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肱
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ひぢ
ふりがな文庫
“
肱
(
ひぢ
)” の例文
云つしやるなと
肱
(
ひぢ
)
を張ば理左衞門大いに怒りヤイ
汝
(
おの
)
れ役人に
對
(
むか
)
ひ
再應
(
さいおう
)
の口
答
(
こた
)
へ
不屆
(
ふとゞ
)
きな奴ソレ
縛
(
しば
)
れと
差※
(
さしづ
)
をなすに三五郎は理左衞門を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それからはつと思つて気が附いて見ますと、磯貝さんはいつの間にかデスクに
肱
(
ひぢ
)
を持たせて、何か書いて入らつしやるのでございます。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
其處
(
そこ
)
へ
風呂敷
(
ふろしき
)
を
肱
(
ひぢ
)
なりに
引挾
(
ひつぱさ
)
んだ、
色
(
いろ
)
の
淺黒
(
あさぐろ
)
い、
目
(
め
)
に
張
(
はり
)
のある、きりゝとした
顏
(
かほ
)
の、
鬢
(
びん
)
を
引緊
(
ひきし
)
めて、おたばこ
盆
(
ぼん
)
はまた
珍
(
めづら
)
しい。……
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
本當
(
ほんたう
)
に
好
(
い
)
い
御天氣
(
おてんき
)
だわね」と
半
(
なか
)
ば
獨
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
の
樣
(
やう
)
に
云
(
い
)
ひながら、
障子
(
しやうじ
)
を
開
(
あ
)
けた
儘
(
まゝ
)
又
(
また
)
裁縫
(
しごと
)
を
始
(
はじ
)
めた。すると
宗助
(
そうすけ
)
は
肱
(
ひぢ
)
で
挾
(
はさ
)
んだ
頭
(
あたま
)
を
少
(
すこ
)
し
擡
(
もた
)
げて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
花吉はがツくり島田の
寝巻姿
(
ねまきすがた
)
、投げかけし
体
(
からだ
)
を左の
肱
(
ひぢ
)
もて火鉢に
支
(
さゝ
)
へつ、何とも言はず
上目遣
(
うはめづか
)
ひに、低き天井、
斜
(
なゝめ
)
に眺めやりたるばかり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
▼ もっと見る
見物に交つた八五郎は、
兩手
(
りやうて
)
を揉み合せて、獨り
悦
(
えつ
)
に入るのを、並んで見て居る平次が何遍
肱
(
ひぢ
)
で突いたかわかりません。
銭形平次捕物控:315 毒矢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ふゝ」と、女は袖口のまくれた白い
肱
(
ひぢ
)
をあげて、島田の
髷
(
ま
)
をなでながら、うつとりした目をして天井を
眺
(
なが
)
めてゐた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
と、
肱
(
ひぢ
)
を張つて威張るのも変になつて来た。自分達が御自慢の「退校」も、出来る事なら子供にだけは知らせないでおきたいものだと思ふやうになつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして、醉ひにまかせて、火鉢のそばに倒れ、自分の
肱
(
ひぢ
)
まくらをしながら、女の顏をわざと細目にした目で見つめて、「そんなに向うの男が
可愛
(
かあい
)
いのか?」
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「本人より聞いて居るもんが辛いので。」と平七は立膝の上に
肱
(
ひぢ
)
をもたせて髪の毛の中へ指を突き込んだ。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
『疲労』『泣きわらひ』『
肱
(
ひぢ
)
の侮辱』中でも『肱の侮辱』などは確かにチエホフの塁を摩してゐる。あゝいふ短篇は、小さな真珠は、容易に拾へるものではない。
小説新論
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
「そんなに
肱
(
ひぢ
)
を張らないでお呉れ。おれの横の腹に病気が起るぢゃないか。」
楢ノ木大学士の野宿
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
肱
(
ひぢ
)
を曲げて一睡を
貪
(
むさ
)
ぼると思ふ
間
(
ま
)
に、夕陽
已
(
すで
)
に
西山
(
せいざん
)
に傾むきたれば、
晩蝉
(
ばんせん
)
の声に別れてこの桃源を出で、元の山路に
拠
(
よ
)
らで他の
草径
(
くさみち
)
をたどり、我幻境にかへりけり、この時弦月漸く明らかに
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
私はその人を
真実
(
ほんたう
)
の狸とも思つて居ませんでしたが、人間とは少し違ふもののやうに思つて居ました。安兵衛は
肱
(
ひぢ
)
に桃色をした花の
刺青
(
いれずみ
)
がしてありました。友吉は顔に
黒子
