めい)” の例文
しやうめいくるのにはすなは其家そのいへわすれ、ぐんのぞんで約束やくそくすればすなは其親そのしんわすれ、(一六)枹鼓ふこることきふなればすなは其身そのみわする。
水鬼はめいもとめるという諺があって、水に死んだ者のたましいは、その身代りを求めない以上は、いつまでも成仏じょうぶつできないのである。
其の時院のけしきかはらせ給ひ、汝聞け、帝位は人のきはみなり。人道にんだうかみより乱すときは、天のめいに応じ、たみのぞみしたがうて是をつ。
この遊歩いうほあひだ武村兵曹たけむらへいそうめいずるまゝに、始終しじゆう吾等われらまへになり、うしろになつて、あらかじ猛獸まうじう毒蛇どくじや危害きがいふせいでれた、一頭いつとう猛犬まうけんがあつた。
どっちにしても、ここ二、三日のうちに果心居士かしんこじめいをはたさなければ、こんどこそ竹童、鞍馬山くらまやまからンだされるにきまっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また一生けんめいく。うぐいすならば春にはっきり啼く。みそさざいならばからだをうごかすたびにもうきっと啼いているのだ。
神仙は尊に向って、「十年間はこのことを他言たごんしてはならん」と云った。尊はそのめいを守って十年過ぎても何人たれにも云わなかった。
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、私が、どうぞ自分の国へ帰らせてくださいませ、とお願いしますと、すぐに、船を出すようにと、家来におめいじになりました。
居士のめいが短かかっただけそれだけ余と居士との交遊は決して長かったとはいえぬのであるが、それでも此の道灌山の破裂以来も
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
きよんで、ぜんせとめいずると、きよこまつた顏付かほつきをして、まだなん用意ようい出來できてゐないとこたへた。成程なるほど晩食ばんめしにはすこがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
りよ小女こをんなんで、汲立くみたてみづはちれていとめいじた。みづた。そうはそれをつて、むねさゝげて、ぢつとりよ見詰みつめた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
なるほど、ぼくは、きのう、バントをめいじられたのに、かってに、打撃だげきに出た。それはチームの統制とうせいをやぶったことになるかもしれない。
星野くんの二塁打 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
其後そのご雲飛うんぴ壮健さうけんにして八十九歳にたつした。我が死期しききたれりと自分で葬儀さうぎ仕度したくなどをとゝの遺言ゆゐごんして石をくわんおさむることをめいじた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
珍しい日本人が舞いこんできたので老人何でもする気でいるのだ。召使い一統もめいをかしこんで「YA・YA!」と口ぐちに答えている。
踊る地平線:04 虹を渡る日 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
ほどなくその負傷はめいに関するほどにもあらざる由を聞きたれど、なお田崎を遠く佐世保にやりてそのようすを見させしなりき。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
それ大変たいへんだ、しかきみはまだ一めいがあるのが幸福しあはせだ、大原伊丹君抔おほはらいたみくんなど可愛想かあいそうにモルヒネを沢山たくさんませられたもんぢやから、到頭たうとう死んでしまつた。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかるにわが本師釈迦牟尼仏しゃかむにぶつは我の教うる戒法を持つ者は、何処いずくに行くとても凍餓とうがの為に死すということはないとめいせられた。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
勘次かんじこゝろよくおつぎにめいじた。おつぎはふる醤油樽しやうゆだるから白漬しろづけらつきやう片口かたくちしておつたのそばすゝめた。勘次かんじは一つつまんでかり/\とかじつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「これは、ぼくのせみだからがしちゃいけないよ。ばんをしていておくれ。」と、めいずるように、B坊ビーぼうかっていいました。
町の真理 (新字新仮名) / 小川未明(著)
細君は下女げじょをよんで、自分のひよりげたをこまげたにとりかえさして、縁端えんばたこしをかけた。そうしてげたのあとをしてくれ、と下女にめいじた。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
全く、一の神秘な人格とさえ成ってしまう。その時、人間はむしろ却って被駆使者となり、奴僕ぬぼくとなり、これめいこれに従わねばならなくなる。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
そうしてそのなつかしい日本民族の勢力をぐべき事業のために、残忍非道なる無頼漢のめいを奉じて出て来た今度の旅行が、如何に屈辱的な
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その次には彼等が引きこもってめいを奉じないのを、攻め寄せて討ちとった。それでもいかぬのでその次には懐柔策を採った。
家の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一たびこれに接して畏敬の念を生じたる春岳しゅんがくはこれをへいせんとして侍臣じしんをしてめいを伝えしめしも曙覧は辞して応ぜざりき。
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
すると金魚屋きんぎょやは、そのころ時刻じこくだつたら、パチンコにいたとこたえたから、井口警部いぐちけいぶはその実否じっぴを、平松刑事ひらまつけいじめいじてたしかめさせることにした。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
百樹もゝき曰、北越に遊びて牧之老人が家に在し時、老人家僕かぼくめいじて雪をこぐ形状すがたを見せらる、京水かたはらにありて此図をうつせり。穿物はくものは、○かんじきすかりなり。
