失禮しつれい)” の例文
新字:失礼
あらはすと、くわくおほい、翡翠ひすゐとかいてね、おまへたち……たちぢやあ他樣ほかさま失禮しつれいだ……おまへなぞがしがるたまとおんなじだ。」
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
留守中るゐちうこれは失禮しつれいでした。さいませんので、女中ぢよちうばかり‥‥や、つまらんもの差上さしあげて恐縮きようしゆくしました』と花竦薑はならつきやう下目しためる。
御酒ごしゆからいものでござります。からいものをからいとおぼしますのは、結構けつこうで、‥‥失禮しつれいながらもう御納盃ごなふはいになりましては。‥‥』
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
これからまたれいとほ出掛でかけなければなりませんから」とげると、主人しゆじんはじめていたやうに、いそがしいところめた失禮しつれいしやした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
どうぞ、あなたにおく手紙てがみにことよせて、私がくづれやすい自分の努力どりよくいましめているものと、失禮しつれいをおゆるし下さい。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ひとかな失禮しつれいながら貴殿は未だ御若年ごじやくねんで有りながら御見請申せば餘程よほど逆上ぎやくじやう今の間に御療治なければ行末ゆくすゑ御案事おあんじ申なりと取ても付ぬ挨拶あいさつに千太郎は身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
廣小路ひろこうぢいづればくるまもあり、阿關おせき紙入かみいれより紙幣しへいいくらか取出とりいだして小菊こぎくかみにしほらしくつゝみて、ろくさんこれはまこと失禮しつれいなれど鼻紙はながみなりともつてくだされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なんでもありませんよ。たゞね、わたしはおさきへ失禮しつれいして、これからおちやでもまうとしてるんです」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
貴方あなた何時いつにかくるしんだことでもるのですか、くるしみとこと理解りかいつておでゝすか、あるひ失禮しつれいながら貴方あなたはお幼少ちひさい時分じぶん打擲ぶたれでもなされましたことがおりなのですか?
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ときに、先客せんきやく一人ひとりありましてみぎました。氣高けだかいばかりひんのいゝとしとつたあまさんです。失禮しつれいながら、先客せんきやく邪魔じやまでした。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御早おはやう」と慇懃いんぎんれいをした。「先刻さつき御誘おさそまをさうとおもひましたが、よく御寢おやすみやうでしたから、失禮しつれいして一人ひとりまゐりました」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さてまた亭主八五郎は彼武士に向ひ失禮しつれいながら御客樣の御國は讃州邊さんしうへんと存じ候がいづれの御方に御座候やと云ければ半四郎は不審ふしんに思ひ貴樣は如何いかゞして某しの生國を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
玄竹げんちくさまは、わたくしがおのことをおしとつて、ひをしとなまるのをおわらひになりますが、御自分ごじぶんは、しをひとちがへて、失禮しつれいをひつれい、質屋しちやをひちおつしやいます。ほゝゝゝゝゝ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
とりかへには寫眞しやしんをくれとねだる、此次このつぎ土曜日どようびくだされば御一處ごいつしよにうつしませうとてかへりかゝるきやくのみはめもせず、うしろにまはりて羽織はをりをきせながら、今日けふ失禮しつれいいたしました
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
貴方あなたしんじてゐなさるから結構けつこうだ。然云さうい信仰しんかうりさへすれば、假令たとひかべなか塗込ぬりこまれたつて、うたうたひながら生活せいくわつしてかれます。貴方あなた失禮しつれいながら何處どこ教育けういくをおけになつたか?
