迷惑めいわく)” の例文
徐々そろ/\ぬぎかけ座敷へ上らんとするに下男の彌助心のうち彌々いよ/\迷惑めいわくに思ひきやつに何とか云て何れにもとまらぬやう追出して仕廻しまはんともじ/\手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今更いまさらながら長吉ちようきち亂暴らんぼうおどろけどもみたることなればとがめだてするもせんなく、りられしばかりつく/″\迷惑めいわくおもはれて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けれども第一にこまつたのは、平岡の勝手もとの都合を、三千代のうつたへによつてつたとしては、三千代に迷惑めいわくかゝるかも知れない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ところ惣領そうりやう甚六じんろくで、三男さんなんが、三代目さんだいめからやうとには、いまはじまつたことではなけれど、おやたちの迷惑めいわくが、はゞかりながら思遣おもひやられる。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これでは裏門においてかえって人に迷惑めいわくを与うるものである。表門にのみかく力を用うることは悪い意味における表裏といわねばならぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
何遍なんべんいたしましても、おなじことでござります。』と、玄竹げんちくはこの潔癖けつぺき殿樣とのさま相手あひてをしてゐるのが、すこ迷惑めいわくになつてた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
町人は町人並に、このわたしさえどこか町家へでもお嫁に行っていたら、四方八方、こんな迷惑めいわくは掛けなかったのであろうに。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ロミオ はて、それは深切しんせつ爲過しすごし。いっそ迷惑めいわく。おのが心痛しんつうばかりでも心臟しんざういたうなるのに、足下きみまでがいてくりゃると、一だんむねせまる。
電信柱でんしんばしらは、あたまに、いままでかぶったこともない帽子ぼうしをかぶされて迷惑めいわくしました。かれ自身じしんには、がないから、それをりはらうことができなかった。
頭をはなれた帽子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
履歴書も四五十通以上は書いたろう、あらゆる友人をたよって迷惑めいわくな手紙も随分書いたが、頼んだ友人達自身が何等なんらの職もなく弱っている者が多かった。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「そんならまあ安心でございます。ほんとうにみなさまに飛んだご迷惑めいわくをかけてお申し訳けもございません。みんな穂吉の不注意からでございます。」
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「まことにはやご苦労くろうさまにぞんじます。あの気違きちがいも長ながとご迷惑めいわくをかけましたが、それでわたしも安心いたしました。まずどうぞおかけくださいまし」
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かれはまたかかる位置いちになってからも、ひと自分じぶん抛棄うっちゃってはいてくれぬのが、かえって迷惑めいわく残念ざんねんであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
このうまをうかうか京都きょうとまでってって、もしっているものにでもって、ぬすんでたなぞとうたがわれでもしたら、とんだ迷惑めいわくにあわなければならない。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
このやま近時きんじ淺間山あさまやま交代こうたい活動かつどうするかたむきをつてゐるが、降灰こうはひのために時々とき/″\災害さいがい桑園そうえんおよぼし、養蠶上ようさんじよう損害そんがいかうむらしめるので、土地とちひと迷惑めいわくがられてゐる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「そんなことは、どうして判るのかい」と私は、帆村が迷惑めいわくかも知れないと思ったが、率直にたずねた。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それに老先生だって、一度あたしが保証の印をして、いまでもどんなに迷惑めいわくしているか、まさか忘れもしなさらないと見え、その後何にもいい出しなさりはしませんがね
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
『お前にも阿母おつかさんにも迷惑めいわくは掛け無い。わしの友人ともだちが来て知らぬれ出したとお言ひ。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
なまじ人に迷惑めいわくをかけはじさらすよりもうこの道で立つことをふっつりあきらめたがよかろう
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この自身じしんはすやすやとねむっているから格別かくべつ差支さしつかえもないが、この指導役しどうやくをつとめるわしにはそれがはなは迷惑めいわくなんとか工夫くふうはないものかと頭脳あたまなやましたことであった。
