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噂
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うはさ
ふりがな文庫
“
噂
(
うはさ
)” の例文
肥後守は侘助椿のほかにも、肩の羽の真つ白な
鵲
(
かささぎ
)
や、虎の毛皮や、いろんな珍しい物をあちらから持ち帰つたやうに
噂
(
うはさ
)
せられてゐる。
侘助椿
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
出
(
いで
)
芝八山へと急ぎ行次右衞門道々考へけるは天一坊家來に
九條殿
(
くでうどの
)
の浪人にて大器量人と
噂
(
うはさ
)
ある山内伊賀亮には
逢度
(
あひたく
)
なし
然
(
され
)
ば赤川大膳を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
わたしが何かの話の工合で、先方の父親に
兜町
(
かぶとちやう
)
の景気を一寸
噂
(
うはさ
)
した時、若者が露骨に
厭
(
いや
)
な顔を見せたことも、わたしは
見逃
(
みのが
)
さなかつた。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
十七の
秋
(
あき
)
に
見
(
み
)
たおつぎの
姿
(
すがた
)
がお
品
(
しな
)
に
能
(
よ
)
くも
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
たことを
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
しては、
他人
(
ひと
)
の
噂
(
うはさ
)
も
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
て
時々
(
とき/″\
)
は
逢
(
あ
)
つても
見
(
み
)
たい
心持
(
こゝろもち
)
がした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
月
(
つき
)
が
變
(
かは
)
つてから
寒
(
さむ
)
さが
大分
(
だいぶ
)
緩
(
ゆる
)
んだ。
官吏
(
くわんり
)
の
増俸
(
ぞうほう
)
問題
(
もんだい
)
につれて
必然
(
ひつぜん
)
起
(
おこ
)
るべく、
多數
(
たすう
)
の
噂
(
うはさ
)
に
上
(
のぼ
)
つた
局員
(
きよくゐん
)
課員
(
くわゐん
)
の
淘汰
(
たうた
)
も、
月末
(
げつまつ
)
迄
(
まで
)
に
略
(
ほゞ
)
片付
(
かたづ
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
父
(
とう
)
さんの
家
(
うち
)
ではよく
三郎
(
さぶらう
)
の
噂
(
うはさ
)
をします。
三郎
(
さぶらう
)
が
居
(
ゐ
)
る
木曾
(
きそ
)
の
方
(
はう
)
の
話
(
はなし
)
もよく
出
(
で
)
ます。あの
木曾
(
きそ
)
の
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
が
父
(
とう
)
さんの
生
(
うま
)
れたところなんですから。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
武は、モウ
成人
(
おとな
)
になつて、此湖水などへは舟で幾度も遊びに来たことが有り升。
併
(
しか
)
し其後鼻で
釣
(
つり
)
をしたといふ
噂
(
うはさ
)
は、一度もきこえません。
鼻で鱒を釣つた話(実事)
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
噂
(
うはさ
)
も
知
(
し
)
らなかつた
隧道
(
トンネル
)
が
此
(
これ
)
だとすると、
音
(
おと
)
に
響
(
ひゞ
)
いた
笹子
(
さゝご
)
は
可恐
(
おそろ
)
しい。
一層
(
いつそ
)
中仙道
(
なかせんだう
)
を
中央線
(
ちうあうせん
)
で、
名古屋
(
なごや
)
へ
大𢌞
(
おほまは
)
りをしようかと
思
(
おも
)
つたくらゐ。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
先
(
ま
)
づこんな
有
(
あ
)
りふれた
問答
(
もんだふ
)
から、だん/\
談話
(
はなし
)
に
花
(
はな
)
がさいて
東京博覽會
(
とうきようはくらんくわい
)
の
噂
(
うはさ
)
、
眞鶴近海
(
まなづるきんかい
)
の
魚漁談
(
ぎよれふだん
)
等
(
とう
)
で
退屈
(
たいくつ
)
を
免
(
まぬか
)
れ、やつと
江
(
え
)
の
浦
(
うら
)
に
達
(
たつ
)
した。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
その
噂
(
うはさ
)
は、たちまち町中にひろがりました。たいへんなさわぎになりました。町中の人たちが、上人さまの
庵
(
いほり
)
の方へおしかけてきました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その
翌日
(
あくるひ
)
、こんな
噂
(
うはさ
)
がぱつと
立
(
た
)
ちました。
昨日
(
きのふ
)
の
乞食
(
こじき
)
のやうなあの
坊
(
ぼう
)
さんは、あれは
今
(
いま
)
、
生佛
(
いきぼとけ
)
