不自由ふじゆう)” の例文
この不自由ふじゆうな、みにくい、矛盾むじゅん焦燥しょうそう欠乏けつぼう腹立はらだたしさの、現実げんじつ生活せいかつから、解放かいほうされるは、そのときであるようながしたのです。
希望 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いや、おんみずからのご不自由ふじゆうよりも、戦乱せんらんのちまたにえひしがれている民のうえにご宸念しんねんやすませられたことがない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
てきにおそわれたり、たべものに不自由ふじゆうする心配しんぱいもなく、安心あんしんして、卵をかえしたり、ひなをそだてたりすることのできるところがたくさんあるのです。
山本先生やまもとせんせいがわるくて、ほんをよむことが不自由ふじゆうなので、諭吉ゆきちは、なかのうごきなどについて、いろいろな先生せんせいがたの漢文かんぶんでかいたものをよんであげたり
「おまえの生きているかぎり、子ジカはおまえのそばにおくがよい。あれにもけっして不自由ふじゆうはさせぬ。」
わたくしおもまくらいて、起居たちい不自由ふじゆうになったといたときに、第一だいいちせつけて、なにくれと介抱かいほうをつくしてくれましたのは矢張やは鎌倉かまくら両親りょうしんでございました。
若者わかものはとんだひろものをしたとおもって、いわれるままにそのいえみました。たった一人ひとりらしですから、当分とうぶんはもらったおこめで、不自由ふじゆうなくらしていきました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
たいへん不自由ふじゆうしていたので、宿屋やどやにとまっている、じょうずなわかい木ぐつ屋のうわさを聞くと、われもわれもと、木ぐつの注文をしに、やってきたのでありました。
名なし指物語 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
だがさういふ不自由ふじゆう約束やくそく出來できないまへうたると、たとあきかなしくさびしいものだとんでゐても、それがかく個人こじん實際じつさいかんじとして人々ひと/″\むねつよれるのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
あし不自由ふじゆうであるにもかかわらず、四十にちかかおには、ふれればげるまでに白粉おしろいって、ときよりほかには、滅多めったはなしたことのない長煙管ながぎせるを、いつもひざうえについていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
病院びょういんなどにはいるものは、みんな病人びょうにん百姓共ひゃくしょうどもだから、そのくらい不自由ふじゆうなんでもいことである、自家じかにいたならば、なおさら不自由ふじゆうをせねばなるまいとか、地方自治体ちほうじちたい補助ほじょもなくて
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あゝ一昨年おととしかられもがけのあつめにまわるさ、祖母おばあさんは年寄としよりだからそのうちにもるはあぶないし、るいから印形いんげうおしたりなにかに不自由ふじゆうだからね、いままで幾人いくたりをとこ使つかつたけれど
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なに不自由ふじゆうのないようにしてやりました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
おばあさんは、おじいさんののこしていってくれた、たくさんのおかねがありましたから、なに不自由ふじゆうなくらしていくことができました。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
びながら、の中から出てたものがありました。それは、目のえないみみずで、目が不自由ふじゆうなものですから、こんなにるのに手間てまをとってしまったのです。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
こうは四十にんたらずでしたが、外国がいこくでは、たべものが不自由ふじゆうだろうというので、白米はくまい何日なんにちぶんもふねにつみこんだり、宿やどがくらくてはこまるとおもい、ろうかにつけるかなあんどんや
当時とうじ江戸えどでは一ばんだという、その笠森かさもり水茶屋みずぢゃやむすめが、どれほどすぐれた縹緻きりょうにもせよ、浪速なにわ天満天神てんまんてんじんの、はしたもと程近ほどちか薬種問屋やくしゅどんや小西こにし」のむすめまれて、なにひとつ不自由ふじゆうらず
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ちち存命中ぞんめいちゅうには、イワン、デミトリチは大学だいがく修業しゅうぎょうためにペテルブルグにんで、月々つきづき六七十えんずつも仕送しおくりされ、なに不自由ふじゆうなくくらしていたものが、たちまちにして生活くらしは一ぺんし、あさからばんまで
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
このほどのことかゝんもくだ/\しや大音寺前だいおんじまへにてめづらしきこと盲目按摩めくらあんまの二十ばかりなるむすめ、かなはぬこひ不自由ふじゆうなるうらみてみづいけ入水じゆすいしたるをあたらしいこととてつたへるくらゐなもの
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
始終しじゅう不自由ふじゆうをして、まずしくんでいった母親ははおやのことをおもうと、すこしのたのしみもさせずにしまったのを、こころからいるためもありました。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、かれさらつづけて。『全体ぜんたいきみ不自由ふじゆう生活せいかつをされているので、いええば清潔せいけつでなし、きみ世話せわをするものし、療治りょうじをするにはぜにし。ねえきみ、で我々われわれせつきみすすめるのだ。 ...
