一生いつしやう)” の例文
あゝ、これ一生いつしやうわかれとなるかもわからぬ。櫻木大佐さくらぎたいさも、日出雄少年ひでをせうねんも、だまつて吾等われら兩人りやうにんかほながめ、ちからめて吾等われらにぎつた。
甲斐かひのない一生いつしやうおくるは眞實しんじつなさけないことかんがへられ、我身わがみこゝろをためなほさうとはしないでひとごとばかりうらめしくおもはれました。
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
恐らくその爭鬪さうとう一生いつしやう續きませう。けれども秋々あき/\みのりは、かならず何ものかを私にもたらしてくれるものとしんじてゐます。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
牝牛めうし小鳥ことりは、一生いつしやうけんめいにならひましたが、それでもおぼえられないのでおしまひにはいやになつてしまひました。
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
するとうしても自分じぶん一人ひとりがこんな窮境きゆうきやうおちいるべき理由りいうがないやうかんぜられた。それから、んな生活せいくわつ状態じやうたいあまんじて一生いつしやうおく兄夫婦あにふうふ如何いかにも憫然ふびんえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ところがあんまり一生いつしやうけんめいあるいたあとは、どうもなんだかおなかがいつぱいのやうながするのです。そこで嘉十かじふも、おしまひにとち団子だんごをとちののくらゐのこしました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
おゝ、ふねいたは貴様きさまだな。それろ、それろ。うぬ魔物まもの山猫やまねこか、狒々ひゝか、きつねか、なんだ! 悪魔あくま女房にようばううばつたやつ。せめて、おれに、正体しやうたいせてくれ。一生いつしやう思出おもひでだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぼく一生いつしやう羅針盤らしんばんおかれたのはじつ此時このときです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
もうけしこゝろまへさま大切たいせつなほどおあんじ申さずにはりませぬをいまはしやなにごとぞ一生いつしやう一人ひとりおくるのんでおもひを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なにをそんなに一生いつしやうけんめいにはなしていらつしやるのですか。」と緑色みどりいろかへるきました。そして、牝牛めうし小鳥ことりからそのわけをくと、かへるをまんまるくして
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
宗助そうすけ御米およね一生いつしやうくらいろどつた關係くわんけいは、二人ふたりかげうすくして、幽靈いうれいやうおもひ何所どこかにいだかしめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「え、貴下あなたかもわからん、貴下あなたかもれません。先生せんせい仰有おつしやつてください、一生いつしやうのおねがひです。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れど、大佐たいさよ、吾等われらいま塲合ばあひおいて、九死きゆうし一生いつしやうをも得難えがたことをばくに覺悟かくごせり。
わたしかくあのかたはこれからの御出世前ごしゆつせまへ一生いつしやう暗黒くらやみにさせましてそれでわたし滿足まんぞくおもはれやうか、おゝいやことおそろしい、なんおもふてわたしひにたか
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
幼君えうくんきつとならせたまひて、「けつしてづることあひならず一生いつしやう其中そのなかにてくらすべし」とおもてたゞしてのたまふ氣色けしきたはむれともおもはれねば、何某なにがしあまりのことにことばでず、かほいろさへあをざめたり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけはそんな擂鉢すりばちそこ一生いつしやうすごひと運命うんめいほどなさけないものはあるまいとかんがへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一生いつしやう箱入はこいりらしくらさせんとにや、さすれば此歌このうた無心むしんきたるものにて半文はんもん價値ねうちもあらず、いなこの優美いうびふでのあとはなんとしても破廉耻はれんちひとにはあらじ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
えぬ、一生いつしやう大難たいなんでござりますと、御新姐樣ごしんぞさまをおをがまをして、の二十さき大巖おほいは不動樣ふどうさままをすのへ、おこもりの願掛ぐわんがけにまゐりたい、といてせて、れまでにも毎々まい/\
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たとへには三歳兒みつご淺瀬あさせひますけれど、わたし一生いつしやうをしへたのはまだものはないあかばうでした。
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
店賃たなちん言譯いひわけばかり研究けんきうをしてないで、一生いつしやうに一自分じぶんいへへ。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
百人前ひやくにんまへ仕事しごとをしたからとつて褒美はうびひとつもやうではし、あさからばんまで一寸法師いつすんぼしはれつゞけで、それだからとつて一生いつしやうつてもこの身長せいびやうかい
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
深夜しんやに、可恐おそろし黄金蛇こがねへびの、カラ/\とときは、土蠻どばんでさへ、だれみなみゝふさぐ……ときにはうからない……そんな果敢はかない、一生いつしやう奴隷どれいはれただのに、一いたことないと
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それだから幾度いくど幾度いくどかんがへてはれはもう一生いつしやうれにもこと出來できないくらゐならいまのうちんで仕舞しまつたはう氣樂きらくだとかんがへるがね、それでもよくがあるから可笑をかしい
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたし冷汗ひやあせながして、一生いつしやう足袋たびたうとおもつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もうおにかゝること一生いつしやう出來できぬので御座ござんするか、それはわたしわる御座ござりました、わたしわるいに相違さうゐござんせぬけれど、それは兄樣にいさまが、あにが、あゝれにもみませぬ
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なにごとぞくまでやさしき孝行かう/\のこヽろにす、父君ちヽぎみ母君はヽぎみ苦勞くらうたねよめいりの相談さうだんかけたまふごとに、わがまヽながらわたく一生いつしやうひとりみのねがひあり、おふせにそむくはつみふかけれど
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
八重やへさぞうちつけなとあきれもせんが一生いつしやうねがひぞよ此心このこゝろつたへてはたまはるまじやうれしき御返事おへんじきたしとは努々ゆめ/\おもはねどゆゑみじかきいのちぞともられててなば本望ほんもうぞかしとうちしほるれば
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしはこれから内職ないしよくなりなんなりして亥之助いのすけ片腕かたうでにもなられるやうこゝろがけますほどに、一生いつしやう一人ひとりいてくださりませとわつとこゑたてるをかみしめる襦袢じゆばんそで墨繪すみゑたけ紫竹しちくいろにやいづるとあはれなり。
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
またういふ旦那だんなさまをわざたてゝわたし一生いつしやうくるしませてくださるかとおもふと實家じつかおや、まあおやです、それはおんのある伯父樣をぢさまですけれども其人そのひとことうらめしいとおもひまするし、第一だいいちをかしたつみわたし
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これより以後いご一生いつしやう五十ねん姫樣ひめさまにはゆびもさすまじく、まし口外こうぐわいゆめさらいたすまじけれど、かねゆゑぢるくちにはあらず、此金こればかりはとおそれげもなく、つきもどしてさてつくづくとびけるが、歸邸きていそのまヽ暇乞いとまごひ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこねもして愛想あいそづかしのたねにもならばはぬにまさらさぞかしきみさまこそ無情つれなしともおもこゝろに二不孝ふかうらねど父樣とゝさまはゝさまなんおほせらるゝとも他處よそほかの良人をつともつべき八重やへ一生いつしやう良人をつとたずとふものからとはおのづかことなりて關係かゝはることなく心安こゝろやすかるべし浦山うらやましやと浦山うらやまるゝわれ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)