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遠
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とお
ふりがな文庫
“
遠
(
とお
)” の例文
それは、
広
(
ひろ
)
い、さびしい
野原
(
のはら
)
でありました。
町
(
まち
)
からも、
村
(
むら
)
からも、
遠
(
とお
)
く
離
(
はな
)
れていまして、
人間
(
にんげん
)
のめったにゆかないところであります。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そしていきなりお
姫
(
ひめ
)
さまにとびかかって、ただ
一口
(
ひとくち
)
に
食
(
た
)
べようとしました。お
姫
(
ひめ
)
さまはびっくりして、
気
(
き
)
が
遠
(
とお
)
くなってしまいました。
一寸法師
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
シューラはおいおい
泣
(
な
)
いた。あたりのものがばら
色
(
いろ
)
の
靄
(
もや
)
に
包
(
つつ
)
まれて、ふわふわ
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
した。もの
狂
(
くる
)
おしい
屈辱感
(
くつじょくかん
)
に気が
遠
(
とお
)
くなったのだ。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
子供
(
こども
)
たちは
遠
(
とお
)
くへいき、「もういいかい。」「まあだだよ。」という
声
(
こえ
)
が、ほかのもの
音
(
おと
)
とまじりあって、ききわけにくくなりました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
内実は
飽
(
あ
)
くまでも
鎖攘主義
(
さじょうしゅぎ
)
にして、ひたすら外人を
遠
(
とお
)
ざけんとしたるその一例をいえば、
品川
(
しながわ
)
に
無益
(
むえき
)
の
砲台
(
ほうだい
)
など
築
(
きず
)
きたるその上に
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
▼ もっと見る
幾月
(
いくつき
)
かを
過
(
すご
)
す
中
(
うち
)
に、
敵
(
てき
)
の
監視
(
みはり
)
もだんだん
薄
(
うす
)
らぎましたので、
私
(
わたくし
)
は
三崎
(
みさき
)
の
港
(
みなと
)
から
遠
(
とお
)
くもない、
諸磯
(
もろいそ
)
と
申
(
もう
)
す
漁村
(
ぎょそん
)
の
方
(
ほう
)
に
出
(
で
)
てまいりましたが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
大きな
都
(
みやこ
)
にでて、
世間
(
せけん
)
の人をびっくりさせるのも
楽
(
たの
)
しみです。それでさっそく
支度
(
したく
)
をしまして、だいぶ
遠
(
とお
)
い
都
(
みやこ
)
へでてゆきました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
昨日
(
きのう
)
までの
遊
(
あそ
)
びの
友達
(
ともだち
)
からは
遽
(
にわ
)
かに
遠
(
とお
)
のいて、
多勢
(
おおぜい
)
の
友達
(
ともだち
)
が
先生達
(
せんせいたち
)
と
縄飛
(
なわと
)
びに
鞠投
(
まりな
)
げに
嬉戯
(
きぎ
)
するさまを
運動場
(
うんどうじょう
)
の
隅
(
すみ
)
にさびしく
眺
(
なが
)
めつくした。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こういいながら、
波
(
なみ
)
うちぎわに
立
(
た
)
って、
遠
(
とお
)
い、はい色の空を
指
(
ゆび
)
さしておられた先生のすがただけを、はっきりおぼえている。
ラクダイ横町
(新字新仮名)
/
岡本良雄
(著)
五人の
仲間
(
なかま
)
はそんな
遠
(
とお
)
くまでは行きません。けれども、お
友
(
とも
)
だちのジャンの
家
(
いえ
)
へ行くのには、たっぷり一キロは歩かなければならないのです。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
そんな
遠
(
とお
)
くにいたんじゃ、
本当
(
ほんとう
)
の
香
(
かお
)
りは
判
(
わか
)
らねえから、もっと
薬罐
(
やかん
)
の
傍
(
そば
)
に
寄
(
よ
)
って、
鼻
(
はな
)
の
穴
(
あな
)
をおッぴろげて
嗅
(
か
)
いで
見
(
み
)
ねえ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
重「はい大きに有難う、誠に
遠
(
とお
)
ッ
処
(
とこ
)
に御苦労さま、婆アさま腹ア
空
(
へ
)
ったろう、何もないがお
飯
(
まんま
)
ア喰って
往
(
い
)
くが
宜
(
え
)
い」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、
思
(
おも
)
いました。それで
彼
(
かれ
)
は
目
(
め
)
を
瞑
(
つぶ
)
って、なおも
遠
(
とお
)
く
飛
(
と
)
んで
行
(
い
)
きますと、そのうち
広
(
ひろ
)
い
