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鳴
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なら
ふりがな文庫
“
鳴
(
なら
)” の例文
私
(
わたし
)
はお
前
(
まえ
)
さんのためを
思
(
おも
)
ってそう
言
(
い
)
って
上
(
あ
)
げるんだがね。とにかく、まあ
出来
(
でき
)
るだけ
速
(
はや
)
く
卵
(
たまご
)
を
生
(
う
)
む
事
(
こと
)
や、
喉
(
のど
)
を
鳴
(
なら
)
す
事
(
こと
)
を
覚
(
おぼ
)
える
様
(
よう
)
におし。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
猛狒
(
ゴリラ
)
の
類
(
るい
)
は
此
(
この
)
穴
(
あな
)
の
周圍
(
しうゐ
)
に
牙
(
きば
)
を
鳴
(
なら
)
し、
爪
(
つめ
)
を
磨
(
みが
)
いて
居
(
を
)
るのだから、
一寸
(
ちよつと
)
でも
鐵檻車
(
てつおりくるま
)
の
外
(
そと
)
へ
出
(
で
)
たら
最後
(
さいご
)
、
直
(
たゞ
)
ちに
無殘
(
むざん
)
の
死
(
し
)
を
遂
(
と
)
げてしまうのだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
見ると、長い頭髪は肩に垂れて、手に細い杖を
鳴
(
なら
)
しながら、鋭い眼を見廻して来るのは、村で知らぬ者がない狂人であった。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
戸外
(
おもて
)
には風の音、さらさらと、
我家
(
わがいえ
)
なるかの
楓
(
かえで
)
の葉を
鳴
(
なら
)
して、町のはずれに吹き通る、
四角
(
よつかど
)
あたり
夕戸出
(
ゆうとで
)
の油売る声
遥
(
はるか
)
なり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
田原町
(
たわらまち
)
の角に新聞売が鈴を
鳴
(
なら
)
しているのを見て、重吉は銅貨をさがし出して、『
毎夕
(
まいゆう
)
新聞』に『国民』の夕刊をまけさせた。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
草に結んだ露は夢からさめ、
鈴蘭
(
すずらん
)
はいちはやく朝の鐘を
鳴
(
なら
)
しました。草も木も太陽の方へあたまをあげて、
歓
(
よろこ
)
びました。
朝
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
『では
私
(
わたくし
)
などは
徒
(
いたずら
)
に
苦
(
くるし
)
み、
不満
(
ふまん
)
を
鳴
(
なら
)
し、
人間
(
にんげん
)
の
卑劣
(
ひれつ
)
に
驚
(
おどろ
)
いたりばかりしていますから、
白痴
(
はくち
)
だと
有仰
(
おっしゃ
)
るのでしょう。』
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
フト
気
(
き
)
がつくと、
先
(
さき
)
に
飛
(
と
)
んでゐるラランが
何
(
なに
)
が
旨味
(
うま
)
いものでもたべてゐるやうな
音
(
おと
)
をたてゝ、
喉
(
のど
)
を
気持
(
きもち
)
よく
鳴
(
なら
)
してゐる。ペンペはもう
我慢
(
がまん
)
ができないで
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
日の影
九六
申
(
さる
)
にかたぶく
比
(
ころ
)
、快庵禅師寺に入りて
九七
錫
(
しやく
)
を
鳴
(
なら
)
し給ひ、
遍参
(
へんざん
)
の僧
九八
今夜
(
こよひ
)
ばかりの宿をかし給へと、あまたたび
叫
(
よ
)
べども
九九
さらに
応
(
こたへ
)
なし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
宮「左様か、金吾、由次、少々山三郎が内々頼む事があって他聞を憚ると云うから、
其方
(
そちら
)
へ出て往って居れ、用があれば手を
鳴
(
なら
)
すから、そして酒の支度をしろ」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして世間には誰れもその不都合を
鳴
(
なら
)
す者は一人も無く、学者は皆
