トップ
>
暗
>
ぐら
ふりがな文庫
“
暗
(
ぐら
)” の例文
ただ、ここがこんなに、うす
暗
(
ぐら
)
いさびしいところでなければいいとおもうな。——なにしろ、野うさぎ一ぴき、はねてこないのだもの。
もみの木
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そして、しばらくそこに
良吉
(
りょうきち
)
はいますと、やがて
日
(
ひ
)
がうす
暗
(
ぐら
)
くなります。すると
彼
(
かれ
)
は
名残惜
(
なごりお
)
しそうに
帰
(
かえ
)
ってゆくのでありました。
星の世界から
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのほの
暗
(
ぐら
)
い
長屋門
(
ながやもん
)
をくぐって、
見知
(
みし
)
らぬ男がふたりいそいそとはいってくる。
羽織
(
はおり
)
はもめんらしいが
縞地
(
しまじ
)
か
無地
(
むじ
)
かもわからぬ。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
蜩
(
ひぐらし
)
が
鳴
(
な
)
いたと
共
(
とも
)
に、
日
(
ひ
)
は
暮
(
く
)
れてしまつた、と
自分
(
じぶん
)
がふっとさう
考
(
かんが
)
へたのは、
山
(
やま
)
のかげが、
家
(
いへ
)
の
方
(
ほう
)
へさして
來
(
き
)
て、うす
暗
(
ぐら
)
くなつたためだつたのだ。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
彼は
物好
(
ものずき
)
にも
自
(
みずか
)
ら進んでこの
後
(
うし
)
ろ
暗
(
ぐら
)
い奇人に握手を求めた結果として、もう少しでとんだ迷惑を
蒙
(
こう
)
むるところであった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
ぼくはうす
暗
(
ぐら
)
くなった店の中をわがもの
顔
(
がお
)
で歩きまわって、
下着
(
したぎ
)
やくつ下などの
売場
(
うりば
)
から、ふかふかしてあたたかそうな下着やくつ下をとりだして身につけた
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
外
(
そと
)
を
覗
(
のぞ
)
くと、うす
暗
(
ぐら
)
いプラットフォオムにも、
今日
(
けふ
)
は
珍
(
めづ
)
らしく
見送
(
みおく
)
りの
人影
(
ひとかげ
)
さへ
跡
(
あと
)
を
絶
(
た
)
つて、
唯
(
ただ
)
、
檻
(
をり
)
に
入
(
い
)
れられた
小犬
(
こいぬ
)
が一
匹
(
ぴき
)
、
時時
(
ときどき
)
悲
(
かな
)
しさうに、
吠
(
ほ
)
え
立
(
た
)
ててゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
神保大吉
(
じんぼうだいきち
)
は、あたりのほの
暗
(
ぐら
)
さに、それを
独楽
(
こま
)
ともなんともさとらずに、力まかせに手もとへひく! と一方の独楽の
紐
(
ひも
)
も、負けずおとらず
剛力
(
ごうりき
)
をかけて引ッ張った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
森の木は
重
(
かさ
)
なり合ってうす
暗
(
ぐら
)
いのでしたが、そのほかにどうも空まで
暗
(
くら
)
くなるらしいのでした。
虹の絵の具皿:(十力の金剛石)
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
殊
(
こと
)
に
巴里
(
パリイ
)
で名高い古い街の一つに数へられて居る
丈
(
だけ
)
昔の
煤
(
すゝ
)
びた建物が多いので一層どす
暗
(
ぐら
)
く、
其
(
その
)
酒場
(
キヤバレエ
)
まで登つて
行
(
ゆ
)
く間の曲り
紆
(
くね
)
つた石畳の坂
路
(
みち
)
の不気味さと云つたらない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
制動室というのはブレーキがあるからそういうので、車掌室のことだ。自分はそこのかたい
腰
(
こし
)
かけへ腰をおろすと、うす
暗
(
ぐら
)
いシグナル・ランプをたよりに、かたい
鉛筆
(
えんぴつ
)
をなめなめ、
日記
(
にっき
)
をつけた。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
そのくらゐですから
枝
(
えだ
)
や
葉
(
は
)
もおそろしく
繁
(
しげ
)
りひろがつてゐて
朝
(
あさ
)
は
杵島岳
(
きしまだけ
