すなは)” の例文
しやうめいくるのにはすなは其家そのいへわすれ、ぐんのぞんで約束やくそくすればすなは其親そのしんわすれ、(一六)枹鼓ふこることきふなればすなは其身そのみわする。
小賊せいぞくかずして、すなはかたなつてゆびつてたまぬすむや、ゆびよりくれなゐいとごとほとばしりぬ。頭領とうりやうおもてそむけていはく、於戲痛哉あゝいたましいかな
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひそめあの御方の儀に付ては一朝一夕いつてういつせきのべがたしまづ斯樣々々かやう/\の御身分の御方なりとてつひに天一坊と赤川大膳だいぜんに引合せすなはち御墨付すみつきと御短刀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
で、禿はその通の病人だから、今ではあの女がひとりで腕をふるつて益す盛につてゐる。これすなはち『美人びじクリイム』の名ある所以ゆゑんさ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
早稻田文學が文壇の牛耳をとりて大道を説くは善し。われあに其意を取らざらむや。されど其言はすなはちわが取らざる所なり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
小父おぢさんの帰りはとつかはと馬車に乗りてはねばならぬ我宿わがやどの三ぜん冷飯ひやめしに急ぎ申候まうしそろいますなは如何いかん前便ぜんびん申上まうしあそろ通り、椽端えんばた日向ひなたぼつこにそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
運命とは神意にいづるものにもあらず、天命にもあらず、怪異にもあらず。古昔希臘ギリシヤ人は以為おもへらく、人智の得て思議すべからざる者是れすなはち運命なりと。
罪過論 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
癸未みづのとひつじ、皇后体不予みやまひしたまふ。すなはち皇后のめに誓願こひねがひて、初めて薬師寺をつ。りて一百の僧をいへでせしめたまふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
吾人は此にも前と同様なる疑ひを提起し得べし、すなは尚武任侠しやうぶにんけふはひとり日本国民の特質なりといふを得べきかと。
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
ひと人以上ひといじやうものになることは出來できない、しかひとひと能力のうりよく全部ぜんぶつくすべき義務ぎむもつる。此義務このぎむつくせばすなは英雄えいゆうである、これが先生せんせい英雄經えいゆうきやうです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
今一刃ヲ加フ、但シ刃長ケレバすなはチ棒頭力無シ、他ノ棒ヲ圧スルコトあたハズ、只二寸ヲ可トス、形鴨嘴あふしノ如シ。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
昼はすなはち日光をおそれ、又人および諸の強鳥を恐る。心しばらくも安らかなることなし。これは流転の中の、つらい模様をわれらにわかるやう、かに申されたのぢゃ。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
余は平民社の編輯室へんしふしつ幸徳かうとくさかひの両兄と卓を囲んで時事を談ぜり、両兄いはく君が裁判の予想如何いかん、余曰くときなり、無罪の判決元より望むべからず、両兄いはしからばすなはち禁錮、罰金乎
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
身には殆ど断々きれ/″\になつた白地の浴衣ゆかたを着、髪をおどろのやうに振乱し、恐しい毛臑けずねを頓着せずにあらはして居るが、これがすなはち自分の始めて見た藤田重右衛門で、その眼をいからした赤い顔には
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
出せばすなはち雷火である
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
(五二)くわんなればすなは名譽めいよひとちようし、きふなればすなは介冑かいちうもちふ。いまやしなところもちふるところあらず、もちふるところやしなところあらずと。
驚き何者の所爲しわざなるかと見返へれば是すなは別人べつじんならず彼の飯焚めしたきの宅兵衞なれば吾助は大いに怒りおのれ如何なれば掛る振舞ふるまひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今は疑ふべくもあらず、彼はまさしく人目を避けんと為るなり。すなはち人を懼るるなり。故は、自らとがむるなり。彼は果して何者ならん、と貫一はいよいよ深く怪みぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
実に北海道にして始めて見るべき種類の者らしい、すなはち何れの未開地にも必ず先づ最も跋扈ばつこする山師やましらしい。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
爾迦夷るかゐすなはち両翼を開張し、うやうやしくくびを垂れて座を離れ、低く飛揚して疾翔大力を讃嘆すること三匝さんさふにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきしてただ願ふらく、疾翔大力、疾翔大力
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
しかれどもかみ和ぎ、しもむつびて、事をあげつらふにかなふときは、すなは事理ことわり自らに通ふ、何事か成らざらむ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
すなはち問うてはく、国民性とは何ぞや、国民的性情の満足とは何ぞや、そも/\又の要求に是認せらるべき点ありとせば、そは果して如何程いかほどの意味にて是認せらるべきかと。
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
旅行りよかうをしても、このさと、このもり、このほこら——どうも、みゝづくがゐさうだ、と直感ちよくかんすると、はたして深更しんかうおよんで、ぽツと、あらはれづるからすなははなせる。——のツほーほう、ほツほウ。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
