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『侘助椿』
ふりがな文庫
『
侘助椿
(
わびすけつばき
)
』
私は今夕暮近い一室のなかにひとり坐ってゐる。 灰色の薄くらがりは、黒猫のやうに忍び脚でこつそりと室の片隅から片隅へと這ひ寄つてゐる。その陰影が壁に添うて揺曳くする床の間の柱に、煤ばんだ花籠がかかつてゐて、厚ぼつたい黒緑の葉のなかから、杯形の …
著者
薄田泣菫
ジャンル
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆
文字種別
新字旧仮名
読書目安時間
約5分(500文字/分)
朗読目安時間
約8分(300文字/分)
作品に特徴的な語句
清水
(
きよみづ
)
掬
(
く
)
一盌
(
ひとわん
)
聯想
(
れんさう
)
茶入
(
ちやいれ
)
波々
(
なみなみ
)
沈静
(
おちつき
)
茶杓
(
ちやしやく
)
心
(
しん
)
強者
(
つはもの
)
足
(
た
)
噂
(
うはさ
)
余裕
(
ゆとり
)
踏
(
ふ
)
蓋
(
ふた
)
荷嵩
(
にかさ
)
這
(
は
)
還俗
(
げんぞく
)
雫
(
しずく
)
顫
(
ふる
)
鵲
(
かささぎ
)
黒緑
(
くろみどり
)
繋
(
つな
)
石榴
(
ざくろ
)
異
(
ちが
)
煤
(
すす
)
溜息
(
ためいき
)
杯形
(
さかづきがた
)
抛入
(
なげいれ
)
忽然
(
こつぜん
)
室
(
へや
)
壺
(
つぼ
)
古渡
(
こわた
)
到
(
いた
)
判
(
わか
)
凝
(
こ
)
侘助
(
わびすけ
)
一重
(
ひとえ
)