といはれてゐるお
上人樣
(
しやうにんさま
)
だと。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
するとかういふ
噂
(
うはさ
)
を聞いて、今までは路で行き合つても、挨拶さへしなかつた友だちなどが、朝夕遊びにやつて来ました。
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それから一年程経つて失敗に失敗を重ねて、
茫然
(
ぼんやり
)
田舎に帰つて行つた相だが、間もなく徴兵の
鬮
(
くじ
)
が当つて高崎の兵営に入つたといふ
噂
(
うはさ
)
を聞いた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
真木は金の融通をしてもらふこともあつたし、材木を借りることもあるらしかつた。二人は商売上の話もしたが、遊びや女の話、仲間の
噂
(
うはさ
)
も出た。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
今は別居して喫茶店をはじめてゐる……といふやうな
噂
(
うはさ
)
ばなしの一端が私の耳に聞きとれたが、そのおかみではなからうかと私はひそかに思つた。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
芸妓買
(
げいしやがひ
)
はなさる、昨年あたりは
慥
(
たし
)
か妾を
囲
(
かこ
)
つてあると云ふ
噂
(
うはさ
)
さへ高かつた程です、
只
(
た
)
だ当時
黄金
(
かね
)
がおありなさると云ふばかりで、
彼様
(
あんな
)
汚
(
けが
)
れた男に
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
家の人達の
噂
(
うはさ
)
では、近ごろ二番目息子の吉三郎さんが、下女のお夏と親し過ぎるので、御兩親が心配して、その娘を
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
町
(
まち
)
には、
病院
(
びやうゐん
)
の
新院長
(
しんゐんちやう
)
に
就
(
つ
)
いての
種々
(
いろ/\
)
な
噂
(
うはさ
)
が
立
(
た
)
てられてゐた。
下女
(
げぢよ
)
と
云
(
い
)
ふ
醜婦
(
しうふ
)
が
會計
(
くわいけい
)
と
喧嘩
(
けんくわ
)
をしたとか、
會計
(
くわいけい
)
は
其女
(
そのをんな
)
の
前
(
まへ
)
に
膝
(
ひざ
)
を
折
(
を
)
つて
謝罪
(
しやざい
)
したとか、と。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
第一の銀行よ。梅「
成程
(
なるほど
)
噂
(
うはさ
)
には聞いて
居
(
を
)
りましたが
立派
(
りつぱ
)
なもんですね……あれは。近「橋だ、
鎧橋
(
よろひばし
)
といふのだ。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
芝居
(
しばゐ
)
の
土間
(
どま
)
で
煙草
(
たばこ
)
を
吸
(
す
)
つて、
他人
(
たにん
)
の
袂
(
たもと
)
を
焦
(
こ
)
がしたものも、
打首
(
うちくび
)
になるといふ
噂
(
うはさ
)
が
傳
(
つたは
)
つた
時
(
とき
)
は、
皆々
(
みな/\
)
蒼
(
あを
)
くなつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「それでも仏蘭西では銅貨を廃して、小さい Aluminium にするなんといふ
噂
(
うはさ
)
があるから、今に Sou も珍らしい物になるかも知れません。」
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
話はここでも、本線の方と同じやうに、昨日までの雨と洪水の
噂
(
うはさ
)
でした。大抵南の方のことでした。
狐禅寺
(
こぜんじ
)
では、
北上
(
きたかみ
)
川が一丈六尺増したと
誰
(
たれ
)
かが云ひました。
化物丁場
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「今、船の中で、あなたのお
噂
(
うはさ
)
をしてゐたところです。噂をすれば影とやらです。全く。今から
何方
(
どちら
)
へ。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
と、
此
(
この
)
噂
(
うはさ
)
は
早
(
はや
)
くも
軍艦
(
ぐんかん
)
「
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
」の
全體
(
ぜんたい
)
に
傳
(
つたは
)
つたが、
誰
(
た
)
れも
其
(
その
)
本分
(
ほんぶん
)
を
忘
(
わす
)
れて「どれ、どんな
男
(
をとこ
)
だ」などゝ、
我等
(
われら
)
の
側
(
そば
)
に
飛
(
と
)
んで
來
(
く
)
る
樣
(
やう
)
な
不規律
(
ふきりつ
)
な
事
(
こと
)
は
少
(
すこ
)
しも
無
(
な
)
く。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
三月にわたる久きをかの美き姿の絶えず
出入
(
しゆつにゆう
)
するなれば、
噂
(
うはさ
)
は
自
(
おのづ
)
から院内に
播
(
ひろま
)
りて、博士の
某
(
ぼう
)
さへ
終
(
つひ
)
に
唆
(
そそのか
)