)
を
隱
(
かく
)
し、
夕方
(
ゆふがた
)
は
阿蘇山
(
あそさん
)
を
覆
(
おほ
)
つて、あたりは
晝
(
ひる
)
も、ほの
暗
(
ぐら
)
く、
九州
(
きゆうしゆう
)
の
半分程
(
はんぶんほど
)
は
日蔭
(
ひかげ
)
となり、
百姓
(
ひやくしよう
)
が
困
(
こま
)
り
拔
(
ぬ
)
いてゐたといひますが
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
「なにか、よくよくうしろ
暗
(
ぐら
)
いことがあるのね」
キャラコさん:03 蘆と木笛
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
ランプの
火
(
ひ
)
はうす
暗
(
ぐら
)
く、
家
(
うち
)
の
中
(
なか
)
を
照
(
て
)
らしました。まだ、
夜
(
よ
)
は
明
(
あ
)
けなかったのです。しかし、
真夜中
(
まよなか
)
を
過
(
す
)
ぎていたことだけは、たしかでした。
大きなかに
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
シギもいつしかせんだんを
去
(
さ
)
って、
庭先
(
にわさき
)
の
栗
(
くり
)
の木、
柿
(
かき
)
の木に音のするほど雨も
降
(
ふ
)
りだした。にわかにうす
暗
(
ぐら
)
くなって、日も
暮
(
く
)
れそうである。めがねをはずして
机
(
つくえ
)
を立った
老人
(
ろうじん
)
は
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ほの
暗
(
ぐら
)
い
宵闇
(
よいやみ
)
のそこから、
躑躅
(
つつじ
)
ヶ
崎
(
さき
)
の
濠
(
ほり
)
の流れは、だんだん
透明
(
とうめい
)
に
磨
(
と
)
ぎだされてきた。
眸
(
ひとみ
)
をこらしてのぞきこむと、
藻
(
も
)
にねむる
魚
(
うお
)
のかげも、
底
(
そこ
)
の
砂地
(
すなじ
)
へうつってみえるかと思う。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふるびた
時計
(
とけい
)
が四時をうった。あたりはいつのまにか、うす
暗
(
ぐら
)
くなっていた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
家
(
いえ
)
の
内
(
うち
)
にはうす
暗
(
ぐら
)
い
燈火
(
とうか
)
がついて、しんとしていました。まだ
眠
(
ねむ
)
る
時分
(
じぶん
)
でもないのに
話
(
はな
)
し
声
(
ごえ
)
もしなければ、
笑
(
わら
)
い
声
(
ごえ
)
もしなかったのであります。
いいおじいさんの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
窓のカーテンはすっかりおろされ、部屋の中はうす
暗
(
ぐら
)
かった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
気がついてみると、いつか手元がほの
暗
(
ぐら
)
い夕ぐれ。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
後
(
あと
)
で、
兄
(
あに
)
は、
物置
(
ものお
)
き
小舎
(
ごや
)
にゆきました。そして、まったく
忘
(
わす
)
れていた、
昔
(
むかし
)
、
地面
(
じめん
)
にたたきつけたくわを、うす
暗
(
ぐら
)
い
中
(
なか
)
から
採
(
と
)
り
出
(
だ
)
しました。
くわの怒った話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いってみると、
家
(
いえ
)
の
中
(
なか
)
のうす
暗
(
ぐら
)
い、
喫茶店
(
きっさてん
)
でありました。こわれた
道具
(
どうぐ
)
や、
不用
(
ふよう
)
のがらくたを
買
(
か
)
ってくれというのでした。
おじいさんが捨てたら
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
三
人
(
にん
)
は、うす
暗
(
ぐら
)
い、
建物
(
たてもの
)
の
壁
(
かべ
)
にそって
歩
(
ある
)
いていました。そこの
電信柱
(
でんしんばしら
)
の
下
(
した
)
にも、
長
(
なが
)
い
機械
(
きかい
)
のねているように、
大
(
おお
)
きな
鉄管
(
てっかん
)
が
転
(
ころ
)
がっていたのです。
石段に鉄管
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「お
