うら)” の例文
山中さんちううらにて晝食ちうじき古代こだいそつくりの建場たてばながら、さけなることおどろくばかり、斑鯛ふだひ?の煮肴にざかなはまぐりつゆしたをたゝいてあぢはふにへたり。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
千葉県ちばけんかすみうらの上空から西南せいなんを望んだとすると、東京湾が見え、その先に伊豆半島いずはんとうが見える位が関の山だが、赤外線写真で撮すと
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その中に一際目立つ烏帽子えぼし型の大岩があって、その大岩の頂に、丁度二見ふたみうら夫婦めおと岩の様に、石で刻んだ小さな鳥居が建ててある。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その上にも、まことに無理なお願いであるが、どうか拙者をこのままかくまって、かすみうら常陸岸ひたちぎしか、鹿島かしまの辺まで便乗させてもらえまいか
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この画は平家の若い美くしい上臈じょうろうだんうらからのがれて、岸へ上ったばかりの一糸をも掛けない裸体姿で源氏の若武者と向い合ってる処で
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
得て早速さつそく阿漕あこぎうらへ到り見ればあんたがはずあみおろす者あり與力こゑをかけ何者なれば禁斷きんだんの場所に於て殺生せつしやういたすや召捕めしとるべしと聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夜中よなか彼等かれらつた。勘次かんじ自分じぶんいそぐし使つかひつかれたあしあるかせることも出來できないのでかすみうら汽船きせん土浦つちうらまちた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
づこんなりふれた問答もんだふから、だん/\談話はなしはながさいて東京博覽會とうきようはくらんくわいうはさ眞鶴近海まなづるきんかい魚漁談ぎよれふだんとう退屈たいくつまぬかれ、やつとうらたつした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
法師はひじょうによろこびました。そして、しずかな夜などは、とくいのだんうら合戦かっせんうたっては坊さんをなぐさめていました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
また高知県のかんうらでは、二十日の夜から地震の前まで、南方沖合が明るかったと言われている(四国地方各県踏査報告)。
地震なまず (新字新仮名) / 武者金吉(著)
正月三日はもとより雪道なれども十里廿里より来りて此うら佐に一宿し、此堂押だうおしあふ人もあれば近村きんそんはいふもさらなり。*11
和歌わかうらしほがさしてると、遠淺とほあさうみ干潟ひがたがなくなるために、ずっと海岸かいがんちかくにあしえてゐるところをめがけて、つるいてわたつてる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
もちろん義経の事蹟じせき、ことに屋島やしまだんうら高館たかだて等、『義経記』や『盛衰記』に書いてあることを、あの書をそらで読む程度に知っていたので
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
若松の裏海岸、港とは反対のわきうらの外れに、白鳥しらとり温泉がある。温泉といっても、ほんのちょっぴり硫黄分のある湧水ゆうすいを、かしているだけだ。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
オラーフ・トリーグヴェスソンが武運つたなく最後を遂げる船戦ふないくさの条は、なんとなく屋島やしまだんうらいくさに似通っていた。
春寒 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
なかでもいちばん人気を呼んだものは、当日の結び相撲だったひでうら三右衛門さんえもんと、江戸錦えどにしき四郎太夫しろうだゆうの一番でありました。
彼はかすみうらの北端にある鉾田ほこた町で生れ、父も霞ヶ浦の通船に乗っていたし、彼もごく小さいときから、父といっしょに通船に乗ったということだ。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
熱海に着きたる頃はいたく疲れて飢にせまりけれども層楼高閣の俗境はわが腹を肥やすべきの処にあらざればここをも走り過ぎてうらへと志し行く。
旅の旅の旅 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
先年五月以来の長州藩が攘夷の実行は豊前ぶぜんうらにおけるアメリカ商船の砲撃を手始めとして、しもせき海峡を通過する仏国軍艦や伊国軍艦の砲撃となり
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
俺は、それお特得はこの、「親々おやおやいざなはれ、難波なにわうら船出ふなでして、身を尽したる、憂きおもひ、泣いてチチチチあかしのチントン風待かぜまちにテチンチンツン……」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
夜になったのでは雌波めなみおと一つ立たないで、阿漕あこぎうらで鳴く千鳥が遠音とおねに聞こえるくらいのものでありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ぼく歴史れきしきだ。やはりうみ学校がっこう読本とくほんにも、だんうら合戦かっせんのことがいてあるかえ。」とききました。
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
前川虎造氏の誘引ゆういんにより和歌わかうらを見物し、翌日は田辺たなべという所にて、またも演説会の催しあり、有志者の歓迎と厚き待遇とを受けて大いに面目をほどこしたりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
母は茶店の床几しょうぎに腰をかけて、新和歌しんわかうらとかいう禿げて茶色になった山をして何だろうと聞いていた。嫂はしきりに遠眼鏡とおめがねはないか遠眼鏡はないかと騒いだ。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あの「霧にぎ入るあまのつり舟」という明石あかしうらの御歌や「われこそは新島守にいしまもりよ」という隠岐おきのしまの御歌などいんのおよみになったものにはどれもこれもこころを
