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ふりがな文庫
“
敢
(
あへ
)” の例文
なぜと云ふに、逆意の有無を徳川氏に
糺問
(
きうもん
)
せられる段になると、其
讒誣
(
ざんぶ
)
を
敢
(
あへ
)
てした利章と對決するより外に、
雪冤
(
せつゑん
)
の途はないのである。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
声する方を松本は
睨
(
にら
)
みつ「証人の名を言ふに及ばぬ、
若
(
も
)
し諸君が僕を信用するならば、
敢
(
あへ
)
て証人の姓名を問ふに及ばぬではないか」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
其
(
そ
)
れ
程
(
ほど
)
ならば
何故
(
なぜ
)
彼
(
かれ
)
は
蜀黍
(
もろこし
)
の
穗
(
ほ
)
を
伐
(
き
)
ることを
敢
(
あへ
)
てしたのであつたらうか。
彼
(
かれ
)
は
此
(
こ
)
れまでも
畑
(
はたけ
)
の
物
(
もの
)
を
盜
(
と
)
つたのは一
度
(
ど
)
や二
度
(
ど
)
ではない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
敢
(
あへ
)
て
註
(
ちう
)
するに
及
(
およ
)
ばないが、
俥
(
くるま
)
の
上
(
うへ
)
で
露呈
(
あらは
)
に
丸髷
(
まるまげ
)
なり
島田
(
しまだ
)
なりと、
散切
(
ざんぎり
)
の……
惡
(
わる
)
くすると、
揉上
(
もみあげ
)
の
長
(
なが
)
い
奴
(
やつ
)
が、
肩
(
かた
)
を
組
(
く
)
んで、でれりとして
行
(
ゆ
)
く。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「それでも俺は金を送つた。行かなきやならんのではあるけれど、と云つて取り
敢
(
あへ
)
ず、俺には大変な犠牲である弐拾円を今朝出したんだ。」
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
▼ もっと見る
なだれは
敢
(
あへ
)
て山にもかぎらず、
形状
(
かたち
)
峯
(
みね
)
をなしたる処は時としてなだるゝ事あり。文化のはじめ
思川村
(
おもひがはむら
)
天昌寺
(
てんしやうじ
)
の
住職
(
じゆうしよく
)
執中和尚
(
しつちゆうをせう
)
は
牧之
(
ぼくし
)
が
伯父
(
をぢ
)
也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
答
(
こた
)
へられたが
愛
(
あい
)
ちやんには
愈々
(
いよ/\
)
合點
(
がてん
)
がゆかず、
福鼠
(
ふくねずみ
)
の
饒舌
(
しやべ
)
るがまゝに
委
(
まか
)
せて、
少時
(
しばらく
)
の
間
(
あひだ
)
敢
(
あへ
)
て
喙
(
くち
)
を
容
(
い
)
れやうともしませんでした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
それが中途から学問を
罷
(
や
)
めて、この商売を始めたのは、
放蕩
(
ほうとう
)
で
遣損
(
やりそこな
)
つたのでもなければ、
敢
(
あへ
)
て
食窮
(
くひつ
)
めた訳でも有りませんので。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
固
(
もと
)
よりさうだと
答
(
こた
)
へなければならない
或物
(
あるもの
)
を
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
に
有
(
も
)
つてゐた。けれども
御米
(
およね
)
を
憚
(
はゞか
)
つて、それ
程
(
ほど
)
明白地
(
あからさま
)
な
自白
(
じはく
)
を
敢
(
あへ
)
てし
得
(
え
)
なかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
起
(
き
)
曰
(
いは
)
く、『三
軍
(
ぐん
)
に
將
(
しやう
)
として
士卒
(
しそつ
)
をして
死
(
し
)
を
樂
(
たの
)
しましめ、
敵國
(
てきこく
)
をして
敢
(
あへ
)
て
謀
(
はか
)
らざらしむるは、
子
(
し
)
、
起
(
き
)
に
孰
(
いづ
)
れぞ』と。
文
(
ぶん
)
曰
(
いは
)
く、『
子
(
し
)
に
如
(
し
)
かず』と。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
雖然
(
けれども
)
僕等はピュリタンで無いことを承知して貰ひたい。僕は人間なんで、人間には矛盾の多いものだから、從ツて矛盾の行爲も
敢
(
あへ
)
てするのさ。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
私は私の
愚
(
ぐ
)
を
嗤笑
(
しせう
)
すべき
賢達
(
けんたつ
)
の士のあるのを心得てゐる。が、私自身と
雖
(
いへど
)
も私の愚を笑ふ点にかけては
敢
(
あへ
)