世話
(
せわ
)
になりました。」と、
女
(
おんな
)
は、
礼
(
れい
)
をいって、
子供
(
こども
)
の
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
き、
風
(
かぜ
)
の
中
(
なか
)
をうす
暗
(
ぐら
)
くなりかけた
道
(
みち
)
へ
消
(
き
)
えていきました。
とうげの茶屋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、くまはいいました。くまの
力強
(
ちからづよ
)
い
言葉
(
ことば
)
に、
小
(
ちい
)
さな
鶏
(
にわとり
)
はまったく
打
(
う
)
たれてしまいました。そして、ついに、うす
暗
(
ぐら
)
い
貨車
(
かしゃ
)
の
中
(
なか
)
へ
飛
(
と
)
び
上
(
あ
)
がりました。
汽車の中のくまと鶏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
今日
(
こんにち
)
は。」と、
金持
(
かねも
)
ちは、
男
(
おとこ
)
のところをたずねました。かつて、
金持
(
かねも
)
ちが、この
男
(
おとこ
)
の
狭
(
せま
)
い、うす
暗
(
ぐら
)
い
家
(
いえ
)
を
訪
(
たず
)
ねるようなことは、ありませんでした。
天下一品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
三
人
(
にん
)
は、この
夏
(
なつ
)
の
真昼間
(
まひるま
)
、
不思議
(
ふしぎ
)
な
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
つづけて、
日
(
ひ
)
のうす
暗
(
ぐら
)
くなるまで、
野原
(
のはら
)
の
中
(
なか
)
を
駆
(
か
)
けまわっていたのでした。
草原の夢
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
年
(
とし
)
の
暮
(
く
)
れ、
大雪
(
おおゆき
)
が
降
(
ふ
)
って
寒
(
さむ
)
い
晩
(
ばん
)
に、からすは一つの
厩
(
うまや
)
を
見
(
み
)
つけて、その
戸口
(
とぐち
)
にきて、うす
暗
(
ぐら
)
い
内
(
うち
)
をうかがい、一
夜
(
や
)
の
宿
(
やど
)
を
求
(
もと
)
めようと
入
(
はい
)
りました。
馬を殺したからす
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
焼
(
や
)
けるように、
赤
(
あか
)
くいろどられていた
野
(
の
)
は、
急
(
きゅう
)
に
涼
(
すず
)
しく、うす
暗
(
ぐら
)
くかげったのでした。その
時分
(
じぶん
)
から
雷
(
かみなり
)
の
音
(
おと
)
は、だんだん
大
(
おお
)
きく
近
(
ちか
)
づいてきたのでした。
負傷した線路と月
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
バナナは、いま、うす
暗
(
ぐら
)
いところを
通
(
とお
)
ったが、あすこは、
橋
(
はし
)
のかかっている
下
(
した
)
であったのかと
思
(
おも
)
いかえしました。
河水の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
急
(
きゅう
)
に、さわさわという
音
(
おと
)
がして、
燈火
(
ともしび
)
の
光
(
ひかり
)
がうす
暗
(
ぐら
)
くなったと
思
(
おも
)
って、
立
(
た
)
っている
電燈
(
でんとう
)
の
方
(
ほう
)
を
見
(
み
)
ると、
幾
(
いく
)
百、
幾
(
いく
)
千となく
蛾
(
が
)
が
火
(
ひ
)
を
目
(
め
)
がけて
襲
(
おそ
)
ったのです。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
家
(
いえ
)
の
内
(
うち
)
に、ランプの
火
(
ひ
)
は、うす
暗
(
ぐら
)
くともっていました。そして、おじいさんが、
槌
(
つち
)
でわらを
叩
(
たた
)
く
音
(
おと
)
が、さびしいあたりに、おりおりひびいたのであります。
こまどりと酒
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
太陽
(
たいよう
)
のまだ
上
(
あ
)
がらない、うす
暗
(
ぐら
)
いうちから、そして
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
