人形にんぎやう)” の例文
そして冷靜れいせいな藝術的鑑賞かんしやうは、熱烈ねつれつ生理せいり憧憬どうけいとなつて、人形にんぎやうにはたましいが入つた。何も不思議はないことだらう。周三だつて人間にんげんである。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
神樂囃子かぐらばやし踊屋臺をどりやたい町々まち/\山車だしかざり、つくりもの、人形にんぎやう、いけばな造花ざうくわは、さくら牡丹ぼたんふぢ、つゝじ。いけばなは、あやめ、姫百合ひめゆり青楓あをかへで
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あかしかけをきた人形にんぎやうは、しろ手拭てぬぐひのしたにくろひとみをみひらいて、とほくきたたびをおもひやるやうにかほをふりあげました。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
これは人形にんぎやうのやうにうごかない、風呂ふろなか少年せうねんおなじくこれを見物けんぶつしてるのだといふことが自分じぶんにやつとわかつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
いぢんぢやねえ」勘次かんじたゞおそろしいをしてしかるやうにおさへる。勘次かんじはまだはだしろかつ薄赤味うすあかみびた人形にんぎやう手足てあしのやうな甘藷さつまいもめしむことがあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
だれですかな」と小六ころくつまらなさうなかほをして、人形にんぎやう其所そこはふしたまゝ自分じぶんへやかへつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さあたまはれとかきねれば、令孃ひめ微笑ほヽゑみながら、いやいや、お約束やくそくなるにうたにてはいやよ、ごむ人形にんぎやうげまじとかしらをふるに、れでも姉樣ねえさまこのうたごく大切たいせつのにて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
雛罌粟色ひなげしいろ薔薇ばらの花、雛形娘ひながたむすめ飾紐かざりひも雛罌粟色ひなげしいろ薔薇ばらの花、ちひさい人形にんぎやうのやうに立派なので兄弟きやうだい玩弄おもちやになつてゐる、おまへは全體ぜんたいおろかなのか、こすいのか、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
さうして、その屍骸は皆、それが、甞、生きてゐた人間だと云ふ事實じゞつさへ疑はれる程、土を捏ねて造つた人形にんぎやうのやうに、口をいたり手を延ばしたりしてごろごろゆかの上にころがつてゐた。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
はゝかさねて『でもわたしには人形にんぎやうかほえる』うですな、これが眉毛まゆげで、これのしたがあるといのですが』とひつゝ、小揚子こやうじでツヽくと、つちが、ポロリとちて、兩眼りやうがんひらいた。
はやましげに人形にんぎやうをそが手に泣かす。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
馬鹿面の人形にんぎやうに我が似しと
短歌 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
くびふり人形にんぎやうはなさけない
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
わかひと人形にんぎやうはこんであとになりさきになり、天守てんしゆはいつて四階目しかいめのぼつた、ところはしら木像もくざう抱緊だきしめて、んだやうにねむつてる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
姿なりこそ嶋田しまだ大人をとなづくらせたれどしようところ人形にんぎやうだいてあそびたきほどの嬰兒ねヽさまがにはかにおちしたさるどうやう、なみだのほかになんかんがへもなくおたみ老婢はしためそでにすがつて
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
をとこ自分じぶんのかたる浄瑠璃じやうるりに、さもじやうがうつったやうな身振みぶりをして人形にんぎやうをつかつてゐました。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
その人形にんぎやうひたひすこけて、其所そこだけすみつてあつた。小六ころく眞面目まじめかほをして、これ袖萩そではぎださうですとつて、それを兄夫婦あにふうふまへいた。何故なぜ袖萩そではぎだか夫婦ふうふにはわからなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『へえ、人形にんぎやうかほだといのですが、うではないのです』とこたへた。
人形にんぎやうかせどまだまぬ。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くびふり人形にんぎやうはなさけない
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
これから出掛でかける西片町にしかたまちには、友染いうぜんのふつくりした、人形にんぎやうのやうなをんな二人ふたりある、それへ土産みやげにとおもつた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つれなくへされなば甲斐かひもなきこと、兎角とかく甚之助殿じんのすけどの便たよきたしとまちけるが、其日そのひ夕方ゆふがた人形にんぎやうちて例日いつよりもうれしげに、おまへうたゆゑ首尾しゆびよくかち
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わきはゝが『おや/\それは人形にんぎやうかほではなかつたのか』といふ。
坂井さかゐうちもんはひつたら、玄關げんくわん勝手口かつてぐち仕切しきりになつてゐる生垣いけがきに、ふゆ似合にあはないぱつとしたあかいものがえた。そばつてわざ/\しらべると、それは人形にんぎやうけるちひさい夜具やぐであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
くびふり人形にんぎやう
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
ふ。天窓あたまおほきな、あごのしやくれた、如法玩弄によはふおもちややきものの、ペロリとしたで、西瓜すゐくわ黒人くろんぼ人形にんぎやうが、トあかで、おでこにらんで、灰色はひいろ下唇したくちびるらして突立つゝたつ。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
吾助ごすけ上手じやうずなれどうたはうなほ名人めいじんゆゑ、これを御覽ごらんれさへすれば、ぼくつと吾助ごすけひたり、てばぼく小刀ないふぼくのにて、姉樣ねえさまのごむ人形にんぎやうはお約束やくそくゆゑいたゞくのなり
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これ人形にんぎやうは、はい、玩具箱おもちやばこ引転返ひつくりかへしたなかからばかりるもんではねえで、の、見事みごとなに不思議ふしぎいだが、心配しんぱいするな木彫きぼりだ、とはつしやる、……お前様めえさまつて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いまだにむすめこゝろせで、金齒きんばれたる口元くちもとい、い、子細しさいらしく數多あまた奴婢ひとをも使つかへども、旦那だんなさますゝめて十けんだな人形にんぎやうひにくなど、一つまのやうには
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かゝとくろいのを眞向まむきにせて、一ぽんストンと投出なげだした、……あたかよしほか人形にんぎやうなど一所いつしよならんだ、なかまじつて、其處そこに、木彫きぼりにうまごやしを萌黄もえぎいた、舶來はくらいもののくつ片隻かたつぽ
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こひは、それこひでせう。が、たまのやうな眞白まつしろな、あのもり背景はいけいにして、ちういたのが、すつとあはせた白脛しろはぎながす……およ人形にんぎやうぐらゐな白身はくしん女子ぢよし姿すがたです。られたのぢやありません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
べにおもまぶたくれなゐがなかつたら、小柄こがらではあるし、たゞうご人形にんぎやうぎまい。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其処そこで、人形にんぎやうやら、おかめのめんやら、御機嫌取ごきげんとりこしらへてつて行つては、莞爾につこりさせて他愛たあいなく見惚みとれてたものでがす。はゝゝ、はじめのうち納戸なんど押入おしいれかざつての、るなるな、とふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
賊等ぞくらきそうてこれをあばく。はう一丈いちぢやうばかりるに、地中ちちうふかところ四個しこ房閣ばうかくありけり。たゞひがしばうには、弓繒きうそう槍戟さうげきちたる人形にんぎやうあり。みなみばうには、繒綵そうさい錦綺きんきうづたかし。はいありていは周夷王所賜しうのいわうたまふところ錦三百端にしきさんびやくたんと。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人形にんぎやうのやうな女達をんなたちこゑきたい、錦葉もみぢうた色鳥いろどりであらう。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おめ/\として、はづかしい、つみある人形にんぎやうとされてる。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)