て人後に落ちようとは思つてゐない。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
弱くない者には
却
(
かへ
)
つて
此様
(
かう
)
いふ調子はあるものである。で、はか/″\しい抵抗も何等
敢
(
あへ
)
てしなかつたから、良兼の軍は思ふが儘に乱暴した。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
棒押
(
ばうを
)
しに於ては村内の人民
敢
(
あへ
)
て之に
勝
(
か
)
つものなしと云ふ、一夕小西君と
棒押
(
ばうを
)
しを試みしも
到底
(
とうてい
)
其
対手
(
あひて
)
に非ざるなり、此他の諸君も皆
健脚
(
けんきやく
)
の人のみ
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
電氣事業の發達は、雷鳴や夕立を非常に少なくしたことは、
敢
(
あへ
)
て故老を
俟
(
ま
)
つまでもなく、誰でも一應は知つて居ります。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
カピ長 いや、なう、パリスどの、
女
(
むすめ
)
は
敢
(
あへ
)
て
献
(
けん
)
じまする。
彼
(
か
)
れめは
何事
(
なにごと
)
たりとも
吾等
(
われら
)
の
意志
(
こゝろざし
)
には
背
(
そむ
)
くまいでござる、いや、
其儀
(
そのぎ
)
は
聊
(
いさゝか
)
も
疑
(
うたが
)
ひ
申
(
まう
)
さぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
斯
(
かく
)
の如き戦慄の快感を追究するのは
敢
(
あへ
)
て自分ばかりではあるまい。
小説的
(
ロマンチツク
)
と云ふ病気に
罹
(
かゝ
)
つたものは皆さうであらう。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
黄口の児
敢
(
あへ
)
て
吻喙
(
ふんたく
)
を
容
(
い
)
るるの要なきを知る、知つてなほかつこれをいふ、これ深く天下の為に竢つところあればなり。
誰が罪
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
父上、願ふは此世の縁を
是限
(
これかぎ
)
りに、時頼が身は二十三年の秋を一期に病の爲に
敢
(
あへ
)
なくなりしとも
御諦
(
おんあきら
)
め下されかし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
『
難船
(
なんせん
)
? それは
何
(
なん
)
ですか、
本船
(
ほんせん
)
には
絶
(
た
)
えず
海上
(
かいじやう
)
を
警戒
(
みは
)
る
當番
(
たうばん
)
水夫
(
すゐふ
)
があるです、
敢
(
あへ
)
て
貴下
(
きか
)
を
煩
(
はずら
)
はす
筈
(
はづ
)
も
無
(
な
)
いです。』
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
此
(
この
)
奇抜な画風を室内の装飾に応用する事は
未
(
ま
)
だ本元の
巴里
(
パリイ
)
でも
敢
(
あへ
)
てしない事で、
其
(
それ
)
が
好
(
い
)
い効果を収めて居るのは奇だと柏亭さんと
良人
(
をつと
)
とが評して居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
この
篇
(
へん
)
『
飾馬考
(
かざりうまかんがへ
)
』『
驊騮全書
(
くわりうぜんしよ
)
』『
武器考證
(
ぶきかうしよう
)
』『
馬術全書
(
ばじゆつぜんしよ
)
』『
鞍鐙之辯
(
くらあぶみのべん
)
』『
春日神馬繪圖及解
(
かすがしんばゑづおよびげ
)
』『
太平記
(
たいへいき
)
』
及
(
およ
)
び
巣林子
(
さうりんし
)
の
諸作
(
しよさく
)
に
憑
(
よ
)
る
所
(
ところ
)
多
(
おほ
)
し
敢
(
あへ
)
て
出所
(
しゆつしよ
)
を
明
(
あきらか
)
にす
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
宥められ
豆州
(
づしう
)
八丈島へ
流罪
(
ながされ
)
存命
(
ぞんめい
)
せしも長庵の大罪に處せられけるも
善惡
(
ぜんあく
)
應報
(
おうはう
)
の然らしむる所にして
敢
(
あへ
)
て
珍
(
めづら
)
しからず
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
然し同僚の誰一人、
敢
(
あへ
)
て此時計の怠慢に対して、職務柄にも似合はず何等
匡正
(
きやうせい
)
の手段を講ずるものはなかつた。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
わたくしは、以上述べたやうなことを、いま改めて強調する必要があると信じて、
敢
(
あへ
)
てこの文を成したのだ。
百万人のそして唯一人の文学
(新字旧仮名)
/
青野季吉
(著)
北海道現存の竪穴中には長徑十間に達するもの無きに非ず、二十歩三十歩等の數
敢
(
あへ
)
て
怪
(
あや
)
しむに足らざるなり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
