おなじ)” の例文
一体いつたい東海道とうかいだう掛川かけがは宿しゆくからおなじ汽車きしやんだとおぼえてる、腰掛こしかけすみかうべれて、死灰しくわいごとひかへたから別段べつだんにもまらなかつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その投書と遺書がおなじ一人ひとりによって同一の時に書かれたことを発見するということも、今は疑うべくもない、予定の計画だったのだ。
闘争 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
それへ国沢君が、おなじく seconded by と加えてくれたので、大連滞在中はいつでも、倶楽部クラブ出入しゅつにゅうする資格ができた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼の新なる悔は切にまつはるも、いたづらに凍えて水を得たるにおなじかるこのふたつの者の、相対あひたいして相拯あひすくふ能はざる苦艱くげんを添ふるに過ぎざるをや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あゝ藻西太郎の白状は果して気の狂いたる為なるか余はそうと思い得ず、思い得ぬのみにあらで余は益々倉子の口と其心とおなじからぬを疑い
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
而して余が突嗟とつさ之を承諾したる当夜のこゝろざしならんや、だ「刑余の徒」たるの一事のみ、けいと余と運命をおなじふする所也
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
追手おっての人々もおなじ村境むらざかいまで走って来たが、折柄おりからの烈しい吹雪ふぶきへだてられて、たがいに離れ離れになってしまった。其中そのなかでも忠一は勇気をして直驀地まっしぐらに駈けた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
政治の権は教門の道とその本をおなじうせず云々うんぬん、その主とするところ人民をあつめ国を成し、不正をして正を犯すことを得ざらしめ、もってその治安を保す云々
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
その元日も此雪国の元日もおなじ元日なれども、大都会たいとくわい繁花はんくわ辺鄙へんひの雪中と光景ありさまかはりたる事雲泥うんでいのちがひなり。
さてなにがしぼくしたが我家わがやをさしてかへみちすがらさき雲飛うんぴが石をひろつた川とおなじながれかゝつて居るはしまで來ると、ぼくすこかたやすめるつもりで石を欄干らんかんにもたせてほつ一息ひといき
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
其際伴氏は上等士官として艦長の代理たり。其際には最もしたしく且つ予と年齢もおなじきを以て最も親くせり。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
私の親しいおなじ町内の子供達が、皆旗を貰つて馬車からばら/\と帰つて行き、薄見知うすみしりの顔の交つた隣町の子供等にも別れ、しまひには誰一人馴染なじみのない子供等の中に
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
第五十五 パインナプルおなじ パインナプルは裏漉しにしたものを大匙一杯位でようございます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
はじめあひだ矢張やはり昨日きのふおなじく、數百頭すうひやくとう猛獸まうじうたいをなして、鐵車てつしや前後ぜんごしたがつて追撃ついげきしてたが、其中そのうちには疲勞つかれのために逃去にげさつたのもあらう、また吾等われらえず發射はつしやする彈丸だんぐわんのために
すべてそのおもむきおなじうして、自から苦楽くらくを共にするときは、離散りさんすること能わず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かくてはその災害さいがいを待つにおなじくして本意ほんいに非ざれば、今より毎年寸志すんしまでの菲品ひひんていすべしとて、その後はぼんくれ衣物いぶつ金幣きんへい、或は予が特に嗜好しこうするところの数種をえておくられたり。
然れども斯く嘲りたる平民的短歌の史論家(同じく愛山生)と時をおなじうして立つの悲しさは、無言勤行ごんぎやうの芭蕉より其詞句の一を仮り来つて、わが論陣を固むるの非礼を行はざるを得ず。
人生に相渉るとは何の謂ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
附近には戦場ヶ原や川端下の原(おなじく戦場ヶ原の名がある)等の美しい原もある。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
御大切ごたいせつの身の上を御存じなれば何故なぜ夜夜中女一人のところへおいでなされました、あなた様が御自分にきずをお付けなさる様なものでございます、貴方あなただッて男女なんにょ七歳にして席をおなじゅうせず
享保十巳年みどしくれ明ればおなじき十一午年うまどしの元日天神丸てんじんまるには吉兵衞はじめ船頭杢右衞門もくゑもん水主かこ十八人水差みづさし一人都合つがふ二十一人にて元日の規式ぎしきを取行ひ三が日のあひだ酒宴しゆえんに日を暮しおのが樣々のげいつくしてきよう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「男女七歳にして席をおなじゅうせず」と言った旧道徳は、徳川幕府の勢威と共にすたれて仕舞しまって、今は従兄弟いとこ同志の親しさに、角目立って物を言う人も無いのを幸い、鎧蔵の前の濡れ縁に寄り添って
百唇の譜 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
両者は殆ど時期をおなじうして江戸に入った。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
問題が親子の関係である際もおなじである。
性急な思想 (新字新仮名) / 石川啄木(著)
これわたし竹馬ちくばとも久我くがぼう石橋いしばしとはおちやみづ師範学校しはんがくかう同窓どうそうであつたためわたし紹介せうかいしたのでしたが、の理由は第一わたしこのみおなじうするし
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おなじやうに吹通ふきとおしの、裏は、川筋を一つ向うに、夜中は尾長猿おながざるが、キツキと鳴き、カラ/\カラと安達あだちはら鳴子なるこのやうな、黄金蛇こがねへびの声がする。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そも/\此そりといふ物、雪国第一の用具。人力じんりきたすくる事船と車におなじく、そのうへつくる事最易いとやすきはを見て知るべし。
