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封
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ふう
ふりがな文庫
“
封
(
ふう
)” の例文
まごころをこめておいのりしてくれたおかげで、
封
(
ふう
)
じがとけて、このとおりりっぱなわかものの
姿
(
すがた
)
に、かわることができたのです。
たにしの出世
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
この
香木
(
こうぼく
)
は
聖武
(
しょうむ
)
天皇の御代、中国から渡来したもので、
正倉院
(
しょうそういん
)
に
封
(
ふう
)
じられて、
勅許
(
ちょっきょ
)
がなければ、観ることすらゆるされないものだった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分はもと洛中を騒がした鬼だが、余り
悪戯
(
いたづら
)
が過ぎるとあつて
貴方
(
あなた
)
の御先祖安倍晴明殿のために、この橋の下に
封
(
ふう
)
ぜられて
了
(
しま
)
つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
貴女
(
あなた
)
をお
疑
(
うたが
)
ひ
申
(
まを
)
すんぢやない。もと/\
封
(
ふう
)
の
切
(
き
)
れて
居
(
ゐ
)
る
手紙
(
てがみ
)
ですから、たとひ
御覽
(
ごらん
)
に
成
(
な
)
つたにしろ、
其
(
それ
)
を
兎
(
と
)
や
角
(
か
)
う
言
(
い
)
ふのぢやありません。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
書いてはすて、書いてはすて、博士はなんども書きなおして、やっと一
通
(
つう
)
の
手紙
(
てがみ
)
をかきあげると、
封
(
ふう
)
をして、
宛名
(
あてな
)
をしたためた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
▼ もっと見る
宗助
(
そうすけ
)
は
老師
(
らうし
)
の
此
(
この
)
挨拶
(
あいさつ
)
に
對
(
たい
)
して、
丁寧
(
ていねい
)
に
禮
(
れい
)
を
述
(
の
)
べて、
又
(
また
)
十日
(
とをか
)
前
(
まへ
)
に
潛
(
くゞ
)
つた
山門
(
さんもん
)
を
出
(
で
)
た。
甍
(
いらか
)
を
壓
(
あつ
)
する
杉
(
すぎ
)
の
色
(
いろ
)
が、
冬
(
ふゆ
)
を
封
(
ふう
)
じて
黒
(
くろ
)
く
彼
(
かれ
)
の
後
(
うしろ
)
に
聳
(
そび
)
えた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
今は待ちあぐみてある日宴会帰りの
酔
(
え
)
いまぎれ、大胆にも一通の
艶書
(
えんしょ
)
二重
(
ふたえ
)
封
(
ふう
)
にして表書きを女
文字
(
もじ
)
に、ことさらに郵便をかりて浪子に送りつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
在所の年寄仲間は、御坊さんの
裏
(
うら
)
の
竹林
(
たけばやし
)
の
中
(
なか
)
にある
沼
(
ぬま
)
の
主
(
ぬし
)
、なんでも
昔
(
むかし
)
願泉寺の開基が真言の
力
(
ちから
)
で
封
(
ふう
)
じて置かれたと云ふ
大蛇
(
だいじや
)
が
祟
(
たヽ
)
らねば善いが。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
てなことを、のんびり言っておいて、またごろりと横になろうとするところへ、ひとりの中間が、先生、お手紙、といって
封
(
ふう
)
じ
文
(
ぶみ
)
を持って来る。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
暫時
(
しばし
)
と止め
種々
(
さま/″\
)
に
請勸
(
ときすゝ
)
めし
故
(
ゆゑ
)
澁々
(
しぶ/\
)
に
文
(
ふみ
)
取上て
封
(
ふう
)
押切
(
おしきり
)
讀
(
よむ
)
に
隨
(
したが
)
ひ小夜衣は少しも知らぬ
眞心
(
まごころ
)
見
(
み
)
え伯父長庵が惡事を
歎
(
なげ
)
き我身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
バツの惡くなつた金之丞は、六郎の不遠慮な
蔭口
(
かげぐち
)
を
封
(
ふう
)
ずる爲には、平次を外へ引張り出す外に
術
(
て
)
はなかつたのです。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それかあらぬか佐助は十八歳の冬から改めて主人の計らいに依って春松検校の門に
這入
(
はい
)
ったすなわち春琴が直接教授することを
封
(
ふう
)
じてしまったのである。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
御安心
(
ごあんしん
)
くださいまし。
上書
(
うわがき
)
なんざ二の
次
(
つぎ
)
三の
次
(
つぎ
)
、
中味
(
なかみ
)
から
封
(
ふう
)
じ
目
(