刑法が言ふ所の窃盗せつたう、彼は児戯じぎです、神の見給ふ窃盗とはすなはち、今日の社会がもつとも尊敬して居る法律と愛国心です、所有権の神聖、兵役の義務、足れ皆な窃盗掠奪の符調に過ぎないのです
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「人間は完全に自然を発展すれば、必ずその最後は悲劇に終る。すなはち自然その者は到底たうてい現世の義理人情に触着しよくちやくせずには終らぬ。さすれば自然その者は、遂にこの世において不自然と化したのか」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
『百姓貧シキハすなはちんノ貧シキナリ、百姓ノ富メルハ則チ朕ノ富メルナリ』
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ところ厚利こうりづるものなるに、これくに名高めいかうもつてせば、すなは無心むしんにして事情じじやうとほしとせられ、かなら(六三)をさめられざらん。
わたくしはこのごろになつて益々ます/\かんずることは、ひと如何どん場合ばあひてもつねたのしいこゝろもつ其仕事そのしごとをすることが出來できれば、すなは其人そのひとまこと幸福かうふくひとといひることだ。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
つぶし互ひに顏を見合せて少時しば言葉ことばなかりしが大膳は吉兵衞に向ひ我こそは赤川大膳とてすなはち山賊の棟梁とうりやうなりまたこれなるは藤井左京とて近頃此山中に來りて兄弟のえん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
利爪りさう深くその身に入り、諸の小禽せうきん痛苦又声を発するなし。すなはち之を裂きてほしいまま噉食たんじきす。或は沼田せうでんに至り、螺蛤らかふついばむ。螺蛤軟泥中にあり、心柔輭にうなんにして、唯温水をおもふ。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
必要の上から借る者があるで、貸す者がある。なんぼ貸したうても借る者が無けりや、我々の家業は成立ちは為ん。その必要を見込んで仕事を為るがすなはち営業のたましひなんじや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
斯法しほふタルヤすなは如来によらい肝心かんじん衆生しゆじやう父母ぶも、国ニ於テハ城塹じやうざん、人ニ於テハ筋脈きんみやくナリ、是ノ大元帥ハ都内ニハ十供奉ぐぶ以外ニ伝ヘズ、諸州節度ノ宅ヲ出ヅルコトナシ、縁ヲ表スルニソノ霊験不可思議なり
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
最早もう、二時」と、梅子はかしらを垂れぬ、警吏の向ふべき日は、既に二時を経過せるなり、曙光しよくわう差しきたるの時は、すなはち篠田が暗黒の底に投ぜらるべきの時なり、三年の煩悶はんもんを此の一夜いちやに打ち明かして
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
其辭そのじ(七六)徑省けいせいすれば、すなは(七七)不知ふちとしてこれくつし、(七八)汎濫博文はんらんはくぶんなれば、すなはこれおほしとして(七九)ひさしとす。
世界をうちとなし到る処に其故郷を見出す程の人は、到る処の山川、接する処の人がすなはち朋友である。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
すなは新著百種しんちよひやくしゆ出版元しゆつぱんもとです、第二は文学士ぶんがくし高田早苗たかださなゑくんわたし読売新聞よみうりしんぶんすゝめられた、第三は春陽堂しゆんやうどうの主人和田篤太郎わだとくたらうくんわたしの新聞に出した小説をかなら出版しゆつぱんした人、吉岡君よしをかくんが来て
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「凡百ノ技、こうニ始マリ、拙ニ終ル、ニ出デテ不思ふしニ入ル、故ニ巧思極マル時ハすなはチ神妙ナリ。神妙ナル時ハ則チ自然ナリ。自然ナルモノハ巧思ヲ以テ得ベカラズ、歳月ヲ以テ到ルベカラズ……」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
すなはち平沢組の監督です。
革トランク (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
きみつて呉起ごきして(一〇二)ともかへり、すなは(一〇三)公主こうしゆをしていかつてきみかろんぜしめよ。呉起ごき公主こうしゆの・きみいやしむをば、すなはかならせん
そこで、金港堂きんこうどうはじめ年少詩人ねんせうしじん俊才しゆんさいつて、おももちゐやうとこゝろざしおこしたものと考へられる、この金港堂きんこうどう編輯へんしうには中根淑氏なかねしゆくしたので、すなはこの人が山田やまだ詞才しさいつたのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その證據しようこにはかつこひめにくるしもだえたひとも、ときつて、普通ふつうひととなるときは、何故なにゆゑ彼時あのとき自分じぶんこひめにくまで苦悶くもんしたかを、自分じぶんうたがうものである。すなはかれこひちかられてないからである。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
(三六)かうきよき、(三七)かたちそむいきほひきんずれば、すなはおのづかめにけんのみいまりやうてう相攻あひせむ。輕兵けいへい鋭卒えいそつかならそとき、(三八)老弱らうじやくうちつかれん。
眞鶴まなづる巡査じゆんさすなは張飛巡査ちやうひじゆんさつたので
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
留心りうしんらば、すなはかならこれけん、留心りうしんくばすなはかならせん。(一〇一)これもつこれぼくせよ
穰苴じやうしよすなはへうたふ(一二)ろうけつし、りてぐんめぐへい(一三)ろくし、約束やくそく(一四)申明しんめいす。約束やくそくすでさだまる。夕時せきじ莊賈さうかすなはいたる。穰苴じやうしよいはく、『なんすれぞおくるる』
(二〇)かみおこなへばすなは(二一)しんかたし。(二二)らざればくにすなは滅亡めつばう