冬子も一時は失神のさまであったが、これも市郎の手当によって回復して、南向みなみむきの座敷に俯向うつむいて坐っていた。そばには安行と市郎の二人がおなじく黙って坐っていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
中は勧工場かんこうばのように真中を往来にして、おなじく勧工場の見世みせに当る所を長屋の上り口にしてある。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
パインナプルのグラスカスター 冬付録 病人の食物調理法の「第五十五 パインナプルおなじ
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
君子の信ずるところは小人の疑うところとなり、老婆のやすんずる所は少年の笑うところとなる。新をむさぼる者はちんきらい、古を好む者はあやしむ。人心のおなじからざる、なおその面のごとし。
教門論疑問 (新字新仮名) / 柏原孝章(著)
あげし方が足下そくかの家の息子むすこなりしかとは知ねども容姿みなりもよく若きに似氣にげなく物柔ものやはらか折屈をりかゞみき人なればむすめもつは早くも目が附き何處いづこの息子か知ざれど美男びなんの上に温順おとなしやとおなじ事ならあゝいふ人に娘を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これを勝氏の始末しまつに比すれば年をおなじうして語るべからず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
おなじやうに吹通ふきとほしの、うらは、川筋かはすぢひとむかうに、夜中よなか尾長猿をながざるが、キツキとき、カラ/\カラと安達あだちはら鳴子なるこのやうな、黄金蛇こがねへびこゑがする。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宮はこの散歩の間につとめて気をたひらげ、色ををさめて、ともかくも人目をのがれんと計れるなり。されどもこは酒をぬすみて酔はざらんと欲するにおなじかるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その元日も此雪国の元日もおなじ元日なれども、大都会たいとくわい繁花はんくわ辺鄙へんひの雪中と光景ありさまかはりたる事雲泥うんでいのちがひなり。
余は近時潜航艇中に死せる佐久間艇長の遺書を読んで、此ヒロイツクなる文字の、我等と時をおなじくする日本の軍人によつて、器械的の社会の中にかくとして一時に燃焼せられたるを喜ぶものである。
文芸とヒロイツク (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はせられけり又大岡越前守にはおなじく六のお太鼓を相※あひづに是も御役宅を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかし今度のは——こう謂っちゃさもしい様ですが——礼金が欲しさに働きましたので、表面おもてむきはともかく、謂わば貴下に雇われたもおなじでございます。
金時計 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そも/\此そりといふ物、雪国第一の用具。人力じんりきたすくる事船と車におなじく、そのうへつくる事最易いとやすきはを見て知るべし。
狂女は不在と聞きてあへて争はず、昨日きのふの如く、ここにて帰来かへりを待たんとて、おなじき処に同き形してうづくまれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
旅僧たびそうわたしおなじすしもとめたのであるが、ふたけると、ばら/\と海苔のりかゝつた、五目飯ちらし下等かとうなので。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
牝牡めすをすおなじあなこもらず、めすの子あるは子とおなじくこもる。其蔵蟄あなごもりする所は大木の雪頽なだれたふれてくちたるうろ(なだれの事下にしるす)又は岩間いはのあひ土穴つちあな、かれが心にしたがつる処さだめがたし。
いま折曲をりまげたひぢところへつるりと垂懸たれかゝつてるのはおなじかたちをした、はゞが五たけが三ずんばかりの山海鼠やまなまこ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白く千鳥を飛ばしたの絹縮みの脊負上しょいあげ。しやんとまった水浅葱みずあさぎおなじ模様の帯留で。雪のような天鵞絨とうてんの緒を、初霜薄き爪先つまさきかろふまえた南部表なんぶおもてまさの通った船底下駄ふなぞこげた
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
きまりも悪し、おもてを背けて店口から奥へ抜けようとすると、おなじく駒下駄を手に提げて裏口からはらりと入って来た、前日の美人とぱったり逢った。袖も摺合すれあうばかり敷居で行違ゆきちがう。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「豪い!」といいさま、小紋縮緬こもんちりめんで裏が緞子どんすおなじく薄ッぺらな羽織をひらりとねて、お納戸地の帯にぐいとさした扇子を抜いて、とんと置くと、ずっと寄って、紙幣を請取り
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おなじ町の軒並び二町ばかり洲崎すさきの方へ寄った角に、浅草紙、束藁たわし懐炉灰かいろばい蚊遣香かやりこうなどの荒物、烟草たばこも封印なしの一銭五厘二銭玉、ぱいれっと、ひーろーぐらいな処を商う店がある
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先生せんせいおなじ一組クラス小児達こどもたちを三十人も四十人も一人ひとり可愛かあいがらうとするんだし、母様おつかさんわたし一人可愛かあいんだから、うして、先生せんせいのいふことはわたしだますんでも、母様おつかさんがいつておかせのは
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひとありてわれまなばば、おなじくともに仙葩せんぱん、とうたはな微紅びこうむ。昌黎しやうれいあへしんぜず。韓湘かんしやうまたやかた階前かいぜん牡丹叢ぼたんさうゆびさしていはく、いまあるのみ。叔公をぢさんもしはなほつせば、われすなはちひらかしめん。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おなじ、日曜のの事で。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)