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幸
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さいはひ
ふりがな文庫
“
幸
(
さいはひ
)” の例文
清淨
(
しやうじやう
)
な
水
(
みづ
)
でも
好
(
よ
)
ければ、
不潔
(
ふけつ
)
な
水
(
みづ
)
でも
好
(
い
)
い、
湯
(
ゆ
)
でも
茶
(
ちや
)
でも
好
(
い
)
いのである。
不潔
(
ふけつ
)
な
水
(
みづ
)
でなかつたのは、
閭
(
りよ
)
がためには
勿怪
(
もつけ
)
の
幸
(
さいはひ
)
であつた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
幸
(
さいはひ
)
に
非常
(
ひじやう
)
なる
同情
(
どうじやう
)
と
好意
(
かうい
)
を
以
(
もつ
)
て一
億圓
(
おくゑん
)
のクレデイツトの
設定
(
せつてい
)
をすることが
出來
(
でき
)
たことは、
日本
(
にほん
)
の
財界
(
ざいかい
)
に
取
(
と
)
つて
此上
(
このうへ
)
もなき
次第
(
しだい
)
である。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
彼等の物語をば
笑
(
ゑま
)
しげに傍聴したりし横浜
商人体
(
しようにんてい
)
の乗客は、
幸
(
さいはひ
)
に
無聊
(
ぶりよう
)
を慰められしを謝すらんやうに、
懇
(
ねんごろ
)
に
一揖
(
いつゆう
)
してここに下車せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
いたみをあたふること死に劣らじ、されどわがかしこに享けし
幸
(
さいはひ
)
をあげつらはんため、わがかしこにみし凡ての事を語らん 七—九
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
懼れて慎み、慎みて誠ならば、修省の道はおのづから目前に在り足下に現はるべきである。修省すれば福来り
幸
(
さいはひ
)
至るは自然の理である。
震は亨る
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
幸
(
さいはひ
)
に
其
(
その
)
日
(
ひ
)
は十一
時頃
(
じごろ
)
からからりと
晴
(
は
)
れて、
垣
(
かき
)
に
雀
(
すゞめ
)
の
鳴
(
な
)
く
小春日和
(
こはるびより
)
になつた。
宗助
(
そうすけ
)
が
歸
(
かへ
)
つた
時
(
とき
)
、
御米
(
およね
)
は
例
(
いつも
)
より
冴
(
さ
)
え/″\しい
顏色
(
かほいろ
)
をして
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし
將來
(
このさき
)
これを
幸
(
さいはひ
)
であつたと
知
(
し
)
る
時
(
とき
)
と
雖
(
いへど
)
も、たしかに
不幸
(
ふかう
)
であると
感
(
かん
)
ずるに
違
(
ちが
)
いない。
僕
(
ぼく
)
は
知
(
し
)
らないで
宜
(
よ
)
い、
唯
(
た
)
だ
感
(
かん
)
じたくないものだ。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
例
(
れい
)
の
下
(
した
)
を
向
(
む
)
いて
悠々
(
いう/\
)
と
小取廻
(
ことりまはし
)
に
通抜
(
とほりぬ
)
ける
旅僧
(
たびそう
)
は、
誰
(
たれ
)
も
袖
(
そで
)
を
曳
(
ひ
)
かなかつたから、
幸
(
さいはひ
)
其後
(
そのあと
)
に
跟
(
つ
)
いて
町
(
まち
)
へ
入
(
はい
)
つて、
吻
(
ほツ
)
といふ
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
いた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しかも、この三人が互に優劣なく固執し、相牽制して均衡の勢力を保ちながら、空しく年月を費してゐたことが、信長に
幸
(
さいはひ
)
したのである。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
お猫さんは
幸
(
さいはひ
)
なことに、水泳の選手でしたから、ズブぬれになりましたが、すぐに川からはひ上つて、三
丁
(
ママ
)
四方にもひゞきわたる程大きく
川の中へおつこちたお猫さん
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
幸
(
さいはひ
)
に
最初
(
さいしよ
)
の
一瞬間
(
いつしゆんかん
)
に
於
(
おい
)
て、
非常
(
ひじよう
)
の
地震
(
ぢしん
)
なるか
否
(
いな
)
かの
判斷
(
はんだん
)
がついたならば、
其判斷
(
そのはんだん
)
の
結果
(
けつか
)
によつて
臨機
(
りんき
)
の
處置
(
しよち
)
をなすべきである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
予は
是
(
ここ
)
に於て、予が警告を
再
(
ふたたび
)