翕然
(
きゅうぜん
)
としてこれに従うたのである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
暗
(
くら
)
い
座敷
(
ざしき
)
の
中
(
なか
)
で
默然
(
もくねん
)
と
手焙
(
てあぶり
)
へ
手
(
て
)
を
翳
(
かざ
)
してゐた。
灰
(
はひ
)
の
上
(
うへ
)
に
出
(
で
)
た
火
(
ひ
)
の
塊
(
かた
)
まり
丈
(
だけ
)
が
色
(
いろ
)
づいて
赤
(
あか
)
く
見
(
み
)
えた。
其
(
その
)
時
(
とき
)
裏
(
うら
)
の
崖
(
がけ
)
の
上
(
うへ
)
の
家主
(
やぬし
)
の
家
(
うち
)
の
御孃
(
おぢやう
)
さんがピヤノを
鳴
(
なら
)
し
出
(
だ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
婢を呼んで
訊
(
き
)
いてみようと思って、盃を置いて手を
鳴
(
なら
)
そうとして両手を合わせていると、ふと己のむこうへ来て坐った者があった。山田は伊沢が便所から帰って来たものだと思った。
雨夜続志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
講演や文章でかなり
鳴
(
なら
)
した。油布の支那服なぞ着て、大陸政策の会合なぞへも出た。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
和殿が先祖
文石大白君
(
あやしのおおしろぎみ
)
と共に、
斉
(
ひとし
)
く
桃太郎子
(
もものおおいらつこ
)
に従ひて、
淤邇賀島
(
おにがじま
)
に押し渡り、軍功少からざりけるに。
何時
(
いつ
)
のほどよりか
隙
(
ひま
)
を生じて、互に牙を
鳴
(
なら
)
し争ふこと、
実
(
まこと
)
に本意なき事ならずや。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
しきりになめたれば心
爽
(
さはやか
)
になり
咽
(
のど
)
も
潤
(
うるほ
)
ひしに、熊は
鼻息
(
はないき
)
を
鳴
(
なら
)
して
寝
(
ねいる
)
やう也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
斯
(
かく
)
も不規則なる
所夫
(
おっと
)
に仕え細君が
能
(
よ
)
く苦情を
鳴
(
なら
)
さぬと思えば余は益々
訝
(
いぶか
)
しさに
堪
(
た
)
えず、
終
(
つい
)
に帳番に
打向
(
うちむか
)
いて
打附
(
うちつけ
)
に問いたる所、目科の名前が余の口より離れ切るや切らぬうち帳番は
怫然
(
ふつぜん
)
と色を
作
(
な
)
し
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
鳴
(
なら
)
して責めむ。世の人も知らぬにはあらず
忌々しき「死」の大君は
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
靜々
(
しづ/\
)
と
鳴
(
なら
)
して出來るは是なん
赤川大膳
(
あかがはだいぜん
)
なり
頓
(
やが
)
て座に就て申樣
拙者
(
せつしや
)
は徳川天一坊殿
家來
(
けらい
)
赤川大膳と申者なり何等の
御用向
(
ごようむき
)
にて參られしと
尋
(
たづね
)
ければ
與力等
(
よりきら
)
は
平伏
(
へいふく
)
して私し共は
當月番
(
たうつきばん
)
町奉行松平日向守
組與力
(
くみよりき
)
堀十左衞門片岡逸平なり奉行日向守申付には
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
かくの如く私が好んで
日和下駄
(
ひよりげた
)
をカラカラ
鳴
(
なら
)
して行く
裏通
(
うらどおり
)
にはきまって
淫祠
(
いんし
)
がある。淫祠は昔から今に至るまで政府の庇護を受けたことはない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一日
(
あるひ
)
の
事
(
こと
)
で、十八九の
一人
(
ひとり
)
の
少年
(
せうねん
)
、
馬
(
うま
)
に
打乘
(
うちの
)
り、
荷鞍
(
にぐら
)
に
着
(
つ
)
けた
皮袋
(
かはぶくろ
)
に、
銀貨
(
ぎんくわ
)
をざく/\と
鳴
(
なら
)
して
來
(
き
)
て、
店頭
(
みせさき
)
へ
翻然
(
ひらり
)
と
