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神変夢想流のたか使い——鷹の翼を撃つがごとく、左右を一気に払って間髪かんぱつを入れない栄三郎、もはや今は近よる者もないと見て
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
カアカア、アオウガアガアガア、と五六みづうへひく濡色ぬれいろからすくちばしくろぶ。ぐわた/\、かたり/\とはしうへ荷車にぐるま
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それで なにがしの蝶のがもつ青の外ある色ならぬ山の湖 私ならカプリの洞の潮の色と恐らく云つたであらうと思はれる歌である。
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
あるところにくせ のわる夫婦ふうふがありました。それでもどもがないので、一鸚鵡あふむどものやうに可愛かあいがつてをりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
けれど、ばたいている二つのはねのあいだの、ツルツルしたせなかにしっかりとのっかっているのは、なかなかたいへんなことでした。
うねる流を傍目わきめもふらず、へさきに立って舟を導く。舟はいずくまでもと、鳥のに裂けたる波の合わぬしたがう。両岸の柳は青い。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やんまは、まだきていて、ときどきおもしたように、ばたきをしました。けれど、どうしたのか、くもはまだ姿すがたせませんでした。
二百十日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
……いえ、いえ。いくら李逵が嫌のなんのといったって、師の呪縛じゅばくにかかっては、ネを抜かれた禿鷹はげたかも同様で飛び立つことはできません。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるところに宴会えんかいが開かれ、当時議会でぶりのよい有名なぼう政治家が招待せられ、わが輩もその末席まっせきについたことがある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
次の日の明けたる時、家の鶏ばたきして、糠屋ぬかやすみ見ろじゃ、けけろとく。はてつねに変りたる鶏の啼きようかなと二親ふたおやは思いたり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
書きのこした桜の花や、鳥のの手入れに夢中になっていました。一雄は、とてもだめだと思うと、おどかしの積りでしくしくしました。
祖母 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そんなはなし最中さいちうにサァーツとおとをたてゝうるしのやうにくらそらはうから、直逆まつさかさまにこれはまた一からすがパチパチえてる篝火かがりびなかちてきた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
かべとなり左官夫婦さかんふうふが、朝飯あさめしぜんをはさんで、きこえよがしのいやがらせも、春重はるしげみみへは、あきはえばたきほどにも這入はいらなかったのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
秋待顏あきまちがほの萩の上葉うはばにいこひもやらず、けさのあはれのあさがほにふたゝびたびをうちてた飛び去りて宇宙ちうに舞ふ。
北村透谷詩集 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
その大きな翼をあまりはげしくばたきしたので、羽根の毛が幾つか抜けて、ひらひらと海岸の方へ落ちて行きました。
そなたくろ外套マントルほゝばたく初心うぶをすッぽりとつゝんでたも、すれば臆病おくびゃうこのこゝろも、ぬゆゑにきつうなって、なにするもこひ自然しぜんおもふであらう。
仰ぎ見る大檣たいしょうの上高く戦闘旗は碧空へきくうたたき、煙突のけぶりまっ黒にまき上り、へさきは海をいて白波はくは高く両舷にわきぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
眼に突っ立てた銀簪は、たかを浅く彫った平打ちの丈夫な品で、若い芸妓の頭を飾るにしては少し野暮です。
二十四さした切斑きりふの矢を負い、薄切斑にたか割りあわせて作り、鹿の角を使った鏑矢かぶらやをさし添えていた。
最早もう人気ひとけは全く絶えて、近くなる時斗満の川音を聞くばかり。たかなぞ落ちて居る。みちまれに渓流を横ぎり、多く雑木林ぞうきばやし穿うがち、時にじめ/\した湿地ヤチを渉る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
かはいたゆみ黒塗くろぬりのえびらたか征矢そやが十七ほん、——これはみな、あのをとこつてゐたものでございませう。はい、うま仰有おつしやとほり、法師髮ほふしがみ月毛つきげでございます。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
假初かりそめ愚痴ぐち新年着はるぎ御座ござりませぬよし大方おほかたまをせしを、やがあわれみてのたまはもの茂助もすけ天地てんちはいして、ひとたか定紋でうもんいたづらにをつけぬ、何事なにごとくて奧樣おくさま
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おつぎは米俵こめだはらのぼつてそのうへひくつた竹籃たけかごとやのぞいたとき牝雞めんどりが一けたゝましくしてうしろならなかんだ。にはとりも一しきりともやかましくいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
