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染
>
そ
ふりがな文庫
“
染
(
そ
)” の例文
三
番目
(
ばんめ
)
には
露國文豪
(
ろこくぶんがう
)
トルストイ
伯
(
はく
)
傑作
(
けつさく
)
「
千古
(
せんこ
)
の
雪
(
ゆき
)
」と
云
(
い
)
ふのと、バンカラ
喜劇
(
きげき
)
小辰
(
こたつ
)
大一座
(
おほいちざ
)
と
云
(
い
)
ふのが、
赤地
(
あかぢ
)
に
白
(
しろ
)
で
染
(
そ
)
め
拔
(
ぬ
)
いてあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
中
(
なか
)
に
咲
(
さ
)
いたやうな……
藤紫
(
ふじむらさき
)
に、
浅黄
(
あさぎ
)
と
群青
(
ぐんじやう
)
で、
小菊
(
こぎく
)
、
撫子
(
なでしこ
)
を
優
(
やさ
)
しく
染
(
そ
)
めた
友染
(
いうぜん
)
の
袋
(
ふくろ
)
を
解
(
と
)
いて、
銀
(
ぎん
)
の
鍋
(
なべ
)
を、
園
(
その
)
はきら/\と
取
(
と
)
つて
出
(
で
)
た。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
人々のすがたはみな、
紅葉
(
もみじ
)
を
浴
(
あ
)
びたように、点々の
血汐
(
ちしお
)
を
染
(
そ
)
めていた。勇壮といわんか
凄美
(
せいび
)
といわんか、あらわすべきことばもない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのうちずんずん
空
(
そら
)
は
明
(
あか
)
るくなってきて、
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
が
薄赤
(
うすあか
)
く
染
(
そ
)
まってくると、どこかの
村
(
むら
)
で
鶏
(
にわとり
)
の
鳴
(
な
)
き
立
(
た
)
てる
声
(
こえ
)
がいさましく
聞
(
き
)
こえました。
安達が原
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
祖母の手助けをするくらいの年齢になると、朝から晩まで、薄暗い店で働かせられた。彼女は周囲を支配してるいろんな習慣に
染
(
そ
)
んだ。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
「おばあさん、これはなんというものですか。」と、あや
子
(
こ
)
はほおを
染
(
そ
)
めながら、
店
(
みせ
)
に
腰
(
こし
)
をかけていたおばあさんにききました。
海ほおずき
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「あたし、どんなに苦しんだかしれないの。お気に
染
(
そ
)
まないでしょうけど、柚子、怖がらずに死ねるようにしていただきたいわ」
春雪
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
着たるやうなる子供の面影、腰より下は血に
染
(
そ
)
みて、九十五、六程も立ならび、声のあやぎれもなくおはりよ/\と泣きぬ、云々
西鶴と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
騎兵は将軍を見送ると、血に
染
(
そ
)
んだ
刀
(
とう
)
を
提
(
ひっさ
)
げたまま、もう一人の支那人の
後
(
うしろ
)
に立った。その態度は将軍以上に、
殺戮
(
さつりく
)
を喜ぶ
気色
(
けしき
)
があった。
将軍
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
惡業
(
わるさ
)
に
染
(
そ
)
まらぬ
女子
(
おなご
)
があらば、
繁昌
(
はんじよう
)
どころか
見
(
み
)
に
來
(
く
)
る
人
(
ひと
)
もあるまじ、
貴君
(
あなた
)
は
別物
(
べつもの
)
、
私
(
わたし
)
が
處
(
ところ
)
へ
來
(
く
)
る
人
(
ひと
)
とても
大底
(
たいてい
)
はそれと
思
(
おぼ
)
しめせ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
書院前
(
しょいんまえ
)
の
野梅
(
やばい
)
に三輪の花を見つけた。年内に梅花を見るは
珍
(
めず
)
らしい。
霜
(
しも
)
に葉を
紫
(
むらさき
)
に
染
(
そ
)
めなされた
黄寒菊
(
きかんぎく
)
と共に、折って小さな
銅瓶
(
どうへい
)
に
插
(
さ
)
す。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
肩先にあてていた真赤な血の
染
(
そ
)
んだ手が徐々に下に滑り落ちてゆくと、傷口がぱくりと開いて、花が咲いたように鮮血がぱっとふきだした。
不思議なる空間断層
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この二つの歌を見れば、カキツバタの花の
汁
(
しる
)
で布を
染
(
そ
)
めたことが
能
(
よ
)
くわかる。(こういう場合の「よく」を「良く」と書いてはいけない。)
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
室
(
へや
)
の中央に、秋の七草を
染
(
そ
)
め出した
友禅
(
ゆうぜん
)
ちりめんの夜のものが、こんもりと高く敷いてあるが、萩乃は床へはいってはいない。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