め
)
まで、おせんの
手
(
て
)
に
相違
(
そうい
)
はございません。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
お
八重
(
やへ
)
察
(
さつ
)
して
進
(
すゝ
)
めつゝ
取
(
とり
)
まかなひて
封
(
ふう
)
を
切
(
き
)
らすに
文
(
ふみ
)
にはあらで
一枚
(
ひとひら
)
の
短冊
(
たんざく
)
なりけり
兩女
(
ふたり
)
ひとしく
見
(
み
)
る
雲形
(
くもがた
)
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
は
若々
(
わか/\
)
しく
胸
(
むね
)
をどきつかせながら、
急
(
いそ
)
いで
机
(
つくゑ
)
の
上
(
うへ
)
の
手紙
(
てがみ
)
を
取
(
と
)
つて
封
(
ふう
)
を
切
(
き
)
つた。
彼女
(
かのぢよ
)
の
顏
(
かほ
)
はみる/\
喜
(
よろこ
)
びに
輝
(
かゞや
)
いた。
曲
(
ゆが
)
みかげんに
結
(
むす
)
んだ
口許
(
くちもと
)
に
微笑
(
ほゝゑみ
)
が
泛
(
うか
)
んでゐる。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
弁兆は食膳の
吟味
(
ぎんみ
)
に心をくばり、
一汁
(
いちじゅう
)
の風味にもあれこれと工夫を命じた。団九郎の坐禅諷経を
封
(
ふう
)
じて、山陰へ木の芽をとらせに走らせ、又、
屡〻
(
しばしば
)
蕎麦
(
そば
)
を打たせた。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
さっそく、どろぼうたちは
手紙
(
てがみ
)
の
封
(
ふう
)
を切って、読んでみました。すると、この子がお
城
(
しろ
)
へつきしだい、ただちに
命
(
いのち
)
をとってしまえ、と書いてあるではありませんか。
三本の金の髪の毛をもっている鬼
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
猶
(
なほ
)
三八九
念じ給へば、屏風の
背
(
うしろ
)
より、
三九〇
尺
(
たけ
)
ばかりの
小蛇
(
こへび
)
はひ出づるを、
三九一
是をも
捉
(
と
)
りて鉢に
納
(
い
)
れ給ひ、かの袈裟をもてよく
封
(
ふう
)
じ給ひ、そがままに輿に乗らせ給へば
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
破
(
やぶ
)
れたストーヴについて、
不自由
(
ふじいう
)
な
外出
(
がいしゅつ
)
について、
封
(
ふう
)
を
切
(
き
)
られた
手紙
(
てがみ
)
について、
不親切
(
ふしんせつ
)
な
軍医
(
ぐんい
)
について、
横
(
よこ
)
っ
面
(
つら
)
へ
竹刀
(
しない
)
を
飛
(
と
)
ばす
班長
(
はんちょう
)
について、
夜中
(
よなか
)
にみんな
叩
(
たた
)
き
起
(
おこ
)
す
警報
(
けいほう
)
について
一九三二・二・二六:―白テロに斃た××聯隊の革命的兵士に―
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
父親はそのとき二人の男に
手伝
(
てつだ
)
って荷物のひもをほどかせて、やがて見えなくなったが、まもなく母親を
連
(
つ
)
れてもどって来た。かれのいないあいだに二人の男は荷物の
封
(
ふう
)
を開いた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「あ、お
母
(
かあ
)
さんからだ。」といって、
良吉
(
りょうきち
)
は、
押
(
お
)
しいただいて
封
(
ふう
)
を
開
(
あ
)
けてみました。
母の心
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
此手紙以外
(
このてがみいぐわい
)
に、
女
(
をんな
)
の
肉
(
にく
)
には、
如何
(
どん
)
な
秘密
(
ひみつ
)
が
痕
(
あと
)
つけられてあるか、
其
(
それ
)
は一
切
(
さい
)
解
(
わか
)
らぬ。
心
(
こゝろ
)
の
奥
(
おく
)
に、
如何
(
どん
)
な
恋
(
こひ
)
が
封
(
ふう
)
じ
込
(
こ
)
めてあるか、
其
(
それ
)
も
固
(
もと
)
より
解
(
わか
)
らぬ。
私
(
わたし
)
の
想像
(
さうぞう
)
は
可恐
(
おそろ
)
しく
鋭
(
するど
)
くなつて
来
(
き
)
た。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
彼奴
(
きゃつ
)
騒々しい
石塊
(
いしころ
)
だ
哩
(
わい
)
」とアフリカを踏破したスタンレーのような、大味な冒険心の持ち合わせはないが、騒々しい石塊の眼の前で、その雑音を
封
(
ふう
)
する可く、喉仏の見える迄口を開け
小酒井不木氏スケッチ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その
書簡
(
てがみ
)
の
封
(
ふう
)
を開くと、その中からは意外な悲しいことや
煩
(
わずら
)
わしいことが現われようとも、それは第二段の事で、差当っては
長閑