広
(
ひろ
)
い
沢地
(
たくち
)
の
上
(
うえ
)
に
来
(
き
)
ました。
見
(
み
)
るとたくさんの
野鴨
(
のがも
)
が
住
(
す
)
んでいます。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「はははは大盗賊のくせに、僕がそんな用心はもう
遠
(
とお
)
にしているということぐらい分らんかなあ、ははは、僕はそんな馬鹿じゃありませんよ。はははは」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
恐らく彼女の一行はこのように
遠
(
とお
)
はしりもせず、V
停車場
(
ステーション
)
を離れると、じきに郊外の
小駅
(
しょうえき
)
で下車して了ったものであろうか、それとも同じ終点で下りたが
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
併し旅舎に帰って来た時はもう
遠
(
とお
)
に夜半を過ぎていた。僕は自分の部屋に行って料理を食べながら麦酒を飲んでいると、「籠っている」感じで気持が好い。
ドナウ源流行
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それが
遠
(
とお
)
うい遠うい昔から、傷つけつ傷つけられつして積み重ねて来た「
業
(
ごう
)
」が錯雑しているのだからな。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
これからは
肝心
(
かんじん
)
の
飲食
(
のみくい
)
となるのだが、
新村入
(
しんむらいり
)
の彼は引越早々まだ荷も解かぬ
始末
(
しまつ
)
なので、
一座
(
いちざ
)
に挨拶し、勝手元に働いて居る若い人
達
(
だち
)
に
遠
(
とお
)
ながら目礼して引揚げた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼一たび死す、水戸老公はあたかも放たれたる虎の如し、その幕閣より
遠
(
とお
)
ざかるに比例して朝廷と密着し、一孔生じて千
瘡
(
そう
)
出で、遂に容易ならざる禍機を惹起せり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
立って
地蔵峠
(
じぞうとうげ
)
の
頂
(
いただき
)
からふりかえると、もう
三方
(
みかた
)
ヶ
原
(
はら
)
は
遠
(
とお
)
くボカされて、ゆうべのことも
夢
(
ゆめ
)
のようだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大陸から渡る新しい文物は、皆一度は、この
遠
(
とお
)
の
宮廷領
(
みかど
)
を通過するのであった。唐から渡った書物などで、太宰府ぎりに、都まで出て来ないものが、なかなか多かった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
まあお
待
(
ま
)
ちなさい、
左様
(
さよう
)
今
(
いま
)
に
遙
(
はる
)
か
遠
(
とお
)
き
未来
(
みらい
)
に、
監獄
(
かんごく
)
だの、
瘋癲病院
(
ふうてんびょういん
)
の
全廃
(
ぜんぱい
)
された
暁
(
あかつき
)
には、
即
(
すなわ
)
ちこの
窓
(
まど
)
の
鉄格子
(
てつごうし
)
も、この
病院服
(
びょういんふく
)
も、
全
(
まった
)
く
無用
(
むよう
)
になってしまいましょう、
無論
(
むろん
)
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
もうかれこれ四時
過
(
す
)
ぎ五時にもなるか、しずかにおだやかな
忌森忌森
(
いもりいもり
)
のおちこち、
遠
(
とお
)
くの人声、ものの音、
世
(
よ
)
をへだてたるものの
響
(
ひび
)
きにもにて、かすかにもやの
底
(
そこ
)
に聞こえる。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
今夜にも旅費を
拵
(
こしら
)
えて、田舎の方にいる兄のところへ
遠
(
とお
)
っ
走
(
ぱし
)
りをしようかとも考えていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
まあなるたけ主人の気のやすまるよう
遠
(
とお
)
のいて、
身辺
(
しんぺん
)
の平和を守るか(この際
扶養
(
ふよう
)
の責任あらば、それだけは物質だけでも
果
(
はた
)
すべし)、さもなくば、妻は身をもって円満に
尽
(
つく
)
し、親
良人教育十四種
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と
心配
(
しんぱい
)
そうにたずねた。トーマスはじりじりとベンチから
遠
(
とお
)
ざかってゆきながら
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
浮かぶや否や、帳面の第三頁へ
熊岳城
(
ゆうがくじょう
)
にてと
前書
(
まえがき
)
をして、
黍
(
きび
)
遠
(
とお
)
し
河原
(
かわら
)
の
風呂
(
ふろ
)
へ
渡
(
わた
)
る
人
(
ひと
)
と
認
(
したた
)
めて、ほっと一息吐いた。そうして御神さんの御礼も何も受ける暇のないほど急いでトロに乗った。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今やこの未来の
