)” の例文
わたくし、金がなければお前様まえさまとも夫婦になれず、お前様の腹の子の始末しまつも出来ず、うき世がいやになり候間そうろうあいだ、死んでしまいます。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
筆なる者は罪もなく殊に孝心な者故助けいとて訴え出でたる幸十郎はと神妙の至りで有る、筆とがめも申し付けべき処なれども
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宿し奉りし處御部屋住おんへやずみなれば後々召出さるべしとの御約束にて夫迄それまでは何れへ成とも身をよせ時節じせつを待べしとの上意にて御墨附おんすみつき御短刀おたんたう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
パリス いづれも名譽めいよ家柄いへがらであらせらるゝに、ひさしう確執なかたがひをなされたはおどくでござった。ときに、吾等われら申入まうしいれたこと御返答ごへんたふは?
余事よじではございませんが、毎年、武田家たけだけ行事ぎょうじとして行われてまいりましたところの、武州ぶしゅう御岳みたけにおける兵法大講会へいほうだいこうえ試合しあい
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
らばとつて、一寸ちよつとかへるを、うけたまはりまするでと、一々いち/\町内ちやうない差配さはいことわるのでは、木戸錢きどせんはらつて時鳥ほとゝぎするやうな殺風景さつぷうけいる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『おろかものの愚老ぐらうろく智慧ちゑはせませんが、どういふでござりませうか。』と、玄竹げんちくはまた但馬守たじまのかみ氣色けしきうかゞつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
某が買い求め候香木、かしこくも至尊の御賞美をこうむり、御当家のほまれと相成り候事、存じ寄らざると存じ、落涙候事に候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
現界げんかいではいよいよ御霊鎮みたましずめのりかかった。そなたはすぐにその準備したくにかかるように……。』
取分とりわけて申候迄まうしさふらうまでもなし実際においてかゝる腑甲斐ふがひなき生活状態の到底たうてい有得ありうべからざるとなり申候まうしそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
つまり、昔からあるらしんのとりつけかたとおなじである。そのとりつけかたをすると、船がどんなにかたむいても、らしん儀の表だけはちゃんと水平にたもたれるのだ。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
死亡承諾書、私永々御恩顧ごおんこ次第しだい有之候儘これありそうろうまま御都合ごつごうにより、何時いつにても死亡つかまつるべく候年月日フランドン畜舎ちくしゃ内、ヨークシャイヤ、フランドン農学校長殿どの とこれだけのことだがね
フランドン農学校の豚 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
勿論もちろんこの拷問ごうもんの苦痛に堪へかね偽りの申立を致候事なれど、いづれに致せ、賽銭を盗み候儀は明白に御座候間、そのまゝ入牢じゅろうと相きまり候処、十日ばかりにて牢内において病死致候。
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
関守せきもりは、もう七十に近い老人である。彼は、是が非でも、じかに孔子に面会させてもらうつもりで、その宿所に門人の冉有ぜんゆうを訪ねて、曲った腰を叩きながら、しきりにまくし立てていた。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
復啓二月二十一日付を以て学位授与の御辞退相成あいなりたきおもむきの御申出相成あいなり候処そうろうところすで発令済はつれいずみにつき今更いまさら御辞退のみちもこれなく候間そうろうあいだ御了知相成たく大臣の命により別紙学位記がくいき御返付おかえしつけかたがたこの段申進もうしすすめそうろう敬具
博士問題の成行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
麹町三丁目庄兵衞地借瀬戸物渡世忠兵衞同人妻とみ 其方共八ヶ年以前平川天神裏門うらもん前にて町醫師村井長庵こと雨中うちうかさもた立戻たちもどり候を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
抑〻そもそも内匠頭は、本藩は大名中の大身、身は、五万石の城主、清廉温厚せいれんおんこうの聞えはあるも、未だ今日まで、悪評のない人物です。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御用ごようおもむきにあらず、其方達そのはうたちかねぞんずるごと豆州づしう御勝手許おかつてもと不如意ふによいにつき、此度このたび御改革ごかいかく相成あひな奉行ぶぎやう我等われら相談さうだんうへにて、もくなんぢ申付まをしつくるぞ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それがし今年今月今日切腹して相果あいはてそろ事いかにも唐突とうとついたりにて、弥五右衛門老耄ろうもうしたるか、乱心したるかと申候者も可有之これあるべくそうらえども、決して左様の事には無之これなくそろ
なんだつておまへまつてらアね、うけたまはりますれば御邸おやしきからなに御拝領物ごはいりやうものきまして、私共わたくしどもまでお赤飯せきはん有難ありがたぞんじますてんだよ。亭「おせきさんを有難ありがたう。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
愚老ぐらうにおはなしとは、どういふでござりますか。』と、玄竹げんちくさかづきかたはらいて、但馬守たじまのかみ氣色けしきうかゞつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
手前てまへぞんじをりまするは是限これぎり。内祝言ないしうげん乳母うば承知しょうちはず何事なにごとにまれ、われら不埓ふらち御檢斷ごけんだんあそばれうならば、餘命よめい幾何いくばくもなき老骨らうこつ如何いか御嚴刑ごげんけいにもしょせられませう。
愚僧ぐそう一生涯の行状、懺悔ざんげのためその大略をここしたた置候おきそうろうものなり
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
関守せきもりが先師に面会を求めていった。——
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