降
(
お
)
り、さて
人參
(
にんじん
)
を
買
(
か
)
はうと
云
(
い
)
ふ。
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
今日はわけても霧の深い日で、ポー、ポーと
鳴
(
なら
)
す笛の音も、何となく
不吉
(
ふきち
)
なしらせをするように聞かれるのであった。
おさなき灯台守
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
『では
私
(
わたくし
)
などは
徒
(
いたづら
)
に
苦
(
くるし
)
み、
不滿
(
ふまん
)
を
鳴
(
なら
)
し、
人間
(
にんげん
)
の
卑劣
(
ひれつ
)
に
驚
(
おどろ
)
いたり
計
(
ばか
)
りしてゐますから、
白癡
(
はくち
)
だと
有仰
(
おつしや
)
るのでせう。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
七日目になア其の
夜
(
よ
)
の
亥刻
(
こゝのつ
)
前じゃったか、下駄を
履
(
は
)
いて墓場へ
行
(
ゆ
)
き、線香を上げ、
其処
(
そこ
)
で
鈴
(
りん
)
を
鳴
(
なら
)
し、長らく血盆経を読んでしもうて、
私
(
わし
)
がすうと立って帰ろうとすると
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
我は再び演説を始めしに、書記の服着たる男一僕を隨へたるが我前に來て、
僕
(
しもべ
)
に
鐸
(
おほすゞ
)
を
鳴
(
なら
)
さする其響耳を裂くばかりなれば、われ我詞を
解
(
げ
)
し得ずして止みぬ。この時號砲鳴りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
私
(
わたくし
)
は
思
(
おも
)
はず
膝
(
ひざ
)
を
叩
(
たゝ
)
いた。
短慮
(
たんりよ
)
一徹
(
いつてつ
)
の
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
腕
(
うで
)
を
鳴
(
なら
)
して、
漫々
(
まん/\
)
たる
海洋
(
かいやう
)
を
睨
(
にら
)
み
廻
(
まわ
)
しつゝ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
一軒残らず家の前に立って、常の如く経を唱え、磐を
鳴
(
なら
)
した。物をやる者はなかったが、僧は務めの如く毎日村を托鉢し歩いた。それが十日もつづくと、
飄然
(
ひょうぜん
)
何処ともなく姿を隠してしまった。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
先刻
(
さっき
)
から三人四人と絶えず上って来る見物人で
大向
(
おおむこう
)
はかなり
雑沓
(
ざっとう
)
して来た。前の幕から居残っている
連中
(
れんじゅう
)
には待ちくたびれて手を
鳴
(
なら
)
すものもある。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
呼鈴
(
よびりん
)
を
烈
(
はげ
)
しく
鳴
(
なら
)
して、「矢島をこれへ。」と御意あれば、
畏
(
かしこ
)
まりて
辷出
(
すべりい
)
づる
婢
(
おはした
)
と
入違
(
いりちがい
)
に、
昨日
(
きのう
)
馬を
馭
(
ぎょ
)
せし矢島由蔵、真中の障子を開きて縁側に
跪
(
ひざまず
)
き
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今日も今日、父なる燈台守は、
櫓
(
やぐら
)
のうえに立って望遠鏡を手にし、
霧笛
(
きりぶえ
)
を
鳴
(
なら
)
しながら海の上を
見戍
(
みまも
)
っていた。
おさなき灯台守
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
お
前
(
まえ
)
さん、ほかにする
事
(
こと
)
がないもんだから、ばかげた
空想
(
くうそう
)
ばっかしする
様
(
よう
)
になるのさ。もし、
喉
(
のど
)
を
鳴
(
なら
)
したり、
卵
(
たまご
)
を
生
(
う
)
んだり
出来
(
でき
)
れば、そんな
考
(
かんが
)
えはすぐ
通
(
とお
)
り
過
(
す
)
ぎちまうんだがね。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
『ヒヤ/\、
壯快
(
さうくわい
)
!