宮はこの日頃吾に篤からざりしを悔いて、その悔を表せんには、何等の事を成さんも唯吾めいのままならんとぞ言来いひこしたる。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
呼出し初て白洲しらすを開きける此めい彼方此方へ通ずるに元益親子は庄兵衞のあだの御詮議せんぎなる可しと思へどもお金の呼出さるゝを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(四)「けい」「てい」「めい」のようにエ段音の次にイ音が来たものは、文字通りケイテイメイと発音していたのであるが、江戸後半の京都方言では
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
再会期し難きを思えば、入宋をとどめ給う師のめいもそむき難い。しかし今身命を顧みず入宋求法するのは、慈悲によって衆生を救い得んためである。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
さむらいの子は、ちゃんなどというもんじゃアねえ。父上ちちうえといえ……という左膳さぜんめいを奉じて、つけなくてもいいところへ、盛んに父上をつけるので。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
日本は三千年の古い帝国なりといえども、明治の気運は全く新たなり。ただめいあらたなり。世界的に活動を要する。欧州の大戦も早晩平和は来る。
吾人の文明運動 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
さていよいよその庭に至れば甚だ清閑せいかんで従者僕僮ぼくどう一人としてめいたがう者が無い。治者の言、明察にして断なるが故に、その政がみだれないからである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
この危急存亡のときに、天なる哉、めいなる哉、ゆらりゆらりとこの店へ繰込くりこんだものがありました。それは別人ならず、長者町の道庵先生でありました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あの大風の晩に懐中電燈で森の中を探し廻っていた男は、ひょっとしたら、彼等のめいを受けてトランクを探しに来た一味の者だったかも知れませんね。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
青黄紅白せいくわうこうはく正暈倒暈せいうんたううん淺深せんしんくれなゐたゞきみめいのまゝなり昌黎しやうれい放語はうごにくみ、ふがまゝにじゆつをなせよとふ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
家厳かげんが力をつくして育し得たる令息は、篤実一偏、ただめいこれしたがう、この子は未だ鳥目ちょうもくの勘定だも知らずなどと、あらわうれえてそのじつは得意話の最中に
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
熱烈鷙悍しかんの感情意氣を有したものの存することは爭はれぬ事實で、彼の『天子はめいを造る、命を言ふ可からず』
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ぎっしり、抽斗ひきだしぱいつまった衣装いしょうを、一まいのこらずたたみうえへぶちまけたそのなかを、松江しょうこう夢中むちゅうッかきまわしていたが、やがてえながらしん七にめいじた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
この與力よりきもなく、但馬守たじまのかみから閉門へいもんめいぜられた擧句あげくに、切腹せつぷくしてしまつた。とが箇條かでううちには、多田院御用ただのゐんごよう立札たてふだ無禮ぶれいがあつたといふくだりもあつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ブロックは、まるでこうやって聞くことはめいを犯すことででもあるかのように、頭をうなだれて聞いていた。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
状使のこれはきはめて急なれば、車に乗りてけとめいぜられたる抱車夫かゝへしやふの、御用ごようとなれば精限せいかぎけてけてかならずおかざるべし、されど車に乗るとふは
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
めいじました。釜右ヱ門かまえもんは、あなのあいたなべをぶらんぶらんとふりながら、またむらにはいっていきました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
余はそのめいに従わんとするに生田は痛くいきどおこぶしを握りて目科に打て掛らんとせしかども、二人に一人の到底及ばぬを見て取りし如くだ悔しげなる溜息を洩すのみ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
天狗界てんぐかい探検たんけんきつづいて、わたくし指導役しどうやくのおじいさんから、竜神りゅうじん修行場しゅぎょうば探検たんけんめいぜられました。——
叔父は自分のめい旦夕たんせきに迫っているのを知らないのである。けれど私はこれを知っている「これが最後のおわかれだ」こう思うと、やっぱり何だか寂しいような気がした。
すると旅人は生家うぶやの中から、何とも知れぬ大男が、急ぎ足に外へ出て来るのを見た。大男は唯「年は八歳、めいは自害」と云ひ捨てたなり、たちま何処どこかへ消えてしまつた。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
けろ!』アンドレイ、エヒミチは全身ぜんしんをぶる/\とふるはして。『おれめいずるのだツ!』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
基督きりすと兵卒へいそつなり、兵卒は其時そのとききたまでなにをなすべきかを知らず、しゆめいならん乎、高壇かうだんつ事もあるべし、官海くわんかいたうずるやもはかられず、基督信者は目的もくてきなき者なり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
その後暴人ぼうじん江戸市街しがい横行おうこうし、良家りょうか闖入ちんにゅうして金銭をかすむるのうわさありし時も、先生すこぶる予が家を憂慮ゆうりょせられ、特に塾員じゅくいんめいじ、きたって予が家に宿泊しゅくはくせしめ、昼夜ちゅうや警護けいごせられたることあり。