(
のどか
)
な日に友人の手紙、それが心境に投げられた
恵光
(
けいこう
)
で無いことは無い。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
脱いだ着物をたたんでいると、
袂
(
たもと
)
の中から一通の
封
(
ふう
)
じ
文
(
ぶみ
)
が出て来た。
艶書
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
わたしのいない間に、母は新しい
隣人
(
りんじん
)
から、灰色の紙にしたためた手紙を受取っていた。しかもそれを
封
(
ふう
)
じた黒茶色の
封蝋
(
ふうろう
)
ときたら、郵便局の通知状か
安葡萄酒
(
やすぶどうしゅ
)
の
栓
(
せん
)
にしか使わないような
代物
(
しろもの
)
だった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「私、
封
(
ふう
)
という家の三ばん目の女ですの。すぐ隣村ですの。」
封三娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
同じ日本のたくさんの人びとが
牢獄
(
ろうごく
)
に
封
(
ふう
)
じこめられた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
冷
(
つめ
)
たき壁に
封
(
ふう
)
じたる
棺
(
ひつぎ
)
のなかに隱れすむ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
煖炉の背後に
封
(
ふう
)
ぜられて、1310
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
封
(
ふう
)
じたる、
白日
(
まひるび
)
の日のさすひと
間
(
ま
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
手文筥
(
てふばこ
)
を
封
(
ふう
)
じもあへず
おもひで
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
封
(
ふう
)
ずる事を……
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
牢城の
管営
(
かんえい
)
(獄営奉行)、また
差撥
(
さはつ
)
(牢番頭)などへ宛てて、それぞれ
添書
(
てんしょ
)
を書いた上、
大銀
(
たいぎん
)
二十五両二
封
(
ふう
)
をも、あわせ贈って
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大抵
(
たいてい
)
此
(
これ
)
には
昔
(
むかし
)
の
名僧
(
めいそう
)
の
話
(
はなし
)
が
伴
(
ともな
)
つて
居
(
ゐ
)
て、いづれも
讀經
(
どきやう
)
の
折
(
をり
)
、
誦念
(
しようねん
)
の
砌
(
みぎり
)
に、
其
(
そ
)
の
喧噪
(
さわがし
)
さを
憎
(
にく
)
んで、
聲
(
こゑ
)
を
封
(
ふう
)
じたと
言
(
い
)
ふのである。
坊
(
ばう
)
さんは
偉
(
えら
)
い。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
定め
乳母
(
うば
)
に相談せんものと
密
(
ひそか
)
に乳母を呼て彼の
艷書
(
ふみ
)
を
封
(
ふう
)
の儘に見せければ乳母は大いに打驚き是は此儘に
捨置難
(
すておきがた
)
し旦那樣へ御見せ申さんとて立んと
爲
(
す
)
るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「幸七は惡人だが、殺された傳右衞門も隨分イヤな人間さ、あんな人間とは附き合ひ度くないな。伜の傳四郎は良い男だよ、馬鹿な道樂を少し
封
(
ふう
)
じさへすれば」
銭形平次捕物控:166 花見の果て
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
封
(
ふう
)
じ
目
(
め
)
ときて
取出
(
とりいだ
)
せば
一尋
(
ひとひろ
)
あまりに
筆
(
ふで
)
のあやもなく、
有難
(
ありがた
)
き
事
(
こと
)
の
數々
(
かず/\
)
、
辱
(
かたじけ
)
なき
事
(
こと
)
の
山々
(
やま/\
)
、
思
(
おも
)
ふ、
戀
(
した
)
ふ、
忘
(
わす
)
れがたし、
血
(
ち
)
の
涙
(
なみだ
)
、
胸
(
むね
)
の
炎
(
ほのほ
)
、
此等
(
これら
)
の
文字
(
もじ
)
を
縱横
(
じゆうわう
)
に
散
(
ち
)
らして
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
水神
(
すいじん
)
さまの
申
(
もう
)
し
子
(
ご
)
でありながら、わけがあって、十年ものながいあいだ、たにしのからのなかに
封
(
ふう
)
じ込められていたのが、きょう、およめさんが
水神
(
すいじん
)
さまのお
社
(
やしろ
)
に
参詣
(
さんけい
)
して
たにしの出世
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「
私
(
わたくし
)
が
宜道
(
ぎだう
)
です」と
若
(