初めより十八九字又は三十二三字の覺悟にて之を吟ずるか若しくは虚心平氣にて
敢
(
あへ
)
て三十一字十七字と豫定せずして之を吟じなば句調のあしき處もあらざるべし。
字余りの和歌俳句
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
お前さんのは
其処
(
そこ
)
にお
葉漬
(
はづけ
)
かありますよ、これは
儂
(
わたし
)
が
儂
(
わたし
)
のお
銭
(
あし
)
で買つたのですと
天丼
(
てんどん
)
を
抱
(
かゝ
)
へ
込
(
こ
)
み
候如
(
そろごと
)
きは
敢
(
あへ
)
て社会
下流
(
かりう
)
の事のみとも
限
(
かぎ
)
られぬ
形勢
(
けいせい
)
に
候
(
そろ
)
内職
(
ないしよく
)
と
人心
(
じんしん
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
アヽ罪過が戯曲、小説に於ける地位、
斯
(
かく
)
の如く重要なり。
敢
(
あへ
)
て罪過論を
艸
(
さう
)
して世上の
非
(
アンチ
)
罪過論者に
質
(
たゞ
)
す。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
汝歸らばこれを人の世に傳へ、かゝる
目的
(
めあて
)
にむかひて
敢
(
あへ
)
てまた足を運ぶことなからしむべし 九七—九九
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
村の人々、無情なる村の人々、死しても
猶
(
なほ
)
和睦
(
わぼく
)
する事を
敢
(
あへ
)
てせぬ程の
冷
(
ひやゝ
)
かなる村の人々の心! この冷かなる心に向つて、重右衛門の霊は何うして和睦せられよう。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
高踏派の壮麗体を訳すに当りて、多く
所謂
(
いはゆる
)
七五調を基としたる詩形を用ゐ、象徴派の
幽婉
(
ゆうえん
)
体を
翻
(
ほん
)
するに多少の変格を
敢
(
あへ
)
てしたるは、その
各
(
おのおの
)
の原調に適合せしめむが
為
(
ため
)
なり。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
と、
誠
(
まこと
)
に
都合
(
つがふ
)
の
好
(
い
)
い
哲學
(
てつがく
)
です。
而
(
さう
)
して
自分
(
じぶん
)
を
哲人
(
ワイゼ
)
と
感
(
かん
)
じてゐる……いや
貴方
(
あなた
)
是
(
これ
)
はです、
哲學
(
てつがく
)
でもなければ、
思想
(
しさう
)
でもなし、
見解
(
けんかい
)
の
敢
(
あへ
)
て
廣
(
ひろ
)
いのでも
無
(
な
)
い、
怠惰
(
たいだ
)
です。
自滅
(
じめつ
)
です。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その少年の読経するところなども私らは見た。
Spetech
(
シユペテツヒ
)
君は
麦酒
(
ビール
)
を好み、私も
敢
(
あへ
)
て辞せぬので二人はいい心地になるまで飲んだ。けふの
遊
(
あそび
)
はイーサル川に来た最後の日になつた。
イーサル川
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
此の佐用が家は
頗
(
すこぶ
)
る富みさかえて有りけるが、丈部母子の
賢
(
かしこ
)
きを
慕
(
した
)
ひ、
娘子
(
をとめ
)
を
娶
(
めと
)
りて親族となり、
屡
(
しばしば
)
事に
托
(
よ
)
せて物を
餉
(
おく
)
るといへども、
九
口腹
(
こうふく
)
の為に人を
累
(
わづらは
)
さんやとて、
敢
(
あへ
)
て
承
(
う
)
くることなし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
敢
(
あへ
)
て
因縁
(
いんねん
)
をいふならば、たまたま名曲堂が私の故郷の町にあつたといふことは、つまり私の第二の青春の町であつた京都の吉田が第一の青春の町へ移つて来て重なり合つたことになるわけだと
木の都
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
乾分
(
こぶん
)
でもないのだから、
敢
(
あへ
)
て
阿諛
(
おべつか
)
をつかつて彼是言はねばならぬ義務は持たぬが、当然問題となるべき「三部曲」の批評が一つも文学雑誌——少なくとも文芸をその要素の一つとする雑誌や新聞に
愛人と厭人
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
しかし、それは私の場合には
一向
(
いつかう
)
に合はないことが分つてるからそれではいけませんよ。何故つて、私はその二つの有利なものを、
敢
(
あへ
)
て惡用したとは云はないが、
無頓着
(
むとんぢやく
)
な使ひ方をしましたからね。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
自らを
敢
(
あへ
)
て弱しと思ふにあらず、他の更に我より強きが
爲
(
ため
)
ぞ。
頌歌
(旧字旧仮名)
/
ポール・クローデル
