸
(
ひとみ
)
をみひらいて、
遠
(
とほ
)
くきた
旅
(
たび
)
をおもひやるやうに
顔
(
かほ
)
をふりあげました。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
翌日礼助は起きるなりすぐ髪床へ行き湯に入つて、
手拭
(
てぬぐひ
)
を番台に預けると、
懐手
(
ふところで
)
をしてぶらりと近所を散歩した。
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
初夏の赤い太陽が高い山の
端
(
は
)
に傾いた夕方、私は浴場を出て
手拭
(
てぬぐひ
)
をさげたまゝ寄宿舎の裏庭を横切つてゐると
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
そこへ私より一足遅れて権八が一人の仲間に
伴
(
つ
)
れられて頭を
手拭
(
てぬぐひ
)
で
繃帯
(
はうたい
)
しながら帰つて来た。かみさんはそれを見ると
忽
(
たちま
)
ち色を変へて狂気のやうになつた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
手拭
(
てぬぐひ
)
の端へ包んで田舎者のやうに肩へ掛けて歩くのが、どんなに面白く思はれたでせう。しかも私のなどは帰り
途
(
みち
)
の細い道で、大かたはころ/\と落ちてしまひました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
僕は
風呂
(
ふろ
)
へはひりに行つた。
彼是
(
かれこれ
)
午後の十一時だつた。風呂場の流しには青年が
一人
(
ひとり
)
、
手拭
(
てぬぐひ
)
を使はずに顔を洗つてゐた。それは毛を抜いた
雞
(
にはとり
)
のやうに
痩
(
や
)
せ衰へた青年だつた。
鵠沼雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
立
(
た
)
つたり、しやがんだりして
居
(
ゐ
)
るばかりで、
手拭
(
てぬぐひ
)
も
持
(
もつ
)
て
居
(
ゐ
)
ないらし、
又
(
ま
)
た
何時
(
いつ
)
出
(
で
)
る
風
(
ふう
)
も
見
(
み
)
えず、三
時間
(
じかん
)
でも五
時間
(
じかん
)
でも一日でも、あアやつて
居
(
ゐ
)
るのだらうと
自分
(
じぶん
)
には
思
(
おも
)
はれた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
私はまた新たに
泣
(
なき
)
始め
升
(
まし
)
た。母は私の側へよつて
手拭
(
てぬぐひ
)
で私の涙をぬぐひ
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
蒲「
浴
(
ゆ
)
に一つ行かうよ。
手拭
(
てぬぐひ
)
を貸してくれ給へな」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
上
(
かみ
)
さんは
手拭
(
てぬぐひ
)
を
被
(
かぶ
)
つてせつせと働いて
居
(
ゐ
)
た。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そしていちばんはじめに
手拭
(
てぬぐひ
)
に
進
(
すゝ
)
んだ
鹿
(
しか
)
から、
一口
(
ひとくち
)
づつ
団子
(
だんご
)
をたべました。六
疋
(
ぴき
)
めの
鹿
(
しか
)
は、やつと
豆粒
(
まめつぶ
)
のくらゐをたべただけです。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
おつぎのまだ
短
(
みじか
)
い
身體
(
からだ
)
は
麥
(
むぎ
)
の
出揃
(
でそろ
)
つた
白
(
しろ
)
い
穗
(
ほ
)
から
僅
(
わづか
)
に
其
(
そ
)
の
被
(
かぶ
)
つた
手拭
(
てぬぐひ
)
と
肩
(
かた
)
とが
表
(
あら
)
はれて
居
(
ゐ
)
る。
與吉
(
よきち
)
は
道
(
みち
)
の
側
(
はた
)
の
薦
(
こも
)
の
上
(
うへ
)
に
大人
(
おとな
)
しくして
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
施主
(
せしゆ
)
、へい、
施主
(
せしゆ
)
と
申
(
まを
)
しますと……」と
何
(
なに
)
かまぶしさうな
目
(
め
)
を
細
(
ほそ
)
うして、
薄
(
うす
)
い
眉毛
(
まゆげ
)
を
俯向
(
うつむ
)
けた、
窶
(
やつれ
)
た
親父
(
おやぢ
)
が
手拭
(
てぬぐひ
)
で
額
(
ひたひ
)
を
拭
(
ふ
)
く。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
家
(
うち
)
では
祖母
(
おばあ
)
さんや
伯母
(
をば
)
さんやお
雛
(
ひな
)
まで
手拭
(
てぬぐひ
)
を
冠