(
ほくろ
)
が幾つもある男でした。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
白絣
(
しろがすり
)
が二三寸ビリ/\と破け、勢ひで
肱
(
ひぢ
)
をグツととがめたやうだつた。鷹雄はしかし、袖ごと傷を押へて、昂奮から足が自由にならぬ歩き付きで、砂地を荒々しく踏みながら門を出て行つてしまつた。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
書きながら
肱
(
ひぢ
)
をちぢめしわがすがたわが文章になしといはなくに
樹木とその葉:01 序文に代へてうたへる歌十首
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
詰
(
つめ
)
いよよ張りて堪へたる
右手
(
めて
)
の
肱
(
ひぢ
)
矢頃はよろしひようとはなしつ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
じつさい、
肱
(
ひぢ
)
や
膝
(
ひざ
)
をすりむいて血がでてゐました。
シロ・クロ物語
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
巫女
(
くちよせ
)
の
婆
(
ばあ
)
さんは
先刻
(
さつき
)
と
同
(
おな
)
じく
箱
(
はこ
)
へ
肱
(
ひぢ
)
を
突
(
つ
)
いて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
裙
(
すそ
)
が
未
(
ま
)
だ
此
(
こ
)
の
肱
(
ひぢ
)
に
懸
(
かゝ
)
つて、
橋
(
はし
)
に
成
(
な
)
つて
床
(
ゆか
)
に
着
(
つ
)
く、
仰向
(
あふむ
)
けの
白
(
しろ
)
い
咽喉
(
のど
)
を、
小刀
(
ナイフ
)
でざつくりと、さあ、
斬
(
き
)
りましたか、
突
(
つ
)
いたんですか。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
代助は今読み
切
(
き
)
つた
許
(
ばかり
)
の
薄
(
うす
)
い洋書を机の上に
開
(
あ
)
けた儘、両
肱
(
ひぢ
)
を
突
(
つ
)
いて
茫乎
(
ぼんやり
)
考へた。代助の
頭
(
あたま
)
は最後の
幕
(
まく
)
で一杯になつてゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
最初に匕首の持主なる囃子方の六助、樂屋の隅へ呼出されて、五尺そこ/\の小男の癖に、精一杯の
肱
(
ひぢ
)
を張ります。
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
吾助は得たりと
太刀
(
たち
)
振上
(
ふりあげ
)
只
(
たゞ
)
一刀に討たんとするやお花は
眞
(
ま
)
二ツと見えし時友次郎が
曳
(
えい
)
と打たる
小柄
(
こづか
)
の
手裏劍
(
しゆりけん
)
覘
(
ねら
)
ひ
違
(
たがは
)
ず吾助が右の
肱
(
ひぢ
)
に打込みければ忽ち
白刄
(
しらは
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
前からも微かに感じてゐたことではあつたが、たえ子は其の時ふと暗い蔭になつてゐる右の方の手先に何やら這寄るやうな不思議な触覚を感じて、無意識的に
肱
(
ひぢ
)
を
竦
(
すく
)
めた。
復讐
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
肩
肱
(
ひぢ
)
のあたり、お信さんの身体の重みや温みを、絶えずやんはりと感じてゐるのも快かつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
お鳥は二階の眞ン中で、だらりと足を投げ出し、そツぱうを向いて
肱
(
ひぢ
)
まくらをしてゐた。
泡鳴五部作:02 毒薬を飲む女
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
そこでこれではならんと奮発して、
胡坐
(
あぐら
)
を掻いてゐる膝を両手で押へて、
肱
(
ひぢ
)
を張つて、口の内で、「へん、人を馬鹿にしてゐやがらあ」といふやうな事をつぶやいて、又身の周囲を見廻した。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
薬罎
(
くすりびん
)
載せたる
円卓
(
ゑんたく
)
のはしに
肱
(
ひぢ
)
つきながら
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
肱
(
ひぢ
)
をまげて
外套
(
ぐゎいたう
)
のまゝ
楢ノ木大学士の野宿
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
肱
(
ひぢ
)
をば突いて空を見る
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
……
婦
(
をんな
)
は、
薄色縮緬
(
うすいろちりめん
)
の
紋着
(
もんつき
)
の
單羽織
(
ひとへばおり
)
を、
細
(
ほつそ
)
り、
痩
(
やせ
)
ぎすな
撫肩
(
なでがた
)
にすらりと
着
(
き
)
た、
肱
(
ひぢ
)
に
掛
(
か
)
けて、
濃
(
こ
)
い
