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ふりがな文庫
“
還
(
かへ
)” の例文
見
(
み
)
よ、
頭
(
かしら
)
なき
其
(
そ
)
の
骸
(
むくろ
)
、
金鎧
(
きんがい
)
一縮
(
いつしゆく
)
して
戟
(
ほこ
)
を
横
(
よこた
)
へ、
片手
(
かたて
)
を
擧
(
あ
)
げつゝ
馬
(
うま
)
に
跨
(
またが
)
り、
砂煙
(
すなけむり
)
を
拂
(
はら
)
つてトツ/\と
陣
(
ぢん
)
に
還
(
かへ
)
る。
陣中
(
ぢんちう
)
豈
(
あに
)
驚
(
おどろ
)
かざらんや。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
言はれて
内室
(
ないしつ
)
に
入
(
はひ
)
つて見ると
成程
(
なるほど
)
石は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
紫檀
(
したん
)
の
臺
(
だい
)
に
還
(
かへ
)
つて居たので
益々
(
ます/\
)
畏敬
(
ゐけい
)
の
念
(
ねん
)
を
高
(
たか
)
め、
恭
(
うや/\
)
しく老叟を
仰
(
あふ
)
ぎ見ると、老叟
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
一
般
(
ぱん
)
の
子女
(
しぢよ
)
の
境涯
(
きやうがい
)
は
如此
(
かくのごとく
)
にして
稀
(
まれ
)
には
痛
(
いた
)
く
叱
(
しか
)
られることもあつて
其
(
その
)
時
(
とき
)
のみは
萎
(
しを
)
れても
明日
(
あす
)
は
忽
(
たちま
)
ち
以前
(
いぜん
)
に
還
(
かへ
)
つて
其
(
その
)
性情
(
せいじやう
)
の
儘
(
まゝ
)
に
進
(
すゝ
)
んで
顧
(
かへり
)
みぬ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「そんなに言ふのなら、
還
(
かへ
)
つて阿父さんに話をして見やうけれど、何もその
所為
(
せゐ
)
で体が弱くなると云ふ訳も無かりさうなものぢやないか」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
プレトー去つて遠し、シヱーキスピーア去つて又た
還
(
かへ
)
らず、ウオーヅオルス
逝
(
ゆ
)
けり、カアライル逝けり、ボルテーア逝き、バイロン逝けり。
思想の聖殿
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
「恐れ入るが、田原屋殿。此まゝ立ち
還
(
かへ
)
るにしても、一應の手當をいたしたい。何處かの隅なりと、お場所を拜借いたし度い」
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
栄
(
さかえ
)
えよかしで
祝
(
いは
)
はれて
嫁
(
よめ
)
に来たのだ、
改良竈
(
かいりやうかまど
)
と同じく
燻
(
くすぶ
)
るへきではない、
苦労
(
くらう
)
するなら一度
還
(
かへ
)
つて
出直
(
でなほ
)
さう。いかさまこれは
至言
(
しげん
)
と考へる。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
僕はこの
一行
(
いちぎやう
)
の中に
秋風
(
しうふう
)
の舟を家と頼んだ
幇間
(
ほうかん
)
の姿を
髣髴
(
はうふつ
)
した。江戸作者の写した
吉原
(
よしはら
)
は永久に
還
(
かへ
)
つては来ないであらう。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
されど己が願ひに
背
(
そむ
)
きまた
良
(
よ
)
き
習
(
ならはし
)
に背きてげに世に
還
(
かへ
)
れる後にも、未だ
嘗
(
かつ
)
て心の
面帕
(
かほおほひ
)
を
釋
(
と
)
くことなかりき 一一五—一一七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
乃
(
すなは
)
ち
其
(
その
)
(二二)
僕
(
ぼく
)
と
車
(
くるま
)
の
(二三)
左駙馬
(
さふば
)
の
左驂
(
ささん
)
とを
斬
(
き
)
り、
以
(
もつ
)
て三
軍
(
ぐん
)
に
徇
(
とな
)
ふ。
使者
(
ししや
)
を
遣
(
や
)
り
還
(
かへ
)
り
報
(
はう
)
ぜしめ、
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
行
(
ゆ
)
く。
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
お
主婦
(
かみ
)
さん、
乃公
(
わし
)
はこゝで一寸天文学の講釈をするがね、
凡
(
すべ
)
てこの世界にある物は、二千五百万年経つと、また
元々
(
もと/\
)
通りに
還
(
かへ
)
つて来る事になつてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
又牢に入れてくれるなと云ふ。大阪の牢屋から生きて
還
(
