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御板輿
曩昔の東下りの
御板輿を白き
柩車に乗り換へて、今こそ君は
浄土の西の京へと
還り玉はめ。
輦路も
嶮難なるところから木曾路は多く
御板輿で、
近衛騎兵に前後を
護られ、
供奉の同勢の中には伏見
二品宮、
徳大寺宮内卿、三条
太政大臣、寺島山田らの参議、三浦陸軍中将
君は維新のおん帝、御十七の
若帝、御束帯に
御冠、
御板輿に打乗らせ、天下取ったる
公卿将卒に前後左右を
護らして、錦の御旗を五十三
駅の雄風に
翻へし、東下りを
果し玉ひぬ。