此樣こん)” の例文
新字:此様
『いや/\、わたくしかへつて、天外てんぐわい※里ばんり此樣こんしまから、何時いつまでも、君等きみら故郷こきようそらのぞませることなさけなくかんずるのです。』と嘆息たんそくしつゝ
れは此樣こん無學漢わからづやだのにおまへもの出來できるからね、むかふのやつ漢語かんごなにかで冷語ひやかしでもつたら、此方こつち漢語かんごかへしておくれ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此樣こんな時に、もしうちから誰かむかひに來て呉れたら、自分は何樣どんなにうれしかツたか知れぬ。併し其樣そんな事を幾ら考へてゐたツて無駄だ。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
殺すぞや妾は何のとが有て娘にあはすと連出し此樣こんさびしい所へ來てだまし殺しは何故ぞアヽうらめしや三次殿四邊あたりに人はなき事か何卒どうぞたすけて下されときられしかたを兩手でおさにげんとするを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さうははなんだか? ゆめか? いまがたパリスが、ヂュリエットのことうたゆゑ、それで此樣こんなことをおもふのか? このこゝろくるうたか?……おゝおをおこしゃれ、薄運はくうん名簿めいぼうち
願ふばかり付燒刄つけやきばの英雄神色少し變じたり馬丁べつたうにあまりに烈し少し靜にせよと云へばかゝる所はハヅミに掛つて飛さねばかへつて誤ちありナアニ此樣こんな所こゝはまだいろはです是から先がちとばかり危ないのですと鼻唄の憎さよ坂を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
わたしときよりまぐれをおこすはひとのするのではくてみなこゝろがらのあさましいわけがござんす、わたし此樣こんいやしいうへ貴君あなた立派りつぱなお方樣かたさま
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
諸君しよくん御經驗ごけいけんであらうが此樣こんときにはとてもねむられるものではない、いらだてばいらだほどまなこえてむねにはさま/″\の妄想もうざう往來わうらいする。
近子は成程なるほどうかとも思ツて、「ですけども、私等わたしたちは何んだツて此樣こんなに氣が合はないのでせう。」と心細いやうに染々しみ/″\といふ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『あゝ、みなわたくしわるいのだ、わたくし失策しくじつたばかりに、一同みんな此樣こん憂目うきめせることか。』とふか嘆息たんそくしたが、たちまこゝろ取直とりなほした樣子やうす
いまだに宿やどとてもさだまるまじく、はゝ此樣こんになつてはづかしい紅白粉べにおしろい、よし居處ゐどころわかつたとてひにてもれまじ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「成程おひるだ。」とつぶやき、「ちかの腹のツたのが當前で、おれの方が病的なんだ。一體俺の體は何故なぜ此樣こんなに弱いのだらう。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
うちるほどなら此樣こん貧乏世帶びんぼうしよたい苦勞くろうをばしのんではませぬとくに貧乏世帶びんぼうしよたいきがきたなら勝手かつて何處どこなりつてもらはう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それはみませんでしたのね。わたしはまた此樣こんな天氣で氣が欝々うつ/\して爲樣しやうが無かツたもんですから、それで。」と何か氣怯きおそれのするてい悸々おど/\しながらいふ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
此樣こんつても其方そちらへの義理ぎりばかりおもつてなさけないことる、多少たせう教育けういくさづけてあるに狂氣きやうきするといふは如何いかにもはづかしいこと
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あれらぬうち仕方しかたもなし、つて其車それれますものか、れでも此樣こんさびしいところ一人ひとりゆくは心細こゝろぼそいほどに、廣小路ひろこうぢるまでたゞみちづれにつてくだされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いや植村うゑむらせまいからで、どうも此樣こんことになつて仕舞しまつたで、私共わしども二人ふたりじつ其方そちらあはせるかほいやうな仕儀しぎでな、しかゆきをも可愛想かあいさうおもつてつて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
傘屋かさやきちだよ、れだよとすこたかへば、いやなだね此樣こんおそくになにひにたか、またかちんのおねだりか、とわらつて、いまあけるよ少時しばらく辛防しんばうおしとひながら
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひとふなり温順おとなしう嫁入よめいつてわたしを、自然しぜん此樣こんうんこしらへていて、盲者めくらたにつきおとすやうなことあそばす、神樣かみさまといふのですかなんですか、其方そのかたじつうらめしい
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つてふささがつた被布ひふるおめかけさまに相違さうゐい、うしてあのかほ仕事しごとやがとほせるものかと此樣こんことつてた、れは其樣そんこといとおもふから