桔梗色
(
ききやういろ
)
の
風呂敷包
(
ふろしきづつみ
)
を
一
(
ひと
)
ツ
持
(
も
)
つた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さうして
兩手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
み
合
(
あ
)
はして、
其中
(
そのなか
)
へ
黒
(
くろ
)
い
頭
(
あたま
)
を
突
(
つ
)
つ
込
(
こ
)
んでゐるから、
肱
(
ひぢ
)
に
挾
(
はさ
)
まれて
顏
(
かほ
)
がちつとも
見
(
み
)
えない。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
取直して
快
(
こゝろ
)
よく
獻
(
さし
)
つ
酬
(
さゝ
)
れつ
飮
(
のみ
)
居
(
ゐ
)
たりしが何時しか日さへ
暮果
(
くれはて
)
て兩人共
睡眠
(
ねむり
)
の氣ざし
肱
(
ひぢ
)
を
枕
(
まくら
)
にとろ/\と
睡
(
まどろ
)
むともなしに
寢入
(
ねいり
)
しが早三
更
(
かう
)
の
頃
(
ころ
)
靱負は
不※
(
ふと
)
起上
(
おきあが
)
り其のまゝ爰を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
平次はそつと八五郎の
肱
(
ひぢ
)
を突きました。危ふく八五郎は死骸の前で笑ひ出しさうにしたのです。
銭形平次捕物控:280 華魁崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
汚
(
きたな
)
い
四疊半
(
よでふはん
)
の
肱掛窓
(
ひぢかけまど
)
に、
肱
(
ひぢ
)
どころか、
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けて、
伸
(
の
)
し
上
(
あが
)
るやうにして、
來
(
く
)
るのを
待
(
ま
)
つて、
俥
(
くるま
)
の
音
(
おと
)
に
耳
(
みゝ
)
を
澄
(
す
)
ました
事
(
こと
)
がある。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しばらくすると、三千代は急に物に襲はれた様に、手を
顔
(
かほ
)
に
当
(
あ
)
てて泣き
出
(
だ
)
した。代助は三千代の
泣
(
な
)
く
様
(
さま
)
を見るに
忍
(
しの
)
びなかつた。
肱
(
ひぢ
)
を
突
(
つ
)
いて
額
(
ひたひ
)
を
五指
(
ごし
)
の
裏
(
うら
)
に
隠
(
かく
)
した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「丸い
肱
(
ひぢ
)
で、あつしの脇を小突いたんですよ」
銭形平次捕物控:294 井戸端の逢引
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
哥太寛
(
こたいくわん
)
も
餞別
(
せんべつ
)
しました、
金銀
(
きんぎん
)
づくりの
脇差
(
わきざし
)
を、
片手
(
かたて
)
に、」と、
肱
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
つたが、
撓々
(
たよ/\
)
と
成
(
な
)
つて、
紫
(
むらさき
)
の
切
(
きれ
)
も
亂
(
みだ
)
るゝまゝに、
弛
(
ゆる
)
き
博多
(
はかた
)
の
伊達卷
(
だてまき
)
へ。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
柱時計はもう十二時
回
(
まは
)
つてゐた。
婆
(
ばあ
)
さんは、
飯
(
めし
)
を
済
(
す
)
ました
後
(
あと
)
と
見
(
み
)
えて、下女部屋で御
櫃
(
はち
)
の
上
(
うへ
)
に
肱
(
ひぢ
)
を
突
(
つ
)
いて
居眠
(
ゐねむ
)
りをしてゐた。
門野
(
かどの
)
は
何処
(
どこ
)
へ
行
(
い
)
つたか
影
(
かげ
)
さへ見えなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
自棄
(
やけ
)
に
突立
(
つゝた
)
つて、
胴體
(
どうたい
)
ドタンと
投出
(
なげだ
)
すばかり、
四枚
(
よまい
)
を
兩方
(
りやうはう
)
へ
引
(
ひき
)
ずり
開
(
あ
)
けた、
肱
(
ひぢ
)
かけ
窓
(
まど
)
へ、
拗
(
す
)
ねるやうに
突掛
(
つゝかゝ
)
つて
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
然
(
しか
)
しあゝ
込
(
こ
)
んぢや
溜
(
たま
)
らないよ」と
宗助
(
そうすけ
)
が
机
(
つくゑ
)
の
端
(
はじ
)
へ
肱
(
ひぢ
)
を
持
(
も
)
たせながら、
倦怠
(
けた
)
るさうに
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
品物
(
しなもの
)
は
佗
(
わび
)
しいが、なか/\の
御手料理
(
おてれうり
)
、
餓
(
う
)
えては
居
(
ゐ
)
るし
冥加
(
みやうが
)
至極
(
しごく
)
なお
給仕
(
きふじ
)
、
盆
(
ぼん
)
を
膝
(