はるまけてものがなしきにさけてぶきしぎにかむ 〔巻十九・四一四一〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
この句は雀の子が、まだ十分にづくろいも出来ずに道の上にりておる。そこへ大名の行列が来た、「雀子よ其処をのいたのいた、そうしないと馬にふまれて死ぬるぞ」
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
倉地の広い胸と太い腕との間にがいに抱きしめられながら、小鳥のようにぶるぶると震えて
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
旦那の友だちは皆、当時流行の猟虎らっこの帽子をかぶり、ぶりのよい官員や実業家と肩をならべて、権妻ごんさいでもたくわえることを男の見栄みえのように競い合う人たちだからであった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「娘がお有りだつて。」徳富氏は雌鶏めんどりがひしたに卵を一つ見つけた折のやうに声をはづませた。「それぢや原稿をあげない事もないが、その代りこゝに一つ条件がある。」
そのばたきには、はじめのあひだこそ、こちらでもびっくりしますが、しかしだん/\すゝむにしたがつて、むしろとりびたつのも、道連みちづれが出來できたようになつかしくなるものです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
した徉徜さまよつてると何處どこともなくッとこゑがしたので、おもはずあいちやんは後退あとじさりしました、ト一おほきなはとかほびついて、つばさもつはげしくあいちやんをちました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「……大鳥おおとりがひの山に、わが恋ふるいもはいますと人のいへば、岩根いわねさくみてなづみ来し、よけくもぞなき。現身うつそみとおもひしいもが、玉かぎるほのかにだにも見えぬ、思へば。」
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
さてまへにいへる渋海しぶみ川にてはる彼岸ひがんころ、幾百万の白蝶はくてふ水面すゐめんより二三尺をはなれてもすれあふばかりむらがりたるが、たかさは一ぢやうあまり、両岸りやうがんかぎりとして川下より川上の方へ飛行とびゆく
朝雨にあらわれたあとの、すがすがしい空には、パチパチとはじける音がして、明治神宮奉祝の花火があがっている。小禽ことりが枝から飛立つぶきに、ふちべにの、淡い山茶花さざんかが散った。
大橋須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
しかし結い立ての銀杏返いちょうがえしのびんせみのように薄いのと、鼻の高い、細長い、やや寂しい顔が、どこの加減か額から頬に掛けて少しひらたいような感じをさせるのとが目に留まった。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
三度まで射たる故にや依りけん、この矢眉間の只中ただなかとおりて、喉の下まで、ぶくら責めてぞ立ちたりける、二、三千見えつる焼松も、光たちまち消えて、島のごとくにありつる物
そこに鼠色の一點と見えるのは、廣げた儘のぎざぎざした兄鷹せうたか
石工 (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)
かへるかり、かへりてはるもさびしきに、わらはのひろふ小田をだのこぼれ
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
わりなくも君が御歌に秋痩せてよわき胡蝶のもうらやみぬ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
うつせみのに置く露の隠れて忍び忍びにるるそでかな
源氏物語:03 空蝉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
朝ぼらけごろもじろあめの子が乱舞するなり八重桜ちる
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
鵲は雪ふり乱る空にして色まぎれなしかへばたく
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ぶくらぎわくれないふさが一筋タラリと下がっている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あふるるちからのぶり、——はた、さながら
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ば、苦桃にかもゝ岩角いはかどこし打懸うちかけ、ちん
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たたぎ二四も これはふさはず
 一すヾめがいふことにや
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
蒼蠅さばへならし飛びめぐる
ねたみ (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
ひゞかざらめやそのがひ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
夫婦ふうふはこれに刎起はねおきたが、左右さいうから民子たみこかこつて、三人さんにんむつそゝぐと、小暗をぐらかたうづくまつたのは、なにものかこれたゞかりなのである。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ばたきに調子ちょうしをあわせて、いつものように、「きみはどこだい? ぼくはここだよ! きみはどこだい? ぼくはここだよ!」