すゞめ)” の例文
さいはひそのは十一時頃じごろからからりとれて、かきすゞめ小春日和こはるびよりになつた。宗助そうすけかへつたとき御米およねいつもよりえ/″\しい顏色かほいろをして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それでも狡獪かうくわいすゞめためもみのまだかたまらないであま液汁しるごと状態じやうたいをなしてうちからちひさなくちばしんでしたゝかに籾殼もみがらこぼされた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
すゞめだつて、四十雀しじふからだつて、のきだの、えのきだのにまつてないで、ぼく一所いつしよすわつてはなしたらみんなわかるんだけれど、はなれてるからこえませんの。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ほそいけむりこそててゐるがのとしより は正直しやうじきで、それになにかをけつして無駄むだにしません。それで、パンくづ米粒こめつぶがよくすゞめらへのおあいそにもなつたのでした。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
独乙ドイツことわざに曰く「屋上のはとは手中のすゞめかず」と。著者の屋上の禽とは此諺の屋上の鳩を意味するもの。果して然らば少しく無理の熟語と謂はざるからず。
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
すゑにはう「初雪はつゆきやせめてすゞめの三まで」どころではないすゞめくびつたけになるほど雪がつもりました。
元來ぐわんらい麻雀マアジヤンとはすゞめで、パイのかちおと竹籔たけやぶさへづすゞめこゑてゐるからたといふ語源ごげんしんじるとすれば、やつぱり紫檀したん卓子テーブルでぢかにあそぶといふのが本格的ほんかくてき
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
与平治よへいじ茶屋附近虫取撫子なでしこの盛りを過ぎて開花するところより、一里茶屋に至るまで、焦砂せうさにほはすに花を以てし、夜来の宿熱をやすに刀の如きすゝきを以てす、すゞめおどろく茱萸ぐみ
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
ピソライトといふすゞめたまごのようなものが、火山灰かざんばひなかころがつてゐることがある。これは雨粒あめつぶ火山灰かざんばひうへころがつて出來できたものにぎないのである。火山かざんはまたどろ噴出ふんしゆつすることがある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
すぐうしろの寺の門の屋根やねにはすゞめつばめが絶えなくさへづつてゐるので、其処此処そここゝ製造場せいざうば烟出けむだしが幾本いくほんも立つてゐるにかゝはらず、市街まちからは遠い春の午後ひるすぎ長閑のどけさは充分に心持こゝろもちよくあぢははれた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
空にはもや/\ともやのやうな雲がつまつて、日光がチカ/\桜の青葉に降りそゝいで、すゞめの子がヂユク/\きくさつてゐた。どこかで朝から晩まで地形ぢぎやうならしのヤートコセが始まつてゐた……。
哀しき父 (新字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
型のごとく、青竹につるした白張の提灯ちやうちん、紅白の造花の蓮華れんげ、紙に貼付はりつけた菓子、すゞめの巣さながらの藁細工わらざいく容物いれものに盛つた野だんご、ピカピカみがきたてた真鍮しんちゆう燭台しよくだい、それから、大きな朱傘をさゝせた
野の哄笑 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
みんな、みんな、すゞめが飛んでしまひました。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
くつなかでもすゞめがハックッシヨ
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
せたすゞめが、チーパツパ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
すゞめおどりのおもしろさ
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
開墾地かいこんちへは周圍しうゐかくれる場所ばしよ所爲せゐか、村落むら何處どこにもにはかそのこゑかなくなつたすゞめぐんをなして日毎ひごとおそうた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
……馴染なじみなるすゞめばかりでけた。金魚きんぎよつた小兒こどものやうに、しかゝつて、しやがんでると、げたぞ! 畜生ちくしやうたゞ一匹いつぴきも、かげかたちもなかつた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こつそりとおばあさんのゆめ にすゞめがしのびこんでて、そしてとほくのとほくの竹藪たけやぶの、自分等じぶんらすゞめのお宿やどにつれてつておばあさんをあつくあつく饗應もてなしたといふことです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
下男を供に連れでましたれば、孝助は見えがくれに跡をけて参りましたが、女の足のはかどらず、幸手、栗橋、古河、真間田まゝだすゞめみやあとになし、宇都宮へ着きましたは
よめさんすゞめはお帽子ぼうしへこそり
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あれ、すゞめが飛んでしまつた。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
せたすゞめはす
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
すゞめが三羽とうまつて
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
すゞめだつてチツチツチツチツて、母様おつかさん父様おとつさんと、こども朋達ともだちみんなで、お談話はなしをしてるじやあありませんか。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すゞめが四五で、すゞしい樹蔭こかげにあそんでゐると、そこへからすがどこからかんでました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ちひさな身體からだでありながらすこするどくちばしつたばかりに、果敢はかないすゞめ頬白ほゝじろまへにのみ威力ゐりよくたくましくするもずちひさな勝利者しようりしやこゑはなつてきい/\ときはどく何處どこかの天邊てつぺんいてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
すゞめかへろと、ふたりづれ
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わたしへ向いて寄るすゞめ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
すゞめ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
……なんとりでせうね。うちすゞめよりはずつとおほきくつて、はとよりは、すらりとせて小形こがたな。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
からうじて腕車くるまくゞらしたれば、あみにかゝつたやうに、彼方あなた此方こなたを、すゞめがばら/\、ほら蝙蝠かうもりるやうだつた、と車夫同士くるまやどうしかたりなどして、しばらく澁茶しぶちやいちさかえる。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それみんなまへがさうおもふからで、あの、すゞめだつてゑさつて、ひろつてるのをて、うれしさうだとおもへばうれしさうだし、頬白ほゝじろがおぢさんにさゝれたときかなしいこゑだとおもつてれば
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
帝王ていわう世紀せいきにありといふ。あやしきをきこえたる羿げいかつ呉賀ごがきたあそべることあり。呉賀ごがすゞめして羿げいむかつてよといふ。羿げい悠然いうぜんとしてうていふ、生之乎これをいかさんか殺之乎これをころさんか
術三則 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ながれにはをのひゞきにはのみおとしろ蝙蝠かはほりあかすゞめが、ふもとさといろどつて、辻堂つじだううちなどはかすみかゝつて、はな彫物ほりものをしてやうとまで、しんじてたのが、こひしいをんな一所いつしよたゝめ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今朝けさ……とふがおひるごろ、炬燵こたつでうと/\してると、いつもさへづる、おてんばや、いたづらツすゞめたちは、何處どこへすツんだか、ひつそりとしづまつて、チイ/\と、あまえるやうに
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むらかゝると、降積ふりつもつた大竹藪おほたけやぶ弓形ゆみなりあつしたので、眞白まつしろ隧道トンネルくゞときすゞめが、ばら/\と千鳥ちどり兩方りやうはう飛交とびかはして小蓑こみのみだつばさに、あゐ萌黄もえぎくれなゐの、おぼろ蝋燭らふそくみだれたのは、ひわ山雀やまがらうそ
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そんなにねんいりにいはないでも、およそからす勘左衞門かんざゑもんすゞめ忠三郎ちうざぶらうなどより、とりでこのくらゐ、こゑ合致がつちしたものはすくなからう、一度いちどもまだ見聞みききしたおぼえのないものも、こゑけば、すぐわかる……
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うら小庭こにはで、すゞめ一所いつしよに、うれしさうなこゑがする。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このうへを、時々とき/″\ばら/\とすゞめひくう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)