されて、
垣間見
(
かいまみ
)
の歩をここに
枉
(
ま
)
げられしとぞ伝へ
侍
(
はべ
)
る。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
櫻
(
さくら
)
の
花
(
はな
)
に
梅
(
うめ
)
が
香
(
か
)
とめて
柳
(
やなぎ
)
の
枝
(
えだ
)
にさく
姿
(
すがた
)
と、
聞
(
き
)
くばかりも
床
(
ゆか
)
しきを
心
(
こヽろ
)
にくき
獨
(
ひと
)
りずみの
噂
(
うはさ
)
、たつ
名
(
な
)
みやび
男
(
を
)
の
心
(
こヽろ
)
を
動
(
うご
)
かして、
山
(
やま
)
の
井
(
ゐ
)
のみづに
浮岩
(
あくが
)
るヽ
戀
(
こひ
)
もありけり
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
もう一軒の地主である寺本といふ家では
濁酒
(
だくしゆ
)
の醸造を
創
(
はじ
)
めて、まだ十年と
経
(
た
)
たない
今日
(
こんにち
)
、家屋敷まで
他人手
(
ひとで
)
に渡してしまつた……といふ、そんな
噂
(
うはさ
)
や、それから
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
そのうちに、
赫映姫
(
かぐやひめ
)
が
並
(
なら
)
ぶものゝないほど
美
(
うつく
)
しいといふ
噂
(
うはさ
)
を、
時
(
とき
)
の
帝
(
みかど
)
がお
聞
(
き
)
きになつて、
一人
(
ひとり
)
の
女官
(
じよかん
)
に
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
隙間
(
すきま
)
もなう
黒
(
くろ
)
い
帳
(
とばり
)
を
引渡
(
ひきわた
)
せ、
戀
(
こひ
)
を
助
(
たす
)
くる
夜
(
よる
)
の
闇
(
やみ
)
、
其
(
その
)
闇
(
やみ
)
に
町
(
まち
)
の
者
(
もの
)
の
目
(
め
)
も
閉
(
ふさ
)
がれて、ロミオが、
見
(
み
)
られもせず、
噂
(
うはさ
)
もされず、
予
(
わし
)
の
此
(
この
)
腕
(
かひな
)
の
中
(
なか
)
へ
飛込
(
とびこ
)
んでござらうやうに。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
このあたりには、よく狐めがゐて人を
化
(
ばか
)
すといふ
噂
(
うはさ
)
だが、わしは狐ぢやない。
葛
(
くず
)
の葉を見せ変へて、小判だなんといはぬから、よくあらためて受けとりな。さあさ。
狐の渡
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
それでラマ塔には、タクマールの幽霊が出るといふ
噂
(
うはさ
)
があつて
誰
(
だれ
)
もそばへは寄らないのでした。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
これは
多分
(
たぶん
)
あのペンペの
噂
(
うはさ
)
に
違
(
ちが
)
ひない。すると
元気
(
げんき
)
で
正直
(
しやうじき
)
なペンペも
死
(
し
)
んでしまつたのか。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
何故
(
なぜ
)
なら、その
頃
(
ころ
)
、さういふ
野蠻
(
やばん
)
な
戰慄
(
せんりつ
)
すべき
噂
(
うはさ
)
が、
世間
(
せけん
)
に
喧
(
やかま
)
しく
傳
(
つた
)
はつてゐたからだ。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
『君たちを掘り出すつもりでやつて來たのだが、まア/\
噂
(
うはさ
)
の樣でなくてよかつた。』
樹木とその葉:34 地震日記
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
四五
日目
(
にちめ
)
に
一人
(
ひとり
)
か
二人
(
ふたり
)
もあればいゝ
方
(
はう
)
なので、
道子
(
みちこ
)
はその
頃
(
ころ
)
頻
(
しきり
)
と
人
(
ひと
)
の
噂
(
うはさ
)
をする
浅草公園
(
あさくさこうゑん
)
の
街娼
(
がいしやう
)
にならうと
決心
(
けつしん
)
したが、どの
辺
(
へん
)
に
出
(
で
)
ていゝのか
見当
(
けんたう
)
がつかないので、
様子
(
やうす
)
をさぐりに
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
ところが
異
(
をか
)
しいこともあればあるもので、将門の方で貞盛を悪く思ふとか悪く
噂
(
うはさ
)
するとかならば、
媢嫉猜忌
(
ばうしつさいき
)
の念、俗にいふ「やつかみ」で自然に
然様
(
さう
)
いふ事も有りさうに思へるが
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
長兄は秋田の第十七聯隊から出征し、
黒溝台
(
こくこうだい
)
から
奉天
(
ほうてん
)
の方に転戦してそこで負傷した。その頃は、あの村では
誰彼
(
だれかれ
)
が戦死した。この村では誰彼が負傷したといふ
噂
(
うはさ
)
が毎日のやうにあつた。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
泥棒の
噂
(
うはさ
)
の立つ毎に、ひよつとして自分の本箱や