するの、必要なる
所以
(
ゆゑん
)
を感ぜざる
能
(
あた
)
はず。予は全然
正気
(
しやうき
)
にして、予が告白は徹頭徹尾事実なり。卿等
幸
(
さいはひ
)
にそを信ぜよ。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
義足は
幸
(
さいはひ
)
に成功して、牝牛は亡くなつた大隈侯のやうに元気よく野原を歩きまはつた。牛乳を調べてみても、成分に少しも変りはなかつたさうだ。
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
弥ざゑもんはからず十両の金を
得
(
え
)
て
質
(
しち
)
入れせし田地をもうけもどし、これより
屡
(
しば/\
)
幸
(
さいはひ
)
ありてほどなく家もあらたに作りたていぜんにまさりて
栄
(
さかえ
)
けり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
幸
(
さいはひ
)
に空は晴れてゐて、星の光が僅かに
四辺
(
あたり
)
を照して呉れた。私は知らず識らずに或る野寺のうしろに当る墓地へ出た。
愛は、力は土より
(新字旧仮名)
/
中沢臨川
(著)
尋ぬるに
幸
(
さいはひ
)
の時節なりとて
日毎
(
ひごと
)
群集
(
ぐんじゆ
)
の中に
紛
(
まぎ
)
れ入て尋けるに似たりと思ふ人にも
逢
(
あは
)
ざれば
最早
(
もはや
)
江戸には居るまじ是よりは
何國
(
いづく
)
を尋ねんと主從三人
額
(
ひたひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それに
幸
(
さいはひ
)
に追手の夕風が吹いた。船頭は帆を
揚
(
あ
)
げて、
楫
(
かぢ
)
をギイと鳴らして、
暢気
(
のんき
)
に煙草をふかした。誰の心も船のやうに早く東京に向つて
馳
(
は
)
せて居た。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
幸
(
さいはひ
)
にもネープルス
市
(
し
)
中
(
ちゆう
)
で「
富貴
(
ふうき
)
なる
日本人
(
につぽんじん
)
。」と
盛名
(
せいめい
)
隆々
(
りう/\
)
たる
濱島武文
(
はまじまたけぶみ
)
の
特別
(
とくべつ
)
なる
盡力
(
じんりよく
)
があつたので、
吾等
(
われら
)
は
遂
(
つひ
)
に
此
(
この
)
最上
(
さいじやう
)
の
船室
(
キヤビン
)
を
占領
(
せんりやう
)
する
事
(
こと
)
になつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「ウム、何かと云ふと、直ぐ元老が呼び出されるので、
兎
(
と
)
てもかなはん——只だ
美姫
(
びき
)
の
幸
(
さいはひ
)
に我労を慰するに足るものありぢや、ハヽヽヽヽ、なア浜子」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
然し尋ねて見たところで綾子は答へる筈はない、と思つたから縁日を
幸
(
さいはひ
)
外へ出てそれから銀座へでも廻り、綾子の思ひ通りの物を買つてやらうと
定
(
き
)
めた。
秋雨の絶間
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
その声は
幸
(
さいはひ
)
に少しつんぼの
梟
(
ふくろふ
)
の坊さんには聞えませんでしたが、ほかの梟たちはみんなこっちを振り向きました。
二十六夜
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
幸
(
さいはひ
)
に一
杯
(
ぱい
)
を
酌
(
く
)
みて
歇息
(
やす
)
ませ給へとて、酒をあたため、
下物
(
さかな
)
を
列
(
つら
)
ねてすすむるに、赤穴
九一
袖をもて
面
(
おもて
)
を
掩
(
おほ
)
ひ、其の
臭
(
にほ
)
ひを
嫌
(
い
)
み
放
(
さ
)
くるに似たり。左門いふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
愛
(
あい
)
ちやんの
爲
(
ため
)
には
勿怪
(
もツけ
)
の
幸
(
さいはひ
)
、
小
(
ちひ
)
さな
魔法壜
(
まはふびん
)
は
今
(
いま
)
充分
(
じうぶん
)
其功能
(
そのこうのう
)
を
顯
(
あら
)
はし
終
(
をは
)
つたので、
愛
(
あい
)
ちやんも
最
(
も
)
うこれより
大
(
おほ
)
きくはなりませんでした、が、それは
非常
(
ひじよう
)
に
不愉快
(
ふゆくわい
)
で
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
あの震災当時をばさんと一緒に
潰
(
つぶ
)
され、
幸
(
さいはひ
)
にお
怪我
(
けが
)
もなくて出て、僕もさうだつたんだが、どこを頼ることもできず、僕の
厄介
(
やくかい
)
になつてをる招寿軒だからと思つて
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
「見ずして信ずるものは
幸
(
さいはひ
)
なり」、「信仰は未だ見ざる所を望んで疑はず」などいふ古言もあることなれど、是れ未だ真理の両端を尽くしたるものとは言ふべからず。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