が
見
(
み
)
える
時分
(
じぶん
)
、
空
(
そら
)
を、
鳴
(
な
)
いていったこともあります。
一本のかきの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
まだ、
村
(
むら
)
までは、二
里
(
り
)
あまりもありました。
朝
(
あさ
)
くるときには、
小鳥
(
ことり
)
のさえずっていた
林
(
はやし
)
も、
雪
(
ゆき
)
がかかって、
音
(
おと
)
もなく、うす
暗
(
ぐら
)
がりの
中
(
なか
)
にしんとしていました。
雪の上のおじいさん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
うす
暗
(
ぐら
)
い、かたすみのところに、みすぼらしい
年
(
とし
)
とったおばあさんが、かたちんばの
古
(
ふる
)
げたをよりわけて、あれか、これかと、くみあわせてみているのでした。
緑色の時計
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
空
(
そら
)
の
色
(
いろ
)
は、
夜
(
よる
)
ともつかず、また
昼
(
ひる
)
ともつかずに、うす
暗
(
ぐら
)
くぼんやりとしていました。ただ、ため
息
(
いき
)
のように、
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
いて、
忍
(
しの
)
び
足
(
あし
)
にどこへかいくのでありました。
消えた美しい不思議なにじ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ほとんど、
幾
(
いく
)
十
年
(
ねん
)
の
間
(
あいだ
)
、その
石
(
いし
)
は、
故郷
(
こきょう
)
のうす
暗
(
ぐら
)
い、
家
(
いえ
)
の
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に、ほこりを
浴
(
あ
)
びて
置
(
お
)
かれていました。
山へ帰りゆく父
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
男
(
おとこ
)
は、うす
暗
(
ぐら
)
くなった
光線
(
こうせん
)
のうえで、
箱
(
はこ
)
の
上
(
うえ
)
にのせてあった
銭
(
ぜに
)
を
手
(
て
)
に
取
(
と
)
り
上
(
あ
)
げて、しらべて
見
(
み
)
ました。
火を点ず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
はずかしそうにして
出
(
だ
)
す、お
竹
(
たけ
)
の
手
(
て
)
を、
掌
(
てのひら
)
から、つまさきまで、
若者
(
わかもの
)
は、うす
暗
(
ぐら
)
い
提燈
(
ちょうちん
)
に
照
(
て
)
らしながら、
虫眼鏡
(
むしめがね
)
でこまかにながめていたが、やがて、
顔
(
かお
)
を
上
(
あ
)
げると
だまされた娘とちょうの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
朝
(
あさ
)
、まだうす
暗
(
ぐら
)
いうちから、
庭
(
にわ
)
さきの
木立
(
こだち
)
へ、いろいろの
小鳥
(
ことり
)
が
飛
(
と
)
んできてさえずりました。
すずめを打つ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのうちに
笛
(
ふえ
)
がひびいて、ゴト、ゴト、と
鳴
(
な
)
って、
汽車
(
きしゃ
)
が
動
(
うご
)
きはじめました。しばらくするとくまは、このときまで、まだ、うす
暗
(
ぐら
)
い
片
(
かた
)
すみにじっとしている
鶏
(
にわとり
)
の
方
(
ほう
)
を
向
(
む
)
いて
汽車の中のくまと鶏
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
翌朝
(
よくあさ
)
でした。まだうす
暗
(
ぐら
)
いうちから、
屋根
(
やね
)
ですずめがチュン、チュン、
鳴
(
な
)
いていました。
すずめの巣
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのことが、
頭
(
あたま
)
にあるとみえて、いま
大
(
おお
)
きな
犬
(
いぬ
)
に
追
(
お
)
いかけられた
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
てしくしくと
泣
(
な
)
いていました。
無邪気
(
むじゃき
)
なほおの
上
(
うえ