ひざ
)
に
構
(
かま
)
へて
其上
(
そのうへ
)
を
肱
(
ひぢ
)
をついて、
頬
(
ほゝ
)
を
支
(
さゝ
)
えながら、
嬉
(
うれ
)
しさうに
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
たわ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
與吉
(
よきち
)
は
獨
(
ひとり
)
で
頷
(
うなづ
)
いたが、
背向
(
うしろむき
)
になつて、
肱
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
つて、
南
(
なん
)
の
字
(
じ
)
の
印
(
しるし
)
が
動
(
うご
)
く、
半被
(
はつぴ
)
の
袖
(
そで
)
をぐツと
引
(
ひ
)
いて、
手
(
て
)
を
掉
(
ふ
)
つて
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
驚
(
おどろ
)
いた
顔
(
かほ
)
をして、ちよつきをがつくりと
前屈
(
まへかゞ
)
みに、
肱
(
ひぢ
)
を
蟹
(
かに
)
の
手
(
て
)
に
鯱子張
(
しやちこば
)
らせて、
金時計
(
きんどけい
)
を
撓
(
た
)
めながら
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
後
(
うしろ
)
に
置
(
お
)
いた
腰掛臺
(
こしかけだい
)
の
上
(
うへ
)
に、
一人
(
ひとり
)
は
匍匐
(
はらばひ
)
になつて、
肱
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
つて
長々
(
なが/\
)
と
伸
(
の
)
び、
一人
(
ひとり
)
は
横
(
よこ
)
ざまに
手枕
(
てまくら
)
して
股引
(
もゝひき
)
穿
(
は
)
いた
脚
(
あし
)
を
屈
(
かゞ
)
めて、
天窓
(
あたま
)
をくツつけ
合
(
あ
)
つて
大工
(
だいく
)
が
寢
(
ね
)
そべつて
居
(
ゐ
)
る。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今
(
いま
)
折曲
(
をりま
)
げた
肱
(
ひぢ
)
の
処
(
ところ
)
へつるりと
垂懸
(
たれかゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのは
同
(
おなじ
)
形
(
かたち
)
をした、
巾
(
はゞ
)
が五
分
(
ぶ
)
、
丈
(
たけ
)
が三
寸
(
ずん
)
ばかりの
山海鼠
(
やまなまこ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の
息
(
いき
)
の
臭
(
くさ
)
い
事
(
こと
)
……
剰
(
あまつさ
)
へ、
立
(
た
)
つでもなく
坐
(
すは
)
るでもなく、
中腰
(
ちゆうごし
)
に
蹲
(
しやが
)
んだ
山男
(
やまをとこ
)
の
膝
(
ひざ
)
が
折
(
を
)
れかゝつた
朽木
(
くちぎ
)
同然
(
どうぜん
)
、
節
(
ふし
)
くれ
立
(
だ
)
つてギクリと
曲
(
まが
)
り、
腕組
(
うでぐみ
)
をした
肱
(
ひぢ
)
ばかりが
胸
(
むね
)
に
附着
(
くつつ
)
き
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
呟
(
つぶや
)
くのを
機會
(
しほ
)
に、
跨
(
また
)
いだ
敷居
(
しきゐ
)
の
腰
(
こし
)
を
外
(
はづ
)
すと、
窓
(
まど
)
に
肱
(
ひぢ
)
を、
横
(
よこ
)
ざまに、
胸
(
むね
)
を
投掛
(
なげか
)
けて
居直
(
ゐなほ
)
つた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
何
(
なん
)
でえ、
持
(
も
)
つてけ。」と、
舞袴
(
まひばかま
)
にぴたりと
肱
(
ひぢ
)
を
張
(
は
)
つて、とろりと一
睨
(
にら
)
み
睨
(
にら
)
むのがお
定
(
さだま
)
り……
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
肱
(
ひぢ
)
をばさりと
振
(
ふつ
)
たけれども、よく
喰込
(
くひこ
)
んだと
見
(
み
)
えてなかなか
放
(
はな
)
れさうにしないから
不気味
(
ぶきみ
)
ながら
手
(
て
)
で
抓
(
つま
)
んで
引切
(
ひツき
)
ると、ぶつりといつてやう/\
取
(
と
)
れる
暫時
(
しばらく
)
も
耐
(
たま
)
つたものではない
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“肱(
肘
)”の解説
肘(ひじ、肱、臂)は、人間の腕の移行部で、上腕と前腕を繋ぐ肘関節(ちゅうかんせつ)と、これらを取り巻く筋や腱のことを指す。脚における膝に対応する。狭義には、腕を折り曲げたときに外側になる部分を指す。
(出典:Wikipedia)
肱
漢検準1級
部首:⾁
8画
“肱”を含む語句
肱掛椅子
肱掛
肱枕
片肱
肱掛窓
張肱
肱金
肱突
肱鉄砲
股肱
両肱
肩肱
隻肱
肱鉄
肱附
肱懸
肱杖
肱脛
肱笠雨
肱節
...