わか
)
い
僧
(
そう
)
は
答
(
こた
)
へた。
宗助
(
そうすけ
)
は
少
(
すこ
)
し
驚
(
おど
)
ろいたが、
又
(
また
)
嬉
(
うれ
)
しくもあつた。すぐ
懷中
(
くわいちゆう
)
から
例
(
れい
)
の
紹介状
(
せうかいじやう
)
を
出
(
だ
)
して
渡
(
わた
)
すと、
宜道
(
ぎだう
)
は
立
(
た
)
ちながら
封
(
ふう
)
を
切
(
き
)
つて、
其
(
その
)
場
(
ば
)
で
讀
(
よ
)
み
下
(
くだ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
福島正則の如きまで
禁
(
きん
)
を承知で家康と婚を結ぼうとする、いわんや黒田如水などはわざわざ九州から出ばってきて家康を護衛する、名目は三成の天下の
野望
(
やぼう
)
を
封
(
ふう
)
ずるためとあるのだが
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
黄金
(
わうごん
)
の、
浦安
(
うらやす
)
の
妙
(
たへ
)
なる
封
(
ふう
)
に。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
蕾
(
つぼみ
)
の
封
(
ふう
)
の
披
(
ひら
)
かれたるものよ。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
さるほどに、
山
(
やま
)
又
(
また
)
山
(
やま
)
、
上
(
のぼ
)
れば
峰
(
みね
)
は
益
(
ます/\
)
累
(
かさな
)
り、
頂
(
いたゞき
)
は
愈々
(
いよ/\
)
聳
(
そび
)
えて、
見渡
(
みわた
)
せば、
見渡
(
みわた
)
せば、
此處
(
こゝ
)
ばかり
日
(
ひ
)
の
本
(
もと
)
を、
雪
(
ゆき
)
が
封
(
ふう
)
ずる
光景
(
ありさま
)
かな。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
かれも少し
酒
(
さけ
)
の気をさまして、いそがわしく
封
(
ふう
)
を切った。またその下にも
封緘
(
ふうかん
)
がしてある。よほど大事なことだなと思った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
披
(
ひら
)
かせ見れば手紙一通有り養母も
不審
(
いぶかし
)
とは思へ共城富の
名宛
(
なあて
)
故
(
ゆゑ
)
披
(
ひら
)
き見ても宜しかるべしと
封
(
ふう
)
を
押開
(
おしひら
)
きて見るに
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
子心
(
こごヽろ
)
にも
義理
(
ぎり
)
に
引
(
ひ
)
かれてか
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
ちて
胡亂胡亂
(
うろうろ
)
するを、
敏
(
さとし
)
いろ/\に
頼
(
たの
)
みて
此度
(
このたび
)
は
封
(
ふう
)
じ
文
(
ぶみ
)
に、あらん
限
(
かぎ
)
りの
言葉
(
ことば
)
を
如何
(
いか
)
に
書
(
か
)
きけん、
文章
(
ぶんしやう
)
の
艶麗
(
えんれい
)
は
評判
(
ひやうばん
)
の
男
(
をとこ
)
なりしが。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼
(
かれ
)
の
未來
(
き
)
は
封
(
ふう
)
じられた
蕾
(
つぼみ
)
のやうに、
開
(
ひら
)
かない
先
(
さき
)
は
他
(
ひと
)
に
知
(
し
)
れないばかりでなく、
自分
(
じぶん
)
にも
確
(
しか
)
とは
分
(
わか
)
らなかつた。
宗助
(
そうすけ
)
はたゞ
洋々
(
やう/\
)
の二
字
(
じ
)
が
彼
(
かれ
)
の
前途
(
ぜんと
)
に
棚引
(
たなび
)
いてゐる
氣
(
き
)
がした
丈
(
だけ
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
幸ひ來合せた寄進主の春木屋治兵衞、住職と談合の上、寛永寺の役僧と、寺社奉行から出張の同心立會の上、三つの千兩箱は本堂に移され、治兵衞の手で
封
(
ふう
)
を切ることになりました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
黄金
(
おうごん
)
の、浦安の
妙
(
たへ
)
なる
封
(
ふう
)
に。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
“封”の意味
《名詞》
(フウ)封書などをとじてあけられないようにすること。そのようなとじめ。とじめのしるし。
《動詞》
(文語)封ずる/(口語)封じる
(ホウずる、ホウじる)
ある土地の封建領主として任ずる。
(フウずる、フウじる)
倉庫や容器を閉じ、内容物に触れられないようにする。
閉じ込めて外に出さない。
主張や能力等の発現を禁ずる又は控える。
(出典:Wiktionary)
封
常用漢字
中学
部首:⼨
9画
“封”を含む語句
分封
封度
上封
開封
大封
冊封使
素封家
封印
封蝋
封鎖
封土
御封
冊封
密封
一封
移封
封書
封金
封切
封戸
...