其方儀主人しゆじんつま何程なにほど申付候共又七も主人のつき致方いたしかた有之これあるべき處主人又七にきずつけあまつさへ不義ふぎの申かけを致さんとせし段不屆至極ふとゞきしごくに付死罪しざいつく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見舞みまひはお見合みあはせくだされたく、差繰さしくつてまをすやうながら、唯今たゞいまにもおくださること当人たうにんよくぞんじ、とく貴兄きけいたいしては……とおもむきであつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「たわけた入道よな。武田家のまもがみともあがめておった御旗みはた楯無たてなし宝物ほうもつは、たしかに、伊那丸がかくしているはずじゃ。そのをもうすのにわからぬか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに大金をてんこと存じも寄らず、主君御自身にてせり合われ候わば、臣下としていさめ止め申すべきなり、たとい主君がしいて本木を手に入れたく思召されんとも
うむ、おまへがてえのか、でなんてんだ。妻「うけたまはりますれば、なに御邸おやしきから御拝領物ごはいりやうものいて、私共わたくしどもまでお赤飯せきはんをおかどおほいのに有難ありがたぞんじますつて。亭「少しえたなア。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
御不如意ごふによいはいづれも御同樣ごどうやうさふらふが、べつして豆州づしう幸豐ゆきとよをいふ)には御先代ごせんだいより將軍家しやうぐんけにまでもれたる御勝手ごかつて
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「少々おねがいのがござります。お馬をとめて、無礼者ぶれいものとお怒りもありましょうが、阿古屋の松原へついてはにあわぬこと、お聞きくださいましょうか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ナニ心配する事はない、コレ井上ゐのうへ此所これい、ついで其方そのはうつかはすから。井上「有難ありがたうはぞんじますが、何分なにぶん裸体はだかになりますのをはゞかりますで、生憎あいにく今日けふ下帯したおびめてまゐりませぬから。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それに大金をてんこと存じも寄らず、主君御自身にてせり合われそうらわば、臣下としていさとどめ申すべきなり、たとい主君がしいて本木を手に入れたく思召おぼしめされんとも、それを遂げさせ申す事
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
りながら、君主との無禮なめなるにはさふらへども、ひめ殿との夫人ふじんとならせたまふまへに、餘所よそをつとさふらふぞや。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「誰に対しても、近頃は、あの用人がいったように、石舟斎は隠居、但馬守は、江戸表へ出府中につき——という口上こうじょうで、試合を謝絶しているのだろうか」
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
困るねえ、うけたまはりますればなに御邸おやしきから御拝領物ごはいりやうものきまして私共わたくしどもまでお赤飯せきはん有難ありがたぞんじますついで女房にようばうよろしくてえんだよ。亭「え。妻「本当ほんたうに子供ぢやアなし、しやうがないね、しつかりおしよ。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
温和にしてへつらわず、威にして猛からず、表俗ひょうぞくを出て、清風の流るるごとく、甘露寺の方丈へ通った。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
内證ないしよう婦人ふじんなどおたはむれで、それで座敷ざしきとほせぬのであらう。ならなほことたつてとおつしやる。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あえて、践祚せんそをとり行って二日後の晩であった。彼は、人知れず清水寺きよみずでら願文がんもんをおさめていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
れい公園こうゑんのぼさか尻垂坂しりたれざかどうしたこと? 母衣町ほろまちは、十二階邊じふにかいへん意味いみかよひしがいましからざるなり。——六斗林ろくとばやしたけのこ名物めいぶつ目黒めぐろ秋刀魚さんまにあらず、實際じつさいたけのこなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
きみ學問がくもんみち寢食しんしよくわすたまふは、至極しごく結構けつこうにて、とやかく申上まをしあげむことばもなくさふらへども御心遣おんこゝろやりすべさふらはでは、あまりに御氣おきつまりて千金せんきん御身おんみにさはりとも相成あひならむ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其方そのほう、中国表へ、先陣として出勢すべきの旨、仰せ出さる、すなわち、即刻御暇被下おいとまくださるもの也
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仰々ぎやう/\しく言出いひだすと、かたき髑髏しやれかうべか、毒藥どくやくびんか、とおどろかれよう、眞個まつたくことひませう、さしたるでない、むらさききれけたなりで、一しやくずん一口ひとふり白鞘しらさやもののかたながある。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それがしも余りの理不尽と存じ、唯今目付役人立ち会いの上、京極方へ懸合かけあいに参りましたるところ、玄蕃持病さし起り試合大儀の様子ゆえ、引き止めさせたなれど、その代りに別の剣士を選び
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尚々なほなほこの与右衛門よゑもん、御国へも可参まゐるべく候間、被成御心付おこころづけなされ候て被下くだされ候はゞ、可忝かたじけなく候、以上 其後者そのごは以書状不申上しよじやうをもつてまをしあげず背本意ほんいにそむき奉存候、拙者も今程、肥後国へ罷下まかりくだり、肥後守念比ねんごろニ申候ニ付而、逗留仕居候
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みぎ盲人めくらは、れいものは、をんなかげを、めう、はう、とらへよう、蹂躙ふみにじらう、取啖とりくらはうとつけ𢌞まはす——こなたからことづけて、けるやうひなさい、とまをしたのを、よくもかずに
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御祝儀ごしうぎこゝろづけなど、輕少けいせうを、これは、ほんの飴買錢あめかひぜに
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)