まん)” の例文
旧字:
一とわたり祈祷がすむと、先達の女房でおまんという四十女が、黒ずくめの品の良い様子で、はかまの少女に案内させて出て来ました。
大勢まんぜい寄りたかって私共わっちどもに赤恥をかゝせてけえそうとするから、腹が立って堪らねえ、わっちが妹をわっちが連れてくに何も不思議はねえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたしには、まだそんな気持きもちはありません。」と、まんは、かしらをふりました。それには、はやいからという意味いみばかりではありません。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この辺の顔役かおやく花隈はなくまくまと、生田いくたまんという親分が、この街道すじの客をあいてに、毎年の例で、野天のてんで餅つきの盆ござ興行をいたすのだ。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しろがどうやらできあがったころ、明軍みんぐん十四まんの大兵が京城けいじょう到着とうちゃくし、この蔚山城うるさんじょうをひともみに、もみ落とそうと軍議していることがわかった。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
原価といっても、無論まんもっかぞえる価格である。その貴重な宝石が福田氏の奇怪な死と共に、消失せてしまったのである。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
まん二千はなれた、マタカン国に行っていましたが、その使っているこびとから、この知らせをすぐうけとりました。
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
まんちやんのはう振分ふりわけかたに、わらぢ穿ばきで、あめのやうななか上野うへのをさしてちてくと、揉返もみかへ群集ぐんしふ
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ワシントン、那波翁なおう云々うんぬん中々なかなか小生はいの事にあらず、まん不幸ふこう相破あいやぶかばねを原野にさら藤原広嗣ふじわらのひろつぐとその品評ひんぴょうを同じゅうするも足利尊氏あしかがたかうじと成るを望まざるなり
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
飛行機から落ちると云ふ事は最早もはやまん一の不幸に属して居る。ばん一の不幸を気にして居たら土の上も踏めないわけだ。自動車にかれて死ぬる事もあるのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
三谷さんやさんなればと返事待つまでもなくおまんに口を掛け、しばらくは差向さしむかいにて、聞けばふさぐも無理ならず、昨夕は御存じの親方呼びにりしに、詰らぬ行掛りの末もつれて、なにひと
そめちがへ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
まんは口をげるようにしてげだらけの炉縁ろぶちへ、煙管きせるたたきつけるようにしていった。
手品 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
のみならず家康のしょうまんかたも彼女の生んだ頼宣よりのぶのために一時は彼に年ごとに二百両の金を合力ごうりょくしていた。最後に直之は武芸のほかにも大竜和尚だいりゅうおしょう会下えかに参じて一字不立いちじふりゅうの道を修めていた。
古千屋 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
運よくばまんの身代十万に延して山梨県の多額納税と銘うたんもはかりがたけれど、ちぎりしことばはあとのみなとに残して、舟は流れにしたがひ人は世に引かれて、遠ざかりゆく事千里、二千里、一万里
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はちみずがあつただけでは、まん一の場合ばあいひとあやしまれるとがついて、きゅう金魚きんぎょれることにしたが、島本医院しまもといいんからは、まえからして不思議ふしぎおもい、老人ろうじん挙動きょどうながめていたものとかんがえられる。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
おそらくまんまれ——稀中の奇と云っても差支えないだろうと思われますわ。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いかほど抱主かゝへぬし歩割ぶわりられても、自分じぶん一人ひとりでは使つかれないくらいで、三ねん年季ねんきけるころには鏡台きやうだい箪笥たんすつてゐたし、郵便局いうびんきよく貯金ちよきんまん以上いじやうになつてゐたが、かへるべきうちがないので
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
「冗談言っちゃいけない。金沢かなざわだよ。百まんごくだ」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
せんまんつてた。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
しんからぬまんからぬで
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いちれつ一まん千人せんにん
すると、「すわ、大事だいじだ!」と、いって、三まん兵士へいしは、るものもとりあえず、いくさ仕度したくをして、御殿ごてんのまわりにあつまりました。
春の日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いよいよあの船へ、角鹿町つるがまち和唐屋わとうやから一まんりょうの銀を送りこみましたぜ。船積みするところまでたしかに見届みとどけてきました」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう一人ひとりつれは、南榎町みなみえのきちやう淺草あさくさから引越ひつこしたまんちやんで、二人ふたり番町ばんちやうから歩行あるいて、その榎町えのきちやうつて連立つれだつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まん何処どこた。
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ただ波頭なみがしらしろえるかとおもうとえたりして、渺茫びょうぼうとした海原うなばらいくまんしろいうさぎのれがけまわっているようにおもわれました。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