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
頭腦あたまなか此樣こんことにこしらへて一けんごとの格子かうし烟草たばこ無理むりどり鼻紙はながみ無心むしんちつたれつれを一ほまれ心得こゝろゑれば、堅氣かたぎいゑ相續息子そうぞくむすこ地廻ぢまわりと改名かいめいして
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一人住居ひとりずまゐ相手あひてなしに毎日まいにち毎夜まいやさびしくくらしてるなればすきのときにはあそびにもくだされ、わたし此樣こんながらがらしたなればきつちやんのやうなあばれさんが大好だいす
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
阿關おせきことなればなみ大底たいてい此樣こんことしさうにもなく、よく/\らさにたとえるが、して今夜こんやむこどのは不在るすか、なにあらたまつての事件じけんでもあつてか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おそろしい智惠者ちゑしやだとめるに、なん此樣こんこと智惠者ちゑしやものか、いま横町よこちやう潮吹しほふきのとこあんりないッて此樣こうやつたをたのでれの發明はつめいではい、とてゝ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
勿體もつたいないことであつたれどらぬことなればゆるしてくだされ、まあ何時いつから此樣こんことして、よくそのよはさわりもしませぬか、伯母おばさんが田舍いなか引取ひきとられておいでなされて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あれお前さんは彼のお方では無いか、私をよもやお忘れはなさるまいと車よりすべるやうに下りてつく/″\と打まもれば、貴孃あなたは齋藤の阿關さん、面目も無い此樣こん姿なり
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あゝ此樣こんな事と知りましたら早くに方法も有つたのでせうが今に成つては駟馬しめも及ばずです、植村も可愛想な事でした、とて下を向いて歎息の聲を洩らすに、どうも何とも
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此樣こんな者なれど女房に持たうといふて下さるも無いではなけれど未だ良人をば持ませぬ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたし此子このこはゞわたしためまもがみで、此樣こん可愛かあい笑顏ゑがほをして、無心むしんあそびをしてますけれど、此無心このむしん笑顏ゑがほわたしをしへてれましたこと大層たいそうなは、のこりなくくちにはくされませぬ
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
えず尻目しりめ雪子ゆきこかたながめてこまつたものですなとふばかり、あゝ此樣こんことりましたらはやくに方法はうはふつたのでしやうがいまつては駟馬しめおよばずです、植村うゑむら可愛想かあいさうことでした
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其都度そのつど紛失物ふんしつもの出來できますやら品物しなもの破損はそんなどはおびたゞしいことで、うすれば此樣こんなに不人情ふにんじやうものばかり寄合よりあふのか、世間一體せけんいつたい此樣このやう不人情ふにんじやうなものか、それともわたし一人ひとりなげかせやうといふので
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夫れとも折ふしは彼の話し好きの饒舌おしやべりのさわがしい人が居なくなつたで、少しは淋しい位に思ひ出して下さろうか、まあ何と思ふてお出なさると此樣こんな事を問ひかけるに、仰しやるまでもなく
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まあなんおもふておいでなさると此樣こんことひかけるに、おつしやるまでもなく、どんなに家中うちぢうさびしくりましよう、東京こゝにおいであそばしてさへ、一ト月も下宿げしゆくらつしやるころ日曜にちえうまちどほで
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なに此樣こん身分みぶんうらやましいことか、こゝでれが幸福しやわせといふをかんがへれば、歸國きこくするにさきだちておさく頓死とんしするといふやうなことにならば、一人娘ひとりむすめのことゆゑ父親てゝおやおどろいて暫時しばし家督沙汰かとくざたやめになるべく
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さききてもるかきかれませねばなににてもよしくるまたのみなされてよとにはか足元あしもとおもげになりぬあの此樣こんくるまにおしなさるとかあの此樣こんくるまにと二度にど三度さんどたかかろ點頭うなづきてことばなしれも雪中せつちゆう隨行ずゐかう難儀なんぎをりとてもとむるまゝに言附いひつくるくだんくるまさりとては不似合ふにあひなりにしき上着うはぎにつゞれのはかまつぎあはしたやうなとこゝろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)