かへ
)
るものゝ少いのは公然の秘密だから、病体でなくても、
入
(
い
)
らずに
済
(
す
)
めば
入
(
い
)
るまいとする筈である。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
若し自然に
還
(
かへ
)
ると云ふことを以て孔子が所謂身を殺して仁を為すもの也、パウロが所謂もはや吾
活
(
い
)
くるに非ず、基督吾れに在りて活くる者也と云はゞ可也。
唯心的、凡神的傾向に就て(承前)
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
他日幕府の政權を
還
(
かへ
)
せる、其事實に公の
呈書
(
ていしよ
)
に
本
(
もと
)
づけり。當時
幕府
(
ばくふ
)
既に
衰
(
おとろ
)
へたりと雖、
威權
(
ゐけん
)
未だ地に
墜
(
お
)
ちず。公
抗論
(
かうろん
)
して
忌
(
い
)
まず、獨立の見ありと謂ふべし。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
辛未
(
かのとひつじ
)
、皇太子、使を
遣
(
また
)
して飢者を視しむ。使者
還
(
かへ
)
り来て曰く、飢者既に
死
(
まか
)
りぬ。
爰
(
ここ
)
に皇太子
大
(
おほい
)
に
之
(
これ
)
を悲しみ、則ち
囚
(
よ
)
りて以て
当処
(
そのところ
)
に
葬
(
ほふり
)
埋
(
をさ
)
めしむ。
墓
(
つか
)
固
(
つき
)
封
(
かた
)
む。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
それから
後見
(
こうけん
)
に
附
(
つ
)
けて
貰
(
もら
)
うて、
覺束無
(
おぼつかな
)
げに
例
(
れい
)
の
入場
(
にふぢゃう
)
の
長白
(
つらね
)
を
述
(
の
)
べるのも
嬉
(
うれ
)
しう
無
(
な
)
い。
先方
(
さき
)
が
如何
(
どう
)
思
(
おも
)
はうとも、
此方
(
こっち
)
は
此方
(
こっち
)
で、
思
(
おも
)
ふ
存分
(
ぞんぶん
)
に
踊
(
をど
)
りぬいて
還
(
かへ
)
らう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
三三
故
(
ゆゑ
)
なき所に永く
居
(
を
)
らじと、
三四
己
(
おの
)
が身ひとつを
竊
(
ぬす
)
みて国に
還
(
かへ
)
る
路
(
みち
)
に、此の
疾
(
やまひ
)
にかかりて、思ひがけずも師を
労
(
わづら
)
はしむるは、身にあまりたる
御恩
(
めぐみ
)
にこそ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
『それは
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、
終
(
しま
)
ひから
復
(
ま
)
た
始
(
はじ
)
めに
還
(
かへ
)
るのには
何
(
ど
)
うしたら
可
(
い
)
いの?』と
愛
(
あい
)
ちやんが
突飛
(
とつぴ
)
なことを
訊
(
たづ
)
ねました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
流浪
(
るらう
)
の女人を本属にかへすは法式の恒例であると、相馬小次郎は法律に通じ、思ひやりに富んで居た。衣
一襲
(
ひとかさね
)
を与へて放ち
還
(
かへ
)
らしめ、
且
(
か
)
つ一首の歌を詠じた。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
明
(
あけ
)
ぬれば月は空に
還
(
かへ
)
りて
名残
(
なごり
)
もとゞめぬを、
硯
(
すずり
)
はいかさまに
成
(
なり
)
ぬらん、
夜
(
よ
)
な/\影や
待
(
まち
)
とるらんと
憐
(
あはれ
)
なり。
月の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私はねえ、私を神樣に
還
(
かへ
)
し、神樣を私に
顯
(
あらは
)
してくれる、大事な時が來るまで、時間を數へてゐればいゝの。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
壁に木板の畫を
貼
(
てう
)
したる房に入り、
檸檬
(
リモネ
)
樹の枝さし入れたる窓を見て、われはきのふの苦を忘れぬ。フラア・マルチノは我をペツポが許へは
還
(
かへ
)
さじと誓ひ給へり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「珠洲郡より
発船
(
ふなで
)
して
治布
(
ちふ
)
に
還
(
かへ
)
りし時、
長浜湾
(
ながはまのうら
)
に
泊
(
は
)
てて、月光を仰ぎ見て作れる歌一首」という題詞と
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
手品師はきつと
真面目
(
まじめ
)
な顔に
還
(
かへ
)
つて、右手に少し長い刀を取り上げた。緊張がしばらく彼の顔に
漲
(
みなぎ
)
る……額のあたりが少し
蒼
(
あを
)
ざめて、眼が
猛々
(
たけ/″\
)