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
成程なるほどむしふくろでは大分だいぶ見當けんたうちがひました。……つゞいてあまあついので、餘程よほどばうとしてるやうです。失禮しつれい可厭いやなものツて、なにきます。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
宗助そうすけ折角せつかく好意かうい辭退じたいしないわけかなかつた。其代そのかはりに、失禮しつれいですがと前置まへおきをして、主人しゆじんこの屏風びやうぶれるについて、ほど金額きんがくはらつたかをたづねた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とり勿體もつたい無い何事ぞや失禮しつれいなるもかへりみず御意見なせしおしかりもなきのみ成ずすみやかに御志ざしを御改め下さらんとは有難ありがたく夫にて安心仕つりぬとよろこび云ば千太郎はなほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
樂隱居らくいんきよなされたきおのぞみのよし、これしかるべきこと御親類ごしんるいどう御决義ごけつぎわたくし初手しよてから貴君樣あなたさま東京とうけうへおし申すははぬほどにて、申しては失禮しつれいなれどいさゝかの學問がくもんなどうでもこと
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いゝえ、お知己ちかづきでも、お見知越みしりごしのものでもありません。眞個まつたく唯今たゞいま行違ゆきちがひましたばかり……ですから失禮しつれいなんですけれども。」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
化物ばけものではいらつしやらないよとはなさきつてわかつたひと御褒賞ごほうびたと懷中ふところから紙入かみいれをいだせば、おりきわらひながらたかちやん失禮しつれいをいつてはならないこのかた御大身ごだいしん御華族樣ごくわぞくさまおしのびあるきの御遊興ごゆうきよう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
失禮しつれい唯今たゞいま。」とかべなかに、さわやかわかこゑして、くゞもんがキイとくと、てふのやうに飜然ひらりて、ポンと卷莨まきたばこはひおとす。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ゆきこそふれはまだそれほどに御座ござりませねばとかへ支度じたくとゝのへるにそれならばたれともにおつれなされお歩行ひろひ御迷惑ごめいわくながら此邊このほとりにはくるま鳥渡ちよつとむづかしからん大通おほどほちかくまで御難澁ごなんじふなるべし家内うちにてすら火桶ひをけすこしもはなされぬに夜氣やきあたつておかぜめすな失禮しつれいなにもなしこゝよりすぐにお頭巾づきんれぞお肩掛かたかけまをせと總掛そうがゝりに支度したく手傳てつだ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
御挨拶ごあいさつもしませんで……うしたらいでせう……なん失禮しつれいなんでせうね、貴方あなた御免ごめんなさいまし。」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これから何方どちららつしやる?……なに病院びやうゐんへお見舞みまひのやうにお見受みうまをします。……失禮しつれいですが、」
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たがひに——おたがひ失禮しつれいだけれど、破屋あばらや天井てんじやうてくるねずみは、しのぶにしろ、れるにしろ、おとひきずつてまはるのであるが、こゝのは——つて後脚あとあし歩行あるくらしい。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あさまだきは、旅館りよくわん中庭なかには其處そこ此處こゝを、「おほきな夏蜜柑なつみかんはんせい。」……親仁おやぢ呼聲よびごゑながらいた。はたらひと賣聲うりごゑを、打興うちきようずるは失禮しつれいだが、旅人たびびとみゝにはうたである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うも御樣子ごやうすておいでなさいます、といままをせばまをしますやうなものの、あんまりおほきくおりなさいましたで、まるでもつて、思掛おもひがけずでござりました。失禮しつれいながら、おいくつに。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じつは、じやくを、こめ兩方りやうはうくばつたかゆいて、以前いぜん紅葉先生こうえふせんせいしかられたものがある。「手前勝手てまへがつてこしらへやがつて——先人せんじんたいして失禮しつれいだ。」そのしかられたのはわたしかもれない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つじ賣卜うらなひをするひとたちか。わたしいそいだので、なに失禮しつれいつたかもれない……
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
で、時々とき/″\ずつとつては、じろりとくるま見上みあげるので、やがては、たぼツンとして、むかうをいて、失禮しつれいな、とつたいろえた。が、そんなことおどろくやうでは、なか/\もつものはれない。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしだつて、御覽ごらんとほり、べつ怪我けがもせず無事ぶじなんですから、故々わざ/\はなしをするほどでもないのかもれませんが、でも、けてらつしやるはうからうとおもつたからです。……失禮しつれいしましたね。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……たゞおくさんではにいらず、あねごは失禮しつれいだ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
失禮しつれい此處こゝ一體いつたい何處どこなんですか。」
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御機嫌ごきげんよう、失禮しつれい。」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)