材木ざいもく)” の例文
しかなほこれは眞直まつすぐ眞四角ましかくきつたもので、およそかゝかく材木ざいもくようといふには、そまが八にん五日いつかあまりもかゝらねばならぬとく。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
このあいだまで大工だいくたちが、ここで他所よそてるいえ材木ざいもくんでいたのでした。ここは、町裏まちうらはらっぱであります。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このを『年輪ねんりん』とひます。材木屋ざいもくや店先みせさきつて、まる材木ざいもくのはしをれば、これが年輪ねんりんかと、すぐにわかります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
水はいまに規則きそく正しい波になって、こうの中を走っていた。気ちがいのようないきおいでうずをわかせながら、材木ざいもくをおし流して、はねのようにかるくくるくる回した。
はて艇舷ふなべり材木ざいもくでも打碎うちくだいて、にしてまんかとまで、馬鹿ばかかんがへおこつたほどで、つひれ、船底ふなぞこまくらよこたはつたが、その空腹くうふくため終夜しうやねむこと出來できなかつた。
長兵衞は見遣みやりなんぢまはりの髮結かみゆひならずや何故此所へ來り入らざる差出口さしでぐち過言くわごんなり長助の者を擲出たゝきだせと云ひければ長助は立掛たちかゝり清三郎が首筋くびすぢつかみておもて突出つきだ門口かどぐち材木ざいもく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
じつまたじつかれかせぎにかせぎ、百姓ひやくしやう勿論もちろんすみやけば、材木ざいもくす、養蠶やうさんもやり、地木綿ぢもめんらし、およ農家のうかちから出來できることなら、なんでも手當次第てあたりしだい、そして一生懸命いつしやうけんめいにやりました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
木曾きそ檜木ひのき材木ざいもくとして立派りつぱなばかりでなく、赤味あかみのあるあつかは屋根板やねいたかはりにもなります。まあ、あの一トかゝへも二擁ふたかゝへもあるやうな檜木ひのきそばへ、お前達まへたちれてつてせたい。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
けれども、人々はただ畑をたがやしたり、材木ざいもくを売ったりしてらしているばかりでなく、漁業ぎょぎょう商業しょうぎょうや、海運業かいうんぎょうもやっています。ですから、ここには、すばらしいやしきや、りっぱな教会もあります。
又は日向ひむきの所へ材木ざいもくのごとくつみかさねておくもあり。
アツ有難ありがたいたつた一本のお材木ざいもくで助つた。
うす光線くわうせん屋根板やねいた合目あはせめかられて、かすかにくすうつつたが、巨大きよだいなるこの材木ざいもくたゞたん三尺角さんじやくかくのみのものではなかつた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しん一は、あたまげて、はらっぱをまわしました。はじめ、だれもいないと、おもったのに、あちらに、材木ざいもくのつんであるうえで、おんなが、あそんでいました。
赤土へくる子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
にるために持って来たと思うか。ぼくはきょうたった三十六スーしかもらえなかった。だからこの材木ざいもくをぶたれないおまじないにするのだ。これで四スーの不足ふそくの代わりになるだろう
助十と聞ば知れるにちがひなしと其夜は河岸にいし材木ざいもく積置つみおきし處へゆき寄凭よりかゝりて少しまどろまんとするに知らぬ江戸といひ此所こゝは如何なる處やらんもしとがめられなば何と答んと心を苦しめ夜の明るを待事まつことしう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
又は日向ひむきの所へ材木ざいもくのごとくつみかさねておくもあり。
工學士こうがくしは、井桁ゐげたんだ材木ざいもくしたなるはしへ、窮屈きうくつこしけたが、口元くちもと近々ちか/″\つた卷煙草まきたばこえて、その若々わか/\しい横顏よこがほ帽子ばうし鍔廣つばびろうらとをらした。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「ああ、とおしてあげる。」と、いって、まさちゃんは、材木ざいもくこえこしをかけながらヨシさんのってきた、いとはりを、自分じぶんふとくて、みじかゆびりました。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
みんなはれいの大きな材木ざいもくを持って、まっ先に帰って来た子どもを指さした。
つけて是迄は參りしなれども夜中やちういひ御知己おちかづきにも有らねば河岸かしにある材木ざいもくたきゞなどのかげにて夜をあか兩國りやうごくいたりて食事をなしよき時分じぶんと存じ只今たゞいま參上さんじやう仕つりしなり昨夜鈴ヶ森にて助十と御呼およびなされたるゆゑそれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
深川ふかがは木場きば材木ざいもくしげつたら、夫婦いつしよになつてるツておつしやつたのね。うしたつて出來できさうもないことが出來できたのは、わたしねんとゞいたんですよ。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そして、たくさんとってきて、材木ざいもくかさねてある、のよくたるところであそんだのです。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「でも材木ざいもくは」と子どもがさけんだ。
その道筋みちすぢに、おびたゞしくしづめたる材木ざいもくは、あたか退けるごとくに、さんみだしてさつ左右さいうわかれたのである。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「あのはらっぱで、あんなことをしてあそばなければ、ころびもしなくて、よかったのだ。」と、としちゃんは、昨日きのう材木ざいもくがたくさんんであるうえを、吉雄よしおくんや、賢二けんじくんと
さびしいお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
奧州あうしうくだつたんです——うち年號ねんがう明和めいわる……元年ぐわんねんさるの七ぐわつ八日やうか材木ざいもく積濟つみすまして、立火たつび小泊こどまりからひらいて、順風じゆんぷうおきはししたとき、一にん
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そういえば、さっきたくさんの材木ざいもくと、こめだわらと、石炭せきたんと、なにかのはこを、いっぱい貨車かしゃんでいきました。そして、今日きょう客車きゃくしゃもいつもよりかながかったようでございました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
木屑きくづきはめてこまかく、きはめてかるく、材木ざいもく一處ひとところからくやうになつて、かたにもむねにもひざうへにもりかゝる。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かれは、そのてた野原のはらなかって、あしもとにらばった材木ざいもくや、もののこわれたのや、おおきなうちっていたあとらしい、いしずえなどをまわしながら、いろいろのおもいにふけったのです。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ブルジョアに隷属れいぞくするかれらが、よどんだぬまなかにつながれた材木ざいもくであり、しばったなわもろとも、いつかくさ運命うんめいにあるなら、かれは、さながら激流げきりゅう彼方かなたきし此方こなた岩角いわかど衝突しょうとつしながら
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
づはとゞこほりなく大阪おほさかへ——それから豐前ぶぜん𢌞まはつて、中津なかつこめ江戸えどんで、江戸えどから奧州あうしうわたつて、また青森あをもりから津輕藩つがるはんこめことづかつて、一品川しながはまでもどつたところあらためて津輕つがる材木ざいもくむために
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どこかのやまからされたのであろう、材木ざいもくされた石炭せきたんや、そのいろいろなものがいっぱいにせられていました。そのなかの、一つのはこだけは、とびらがひとところいていました。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
が、唐突だしぬけおほき材木ざいもくけて突立つゝたつて、手足てあしえだえたかとうたがはるゝ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その行方ゆくえひかったくさなかぼっしていました。工事場こうじば付近ふきんには、いし破片はへんや、小砂利こじゃりや、材木ざいもくなどがんでありました。また、ほかの工夫こうふたちは、おも鉄槌てっついで、材木ざいもくかわなかんでいます。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
背後はいご山懐やまふところに、小屋こやけて材木ざいもくみ、手斧てうなこえる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)