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無地
それよりも其處に持つてゐらつしやる
無地のハンケチの
周りに
黄金のレースで
縁取をなすつた方がいゝかも知れませんわ。
幸福ならぬ
事おのづから
其中にもあり、お
作といふ
娘の
桂次よりは六つの
年少にて十七ばかりになる
無地の
田舍娘をば、
何うでも
妻にもたねば
納まらず
ただ
無地と模様のつながる中が、おのずから
暈されて、夜と昼との境のごとき
心地である。女はもとより夜と昼との境をあるいている。
そのほの
暗い
長屋門をくぐって、
見知らぬ男がふたりいそいそとはいってくる。
羽織はもめんらしいが
縞地か
無地かもわからぬ。