岩野泡鳴氏いわのほうめいし
何でも秋の夜更けだつた。 僕は岩野泡鳴氏と一しよに、巣鴨行の電車に乗つてゐた。泡鳴氏は昂然と洋傘の柄にマントの肘をかけて、例の如く声高に西洋草花の栽培法だの氏が自得の健胃法だのをいろいろ僕に話してくれた。 その内にどう云ふ拍子だつたか、話題 …