壯快
(
さうくわい
)
!。』と
轟大尉
(
とゞろきたいゐ
)
は
掌
(
て
)
を
鳴
(
なら
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
先刻
(
さつき
)
から三人四人と絶えず
上
(
あが
)
つて来る見物人で
大向
(
おほむかう
)
はかなり
雑沓
(
ざつたふ
)
して来た。
前
(
まへ
)
の
幕
(
まく
)
から
居残
(
ゐのこ
)
つてゐる
連中
(
れんぢゆう
)
には待ちくたびれて手を
鳴
(
なら
)
すものもある。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
悲歎の涙は、
硫黄
(
ゆおう
)
を流して草を
爛
(
ただ
)
らす。長い袖は、
腥
(
なまぐさ
)
い風を起して樹を枯らす。
悶
(
もだ
)
ゆる
膚
(
はだ
)
は鱗を
鳴
(
なら
)
してのたうち
蜿
(
うね
)
る。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
毎夜さわがしく蓄音機を
鳴
(
なら
)
し立てていたのであるが、いつの間にか、もとのようになって、あたりの薄暗い
灯影
(
ほかげ
)
が
水溜
(
みずたまり
)
の
面
(
おもて
)
に反映しているばかりである。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
異様なる持主は、その鼻を
真俯向
(
まうつむ
)
けに、長やかなる顔を薄暗がりの中に据え、一道の臭気を放って、いつか土間に立ってかの杖で土をことことと
鳴
(
なら
)
していた。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
河
(
かは
)
の
方
(
はう
)
から
烈
(
はげ
)
しく吹きつける風が
屋根
(
やね
)
の上の電線をヒユー/\
鳴
(
なら
)
すのと、星の光の
冴
(
さ
)
えて見えるのとで、風のある夜は
突然
(
とつぜん
)
冬が来たやうな寒い
心持
(
こゝろもち
)
をさせた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
春と冬は水
湧
(
わ
)
かず、椿の花の燃ゆるにも
紅
(
べに
)
を解くばかりの
雫
(
しずく
)
もなし。ただ
夏至
(
げし
)
のはじめの第一
日
(
じつ
)
、村の人の寝心にも、疑いなく、時刻も
違
(
たが
)
えず、さらさらと
白銀
(
しろがね
)
の糸を
鳴
(
なら
)
して湧く。
一景話題
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
河の方から
烈
(
はげ
)
しく吹きつける風が屋根の上の電線をヒューヒュー
鳴
(
なら
)
すのと、星の光の
冴
(
さ
)
えて見えるのとで、風のある夜は突然冬が来たような寒い心持をさせた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
途端に糸切歯をきりりと
鳴
(
なら
)
して、
脱兎
(
だっと
)
のごとく、火鉢の鉄瓶を
突覆
(
つッかえ
)
すと、
凄
(
すさま
)
じい音がして
𤏋
(
ぱッ
)
と立った灰神楽、灯も暗く、あッという間に、蝶吉の姿はひらひらとして見えなくなる。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ラディオばかりでは物足らないと見えて、昼夜時間をかまわず蓄音機で
流行唄
(
はやりうた
)
を
鳴
(
なら
)
し立てる家もある。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
剪刀
(
はさみ
)
が
一所
(
いっしょ
)
になつて入つて居たので、糸巻の動くに連れて、
夫
(
それ
)
に
結
(
いわ
)
へた小さな鈴が、ちりんと
幽
(
かすか
)
に云ふから、
幼
(
いとけな
)
い耳に何か
囁
(
ささや
)
かれたかと、弟は
丸々
(
まるまる
)
ツこい
頬
(
