晝間ひるま)” の例文
新字:昼間
それでの一ちやうはう晝間ひるまめたといふほど、ひどい臭氣しうきが、ころくさつた人間にんげんこゝろのやうに、かぜかれてつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
やかた屋根やねうづまいてかゝりますと、晝間ひるま寢床ねどこ——仙人せんにんよるはいつでも一睡いつすゐもしないのです、夜分やぶんたふうへあがつて、つきひざまづき、ほしをがんで
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「わしもさ、晝間ひるまはそれでも見物人けんぶつにんにまぎれてわすれてゐるが、よるはしみじみとかんがえるよ。かゝあどものことを……どうしてゐるかとおもつてね」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
晝間ひるまの暑き日の熱のほてり、いまだに消えやらぬまき草間くさまに横はり、あゝこのゆふべのみほさむ、空が漂ふ青色あをいろのこの大盃おほさかづきを。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
その代り又からす何處どこからか、たくさん集つて來た。晝間ひるまると、その鴉が何羽なんばとなく輪を描いて高い鴟尾しびのまはりをきながら、飛びまはつてゐる。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
マーキュ はて、愚圖ぐずついてゐるのは、晝間ひるま炬火たいまつけてゐるも同然どうぜんふのぢゃ。これ、意味いみりゃれ。
案排あんばいね、かぜくなつて。晝間ひるまやうかれると、うちすわつてゐてもなんだか氣味きみわるくつて仕樣しやうがないわ」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
卯平うへいいくんでも自分じぶんふところいたまないのだからとおもつてても醫者いしやのいふとほりどうもはき/\としないので晝間ひるまるべく蒲團ふとんにくるまるやうにしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さりとて其夜そのよらるヽところならず、ひてとこへはりしものヽ寐間着ねまきかへずよこにもならず、さてつく/″\とかんがへればまへ晝間ひるま樣々さま/″\かびて
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「馬鹿々々しい! それがあなたをみじめにしたわけですか。晝間ひるまなのに、今でもこはいのですか。」
どうかすると晝間ひるまでもくらいやうな檜木ひのきすぎのしん/\とえてるところをとほることもありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
晝間ひるまネなれば田打櫻タウヂざくらハナコサゲんで、それガラマダグワツグワツと田サ這入ハエて、はゝゝゝゝゝ『婆のコオソア、ホウイヤ、ホウ……、ばゞコオソア、ばゞコオソアホウエヤ、ホウ……』
地方主義篇:(散文詩) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
晝間ひるまから一と間に閉じ籠って病人のようにしていることがしば/\であったし、餘所目よそめにもひどく憔悴しょうすいして、鬱々うつ/\としているように見えたので、そう云う父が子供にはひとしお薄気味悪く
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
オヤとおもつて、窓外まどのそとながめると、今宵こよひ陰暦いんれきの十三月明つきあきらかなる青水せいすい白沙はくしや海岸かいがんには、大佐たいさ部下ぶか水兵等すいへいらは、晝間ひるま疲勞つかれこのつきなぐさめんとてや、此處こゝ一羣ひとむれ彼處かしこ一群ひとむれ詩吟しぎんするのもある。
其日そのひからかぞへて丁度ちやうど一週間前いつしうかんまへ夜學やがくかつたころで、晝間ひるま通學生つうがくせいかへつてしまひ、夕飯ふゆはんんで、わたし部屋へや卓子つくゑうへで、燈下とうか美少年録びせうねんろくんでた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
晝間ひるまあつたかいが、よるになるときふさむくなるね。寄宿きしゆくぢやもう蒸汽スチームとほしてゐるかい」といた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すこしづつつた。南瓜たうなす晝間ひるまいてよるになるとそつとつるいて所在ありかさがすのである。甘藷さつまいもつちいてさがりにするのはこゝろせはぎるのでぐつとく。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
今日の晝間ひるまの文のぬし、今こそ見る目も厭はしけれど、波崎といふ人にも逢ひき、斯くいはゞ我れを不貞とおもはくも愁らけれど、守らぬは操ならで、班女が閨の扇の色に
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……おちなさりまし、晝間ひるま辨當箱べんたうばこいてります、あらつて一番ひとつれへ汲出くみだして差上さしあげませう。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いそがしい麥蒔むぎまき季節きせつせまつて百姓ひやくしやうこと/″\はたけるので晝間ひるまかれ相手あひてになるものがなかつたのみでなく、いまはたらかずにはられぬからとかげ冷笑れいせうびせてるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やがてくれれた。晝間ひるまからあまりくるまおとかない町内ちやうないは、よひくちからしんとしてゐた。夫婦ふうふれいとほ洋燈らんぷもとつた。ひろなかで、自分達じぶんたちすわつてゐる所丈ところだけあかるくおもはれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此雜沓このざつとうなかといひれもおもらぬことなれば日暮ひくれよりはにもつまじと思案しあんして、晝間ひるま花屋はなや女房にようぼう手傳てつだはせ、りては自身みづからをりたちよびたつるに、よくなれやいつしかはづかしさもせて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
晝間ひるまあのおはる納戸なんどいとつて姿すがた猛然まうぜん思出おもひだすと、矢張やつぱ啼留なきやまぬねここゑが、かねての馴染なじみでよくつた、おはる撫擦なでさすつて可愛かはいがつたくろねここゑ寸分すんぶんちがはぬ。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
晝間ひるま納屋なやなか鎭守ちんじゆもり日蔭ひかげばかりをうろつくやつ夜遊よあそびはまをすまでもなし。いろしろいのを大事だいじがつて、田圃たんぼとほるにも編笠あみがさでしよなりとる。炎天えんてん草取くさとりなどはおもひもらない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゞ、しいかななかまる大樹たいじゆ枝垂櫻しだれざくらがもうえぬ。新館しんくわん新潮社しんてうしやしたに、吉田屋よしだや料理店れうりてんがある。丁度ちやうどあのまへあたり——其後そのご晝間ひるまとほつたとき切株きりかぶばかり、のこつたやうにた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
、こゝに、ひく草畝くさあぜ内側うちがはに、つゆとともに次第しだいく、提灯ちやうちんなかに、ほのしろかすかえて、一張ひとはり天幕テントがあつた。——晝間ひるまあかはたつてた。はたおともなくきたはうなゝめなびく。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まちはなれてから浪打際なみうちぎはまで、およそ二百もあつたはずなのが、白砂しらすなあし踏掛ふみかけたとおもふと、爪先つまさきつめたなみのさきにれたので、晝間ひるまてつなべ煮上にあげたやうなすなが、みなずぶ/″\にれて
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……晝間ひるま出掛でかけられますか。つて路次ろじて、觀世音くわんぜおん參詣さんけいした。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……うでえ、昨夜ゆうべの、あの椋鳥むくどり畜生ちくしやうさわかたは——ぎやあ/\、きい/\、ばた/\、ざツ/\、騷々さう/″\しくつて、騷々さう/″\しくつて。……俺等おいら晝間ひるまつかれてるのに、からつきしられやしねえ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うやら晝間ひるま御神輿おみこしをかついだときの、きみたちのにくかたちる。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)