滿谷
(
みつたに
)
、小林、三浦、僕等の如き隠し芸を持たない者は
却
(
かへつ
)
て
観客
(
くわんかく
)
となる
幸
(
さいはひ
)
を得た。牧野事務員が富樫に扮して滑稽勧進帳を演じて居る頃わが𤍠田丸は
香港
(
ホンコン
)
の
港口
(
かうこう
)
に着いて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
上町
(
かみまち
)
の古本屋には
嘗
(
かつ
)
て雑誌の古を引取つて貰つた縁故もあつた。丁度其
店頭
(
みせさき
)
に客の居なかつたのを
幸
(
さいはひ
)
、ついと丑松は帽子を脱いで入つて、例の風呂敷包を何気なく取出した。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
幸
(
さいはひ
)
なるかな、
妾
(
せふ
)
の
姙娠中
(
にんしんちゆう
)
屡〻
(
しば/\
)
診察を頼みし医師は
重井
(
おもゐ
)
と同郷の人にして、
日頃
(
ひごろ
)
重井
(
おもゐ
)
の名声を敬慕し、彼と
交誼
(
こうぎ
)
を結ばん事を望み居たれば、
此人
(
このひと
)
によりて双方の秘密を保たんとて
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
院長
(
ゐんちやう
)
アンドレイ、エヒミチは
疾
(
とう
)
から
町
(
まち
)
の
病家
(
びやうか
)
を
有
(
も
)
たぬのを、
却
(
かへ
)
つて
可
(
い
)
い
幸
(
さいはひ
)
に、
誰
(
だれ
)
も
自分
(
じぶん
)
の
邪魔
(
じやま
)
をするものは
無
(
な
)
いと
云
(
い
)
ふ
考
(
かんがへ
)
で、
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
ると
直
(
す
)
ぐ
書齋
(
しよさい
)
に
入
(
い
)
り、
讀
(
よ
)
む
書物
(
しよもつ
)
の
澤山
(
たくさん
)
あるので
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「トゥロット、ひとの不幸のなかにじぶんの
幸
(
さいはひ
)
をもとめることは禁じられてゐます。この動物をおとなりへなげれば、おとなりの植物を食べます。そんなことをするのは不正です。」
かたつむり
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
幸
(
さいはひ
)
師匠
(
ししやう
)
はマア
寄席
(
よせ
)
へもお
出
(
で
)
なさいません
閑人
(
ひまじん
)
でいらつしやる事でげすから、
御苦労
(
ごくらう
)
ながら三
遊
(
いう
)
社
(
しや
)
の
総代
(
そうだい
)
として、
貴方
(
あなた
)
京都
(
きやうと
)
へ
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さる
訳
(
わけ
)
には
参
(
まゐ
)
りませんかと、
円朝
(
わたくし
)
が
頼
(
たの
)
まれました。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そのために、
木
(
き
)
は
若葉
(
わかば
)
をふいてから
次第
(
しだい
)
に
葉
(
は
)
を
丈夫
(
じようぶ
)
にかため、
夏
(
なつ
)
の
盛
(
さか
)
りを
幸
(
さいはひ
)
に、どん/\
太陽
(
たいよう
)
の
光
(
ひかり
)
と
共
(
とも
)
に
働
(
はたら
)
いて、
秋
(
あき
)
に
紅葉
(
もみぢ
)
をする
支度
(
したく
)
や、
冬
(
ふゆ
)
が
來
(
き
)
ても
困
(
こま
)
らない、
養分
(
ようぶん
)
の
貯
(
たくは
)
へをするのです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
おかみさん、そら、あつた、こゝにあつた、ひとりぽつちで
忍冬
(
すいかづら
)
の中に
潰
(
つぶ
)
れてゐた。たつた、ひとりぽつちでさ、この花は世界に一つしか無いんだ。それ、
暴風
(
あらし
)
と涙と
幸
(
さいはひ
)
の
香
(
にほひ
)
がしないかね。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
狹苦
(
せまくる
)
しい
掘立小屋
(
ほつたてごや
)
は
彼
(
かれ
)
が
當初
(
はじめ
)
に
思
(
おも
)
ひ
込
(
こ
)
んだ
程
(
ほど
)
彼
(
かれ
)
の
爲
(
ため
)
に
幸
(
さいはひ
)
な
處
(
ところ
)
ではなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
彼少女も我等と同じくこよひの
幸
(
さいはひ
)
を覺えたりしか。友。アントニオよ。汝が感動せるさまこそ珍らしけれ。「ジエスヰタ」の學校にて結びし氷今融くるなるべし。アヌンチヤタが何を云ひしと問ふか。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
此の宿に引越して來て二日目の、それが
幸
(
さいはひ
)
なる日曜だつた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