しく左腕に注がれた。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
景色の爽やかさと雑誌の小説の筋の面白さとで、思はず
呑気
(
のんき
)
になつてゐた主人は、ふと我に
還
(
かへ
)
つた。眼の下の生垣を見え隠れに、黒い帽子がスツと軽快に通り過ぎた。
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
蓮見に見せないうちに
還
(
かへ
)
したが、それが近所の待合に貰はれて、今でも外で圭子の姿を見ると、
駈
(
か
)
けつけて来て、何か話しかけるし、今一人は月島の活版屋の子だつたが
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
この
炎天
(
えんてん
)
にさらされて、
行
(
ゆ
)
くこともならず、
還
(
かへ
)
りもされず、むなしく、
馬
(
うま
)
はのんだくれ の
何時
(
いつ
)
だか
知
(
し
)
れない
眼覺
(
めざ
)
めをまつて
尻尾
(
しつぽ
)
で
虻
(
あぶ
)
や
蠅
(
はひ
)
とたわむれながら、
考
(
かんが
)
へました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
先生の
宿志
(
しゆくし
)
、ここにおいてか足れり。すでにして
郷
(
きやう
)
に
還
(
かへ
)
り、即日、
収
(
ところ
)
を
瑞龍山
(
ずゐりゆうざん
)
先塋
(
せんえい
)
の
側
(
かたはら
)
に
相
(
さう
)
し、
歴任
(
れきにん
)
の
衣冠魚帯
(
いくわんぎよたい
)
を
瘞
(
うづ
)
め、
載
(
すなは
)
ち封し載ち
碑
(
ひ
)
し、自ら題して、
梅里先生
(
ばいりせんせい
)
の
墓
(
はか
)
と
曰
(
い
)
ふ。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曩昔
(
そのかみ
)
の東下りの
御板輿
(
おんいたごし
)
を白き
柩車
(
きうしや
)
に乗り換へて、今こそ君は
浄土
(
きよつち
)
の西の京へと
還
(
かへ
)
り玉はめ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ユニフォーミティの感覚が衰へるたびごとに、秦漢の
篆隷
(
てんれい
)
に
還
(
かへ
)
らうとする運動を繰り返したのが中国書道史のたしかな一面であることを、どこかに強く説いてゐたことを記憶する。
秋艸道人の書について
(新字旧仮名)
/
吉野秀雄
(著)
問ひくるものとては梢を傳ふ
猨猴
(
ましら
)
なれば、
少
(
すこし
)
も
留
(
とゞま
)
ることなく
還
(
かへ
)
るさ急ぐ恨みなる哉。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
思ひ胸に迫りて、
吁々
(
あゝ
)
と
吐
(
は
)
く
太息
(
といき
)
に覺えず我れに
還
(
かへ
)
りて
首
(
かうべ
)
を
擧
(
あ
)
ぐれば日は
半
(
なかば
)
西山
(
せいざん
)
に入りて、峰の松影色黒み、
落葉
(
おちば
)
を
誘
(
さそ
)
ふ谷の嵐、夕ぐれ寒く身に
浸
(
し
)
みて、ばら/\と顏打つものは露か
時雨
(
しぐれ
)
か。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
飛ぶとしてしきり羽たたく雀の子声立てて
還
(
かへ
)
る若葉の揺れに (四五頁)
文庫版『雀の卵』覚書
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
何んだか心淋しいやうな気持で注意した——インスピレーションが離れ去つて行くやうな——表面的な自己に
還
(
かへ
)
つて行くやうな——何物かの世界から何物でもない世界に這入つて行くやうな——
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
白熊の白きを見ればアムンゼン
往
(
ゆ
)
きて
還
(
かへ
)
らぬむかし思ほゆ
河馬
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
わたしに
還
(
かへ
)
らうとするあの
幽
(
かす
)
かな声が
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
また 私に
還
(
かへ
)
つてくる
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
忙しく
四方
(
あたり
)
の樣子を見廻して、もう一度ガラツ八の顏に
還
(
かへ
)
つた瞳には、『——よく疑つた——』と言ふやうな色がチラリと見えるのでした。
銭形平次捕物控:030 くるひ咲
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
漆の如き
闇
(
やみ
)
の
中
(
うち
)
に貫一の書斎の枕時計は十時を打ちぬ。彼は午後四時より
向島
(
むこうじま
)
の
八百松
(
やおまつ
)
に新年会ありとて
未
(
いま
)
だ
還
(
かへ
)
らざるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
手桶
(
てをけ