(
かぶ
)
りまして、
伯父
(
おぢ
)
さんや
爺
(
ぢい
)
やと一
緒
(
しよ
)
に
働
(
はたら
)
きました。
近所
(
きんぢよ
)
から
手傳
(
てつだ
)
ひに
來
(
き
)
て
働
(
はたら
)
く
人
(
ひと
)
もありました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
昔
(
むかし
)
は
金瓶楼
(
きんぺいろう
)
の
小太夫
(
こだいふ
)
と
云
(
い
)
はれた
蘿月
(
らげつ
)
の恋女房は、
綿衣
(
ぬのこ
)
の
襟元
(
えりもと
)
に
手拭
(
てぬぐひ
)
をかけ
白粉焼
(
おしろいや
)
けのした
皺
(
しわ
)
の多い顔に一ぱいの
日
(
ひ
)
を受けて
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
皆んな川に捨てたり、
手拭
(
てぬぐひ
)
にしめしたりしたさうで——これは最初から
素面
(
しらふ
)
だつたお蔦と卯八が見屆けてゐますが。
尤
(
もつと
)
も三吉は
確
(
たし
)
かに呑んださうで
銭形平次捕物控:091 笑い茸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
福
(
ふく
)
やいそいでお
医者様
(
いしやさま
)
へお
父
(
とつ
)
さんそこに
立
(
た
)
つて
入
(
い
)
らつしやらないで
何
(
ど
)
うかしてやつて
下
(
く
)
ださい
良
(
りやう
)
さん
鳥渡
(
ちよつと
)
其
(
そ
)
の
手拭
(
てぬぐひ
)
を
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あとに
女
(
をんな
)
は
亭主
(
ていしゆ
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たならば
飲
(
の
)
ませようと思つて買つて置いた酒をお客に
飲
(
の
)
ましてしまつたのですから、買つて置かうと
糸立
(
いとだて
)
を
巻
(
ま
)
いて
手拭
(
てぬぐひ
)
を
冠
(
かむ
)
り
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
道具屋は画かきの前で
手拭
(
てぬぐひ
)
を
被
(
かぶ
)
つて猫の真似をしたり、四つ
這
(
ば
)
ひになつて
甲虫
(
かぶとむし
)
の真似をしたりした。そして西山氏が腹の底から笑ひ崩れるのを待つてゐた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
家
(
うち
)
では
御米
(
およね
)
が
清
(
きよ
)
を
連
(
つ
)
れて
湯
(
ゆ
)
に
行
(
ゆ
)
くとか
云
(
い
)
つて、
石鹸入
(
しやぼんいれ
)
を
手拭
(
てぬぐひ
)
に
包
(
くる
)
んで、
留守居
(
るすゐ
)
を
頼
(
たの
)
む
夫
(
をつと
)
の
歸
(
かへり
)
を
待
(
ま
)
ち
受
(
う
)
けてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
偖又雲助共は再び一所に
集合
(
あつまり
)
己れは
脛
(
すね
)
を拂はれ
汝
(
われ
)
は腰を打れたりと皆々
疵所
(
きずしよ
)
を
摩
(
さす
)
り又は
手拭
(
てぬぐひ
)
など
裂
(
さい
)
て卷くもあり是では渡世が六ヶ敷と
詢言々々
(
つぶやき/\
)
八九人の雲助共怪我を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
男の子は女の子よりも少く、たいてい黒か白かのパンツをはき、
手拭
(
てぬぐひ
)
で頭に
鉢巻
(
はちまき
)
をしてゐます。
プールと犬
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
「どうだらう。お前が今一緒にゐる下宿人達に私から
手拭
(
てぬぐひ
)
か
煙草
(
たばこ
)
でもやるがよくはないかの。」
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
半分
(
はんぶん
)
見
(
み
)
える
土間
(
どま
)
では二十四五の
女
(
をんな
)
が
手拭
(
てぬぐひ
)
を
姉樣
(
ねえさま
)
かぶりにして
上
(
あが
)
りがまちに
大盥
(
おほだらひ
)
程
(
ほど
)
の
桶
(
をけ
)
を
控
(
ひか
)
へ
何物
(
なにもの
)
かを
篩
(
ふるひ
)
にかけて
專念
(
せんねん
)
一
意
(
い
)
の
體
(
てい
)
、
其桶
(
そのをけ
)
を
前
(
まへ
)
に七ツ八ツの
小女
(
こむすめ
)
が
坐
(
すわ
)
りこんで
見物
(
けんぶつ
)
して
居
(
ゐ
)
るが
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
煙
(
けむり
