旅行りよかう)” の例文
わたくし元來ぐわんらい膝栗毛的ひざくりげてき旅行りよかうであるから、なに面倒めんだうはない、手提革包てさげかばん一個ひとつ船室キヤビンなか投込なげこんだまゝ春枝夫人等はるえふじんら船室キヤビンおとづれた。
元來ぐわんらい自分じぶんだい無性者ぶしやうものにておもたつ旅行りよかうもなか/\實行じつかうしないのが今度こんどといふ今度こんど友人いうじん家族かぞくせつなる勸告くわんこくでヤツと出掛でかけることになつたのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
くてまた週間しうかんぎ、つひにミハイル、アウエリヤヌヰチととも郵便いうびん旅馬車たびばしや打乘うちのり、ちか鐵道てつだうのステーシヨンをして、旅行りよかうにと出掛でかけたのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
私自身わたしじしんとしては、まさに一のコスモポリタンだとしんじてゐる。しかわたしは『一所不在しよふぢう』でない。あきらかに日本東京にほんとうきやう居住きよぢうしてゐる。また海外かいぐわい旅行りよかうしたことほとんどない。
無論むろんうとも』とつて海龜うみがめは、『だから、さかなわたしところて、旅行りよかう出懸でかけるンですがとはなすならば、わたし何時いつでも「どんな海豚いるかと一しよに?」とたづねる』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
汽車きしやるとみじかい道中だうちゆうでも所爲せゐつかれるね。留守中るすちゆう別段べつだんかはつたことはなかつたかい」といた。實際じつさいかれみじかい汽車きしや旅行りよかうにさへへかねる顏付かほつきをしてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ば包てとこの下へ入しかさは百兩ほどなり強慾がうよくの大膳は此體このていを見るより粟々ぞく/\と喜びながらも女の身としてかゝる大金を所持し一人旅行りよかうするは心得がたしとまづ宿やどの下女をまねひそかに樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つい先月せんげつ中旬ちうじゆんである。はじめて外房州そとばうしうはうへ、まことに緊縮きんしゆく旅行りよかうをした、そのとき——
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とうさんが村役塲むらやくばまへとほりますと、そこへはねやすめてつばめもありました。つばめ役塲やくばまへてゝある標柱はしらながめて、さも/\とほ旅行りよかうをしてたやうなかほをしてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おれたちの影は青い沙漠旅行りよかう
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
『これがわたくしつま春枝はるえ。』とわたくし紹介ひきあはせ、さら夫人ふじんむかつて、わたくしかれとがむかしおなじまなびのともであつたことわたくし今回こんくわい旅行りよかう次第しだい
諸君しよくんうちぼく故郷くに旅行りよかうせられるやうなことがつたならば、是非ぜひ一度いちど大島小學校おほしませうがくかうはれたいものです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
と、芥川あくたがはさんがえいじて以来いらい、——東京府とうきやうふこゝろある女連をんなれんは、東北とうほく旅行りよかうする亭主ていしゆためおかゝのでんぶと、焼海苔やきのりと、梅干うめぼしと、氷砂糖こほりざたう調とゝのへることを、陰膳かげぜんとゝもにわすれないことつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もつ野道のみち山路やまみちは云も更なり都合つがふよりてはあさほしいたゞくれには月をふん旅行りよかうなす事往々まゝあるにより先生をたのみ劔術をまなびなば道中するにも心強くかつ賊難ぞくなんふせぐ一端共成事なれば此趣きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二人ふたり旅行りよかうへてかへつてたのは十一ぐわつまちにはもう深雪みゆき眞白まつしろつもつてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかし、をんなおほいので服裝ふくさうものるとか、二週間にしうかん旅行りよかうしてかへつてくると、きふにみんなのせい一寸いつすんづゝもびてゐるので、なんだかうしろからかれるやう心持こゝろもちがするとか、もうすこしすると
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なが旅行りよかうつた諸君しよくんはおさつしでもあらうが、ひともなき異境ゐきやうで、滊車きしや滊船きせん出發しゆつぱつくらすほど徒然つまらぬものはない、つてつ、
箱根はこね伊豆いづ方面はうめん旅行りよかうするもの國府津こふづまでると最早もはや目的地もくてきちそばまでゐたがしてこゝろいさむのがつねであるが、自分等じぶんら二人ふたり全然まるでそんな樣子やうすもなかつた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
長野ながの辨當べんたうつたときなさけなかつた。はす人參にんじんくさ牛肉ぎうにくさかなふのが生燒なまやけ鹽引しほびきさけよわる。……稗澤山ひえだくさんもそ/\の、ぽんぽちめし、あゝ/\旅行りよかうはしなければかつたとおもつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
家内の者より初めて承まはり實に驚き入しゆゑ早速くやみに參らんと存じ旅行りよかうまゝ草鞋わらぢとか空腹くうふくに付食事を致し居り候所へ御捕方とりかたの人々參られ御召捕に相なりし次第にて勿々なか/\人を殺し金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
道々みち/\も一ぷん絶間たえまもなくしやべつゞけて、カフカズ、ポーランドを旅行りよかうしたことなどをはなす。さうして大聲おほごゑ剥出むきだし、夢中むちゆうになつてドクトルのかほへはふツ/\といき吐掛ふつかける、耳許みゝもと高笑たかわらひする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なつはじめたびぼくなによりもこれすきで、今日こんにちまで數々しば/\この季節きせつ旅行りよかうした、しかしあゝ何等なんら幸福かうふくぞ、むねたのしい、れしい空想くうさういだきながら、今夜こんやむすめはれるとおもひながら
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
旅行りよかうをしても、このさと、このもり、このほこら——どうも、みゝづくがゐさうだ、と直感ちよくかんすると、はたして深更しんかうおよんで、ぽツと、あらはれづるからすなははなせる。——のツほーほう、ほツほウ。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今夜こんやきよんだ温泉をんせんはひられるとおもひながら、この好時節かうじせつ旅行りよかうせんとは。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
たま/\の旅行りよかうだし、靜岡しづをかまで行程ゆきして、都合つがふで、あれから久能くのう𢌞まはつて、龍華寺りうげじ——一方ひとかたならず、わたしのつたないさくおもつてくれた齋藤信策さいとうしんさくひと)さんのはかがある——其處そこ參詣さんけいして
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
或人あるひと義母おつかさん脊後うしろからその脊中せなかをトンとたゝいて『義母おつかさん!』とさけんだら『オヽ』とおどろいて四邊あたりをきよろ/\見廻みまはしてはじめて自分じぶん汽車きしやなかること、旅行りよかうしつゝあることにくだらう。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
じぶと料理れうりあり。だししたぢに、慈姑くわゐ生麩なまぶ松露しようろなど取合とりあはせ、魚鳥ぎよてうをうどんのにまぶして煮込にこみ、山葵わさび吸口すひくちにしたるもの。近頃ちかごろ頻々ひんぴんとして金澤かなざは旅行りよかうする人々ひと/″\みなその調味てうみしやうす。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)