“鉄無地”の読み方と例文
旧字:鐵無地
読み方割合
てつむじ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
物干の間からのぞいて見ると紺の股引ももひき唐桟縞とうざんじま双子ふたこの尻を端折り、上に鉄無地てつむじ半合羽はんがっぱを着て帽子もかぶらぬ四十年輩の薄い痘痕あばたの男である。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
人の悪い中洲なかずの大将などは、鉄無地てつむじの羽織に、茶のきんとうしの御召揃おめしぞろいか何かですましている六金ろっきんさんをつかまえて、「どうです、一枚脱いじゃあ。黒油くろあぶらが流れますぜ。」
老年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
(現に須永は母の御供をしてこういう旧弊きゅうへい真似まねを当り前のごとくやっている。)それから鉄無地てつむじの羽織でも着ながら、歌舞伎を当世とうせいくずして往来へ流したにおいのする町内を恍惚こうこつと歩きたかった。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)