遠
(
とお
)
つ
祖
(
おや
)
は、恰かも用心深い猫が、どこかから主人が見ておりはせぬかと、片方の眼であたりに注意をはらいながら、石鹸でござれ、蝋燭でござれ、獣脂でござれ、
金糸鳥
(
カナリヤ
)
でござれ
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
今ごろやる物があるくらいなら
遠
(
とお
)
の昔にやっているんだ。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「そうだ。きっとからすさんだ。からすさんはえらいんだよ。ここから
遠
(
とお
)
くてまるで
見
(
み
)
えなくなるまでひと
息
(
いき
)
に
飛
(
と
)
んでゆくんだからね。たのんだら、ぼくらふたりぐらいきっといっぺんに
青
(
あお
)
ぞらまでつれていってくれるぜ。」
いちょうの実
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お
花
(
はな
)
が、
東京
(
とうきょう
)
へ
奉公
(
ほうこう
)
にくるときに、
姉
(
ねえ
)
さんはなにを
妹
(
いもうと
)
に
買
(
か
)
ってやろうかと
考
(
かんが
)
えました。
二人
(
ふたり
)
は
遠
(
とお
)
く
離
(
はな
)
れてしまわなければなりません。
赤いえり巻き
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
宰相殿
(
さいしょうどの
)
はなおなおおおこりになって、
一寸法師
(
いっすんぼうし
)
にいいつけて、お
姫
(
ひめ
)
さまをお
屋敷
(
やしき
)
から
追
(
お
)
い
出
(
だ
)
して、どこか
遠
(
とお
)
い
所
(
ところ
)
へ
捨
(
す
)
てさせました。
一寸法師
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ただ
其折
(
そのおり
)
弟橘姫様
(
おとたちばなひめさま
)
御自身
(
ごじしん
)
の
口
(
くち
)
づから
漏
(
もら
)
された
遠
(
とお
)
き
昔
(
むかし
)
の
思
(
おも
)
い
出
(
で
)
話
(
ばなし
)
——これはせめてその
一端
(
いったん
)
なりとここでお
伝
(
つた
)
えして
置
(
お
)
きたいと
存
(
ぞん
)
じます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
さあそれが
評判
(
ひょうばん
)
になりまして、「甚兵衛の人形は
生人形
(
いきにんぎょう
)
」といいはやされ、町の人たちはもちろんのこと、
遠
(
とお
)
くの人まで、甚兵衛の人形
小屋
(
ごや
)
へ
見物
(
けんぶつ
)
に
参
(
まい
)
りました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
だがおかしいのは、
遠
(
とお
)
くへでもいく
人
(
ひと
)
のように、
白
(
しろ
)
い
小
(
ちい
)
さい
足
(
あし
)
に、
小
(
ちい
)
さい
草鞋
(
わらじ
)
をはいていることでした。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
折柄
(
おりから
)
の
上潮
(
あげしお
)
に、
漫々
(
まんまん
)
たる
秋
(
あき
)
の
水
(
みず
)
をたたえた
隅田川
(
すみだがわ
)
は、
眼
(
め
)
のゆく
限
(
かぎ
)
り、
遠
(
とお
)
く
筑波山
(
つくばやま
)
の
麓
(
ふもと
)
まで
続
(
つづ
)
くかと
思
(
おも
)
われるまでに
澄渡
(
すみわた
)
って、
綾瀬
(
あやせ
)
から千
住
(
じゅ
)
を
指
(
さ
)
して
遡
(
さかのぼ
)
る
真帆方帆
(
まほかたほ
)
が
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
遠
(
とお
)
く
走
(
は
)
せていた目を、すぐ
真下
(
ました
)
の
作事場
(
さくじば
)
——
内濠
(
うちぼり
)
のところにうつすと、そこには数千の
人夫
(
にんぷ
)
や
工匠
(
こうしょう
)
が、
朝顔
(
あさがお
)
のかこいのように
縦横
(
たてよこ
)
に
組
(
く
)
まれた
丸太足場
(
まるたあしば
)
で、エイヤエイヤと
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
イワン、デミトリチは
初
(
はじ
)
めの
中
(
うち
)
は
院長
(
いんちょう
)
が
野心
(
やしん
)
でもあるのでは
無
(
な
)
いかと
疑
(
うたが
)
って、
彼
(
かれ
)
にとかく
遠
(
とお
)
ざかって、
不愛想
(
ぶあいそう
)
にしていたが、
段々
(
だんだん
)
慣
(
な
)
れて、
遂
(
つい
)
には
全
(
まった
)
く
素振
(
そぶり
)
を
変
(
か
)
えたのであった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ここからそう
遠
(
とお
)
くない
処
(
ところ
)
にまだほかの
沢地
(
たくち
)
があるがね、そこにやまだ
嫁
(
かたず
)
かない
雁
(
がん
)
の
娘
(
むすめ
)
がいるから、
君
(
きみ
)
もお
嫁
(
よめ
)
さんを
貰
(
もら
)
うといいや。
君
(
きみ
)
は
見
(
み
)