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この女は、琵琶湖びわこに沿うたかいづのうらの遊女である。彼女は、ひさしくある法師の妻となっていた。妻とはいっても、遊女で妻もおかしいから、今でいえばめかけである。
大力物語 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
珠洲すすうみに朝びらきしてれば長浜ながはまうらつきりにけり 〔巻十七・四〇二九〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
虚心きょしん流無二のつかい手であるように、右近は、芸州浪人と名乗っているだけに、かの二見ふたみうらの片ほとりに発達しきたった、天馬てんまくうをゆく独特の速剣そくけん観化流かんげりゅう大統たいとうをつたうる
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その後もなく、ちやうど三うらさき宿屋やどや滯在たいざい中に訃音にせつした時、わたしはまだあまりにまざまざしいそのをり印象いんせうおもひ出させられるだけに、哀悼あいとう持も一そう痛切つうせつだつた。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
摂津の大物だいもつうら片葉かたはあししかきないといふ伝説は古い蘆刈の物語に載つてゐる。
むかし、むかし、丹後たんごの国みずうらに、浦島太郎というりょうしがありました。
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
牟岐、八坂八浜、宍喰しゝくひをすぎて、かんうらにかゝつたとき、とッぷりと日は暮れた。
にはかへんろ記 (新字旧仮名) / 久保田万太郎(著)
うで思案しあんにもあたはず、しほれかへる甚之助じんのすけ人目ひとめ遠慮ゑんりよなきをうらやみて、こヽろそらになれどつち箒木はヽき面倒めんだうさ、此身このみりしもゆゑかは、つれなき令孃ひめ振舞ふるまひ其理由そのわけぐれず
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はいよ/\うれしくてたまらず、川面かわづらは水も見えぬまで、端艇ボート其他そのたふねならびて漕開こぎひらき、まは有様ありさま屏風びやうぶに見たる屋島やしまだんうら合戦かつせんにもて勇ましゝ、大尉たいゐ大拍手だいはくしゆ大喝采だいかつさいあひだ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
海濱かいひん其處此處そここゝには、毛布ケツトや、帆布ほぬのや、其他そのほか樣々さま/″\武器等ぶきとう應用おうようして出來できた、富士山ふじさん摸形もけいだの、二見ふたみうら夕景色ゆふげしきだの、加藤清正かとうきよまさ虎退治とらたいぢ人形にんぎようだのが、奇麗きれいすなうへにズラリとならんだ。
彼は微笑してあざけるかの如き口吻こうふんで、由来伊勢には天火が多い、阿漕あこぎうらの入口に柳山やなぎやまと云う所がある、此処ここに石の五重の塔があって、このあたりから火の玉が発し、通行人を驚かす事は度々たびたびある
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
千々岩ちぢわ灘に添う十五里の沿岸道路は、平坦な道のすくない代り、風景の捨難すてがたいところが多く、退屈を覚えない。うら辺りから海が見え出し、海上にはいくつかの小島も見え、無数の漁船も見える。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
然れども山水としてその最も上乗じょうじょうなるものは伊勢いせ二見ふたみうら日出ひのでけい、または Gillotジョオ 蒐集板画目録中に載せられたる三枚続にして、樹木茂りし丘陵の彼方かなたはるかに雪の富士巍然ぎぜんとしてそび
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
伊勢の白子浜につづみうらという漁村があって、去年からそこに一軒の家を借りまして、夏じゅうだけ避暑といってもよし、海気に親しむといってもよし、家族づれで出かけていって、新鮮な空気と
志戸・八島やしまにいたって多くの武勇の士たちが魚の餌食となり、さらに赤間あかませきだんうらに追いつめられて、幼君安徳天皇が入水されたので、平家の武将たちもここにのこらずほろびてしまったが
……うちのうらのちさの
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
所沢ところざわ立川たちかわとの飛行聯隊、かすみうら追浜おっぱまの海軍航空隊、それから東京愛国防空隊の二十機は、一斉に飛行場から空高く舞い上った。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おゝ! 君達きみたちにもほゞ想像さうざう出来できるか、おうらさらはれた、天狗てんぐつかんだ、……おそらくうだらう。……が、わたしこれ地祇神とちのかみ所業しよげふおもふ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「頼尚、そちの一勢は、ここより蓑生みのううらへ出て、浜道を行け。尊氏は立花城へ真ッすぐ向う。夜は白んだ。もう一ト息ぞ」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正月三日はもとより雪道なれども十里廿里より来りて此うら佐に一宿し、此堂押だうおしあふ人もあれば近村きんそんはいふもさらなり。*11
彼はかすみうらの北端にある鉾田ほこた町で生れ、父も霞ヶ浦の通船に乗っていたし、彼もごく小さいときから、父といっしょに通船に乗ったということだ。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かすみうらといえば、みなさんはごぞんじでしょうね。茨城県いばらきけんの南の方にある、周囲しゅうい百四十四キロほどのみずうみで、日本第二の広さをもったものであります。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
大湊の海は阿漕あこぎうらには遠く、二見ヶ浦には近い。静かであおい阿漕ヶ浦と、明るくて光る二見ヶ浦が、大湊の島で二つに分れているようになっていました。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その時は、千住からすぐに高輪たかなわへと取り、ふだつじ大木戸おおきど、番所を経て、東海道へと続くそでうらの岸へ出た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
日の西に入りてよりほどたり。箱根足柄あしがらの上を包むと見えし雲は黄金色こがねいろにそまりぬ。小坪こつぼうらに帰る漁船の、風落ちて陸近ければにや、を下ろし漕ぎゆくもあり。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)