多分
昨夜
(
ゆうべ
)
のままらしく、血潮に
染
(
そ
)
んだ
袷
(
あわせ
)
のまま、床の上に横たえた死骸は、亭主の辰五郎と同年輩の三十前後、でしょうか。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかも玉次郎を
殴
(
なぐ
)
った玉造もかつて師匠金四のために十郎兵衛の人形をもって頭を叩き割られ人形が血で
真赤
(
まっか
)
に
染
(
そ
)
まった。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「いよいよだめだね」と柳はいった、平素温和なかれに似ずこの日はさっと顔を
染
(
そ
)
めて
一抹
(
いちまつ
)
悲憤の気が顔にあふれていた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
罪あっても罪に
染
(
そ
)
む顔でない、汚れても汚れはせぬ、之に悪人悪女の様に思うては罰が当るとは、殆ど空
畏
(
おそろ
)
しい程に思い
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
その旗にはそれぞれ「
東洋一
(
とうよういち
)
大曲馬団
(
だいきょくばだん
)
」「
東洋一
(
とうよういち
)
移動大動物園
(
いどうだいどうぶつえん
)
」「
世界的大魔術
(
せかいてきだいまじゅつ
)
」「
世界的猛獣使
(
せかいてきもうじゅうつかい
)
」などという字が白く、
染
(
そ
)
めぬかれてあります。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
脣からは、血に
染
(
そ
)
んだ歯が、がくがくふるえて現れていた。ぼろぼろに切られた袴の中で、脚が、少しずつ、動いて、少しずつ近づいて来ていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「
※等
(
あねら
)
も
酷
(
ひど
)
かんべ
野
(
の
)
らは」と
彼
(
かれ
)
はおつたの
染
(
そ
)
めつゝあつた
髮
(
かみ
)
が、
交
(
まじ
)
つた
白髮
(
しらが
)
をほんのりと
見
(
み
)
せるまでに
藥
(
くすり
)
の
褪
(
さ
)
めて
穢
(
きた
)
なく
成
(
なつ
)
つたのを
見
(
み
)
つゝいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
墨
(
すみ
)
や
紅
(
べに
)
を
流
(
なが
)
して
染
(
そ
)
めた
色紙
(
いろがみ
)
、または
赤
(
あか
)
や
黄
(
き
)
や
青
(
あを
)
の
色紙
(
いろがみ
)
を
短册
(
たんざく
)
の
形
(
かたち
)
に
切
(
き
)
つて、あの
青
(
あを
)
い
竹
(
たけ
)
の
葉
(
は
)
の
間
(
あひだ
)
に
釣
(
つ
)
つたのは、
子供心
(
こどもごゝろ
)
にも
優
(
やさ
)
しく
思
(
おも
)
はれるものです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
と云って、見ると、持って
居
(
い
)
る一刀が真赤に
鮮血
(
のり
)
に
染
(
そ
)
みて居るので、ハッとお驚きになると
酔
(
えい
)
が少し
醒
(
さ
)
めまして
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
北野
(
きたの
)
を
出
(
で
)
はづれると、
麥畑
(
むぎばたけ
)
の
青
(
あを
)
い
中
(
なか
)
に、
菜
(
な
)
の
花
(
はな
)
の
黄色
(
きいろ
)
いのと、
蓮華草
(
れんげさう
)
の
花
(
はな
)
の
紅
(
あか
)
いのとが、
野面
(
のづら
)
を
三色
(
みいろ
)
の
染
(
そ
)
め
分
(
わ
)
けにして
其
(
そ
)
の
美
(
うつく
)
しさは
得
(
え
)
も
言
(
い
)
はれなかつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
おゝこの
集団
(
しふだん
)
が
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はすところ、
中国
(
ちうごく
)
と
日本
(
にほん
)
の
圧制者
(
あつせいしゃ
)
が
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
り、
犠牲
(
ぎせい
)
の××
(1)
は二十二
省
(
しやう
)
の
土
(
つち
)
を
染
(
そ
)
めた
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
道は色
褪
(
あ
)
せかけた
黄昏
(
たそがれ
)
を貫いていた。吉良兵曹長が先に立った。崖の上に、落日に
染
(
そ
)
められた桜島岳があった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
けれども
校長
(
かうちやう
)
の
之
(
かれ
)
に
對
(
たい
)
する
樣子
(
やうす
)
は
郡長樣
(
ぐんちやうさん
)
に
對
(
たい
)
する
程
(
ほど
)
の
丁寧
(
ていねい
)
なことなので、
既
(
すで
)
に
浮世
(
うきよ
)
の
虚榮心
(
きよえいしん
)
に
心
(
こゝろ
)
の
幾分
(
いくぶん
)
を
染
(
そ
)
められて
居
(
ゐ
)
た
僕
(
ぼく
)
の
目
(
め
)
には
全
(
まつた
)
く
怪
(
あや
)
しく
映
(
うつ
)
つたのです。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