行李
(
かうり
)
の中に、ポケットなどに他人の金入れが紛れこんではゐないか、夜
臥床
(
とこ
)
をのべようと蒲団をさばく時飛び出しはしないか、と
戦々兢々
(
せん/\きよう/\
)
とした。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
千島
(
ちしま
)
の
事抔
(
ことなど
)
噂
(
うはさ
)
しあへるを耳にしては、
夫
(
それ
)
は
斯
(
か
)
く
彼
(
あれ
)
は
此
(
かう
)
と話して
聞
(
きか
)
せたく鼻はうごめきぬ、
予
(
よ
)
は
洋杖
(
ステツキ
)
にて足を
突
(
つ
)
かれし
其人
(
そのひと
)
にまで、
此方
(
こなた
)
より
笑
(
ゑみ
)
を作りて
会釈
(
ゑしやく
)
したり、
予
(
よ
)
は
何処
(
いづく
)
とさして
歩
(
あゆ
)
みたるにあらず
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
口の
悪
(
わ
)
るい、
噂
(
うはさ
)
の好きな人達は
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
気の
狂
(
ふ
)
れし
噂
(
うはさ
)
に立てる
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
答らるゝに伊豆守殿
點頭
(
うなづか
)
れ成程
當節
(
たうせつ
)
は越前を名奉行と人々
噂
(
うはさ
)
を致すやに聞及べり
然
(
され
)
ど
予
(
よ
)
は越前は
嫌
(
きら
)
ひなり兎角に
我意
(
がい
)
の
振舞
(
ふるまひ
)
多く人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『今日僕は妙なことを聞いて来た。学校の職員の中に一人新平民が隠れて居るなんて、
其様
(
そん
)
なことを町の方で
噂
(
うはさ
)
するものが有るさうだ。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
又
(
また
)
其前
(
そのまへ
)
に
改革
(
かいかく
)
か
淘汰
(
たうた
)
が
行
(
おこな
)
はれるに
違
(
ちがひ
)
ないといふ
噂
(
うはさ
)
に
思
(
おも
)
ひ
及
(
およ
)
んだ。さうして
自分
(
じぶん
)
は
何方
(
どつち
)
の
方
(
はう
)
へ
編入
(
へんにふ
)
されるのだらうと
疑
(
うたが
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それ以来
吉原
(
よしはら
)
は、今でもあいつの
噂
(
うはさ
)
で持ちきつてゐるやうだ。
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
これで見ても、
何
(
なん
)
でも
冗談
(
じようだん
)
だと思ふのは危険だよ。
南瓜
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
トルストイの『アンナ・カレニナ』の終りの章に多くの人が蜂小屋の近くで
塞耳維
(
セルビア
)
戦争の
噂
(
うはさ
)
をしてゐるところがある。
茶話:01 大正四(一九一五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その上、いろんな
噂
(
うはさ
)
がたつてゐました。センイチのお
上
(
かみ
)
さんが、毎日あんなにたくさん鳥や獣を持つてくるのが変だと、町の人々は話し合ひました。
悪魔の宝
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
暫
(
しばら
)
くしてお
品
(
しな
)
の
母
(
はゝ
)
の
耳
(
みゝ
)
へも
蛇
(
へび
)
の
噂
(
うはさ
)
が
傳
(
つた
)
はつた。それからといふものお
品
(
しな
)
の
母
(
はゝ
)
は一
夜
(
や
)
でも
卯平
(
うへい
)
を
自分
(
じぶん
)
の
家
(
うち
)
から
放
(
はな
)
さない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
松川
彼処
(
かしこ
)
に
住
(
すま
)
ひてより、別に
変
(
かは
)
りしこともなく、
二月
(
ふたつき
)
余も
落着
(
おちつ
)
けるは、いと珍しきことなりと、
近隣
(
きんりん
)
の人は
噂
(
うはさ
)
せり。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
カラ/\と打ち笑ふ男の声聞えて、主人の利八と物語りつゝ、
階子
(
はしご
)
上り
来
(
きた
)
るは、今しもお熊の
噂
(
うはさ
)
せる其人なるべし
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
“噂”の解説
噂(うわさ)は、その内容が事実であるかどうかを問わず、世間で言い交わされている話のこと。類義語として流言、飛語(蜚語)、風説、デマ、ゴシップなどがある。語源は「浮沙汰(うわさた)」である。デマの流布行為は名誉毀損・信用毀損罪や偽計業務妨害罪に問われる。
噂は口コミ、また歴史的には落書(落し文)、現代ではインターネットなどの媒体を通じて流布される。
(出典:Wikipedia)
噂
漢検準1級
部首:⼝
15画
“噂”を含む語句
噂話
御噂
噂好
噂咄
金鯱噂高浪
名大津画噂一軸
噂出
噂種
噂立
噂計
御噂承
御噂申出