ほお
)
に
微笑
(
ほほえ
)
んで、
頷
(
うなず
)
いて
鳴
(
なら
)
した。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
毎朝
(
まいちょう
)
役所へ出勤する前、崖の
中腹
(
ちゅうふく
)
に的を置いて古井戸の柳を脊にして、凉しい夏の
朝風
(
あさかぜ
)
に
弓弦
(
ゆみづる
)
を
鳴
(
なら
)
すを例としたが
間
(
ま
)
もなく秋が来て、
朝寒
(
あささむ
)
の
或
(
ある
)
日、
片肌脱
(
かたはだぬぎ
)
の父は弓を手にした
儘
(
まま
)
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「
御安心
(
ごあんしん
)
なさいまし、
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
でせう。」といふ
所
(
ところ
)
へ、
濱野
(
はまの
)
さんが、
下駄
(
げた
)
を
鳴
(
なら
)
して
飛
(
と
)
んで
戻
(
もど
)
つて、「づか/\
庭
(
には
)
から
入
(
はひ
)
りますとね、それ、あの
爺
(
ぢい
)
さん。」といふ、
某邸
(
ぼうてい
)
の
代理
(
だいり
)
に
夜番
(
よばん
)
に
出
(
で
)
て
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あたりを構わず橋板の上に
吾妻下駄
(
あずまげた
)
を
鳴
(
なら
)
す
響
(
ひびき
)
がして、小走りに突然お糸がかけ寄った。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
されば敷石を
鳴
(
なら
)
す
穿物
(
はきもの
)
に音立てて、五ツ紋の
青年
(
わかもの
)
はつかつかとその格子戸の前。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あたりを
構
(
かま
)
はず
橋板
(
はしいた
)
の上に
吾妻下駄
(
あづまげた
)
を
鳴
(
なら
)
す
響
(
ひゞき
)
がして、
小走
(
こばし
)
りに
突然
(
とつぜん
)
お
糸
(
いと
)
がかけ寄つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
急に唇を
屹
(
きっ
)
と結び、笑くぼを刻みながら涙を
堪
(
こら
)
えて、キリリと
鳴
(
なら
)
す
皓歯
(
しらは
)
の音。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
路地は人ひとりやっと通れるほど狭いのに、大きな
芥箱
(
ごみばこ
)
が並んでいて、寒中でも
青蠅
(
あおばえ
)
が
翼
(
はね
)
を
鳴
(
なら
)
し、昼中でも
鼬
(
いたち
)
のような
老鼠
(
ろうねずみ
)
が出没して、人が来ると長い尾の先で
水溜
(
みずたまり
)
の水をはね
飛
(
とば
)
す。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
其主人
(
そのあるじ
)
の
默
(
だま
)
つてますうちは、
私
(
わたし
)
が
鉦
(
かね
)
たゝきに
五體
(
ごたい
)
を
震
(
ふる
)
はす
時
(
とき
)
でした……
尤
(
もつと
)
も、
坊主
(
ばうず
)
は、
唯
(
たゞ
)
ぼんやりと
鼠
(
ねずみ
)
の
腰法衣
(
こしごろも
)
でぶら/\と
前
(
まへ
)
へ
立
(
た
)
ちますばかり、
鉦
(
かね
)
は
些
(
ちつ
)
とも
鳴
(
なら
)
さなかつたつて
事
(
こと
)
でした……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鳴
常用漢字
小2
部首:⿃
14画
“鳴”を含む語句
雷鳴
怒鳴
鳴音
鳴鏑
共鳴
地鳴
呶鳴
鶏鳴
自鳴鐘
空鳴
鹿鳴館
鳴神
神鳴
鼠鳴
鳴咽
鳴声
鳴弦
鳴出
耳鳴
大雷鳴
...