貧しきは
幸
(
さいはひ
)
なり、うらがなしき。
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「
幸
(
さいはひ
)
」住むと人のいふ。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
幸
(
さいはひ
)
なりと
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
されば汝、かゝる
幸
(
さいはひ
)
をかくしし葢をわがためにひらける者よ、若し知らば、我等が倶に登るをうべき道ある間に、我等の年へし 九四—
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
その人
迂
(
う
)
ならず、善く財を理し、事を計るに由りて、かかる疎放の殿を
戴
(
いただ
)
ける田鶴見家も、
幸
(
さいはひ
)
に
些
(
さ
)
の
破綻
(
はたん
)
を生ずる無きを得てけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
幸
(
さいはひ
)
に
御米
(
およね
)
の
産氣
(
さんけ
)
づいたのは、
宗助
(
そうすけ
)
の
外
(
そと
)
に
用
(
よう
)
のない
夜中
(
よなか
)
だつたので、
傍
(
そば
)
にゐて
世話
(
せわ
)
の
出來
(
でき
)
ると
云
(
い
)
ふ
點
(
てん
)
から
見
(
み
)
れば
甚
(
はなは
)
だ
都合
(
つがふ
)
が
好
(
よ
)
かつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
而るに公家褒賞の由
无
(
な
)
く、
屡
(
しば/″\
)
譴責
(
けんせき
)
の符を下さるゝは、身を省みるに恥多し、面目何ぞ施さん。推して之を察したまはば、甚だ以て
幸
(
さいはひ
)
なり。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
わたくしの推測は
幸
(
さいはひ
)
にして誤でなかつた。三陽さんの言ふ所に從へば、
神惟徳
(
しんゐとく
)
の米庵略傳に
下
(
しも
)
の如く云つてあるさうである。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
幸
(
さいはひ
)
にして
一人
(
ひとり
)
では
食
(
く
)
ひきれぬ
程
(
ほど
)
の
實
(
み
)
が
房々
(
ふさ/\
)
と
實
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
るので
其
(
その
)
憂
(
うれひ
)
もなく、
熟過
(
つえすぎ
)
た
實
(
み
)
がぼて/\と地に
落
(
お
)
ちて
蟻
(
あり
)
の
餌
(
ゑ
)
となり
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
さうして一
方
(
ぱう
)
には
全國
(
ぜんこく
)
に
此方針
(
このはうしん
)
を
實行
(
じつかう
)
せしむる
爲
(
ため
)
に、
有
(
あ
)
らゆる
手段
(
しゆだん
)
を
取
(
と
)
つたのであるが、
幸
(
さいはひ
)
にこのことは
國民
(
こくみん
)
に
歡迎
(
くわんげい
)
されて
能
(
よ
)
く
徹底
(
てつてい
)
したのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
「それはめでたいの。ゆつくり往つて来るがいゝ、
幸
(
さいはひ
)
乃公
(
おれ
)
の馬もあいてるから、あれに乗つて
往
(
ゆ
)
くとしたらどうぢや、
馬丁
(
べつたう
)
に案内して貰つての。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
弥ざゑもんはからず十両の金を
得
(
え
)
て
質
(
しち
)
入れせし田地をもうけもどし、これより
屡
(
しば/\
)
幸
(
さいはひ
)
ありてほどなく家もあらたに作りたていぜんにまさりて
栄
(
さかえ
)
けり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
人生
幸
(
さいはひ
)
にこの別乾坤あり。誰か又
小泉八雲
(
こいづみやくも
)
と共に、
天風海濤
(
てんぷうかいたう
)
の蒼々浪々たるの処、去つて還らざる
蓬莱
(
ほうらい
)
の
蜃中楼
(
しんちうろう
)
を歎く事をなさん。(一月二十二日)
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
火は
幸
(
さいはひ
)
にも根本の母屋には移らずに下の小い
家屋
(
いへ
)
一軒で、兎に角首尾よく鎮火したので、手伝ひに来て呉れた村の人々、
喞筒
(
ポンプ
)
の水にずぶ
濡
(
ぬ
)
れになつた村の若者
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
“幸”の意味
《名詞》
さいわいであること。
しあわせ。
産物。特に、天恵による産物。
(出典:Wiktionary)
幸
常用漢字
小3
部首:⼲
8画
“幸”を含む語句
幸福
不幸
幸福者
幸運
行幸
幸子
御幸
幸若
還幸
梅幸
大原御幸
幸先
幸手
幸甚
幸田露伴
欣幸
幸若舞
幸徳
天幸
幸堂得知
...