經驗けいけん)” の例文
新字:経験
丁度ちようど普通ふつうちひさななみについてはまおい經驗けいけんするとほりであるから、此状態このじようたいになつてからは、なみといふよりもむしながれといふべきである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
だから突然とつぜんこの小舅こじうと自分じぶんあひだ御櫃おはちいて、たがひかほ見合みあはせながら、くちうごかすのが、御米およねつては一種いつしゆ經驗けいけんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ前年ぜんねんさむさがきふおそうたときたねわづか二日ふつか相違さうゐおくれたむぎ意外いぐわい收穫しうくわく減少げんせうしたにが經驗けいけんわすることが出來できなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
またぱうからかんがへると國民こくみんの一協力けふりよく經濟上けいざいじやう如何いかなる結果けつくわもたらすものであるかとふ一つの經驗けいけん確信かくしんられたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
赤裸々せきらゝに、眞面目まじめに、謙遜けんそんゐることの、悲痛ひつうかなしみと、しかしながらまた不思議ふしぎやすらかさとをもあはせて經驗けいけんした。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
これを文學ぶんがくうへ把持力はじりよくといつて、自分じぶん經驗けいけんをいつまでもわすれずに、にぎりしめるちからがあつて、機會きかいがあると、それを文章ぶんしようあらは能力のうりよくをいふのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
そは土器表面し付け模樣もようの中に撚りを掛けたるひもあと有るを以て推察すゐさつせらる。撚りの有無とつる強弱きよじやくとの關係は僅少の經驗けいけんに由つてもさとるを得べき事なり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
……と表二階おもてにかい三十室さんじふまばかり、かぎのにづらりとならんだ、いぬゐのすみ欄干らんかんにもたれてまはしたところわたしとぼしい經驗けいけんによれば、たしかにみゝづくがきさうである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この先生せんせい動物學者どうぶつがくしやでありまして、日本につぽんまへに、アメリカのフロリダといふところ石器時代せつきじだい貝塚かひづかつた經驗けいけんがあり、その方面ほうめん學問がくもんにもくはしいひとでありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
我欲がよく目當めあてがあきらかにえねばわらひかけたくちもとまでむすんでせる現金げんきん樣子やうすまで、度〻たび/\經驗けいけん大方おほかた會得えとくのつきて、此家このやにあらんとにはかねづかひ奇麗きれいそんをかけず
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これは球突たまつきすこしやつた人のたれしも經驗けいけんする事で、よる電氣でんきして床にはひるとくら闇の中に赤白の四つのたまをのせた青い球台たまたいかんで來て、り方を中で空想くうそうしたりする。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
女子教育上ぢよしけういくじやう意見いけんとしては別段べつだん申上まをしあげることも御在ござませんが、わたくしが一昨年さくねんはる女子英學塾ぢよしえいがくじゆくひらいてから以來いらい種々いろ/\今日こんにち女子ぢよしすなは女學生ぢよがくせいつい經驗けいけんしたことがありますから
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
かれまち澤山たくさん病家びやうか顧主とくいつてゐる。で、かれ自分じぶん心窃こゝろひそか院長ゐんちやうよりはるか實際じつさいおいて、經驗けいけんんでゐるものとみとめてゐた。なんとなれば院長ゐんちやうにはまち顧主とくい病家びやうかなどはすこしもいのであるから。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「でもわたし經驗けいけんをいたしました」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
みぎのような小規模しようきぼ地割ぢわれならば、大正十二年たいしようじゆうにねん關東大地震かんとうだいぢしんおいても經驗けいけんせられた。場所ばしよ安房國あはのくに北條町ほうじようまち北條小學校ほうじようしようがつこう校庭こうていであつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「ぢや貴方あなたべつ書畫しよぐわきで、らしつたわけでもないんですね」と自分じぶん誤解ごかいを、さも面白おもしろ經驗けいけんでもしたやうわらした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
過去くわこ經驗けいけんれば、金解禁きんかいきん準備じゆんびをする場合ばあひには、世界せかいいづれからも日本にほん圓貨ゑんくわたいして思惑投機おもわくとうきおこなはれるのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
くきいためてもかまはぬ拗切ちぎりやうを失望しつばう憤懣ふんまんじやうとを自然しぜん經驗けいけんせざるをなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その勞力ろうりよくおもしてのおうたなのですが、その席上せきじようにゐるひとは、みなこの經驗けいけんをついいまさきにしたのですから、このおうたを、きっと、自分自身じぶんじしん氣持きもちをんでもらつたように
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
またどうすゞをまぜるとるのに容易よういで、しかもかたくつて丈夫じようぶであるといふことも、最初さいしよ偶然ぐうぜんつたらしいのでありますが、幾度いくどかの經驗けいけんどう九分くぶすゞ一分いちぶをまぜあはすと
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
一向いつかう變則へんそく名所めいしよいて、知識ちしき經驗けいけんかつたかれは、次第しだいくらり、愈々いよ/\ふかくなり、ものすさまじくつて、ゆすぶれ/\轟然ぐわうぜんたる大音響だいおんきやうはつして、汽車きしや天窓あたまから、にぶきりへんじて
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貧乏びんばふ畫家ぐわかつまとして三年間ねんかんで三百ゑんめたあたしの經驗けいけんか?」
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
かゝるおそろしい現象げんしようはこれまでみぎのプレー噴火ふんか經驗けいけんせられたのみであつて、其他そのた火山かざんおいてはいまだかつて經驗けいけんされたことがない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
懷姙くわいにんこときまつたとき、御米およねこのあたらしい經驗けいけんたいして、おそろしい未來みらいと、うれしい未來みらい一度いちどゆめやう心持こゝろもちいだいてごした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
外國市場ぐわいこくしぢやうおい他國品たこくひん競爭きやうさう位置ゐちにある場合ばあひ爲替相場かはせさうば下落げらくめに日本品にほんひん競爭きやうさうつておほれることは時々とき/″\經驗けいけんしたところである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
おつたは自分じぶんおそろしかつた經驗けいけんいてくれるのをよろこぶやうにかたつゞけるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
吉野山よしのやまは、ふるくからずいぶんながく、ぼうさんそのほか修道者しゆどうしやといつて佛教ぶつきよう修行しゆぎようをするひとこもつてゐたことは、あきらかな事實じじつでした。その經驗けいけんから、はじめのうた出來できたのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
餘所よそで……經驗けいけんのある、近所きんじよ産婆さんばさんが注意ちういをされた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
著者ちよしや明治二十七年めいじにじゆうしちねん六月二十日ろくがつはつか東京地震とうきやうぢしん本郷ほんごう湯島ゆしまおいて、木造もくぞう二階建にかいだて階上かいじよう經驗けいけんしたことがある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ヴェスヴィオの千九百六年せんくひやくろくねん大噴火だいふんかおいて、非常ひじようつよ電氣でんきびた噴煙ふんえんみとめたこともあり、そのなびいたけむりちかづいたとき服裝ふくそうにつけてゐた金屬きんぞく各尖端かくせんたんから電光でんこうはつしたことも經驗けいけんせられてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)