っともないけど、
運
(
うん
)
はいいかもしれないよ。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
よくよく
糟谷
(
かすや
)
は
苦悶
(
くもん
)
につかれた。
遠
(
とお
)
いさきのことはとにかく、なにかすこしのなぐさめを
得
(
え
)
て、わずかのあいだなりとも、このつかれのくるしみを
忘
(
わす
)
れる
娯楽
(
ごらく
)
を取らねば、とてもたえられなくなった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
人びとは
遠
(
とお
)
まきに
黒馬旅館
(
くろうまりょかん
)
をとりかこんで
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
そして、あたりは
静
(
しず
)
かであって、ただ、
遠
(
とお
)
い
街
(
まち
)
の
角
(
かど
)
を
曲
(
ま
)
がる
荷車
(
にぐるま
)
のわだちの
音
(
おと
)
が、
夢
(
ゆめ
)
のように
流
(
なが
)
れて
聞
(
き
)
こえてくるばかりであります。
花と人の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
桃太郎
(
ももたろう
)
もすぐきじの
立
(
た
)
ったあとから
向
(
む
)
こうを
見
(
み
)
ますと、なるほど、
遠
(
とお
)
い
遠
(
とお
)
い
海
(
うみ
)
のはてに、ぼんやり
雲
(
くも
)
のような
薄
(
うす
)
ぐろいものが
見
(
み
)
えました。
桃太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
その
街道
(
かいどう
)
が
何
(
ど
)
の
位
(
くらい
)
続
(
つづ
)
いているかとお
訊
(
たず
)
ねですか……さァどれ
位
(
くらい
)
の
道程
(
みちのり
)
かは、ちょっと
見当
(
けんとう
)
がつきかねますが、よほど
遠
(
とお
)
いこと
丈
(
だけ
)
は
確
(
たし
)
かでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
遠
(
とお
)
くなるにつれてだんだん小さく、
帽子
(
ぼうし
)
の下に白いハンケチの目かくしをしたその
後姿
(
うしろすがた
)
が、まるで人形のようで……そしてふしぎにも、まっすぐに歩いていきます。
風ばか
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そこで
西
(
にし
)
や
東
(
ひがし
)
や
南
(
みなみ
)
や
北
(
きた
)
の
谷
(
たに
)
に
住
(
す
)
んでいる
人
(
ひと
)
たちやら、もっと
遠
(
とお
)
くのあっちこっちの
村
(
むら
)
まで
合力
(
ごうりょく
)
してもらいにいったんだそうだ。
合力
(
ごうりょく
)
というのは、たすけてもらうことなのさ。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
凄然
(
せいぜん
)
たる
月
(
つき
)
、
塀
(
へい
)
の
上
(
うえ
)
の
釘
(
くぎ
)
、
監獄
(
かんごく
)
、
骨焼場
(
ほねやきば
)
の
遠
(
とお
)
い
焔
(
ほのお
)
、アンドレイ、エヒミチはさすがに
薄気味悪
(
うすきみわる
)
い
感
(
かん
)
に
打
(
う
)
たれて、しょんぼりと
立
(
た
)
っている。と
直後
(
すぐうしろ
)
に、
吐
(
ほっ
)
とばかり
溜息
(
ためいき
)
の
声
(
こえ
)
がする。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
庭
(
にわ
)
には
虫
(
むし
)
の
声
(
こえ
)
もなく、
遠
(
とお
)
くの
空
(
そら
)
を
渡
(
わた
)
る
雁
(
かり
)
のおとずれがうつろのように、
耳
(
みみ
)
に
響
(
ひび
)
いた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
街道
(
かいどう
)
を
遠
(
とお
)
くはなれて、人もとおらぬ
山河
(
さんが
)
を
越
(
こ
)
え、ようよう遠江の国へはいったが、こんな
厳重
(
げんじゅう
)
さでは、さきに
桑名
(
くわな
)
を立った
伊那丸
(
いなまる
)
たちも、やすやす、
無事
(
ぶじ
)
にここを通れたとは思われない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ポンポン、その
音
(
おと
)
は
遠
(
とお
)
くで
涯
(
はて
)
しなくこだまして、たくさんの
雁
(
がん
)
の
群
(
むれ
)
は
一
(
いっ
)
せいに
蒲
(
がま
)
の
中
(
なか
)
から
飛
(
と
)
び
立
(
た
)
ちました。
音
(
おと
)
はなおも
四方八方
(
しほうはっぽう
)
から
絶
(
た
)
え
間
(
ま
)
なしに
響
(
ひび
)
いて
来
(
き
)
ます。
狩人
(
かりうど
)
がこの
沢地
(
たくち
)
をとり
囲
(
かこ
)
んだのです。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
“遠”を含む語句
遠方
永遠
遠雷
遠近
迂遠
遠江
無遠慮
遠眼鏡
遠国
望遠鏡
遠灯
遠々
遠離
遠望
遠慮
遠退
遠山
待遠
遠路
遠吠
...