料理れうり)” の例文
かやしぶわびし。子供こどものふだんには、大抵たいてい柑子かうじなり。蜜柑みかんたつとし。輪切わぎりにしてはちものの料理れうりにつけはせる。淺草海苔あさくさのりを一まいづゝる。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すると、裁縫さいほうほんとか、料理れうりほんとか、あるひまた育兒いくじくわんするほんとかいふものがある。ほどこれは、大抵たいてい場合ばあひ婦人ふじんのみにようのある書物しよもつである。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ういふお慈悲なさけぶか旦那様だんなさまがおありなさるから、八百膳やほぜん料理れうり無宿者やどなしくだされるのだ、おれいまうしていたゞけよ、おぜんいたゞくことは、きさま生涯しやうがい出来できないぞ。
なまにてしよくするは○魚軒さしみなますすし也。○る○やくその料理れうりによりて猶あるべし。しほづけにしたるを塩引しほびきまた干鮏からさけといひしも古き事、まへに引たるしよに見えたるがごとし。
それでも切昆布きりこぶ鹿尾菜ひじき油揚あぶらげ豆腐とうふとのほか百姓ひやくしやうつくつたものばかりで料理れうりされた。さらにはこまかくきざんでしほんだ大根だいこ人參にんじんとのなますがちよつぽりとせられた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わたくしはなしられてゐたので、お料理れうり大抵たいていべはぐしてしまつた。おいしさうなスープも、んばしい饅頭風まんじうふうのお菓子かしも、それに時々とき/″\機械的きかいてきくちにするウオツカのよいた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
料理れうりしてやるぞコレ/\遠慮ゑんりよなく澤山食せよと云て笑ひ居るに彼曲者は如何なる目にあふ事かといきたる心地はさらなく何卒なにとぞ旦那樣いのちばかりは御助け下されとも合ぬばかりにわびければ半四郎彌々いよ/\可笑をかしくよし/\まづ食事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
寸刻すんこくはや轉地てんちを、とふのだつたさうである。わたしは、いまもつて、けつしてけんちんをはない。江戸時代えどじだい草紙さうしなかに、まつもどきと料理れうりがある。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかし、婦人ふじんういふほんませたらいゝかといふのは、料理れうりとか裁縫さいほうとか育兒いくじといふものよりも、もつと婦人ふじん精神的要求せいしんてきえうきうたすべき書物しよもつたづねるのであらう。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そうざい料理れうりもごた/\するし、おんもりするところいやだし、あゝ釣堀つりぼり師匠しゝやうところかうぢやアないか。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ばん料理れうり使つか醤油しやうゆるので兩方りやうはうねて亭主ていしゆ晝餐休ひるやすみの時刻じこく天秤てんびんかついで鬼怒川きぬがはわたつた。村落むらみせでははずに直接ちよくせつ酒藏さかぐらつたのでさけ白鳥徳利はくてうどくりかたまでとゞいてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
料理れうりしてがんいつはり食せけるに不思議や條七は五十日たつたゝぬにかみぬけ癩病らいびやうの如く顏色がんしよくも變り人交際つきあひも出來ぬやうに成ければおてつは仕濟したりと打よろこび條七に打むかひお前は入聟いりむこの身斯る業病ごふびやうになりては先祖せんぞすまず早く實家へ歸りくれよといとつれなくも言ければ條七も詮方せんかたなく前世ぜんせの業と斷念あきらめるより外なしと女房娘を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
爾時そのとき幼君えうくんおほせには、「なんぢ獻立こんだてせし料理れうりなれば、さぞうまからむ、此處こゝにてこゝろむべし」とて御箸おんはしらせたまへば
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これ/\ぜんつてな……おしるあつくしてるがい……さア/\おべ/\剰余物あまりものではあるが、此品これ八百膳やほぜん料理れうりだから、そんなに不味まづいことはない、おあがり/\。
つまり、料理れうりとか裁縫さいほうとか、育兒いくじとかといふ書物以外しよもついぐわいに——婦人ふじん實生活じつせいくわつなかつとめる役割やくわりくわんした書物以外しよもついぐわいに、婦人ふじんにのみようのある書物しよもつがあるかどうかといふこと疑問ぎもんである。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
其處そこでお料理れうりが、もづくと、冷豆府ひややつこ、これはめる。さかづき次第しだいにめぐりつゝ、いや、これは淡白あつさりしてい。さけいよ/\たけなはに、いや、まことにてもすゞしい。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……乃公わしところ今日けふ小供ばう袴着はかまぎ祝宴いはひがあつて、いま賓客きやくかへつたが少しばかり料理れうり残余あまつたものがあるが、それをおまへげたいから、なにか麪桶めんつうなにかあるか、……麪桶めんつうがあるならしな。
おぼかたはいけ粗雜ぞんざいだが、料理れうりはいづれも念入ねんいりで、分量ぶんりやう鷹揚おうやうで、いさゝかもあたじけなくないところうれしい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ねがはくははりきずつくことなかれ。お孃樣ぢやうさまこれめせと、乳母うばならむはしさゝぐるを、いはく、ヱプロンけて白魚しらうを料理れうり出來できますかと。うをくべし。手首てくびしろさら可三寸さんずんばかり
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さけ熱燗あつかんのぐいあふり、雲助くもすけふうて、ちや番茶ばんちやのがぶみ。料理れうりかた心得こゝろえず。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くちなは料理れうり鹽梅あんばいひそかにたるひとかたりけるは、(おう)が常住じやうぢう居所ゐどころなる、屋根やねなきしとねなきがう屋敷田畝やしきたんぼ眞中まんなかに、あかゞねにてたるかなへ(にるゐす)をゑ、河水かはみづるゝこと八分目はちぶんめ
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おなじ手帳てちやうに、そのときのお料理れうりしるしてあるから、一寸ちよつと御馳走ごちそうをしたいとおもふ。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かごなかなる何某なにがしづるにもでられず、おほせにそむかば御咎おとがめあらむと、まじ/\として煙草たばこへば、幼君えうくん左右さいうかへりたまひ、「いまこそかね申置まをしおきたる二人前ににんまへ料理れうりまゐれ」とめいぜらる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いへのかゝり料理れうり鹽梅あんばいさけあぢ、すべて、田紳的でんしんてきにて北八きたはち大不平だいふへいしかれども温泉をんせんはいふにおよばず、谿川たにがはより吹上ふきあげの手水鉢てうづばち南天なんてん一把いちは水仙すゐせんまじへさしたるなど、風情ふぜいいふべからず。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じぶと料理れうりあり。だししたぢに、慈姑くわゐ生麩なまぶ松露しようろなど取合とりあはせ、魚鳥ぎよてうをうどんのにまぶして煮込にこみ、山葵わさび吸口すひくちにしたるもの。近頃ちかごろ頻々ひんぴんとして金澤かなざは旅行りよかうする人々ひと/″\みなその調味てうみしやうす。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いや、やがこひ料理れうりして、大胡座おほあぐらとき魔神ましん姿すがたせたいな。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)