仮
(
か
)
り
染
(
そ
)
めにも鼻の表現に暗い影響を及ぼすような、暗い心理的経過を持ってはなりませぬ。これは誰にでもわかり切った問題で、又それだけの事であります。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それほど気に
染
(
そ
)
んで片時も思い忘れることの出来ない女を、一年も二年もじっと
耐
(
こら
)
えて見ないでいて、金だけは苦しい思いをしてきちんきちんと送ってやり
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
老人は
眉
(
まゆ
)
を
寄
(
よ
)
せてしばらく
群青
(
ぐんじょう
)
いろに
染
(
そ
)
まった夕ぞらを見た。それからじつに
不思議
(
ふしぎ
)
な
表情
(
ひょうじょう
)
をして
笑
(
わら
)
った。
泉ある家
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
自転車は久子としたしかった自転車屋の娘の手づるで、五か月
月賦
(
げっぷ
)
で手にいれたのだ。着物がないので、母親のセルの着物を黒く
染
(
そ
)
め、へたでもじぶんで
縫
(
ぬ
)
った。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ああいう悪風に
染
(
そ
)
み、ああいう楽しみもして、ああいう耽溺のにおいも嗅いで見たいような気がした。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
君まで明智式の論理に
染
(
そ
)
んで、油断をしてしまっては、却って危険だからだ。あの男はその気遣いの為に、
態
(
わざ
)
と君を除外して、僕に丈け報告してくれた訳なんだよ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
おまへの緑の髮の毛の波は、貝の
音
(
ね
)
が斧の
刻
(
とき
)
を
告
(
しら
)
せると、
眞紅
(
しんく
)
に
染
(
そ
)
まる。すぎ
來
(
こ
)
しかたを憶ひだして。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
どの
運河
(
カナル
)
の水も鏡のやうに明るくて
井
(
ゐど
)
のやうに深く、
其
(
その
)
上に黄いろく
染
(
そ
)
んだ並木や、
淡紅
(
うすあか
)
く塗つた家の壁や、いろいろに
彩
(
いろど
)
つた
荷船
(
にぶね
)
やが静かに映つて居るのを見ると
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
追
(
お
)
へども
撃
(
う
)
てども
敵
(
てき
)
も
強者
(
さるもの
)
、
再
(
ふたゝ
)
び
寄
(
よ
)
する
七隻
(
しちせき
)
の
堅艦
(
けんかん
)
、
怒濤
(
どたう
)
は
逆卷
(
さかま
)
き、
風
(
かぜ
)
荒
(
あ
)
れて、
血汐
(
ちしほ
)
に
染
(
そ
)
みたる
海賊
(
かいぞく
)
の
旗風
(
はたかぜ
)
いよ/\
鋭
(
するど
)
く、
猛
(
たけ
)
く、
此
(
この
)
戰
(
たゝかひ
)
何時
(
いつ
)
果
(
は
)
つ
可
(
べ
)
しとも
覺
(
おぼ
)
えざりし
時
(
とき
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
伊豆や
相模
(
さがみ
)
の歓楽郷兼保養地に遊ぶほどの余裕のある身分ではないから、
房総
(
ぼうそう
)
海岸を最初は
撰
(
えら
)
んだが、海岸はどうも
騒雑
(
そうざつ
)
の気味があるので晩成先生の心に
染
(
そ
)
まなかった。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その
時
(
とき
)
、
黒装束
(
くろせうぞく
)
に
覆面
(
ふくめん
)
した
怪物
(
くわいぶつ
)
が澤村路之助丈えと
染
(
そ
)
めぬいた
幕
(
まく
)
の
裏
(
うら
)
からあらはれいでヽ
赤
(
あか
)
い
毛布
(
けつと
)
をたれて、
姫君
(
ひめぎみ
)
の
死骸
(
しがい
)
をば
金泥
(
きんでい
)
の
襖
(
ふすま
)
のうらへと
掃
(
は
)
いていつてしまつた。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
また、「いき」は色気のうちに
色盲
(
しきもう
)
の灰色を蔵している。色に
染
(
そ
)
みつつ色に
泥
(
なず
)
まないのが「いき」である。「いき」は色っぽい肯定のうちに黒ずんだ否定を
匿
(
かく
)
している。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
丘の斜面に
朱
(
あけ
)
に
染
(
そ
)
まり、虚空を掴んで
斃
(
たお
)
れてい、頬冠りをしたもう一人の男が、一軒の農家を背景に持った、疎林の中へ駈け込む姿が、陽の中に黒い点のように見えた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
マルソオの頬は朱色に
染
(
そ
)
まる。が、彼は怒らずに、ほとんど哀願せんばかりの眼つきで
応
(
こた
)
える——
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
何事
(
なにごと
)
ぢゃ
此
(
この
)
血汐
(
ちしほ
)
は、これ、
此
(
この
)
廟舍
(
たまや
)
の
入口
(
いりくち
)
の
石
(
いし
)
を
染
(
そ
)
めた
此
(
この
)
血汐
(
ちしほ
)
は?