(著)
観るほどは
敢
(
あへ
)
なかるらし日を経りて物のあいろの暗くなりゆく
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
茲
(
こゝ
)
に『私の社交ダンス』一篇を
敢
(
あへ
)
て草する
所以
(
ゆえん
)
である。
私の社交ダンス
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
れて
憚
(
はゞか
)
りさまといひも
敢
(
あへ
)
ず
更
(
ふ
)
けぬ
内
(
うち
)
にお
急
(
いそ
)
ぎなされなまなかお
止
(
と
)
め
申
(
まを
)
さずば
是
(
こ
)
れ
程
(
ほど
)
に
積
(
つも
)
るまいものお
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
のこといたしたりお
詫
(
わび
)
はいづれと
送
(
おく
)
り
出
(
だ
)
す
門口
(
かどぐち
)
犬
(
いぬ
)
の
子
(
こ
)
の
聲
(
こゑ
)
恐
(
おそ
)
ろしけれど
送
(
おく
)
りの
女中
(
ぢよちゆう
)
が
骨
(
ほね
)
たくましきに
心強
(
こゝろづよ
)
くて
軒下傳
(
のきしたづた
)
ひ
三町
(
さんちやう
)
ばかり
御覽
(
ごらん
)
なされませあの
提灯
(
ちやうちん
)
は
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私は
敢
(
あへ
)
てそれを試みた。そして其間に推測を
逞
(
たくまし
)
くしたには相違ないが、余り暴力的な
切盛
(
きりもり
)
や、人を馬鹿にした
捏造
(
ねつざう
)
はしなかつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「
然
(
しか
)
らば
出
(
い
)
でよ。
敢
(
あへ
)
て
汝
(
なんぢ
)
を
苦
(
くるし
)
めて
慰
(
なぐさ
)
みにせむ
所存
(
しよぞん
)
はあらず」と
許
(
ゆる
)
し
給
(
たま
)
ふに、
且
(
か
)
つ
喜
(
よろこ
)
び、
且
(
か
)
つ
恐
(
おそ
)
れ、
籠
(
かご
)
よりはふはふの
體
(
てい
)
にてにじり
出
(
い
)
でたり。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
将門は然しながら最初から乱賊叛臣の事を
敢
(
あへ
)
てせんとしたのではない。身は帝系を出でゝ
猶未
(
なほいま
)
だ遠からざるものであつた。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
狐疑
(
こぎ
)
して
居
(
ゐ
)
るやうな
其
(
その
)
容貌
(
ようばう
)
とは
其處
(
そこ
)
に
敢
(
あへ
)
て
憎惡
(
ぞうを
)
すべき
何物
(
なにもの
)
も
存在
(
そんざい
)
して
居
(
ゐ
)
ないにしても
到底
(
たうてい
)
彼等
(
かれら
)
の
伴侶
(
なかま
)
の
凡
(
すべ
)
てと
融和
(
ゆうわ
)
さるべき
所以
(
ゆゑん
)
のものではない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それが境遇に応じて魂ともなれば根性ともなるのさ。で、商人根性といへども決して不義不徳を
容
(
ゆる
)
さんことは、武士の魂と
敢
(
あへ
)
て異るところは無い。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
又
(
また
)
吾
(
わ
)
が
敢
(
あへ
)
て
(五八)
横失
(
わういつ
)
して
能
(
よ
)
く
盡
(
つく
)
すの
難
(
かた
)
きに
非
(
あら
)
ざる
也
(
なり
)
。
凡
(
およ
)
そ
説
(
ぜい
)
の
難
(
かた
)
きは、
(五九)
説
(
と
)
く
所
(
ところ
)
の
心
(
こころ
)
を
知
(
し
)
つて
(六〇)
吾
(
わ
)
が
説
(
ぜい
)
を
以
(
もつ
)
て
之
(
これ
)
に
當
(
あ
)
つ
可
(
べ
)
きに
在
(
あ
)
り。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
奧方は
敢
(
あへ
)
なく御落命、それと知つて曲者を追つた半次は、物置の蔭で肩先をやられ、これも一時は氣を失ひ申した。奧方の傷は、正面から、左乳の下を
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
けれども
長吉
(
ちやうきち
)
には
誰
(
たれ
)
にも
咎
(
とが
)
められずに恋人の住む
家
(
うち
)
の前を
通
(
とほ
)
つたと
云
(
い
)
ふそれだけの事が、
殆
(
ほと
)
んど
破天荒
(
はてんくわう
)
の冒険を
敢
(
あへ
)
てしたやうな満足を感じさせたので
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
敢
常用漢字
中学
部首:⽁
12画
“敢”を含む語句
果敢
取敢
勇敢
不取敢
果敢無
敢行
果敢々々
不敢
果敢々々敷
石敢当
敢然
敢為
敢果
勇猛果敢
敢無
物果敢
敢爲
淺果敢
浅果敢
波疑敢問
...