)
一提
(
ひとさげ
)
の
豆腐
(
とうふ
)
ではいつもの
處
(
ところ
)
をぐるりと
廻
(
まは
)
れば
屹度
(
きつと
)
なくなつた。
還
(
かへ
)
りには
豆腐
(
とうふ
)
の
壞
(
こは
)
れで
幾
(
いく
)
らか
白
(
しろ
)
くなつた
水
(
みづ
)
を
棄
(
す
)
てゝ
天秤
(
てんびん
)
は
輕
(
かる
)
くなるのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
自分
(
じぶん
)
が
内職
(
ないしよく
)
の
金
(
かね
)
で
嫁入衣裳
(
よめいりいしよう
)
を
調
(
とゝの
)
へた
娘
(
むすめ
)
が
間
(
ま
)
もなく
実家
(
さと
)
へ
還
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのを
何故
(
なぜ
)
かと
聞
(
き
)
くと
先方
(
さき
)
の
姑
(
しうと
)
が
内職
(
ないしよく
)
をさせないからとの
事
(
こと
)
ださうだ(二十日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
僕がまだ何とも答へない内に、氏の眼には
忽
(
たちま
)
ち前のやうな溌剌たる光が
還
(
かへ
)
つて来た。と同時に泡鳴氏は
恰
(
あたか
)
も天下を憐れむが如く、悠然とかう云ひ放つた。
岩野泡鳴氏
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼等が自由となるに及び、この意志直ちに彼等をしてその強ひられて離れし路に再び
還
(
かへ
)
らしめしなるべし、されどかく固き意志極めて
稀
(
まれ
)
なり 八五—八七
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
今の歐羅巴の美術は大抵沒理想派の
賜
(
たまもの
)
なり。沒理想派の賜をばわれ受けて、沒理想派の論をばわれ斥く。されば
璧
(
へき
)
を留めて
櫃
(
き
)
を
還
(
かへ
)
すを我山房の
謀
(
はかりごと
)
とするなり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「世の中に何が嬉しいといつたつて、
途
(
みち
)
で落したお
鳥目
(
てうもく
)
が自分の手に
還
(
かへ
)
つた時の気持ほどいゝものはございません。お上人様は御存じでいらつしやいますか。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
カピ長 いかにも、
往
(
ゆ
)
きて
再
(
ふたゝ
)
び
還
(
かへ
)
らぬ
支度
(
したく
)
が。おゝ、
婿
(
むこ
)
どの、いざ
婚禮
(
こんれい
)
の
前
(
まへ
)
の
夜
(
よ
)
に、
死神
(
しにがみ
)
めが
貴下
(
こなた
)
の
妻
(
つま
)
を
寢取
(
ねと
)
りをった。あれ、あのやうに
花
(
はな
)
の
相
(
すがた
)
の
色
(
いろ
)
も
褪
(
あ
)
せたわ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
此状で見ると将門が
申訳
(
まをしわけ
)
の為に京に上つた後、郷に
還
(
かへ
)
つておとなしくしてゐた様子は、「兵事を忘却し、弓弦を
綬
(
ゆる
)
くして安居す」といふ語に明らかに
見
(
あら
)
はれてゐる。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
犧牲
(
ぎせい
)
にしてもお
前
(
まへ
)
さまのお
心
(
こゝろ
)
伺
(
うかゞ
)
ふ
先
(
さき
)
に
生
(
い
)
きて
還
(
かへ
)
る
念
(
ねん
)
はなし
父御
(
てゝご
)
さまの
今日
(
けふ
)
の
仰
(
おほ
)
せ
人非人
(
にんぴにん
)
の
運平
(
うんぺい
)
が
娘
(
むすめ
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
九三
烏
(
からす
)
の
頭
(
かしら
)
は白くなるとも、都には
還
(
かへ
)
るべき
期
(
とき
)
もあらねば、定めて
九四
海畔
(
あまべ
)
の
鬼
(
おに
)
とならんずらん。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
老叟は
笑
(
わら
)
つて『
先
(
ま
)
づ
左樣
(
さう
)
言
(
い
)
はるゝならそれでもよし、イザお
暇
(
いとま
)
を
仕
(
し
)
ましよう、
大
(
おほき
)
にお
邪魔
(
じやま
)
で
御座
(
ござ
)
つた』と
客間
(
きやくま
)
を出たので
雲飛
(
うんぴ
)
も
喜
(
よろこ
)
び
門
(
もん
)
まで
送
(
おく
)
り出て、内に
還
(
かへ
)
つて見ると
石
(
いし
)
が無い。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
還
常用漢字
中学
部首:⾡
16画
“還”を含む語句
往還
還幸
立還
生還
還元
奪還
還俗
還御
還暦
召還
以還
還城楽
還着於本人
取還
抱還
還魂
還来
帰還
御還幸
還俗僧
...