主
(
ぬし
)
もない
此
(
この
)
劍
(
つるぎ
)
は?
此樣
(
このやう
)
な
平和
(
へいわ
)
の
場所
(
ばしょ
)
に
血
(
ち
)
まぶれにして
棄
(
す
)
てゝあるは、こりゃ
何
(
なん
)
としたことであらう?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
以上四人の浅ましさ屍体の
他
(
ほか
)
に、
朱
(
あけ
)
に
染
(
そ
)
みたる重太郎も
亦
(
また
)
倒れていたのは意外であった。
其
(
その
)
傍
(
かたわ
)
らには、彼の運命を象徴するような紅い椿の花が、地に落ちて砕けていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この句を評して「一桶の」といふのは実際桶に入れて藍を
棄
(
す
)
てたといふのでなくて染物を洗ふため水の
染
(
そ
)
んでゐる工合を
云々
(
うんぬん
)
といふてある。しかし余の趣向はさうでない。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
照
(
てら
)
し
行
(
ゆき
)
て見るに口中を
刺
(
ゑぐ
)
られ
朱
(
あけ
)
に
染
(
そ
)
みて居りしかば是は大變々々と
云
(
いふ
)
聲
(
こゑ
)
に親父の五兵衞も
駈付
(
かけつけ
)
て五郎藏が殺されたりとは夫れは
如何
(
いかゞ
)
せし事ぞと死骸を見てヤヽ是はと
尻餠
(
しりもち
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と見る
間
(
ま
)
もなく
初秋
(
しよしう
)
の
黄昏
(
たそがれ
)
は幕の
下
(
おり
)
るやうに早く夜に
変
(
かは
)
つた。流れる水がいやに
眩
(
まぶ
)
しくきら/\光り出して、
渡船
(
わたしぶね
)
に乗つて
居
(
ゐ
)
る人の形をくつきりと
墨絵
(
すみゑ
)
のやうに黒く
染
(
そ
)
め出した。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
和尚はすこし首を
屈
(
かが
)
めて夫人の唇を己の
頬
(
ほお
)
に受けようとした。と、李張の手にした矢が飛んでその
前額
(
ぜんがく
)
から
後脳
(
こうのう
)
にかけて
貫
(
つらぬ
)
いた。夫人の倒れた上に血に
染
(
そ
)
んだ
和尚
(
おしょう
)
の体が重なった。
悪僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
世は穢れ、人は穢れたれども、我は常に我恩人の
独
(
ひと
)
り
汚
(
けがれ
)
に
染
(
そ
)
みざるを信じて疑はざりき。過ぐれば夢より淡き小恩をも忘れずして、貧き
孤子
(
みなしご
)
を養へる志は、これを証して
余
(
あまり
)
あるを。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
私
(
わたくし
)
は
気
(
き
)
まりが
悪
(
わる
)
くて
仕方
(
しかた
)
がなく、
覚
(
おぼ
)
えず
顔
(
かお
)
を
真紅
(
まっか
)
に
染
(
そ
)
めて、一たんはお
断
(
ことわ
)
りしました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
みのるの用箪笥の
小抽斗
(
こひきだし
)
には油に
染
(
そ
)
んだ緋絞りのてがらの切れが幾つも溜つてゐた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
染
常用漢字
小6
部首:⽊
9画
“染”を含む語句
馴染
感染
伝染
幼馴染
煮染
血染
香染
藍染川
染衣
染出
顔馴染
友染
垢染
藍染
曙染
世帯染
茜染
傳染
黒染
蘇芳染
...