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ながされて行ったしまにはろくろくべるものもありませんし、よしあっても、からだ不自由ふじゆう年寄としよりにはそれを自由じゆうってべることができませんでしたから、みんな行くとすぐんでしまいました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
不自由ふじゆうまなこだの。そんなこっちゃ、面白おもしろおもいは出来できねえぜ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
どこか、金持かねもちで、なに不自由ふじゆうなくらされて、むすめをかわいがってくれるようなひとのところへやりたいものだとかんがえていました。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、時計屋とけいやなおしにやると、あとでほかに時計とけいがないので不自由ふじゆうなものですから、一にち、一にちびてしまうのでありました。
時計とよっちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
さむい、きたほうちいさなまちに、ひとものおとこんでいました。べつに不自由ふじゆうはしていなかったが、口癖くちぐせのようにつまらないといっていました。
幸福の鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、その野原のはらひろうございましたので、毎日まいにちあそぶのに、不自由ふじゆうかんじませんでした。自分じぶんばかりでない、たくさんのほかのこちょうもいました。
ちょうと怒濤 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おまえたちは、おかあさんの田舎いなかかえったほうがいいか、それとも、こちらで、いくら不自由ふじゆうをしてもらしたほうがいいか、どちらがいいかな?」
青い草 (新字新仮名) / 小川未明(著)
上等兵じょうとうへい小野清作おのせいさくは、陸軍病院りくぐんびょういん手厚てあつ治療ちりょうで、うで傷口きずぐちもすっかりなおれば、このごろは義手ぎしゅもちいてなに不自由ふじゆうなく仕事しごとができるようになりました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆきがふると、おかあさんは、まちるのに、どんなに不自由ふじゆうをなさるかしれない。それだのに、このひとたちは、あそびができるといってよろこんでいる。」
真吉とお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかし、あるところに金持かねもちがありまして、なんの不自由ふじゆうもなくらしていましたが、ふと病気びょうきにかかりました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、それは、すこしの不自由ふじゆうをもかれらにかんじさせなかったのです。時計とけいこわれても、太陽たいようは、けっしてこわれたり、くるったりすることはありませんでした。
時計のない村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おじいさん、なにか不自由ふじゆうなものがあったら、どうかいってください。なんでもしてあげますから。」
犬と人と花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とうさんや、おかあさんは、たくさんのおかねのこして、このなかからられたので、おじょうさまはりっぱな、おおきないえになに不自由ふじゆうなく、ひとりでらしていられました。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おな場所ばしょで、おとなにもどく患者かんじゃがいました。べついがいないので、不自由ふじゆうするのをると、おたけは、そんなひとには、できるだけのしんせつをしたのでした。
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
またばんから新聞しんぶん不自由ふじゆうなくめるとおもい、それをたのしみながら、いえかえられたのであります。
小さなねじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
先方せんぽうが、金持かねもちで、なに不自由ふじゆうなく、そして、むすめをかわいがってさえくれればいいとおもっていましたので、先方せんぽうがそんなにいいとこであるなら、むすめもしあわせだからというので
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
その反対はんたいで、からだこそよく自由じゆうはきかなかったが、ますますくちやかましくなって、それに自分じぶん不自由ふじゆうで、おもうようにならぬところから、かんしゃくをこして、使つかっているものに
夏とおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、「はたして、そうだろうか?」と、うたがわざるをなかったのです。なぜなら、こうちゃんのうちは、おとうさんがないのに、またねえさんが病気びょうきで、一不自由ふじゆうをしつづけている。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふとしたことから、姉妹きょうだい父親ちちおやわずらいました。はじめのうちは、じきになおるだろうとおもっていましたが、だんだんわるくなって、一通ひととおりでない不自由ふじゆうをするようになりました。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんな山中やまなかだけれど、なに不自由ふじゆうはない。ながくここにめば、はるなつあきふゆ、いろいろのうつくしいながめもあれば、たのしみもある。おまえはいいとおもったら、いつまでもむがいい。
白すみれとしいの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おかあさんは、ながあいだ、そんなものをれて、不自由ふじゆう我慢がまんしていたんですか。」
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
としよりたちが、やまえて、とおくへいってはならないといったのはそのためだ。だれでも、自分じぶんたちが、いちばんえらいとおもっていれば、たとえ不自由ふじゆうをしても、のんきでいられるからだ。
ふるさと (新字新仮名) / 小川未明(著)
母親ははおやも、また、おなじように子供こどもおもっていたのです。身寄みよりのないたびて、さだめし不自由ふじゆうをすることだろう。どうか達者たっしゃはたらいてくれればいいがと、ほとけさまをおがんでいました。
母の心 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しょうちゃんは、自分じぶんをよくかわいがってくれる女中じょちゅう脊中せなかにいて、不自由ふじゆうはしなかったけれど、自分じぶんにはほかの子供こどものように、おかあさんがないのだとおもったときは、さびしそうにみえました。
遠方の母 (新字新仮名) / 小川未明(著)
二郎じろうは、そのうまて、かわいそうにおもいました。どんなに不自由ふじゆうだろう。
びっこのお馬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
れた、はじめのうちは、みんなこうしたもので、なれれば具合ぐあいがよくなるとおもっていたのです。そのうちに、不自由ふじゆうになれてしまって、つい不自由ふじゆうということがわからなくなったのです。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここにはもう長年ながねんいるけれど、そんな心配しんぱいはすこしもない。それにやまには、あかじゅくしたがなっているし、あのやま一つせば、たんぼがあって、そこにはわたしたちの不自由ふじゆうをしないほどの食物しょくもつちている。
兄弟のやまばと (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ええ、ねている子供こどもさんにっていってもらいますよ。そんなに不自由ふじゆうをしていても、まちがったことをしない、ほんとうに感心かんしんひとですものね。」と、おかあさんは、しみじみとおっしゃいました。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、むすめは、いまの不自由ふじゆうをしていることまで、物語ものがたりました。
トム吉と宝石 (新字新仮名) / 小川未明(著)