)
に
卷
(
ま
)
かれたら、
地面
(
ぢめん
)
に
這
(
は
)
ふこと、
濕
(
ぬ
)
れ
手拭
(
てぬぐひ
)
にて
鼻口
(
はなくち
)
を
被
(
おほ
)
ふこと。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
と、頭を
手拭
(
てぬぐひ
)
でしばつてゐる子守がいつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
そこで
嘉十
(
かじふ
)
はちよつとにが
笑
(
わら
)
ひをしながら、
泥
(
どろ
)
のついて
穴
(
あな
)
のあいた
手拭
(
てぬぐひ
)
をひろつてじぶんもまた
西
(
にし
)
の
方
(
はう
)
へ
歩
(
ある
)
きはじめたのです。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
おつぎの
白
(
しろ
)
い
手拭
(
てぬぐひ
)
が
段々
(
だん/\
)
麥
(
むぎ
)
の
穗
(
ほ
)
に
隱
(
かく
)
れると
與吉
(
よきち
)
は
姉
(
ねえ
)
ようと
喚
(
よ
)
ぶ。おつぎはおういと
返辭
(
へんじ
)
をする。おつぎの
聲
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えると
與吉
(
よきち
)
は
凝然
(
ぢつ
)
として
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
清水
(
しみづ
)
を
清水
(
しやうづ
)
。——
桂
(
かつら
)
清水
(
しやうづ
)
で
手拭
(
てぬぐひ
)
ひろた、と
唄
(
うた
)
ふ。
山中
(
やまなか
)
の
湯女
(
ゆな
)
の
後朝
(
きぬ/″\
)
なまめかし。
其
(
そ
)
の
清水
(
しやうづ
)
まで
客
(
きやく
)
を
送
(
おく
)
りたるもののよし。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
中から現はれたのは、お福の死骸と思ひきや、——血の附いた
匕首
(
あひくち
)
と、ガラツ八の脇差と、便所の
草履
(
ざうり
)
と、それから、最後に一つ、血に染んだ
手拭
(
てぬぐひ
)
が一と筋。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
其上
(
そのうへ
)
男
(
をとこ
)
は
此
(
この
)
寒
(
さむ
)
いのに
膝小僧
(
ひざこぞう
)
を
少
(
すこ
)
し
出
(
だ
)
して、
紺
(
こん
)
の
落
(
お
)
ちた
小倉
(
こくら
)
の
帶
(
おび
)
の
尻
(
しり
)
に
差
(
さ
)
した
手拭
(
てぬぐひ
)
を
拔
(
ぬ
)
いては
鼻
(
はな
)
の
下
(
した
)
を
擦
(
こす
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
身
(
み
)
に
※
(
まと
)
ひ
手拭
(
てぬぐひ
)
にて
頭
(
かし
)
らを
包
(
つゝ
)
み此處に
這入
(
はひり
)
通夜をなし一心に
夫
(
をつと
)
が災難を
遁
(
のが
)
れる樣になさしめ給へと
立願
(
りふぐわん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それ/\……
染
(
し
)
みるか、……あと、
余
(
あま
)
つたのをお
前
(
まへ
)
に
上
(
あ
)
げるから
此薬
(
これ
)
を
持
(
も
)
つてお
帰
(
かへ
)
り。乞「はい/\。主「エーまア血が
大層
(
たいそう
)
流れるが、
手拭
(
てぬぐひ
)
で
縛
(
しば
)
らなければ
可
(
い
)
けない。乞 ...
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
明けの別れに夢をのせ行く車の
淋
(
さび
)
しさよ、帽子まぶかに人目を
厭
(
いと
)
ふ
方様
(
かたさま
)
もあり、
手拭
(
てぬぐひ
)
とつて
頬
(
ほう
)
かふり、
彼女
(
あれ
)
が別れに名残の
一撃
(
ひとうち
)
、いたさ身にしみて思ひ出すほど嬉しく
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“手拭”の解説
手拭(てぬぐい)は、顔や手を洗った後の汗や水を拭ったり、入浴時に体を洗ったりするための木綿の平織りの布である。その他、寒暑除けや塵除けなどの目的や、祭礼においての装身具として頭にかぶるものである。
鎖手拭(くさりてぬぐい)については鎖帷子を参照。置手拭兜(おきてぬぐいかぶと)については兜を参照。
(出典:Wikipedia)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
拭
常用漢字
中学
部首:⼿
9画
“手拭”で始まる語句
手拭掛
手拭地
手拭紙
手拭入
手拭懸
手拭染
手拭様
手拭浴衣
手拭鉢巻