)
に
涙
(
なみだ
)
が
流
(
なが
)
れて、うす
暗
(
ぐら
)
い
燈火
(
ともしび
)
の
光
(
ひかり
)
が、それを
照
(
て
)
らしています。
ある夜の星たちの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鉛色
(
なまりいろ
)
をした、
冬
(
ふゆ
)
の
朝
(
あさ
)
でした。
往来
(
おうらい
)
には、まだあまり
人通
(
ひとどお
)
りがなかったのです。
広
(
ひろ
)
い
路
(
みち
)
の
中央
(
ちゅうおう
)
を
電車
(
でんしゃ
)
だけが、
潮
(
うしお
)
の
押
(
お
)
しよせるようなうなり
声
(
ごえ
)
をたて、うす
暗
(
ぐら
)
いうちから
往復
(
おうふく
)
していました。
波荒くとも
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
小太郎
(
こたろう
)
は、
父親
(
ちちおや
)
はどうしたのだろうと
思
(
おも
)
って、
酒屋
(
さかや
)
の
入
(
い
)
り
口
(
ぐち
)
に
立
(
た
)
って、うす
暗
(
ぐら
)
い
内
(
うち
)
をのぞきました。しかしそこには、
父親
(
ちちおや
)
のいるけはいもなければ、また
人
(
ひと
)
の
話
(
はな
)
し
声
(
ごえ
)
もしませんでした。
けしの圃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
神社
(
じんじゃ
)
の
境内
(
けいだい
)
にあった、いちょうの
葉
(
は
)
は、
黄色
(
きいろ
)
く、ひらひらと、すでにうす
暗
(
ぐら
)
くなった
地
(
ち
)
の
上
(
うえ
)
に
吸
(
す
)
い
込
(
こ
)
まれるように
散
(
ち
)
っていました。
少年
(
しょうねん
)
は、いつまでも
泣
(
な
)
いていたが、
急
(
きゅう
)
になきやんだ。
火を点ず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
晩
(
ばん
)
は、
雨
(
あめ
)
になりました。
娘
(
むすめ
)
は、うす
暗
(
ぐら
)
い
家
(
いえ
)
のうちで、
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ぼう
)
の
守
(
も
)
りをしながら、
先刻
(
さっき
)
、
前
(
まえ
)
を
通
(
とお
)
ったやさしい
少女
(
しょうじょ
)
は、いまごろどうしたろうと
思
(
おも
)
って、その
身
(
み
)
の
上
(
うえ
)
を
案
(
あん
)
じていたのです。
海からきた使い
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「つい、二、三
日前
(
にちまえ
)
のことで、まだうす
暗
(
ぐら
)
くなったばかりのころだそうだ。」
とうげの茶屋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
正吉
(
しょうきち
)
は、
一人
(
ひとり
)
の
女
(
おんな
)
が、さびしそうに
往来
(
おうらい
)
を
見
(
み
)
つめてすわっているのを
見
(
み
)
ました。そして、
提燈
(
ちょうちん
)
のうす
暗
(
ぐら
)
い
火影
(
ほかげ
)
で、その
顔
(
かお
)
を
見
(
み
)
ますと、
恋
(
こい
)
しいお
母
(
かあ
)
さんに、まったくよく
似
(
に
)
ているのでありました。
幸福のはさみ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
西
(
にし
)
の
山
(
やま
)
のふもとの
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
に、からすが
巣
(
す
)
を
造
(
つく
)
っていました。そして、
毎日
(
まいにち
)
、
朝
(
あさ
)
はまだ、
空
(
そら
)
の
明
(
あ
)
けきらないうす
暗
(
ぐら
)
いうちから、みんなのからすは
列
(
れつ
)
をなして、
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
を
指
(
さ
)
して
高
(
たか
)
く
飛
(
と
)
んでゆきました。
翼の破れたからす
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
暗
常用漢字
小3
部首:⽇
13画
“暗”を含む語句
薄暗
暗誦
幽暗
暗黒
暗示
暗夜
暗中
暗闇
暗礁
後暗
真暗
仄暗
微暗
暗号
暗殺
小暗
夕暗
宵暗
暗討
暗々
...