次手ついでだからはなさう。これつゐをなすのは淺草あさくさまんちやんである。おきやうさんが、圓髷まるまげあねさんかぶりで、三歳みツつのあかちやんをじふ背中せなか引背負ひつしよひ、たびはだし。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「わかった。この喧嘩は、おととい連れ立って来た、生田いくたまんと、花隈はなくまくまと、あのふたりの喧嘩だぞ」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まんかしよ。
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
問屋とんやって、あのまち袋物屋ふくろものやですか。おおきいみせなのに、そんなかねがないわけでなし、どうしてだろうな。」と、まんきました。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
十分間じつぷんかん七十五輌しちじふごりやうあへ大音寺前だいおんじまへばかりとははない。馬道うまみちくるままつた。淺草あさくさはうくはしことは、久保田くぼたさん(まんちやん)にくがい。……やま本郷臺ほんがうだい
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
花隈はなくまくまだの、生田いくたまんだのという顔役かおやくから、子分までが、その身なりから顔つきまで、人ちがいする程、真面目になって、祝詞のりとに耳をすましていたことだった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せんまんんで
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それは、ながあいだ、なぞであったまんの、金持かねもちから借金しゃっきんする理由りゆうが、これらのひとたちにほどこすためのものであったことをらせたのであります。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
何處どこかでくわいつかつて、微醉機嫌ほろよひきげんまんちやんは、しからん、軍令ぐんれい忘却ばうきやくして
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大急ぎにてこのふみしたため、私もすぐあとより、屋根やねにのぼりめるかくごながらまん不覚ふかくをしては一大事にそろゆえ、若侍衆わかざむらいしゅう、一こくもはやくお出合であいありたくもうしそろ。火急かきゅう火急。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せんまんうつる。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
このへんは、まちるにはとおいし、お医者いしゃさまもいない、まことに不便ふべんなところですから、まん一の場合ばあいこまってしまいます。
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まんちやんをさそつたいへは、以前いぜんわたしんだ南榎町みなみえのきちやう同町内どうちやうないで、おく辨天町べんてんちやうはうつてことはすぐにれた。が、家々いへ/\んで、したがつてみちせまつたやうながする。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
米四十四まんごく
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたしは、ここに霊薬れいやくっています。このくすりは、千まんかいくだいて、そのなかからさがした霊薬れいやくで、どんなものにもがた貴重きちょうしなです。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
印半纏しるしばんてん一枚いちまいされて、いさゝかもめげないで、自若じじやくとしてむねをたゝいてるのに、なほまんちやんがある。久保田くぼたさんは、まるけのしかも二度目にどめだ。さすがに淺草あさくさにいさんである。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「なにしろ、せまいくになかへ、八千まんからの人間にんげんがおしこめられているのだものな。」と、にいさんは、ためいきをつきました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どんなひとです。」とくと、「さあ、はつきりはわかりませんが、おほきな眼鏡めがねけておいででした。」あゝ、水上みなかみさんのとこへ、今夜こんやとまりにひとだらう、まんちやんだな、とわたしはさうおもつた。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あの物識ものしりのところへっていって、てもらおうかしらん。どうせつまらないものでも、もともとだ、まん一いい代物しろものであったらおもわぬもうけものだ。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かほはらよこゆすつて、まんちやんの「折合をりあへません」がえる。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まん一の場合ばあいおもんぱかって、短銃たんじゅう猟銃りょうじゅうなどを携帯けいたいしながら、このあやしげなふねざしてこいでゆきました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「でも、まん一ということがあります。どうか一袋ひとふくろかしていただきます。」と、少年しょうねんはもう一あたまげました。
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なにも心配しんぱいするな。まん一、おれが、武運ぶうんつたなくきてかえるとしたら、きっとおかあさんにたままを言伝ことづてする。
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このよるいくまん燭光しょっこう消費しょうひする都会とかいあかるいよる光景こうけいなどは、この土地とち人々ひとびとのほとんどそのはなしいても理解りかいすることのできないことであったのです。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)