「松村君、きみに迷惑めいわくはかけない。きみが止めたけれどもやったって僕は後からいうよ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
『まア、わたしくの』とあいちやんはさも迷惑めいわくさうにつて、『わたしらなくつてよ——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
アダムの二本棒にほんぼう意地いぢきたなさのつまぐひさへずば開闢かいびやく以来いらい五千ねん今日こんにちまで人間にんげん楽園パラダイス居候ゐさふらふをしてゐられべきにとンだとばちりはたらいてふといふ面倒めんだうしやうじ〻はさて迷惑めいわく千万せんばんの事ならずや。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
二名にめい水兵すいへい仲間なかま一群ひとむれ追廻おひまはされて、憘々きゝさけびながら逃廻にげまわつた。それは「命拾いのちひろひのおいわひ」に、拳骨げんこつひとづゝ振舞ふるまはれるので『これたまらぬ』と次第しだいだ。勿論もちろん戯謔じやうだんだが隨分ずいぶん迷惑めいわくことだ。
せんの白も彼に色々の厄介をかけたが、デカも近所のとりを捕ったりして一再いっさいならず迷惑めいわくをかけた。去年の秋の頃は、あまりに家をあけるので、煩悩ぼんのうも消え失せ、既に離籍りせきしようかとした程であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
痴話喧嘩ちわげんかのとばっちりがここまでくるんじゃ、師匠ししょうんだ迷惑めいわくだぜ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
みなみ亭主ていしゆ殊更ことさらかれ同情どうじやうして慰藉ゐしや言辭ことばをしまぬほどそのこゝろうごかされなかつたのみでなく、かれむし仲裁者ちうさいしや地位ちゐたねばらぬことに幾分いくぶん迷惑めいわくかんじた。勘次かんじけつして仲裁ちうさい依頼いらいしなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
使 (迷惑めいわくそうに)わたしはお助け申したいのですが、……
二人小町 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いや、もう、お蔭でこの大納言、とんだ迷惑めいわくをしましたよ。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
それでは、道江が第一気の毒だし、ぼくも非常に迷惑めいわくする。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
あづか迷惑めいわく千萬の事なり生物いきものの事故如何なる異變いへんあらんもはかり難し然る時は又御咎おとがめの程も知ざれば請出せし上何分にも願ひ上て娘を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この吾々のうちにおれもはいってるなら迷惑めいわくだ。おれには青嶋でたくさんだ。あの岩の上に、どうです、ラフハエルのマドンナを置いちゃ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と笑顔で迎えながら泰軒のうしろを見た忠相、ちと迷惑めいわくな気がしてちらと眉をひそめたのだった。泰軒はひとりではなかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
一、幼少のときにある放蕩息子ほうとうむすこが身をあやまって、自分のみならず大勢の人に迷惑めいわくやら心配をかけたのをみて、婦人関係は深くつつしむべしと決心した。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
彼者かのもの迷惑めいわくして、「つひに獻立こんだてつかまつりたるおぼえござなく、其道そのみちいさゝか心得候こゝろえさふらはねば、不調法ぶてうはふさふらふ此儀このぎ何卒なにとぞ餘人よじん御申下おんまをしくださるべし」とこうじたるさまなりけり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
裏門うらもんから、てらのおしょうさんが、にこにこしながら、はいってくるのをると、ちょっと迷惑めいわくそうな顔色かおいろをしたが、すぐわらいにまぎらして、丁寧ていねいむかえました。
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれまたかゝ位置ゐちになつてからも、ひと自分じぶん抛棄うつちやつてはいてれぬのが、かへつて迷惑めいわく殘念ざんねんつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おもつていてはたれど今頃いまごろさましてかゝさんかゝさんと婢女をんなどもを迷惑めいわくがらせ、煎餅おせんやおこしのたらしもかで、皆々みな/\いておにはすとおどかしてゞもやう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
然る後に菜食主義もよろしかろう。諸君のごと畸形きけいの信者は恐らく地下の釈迦も迷惑めいわくであろう。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
対決させてみると春琴はきっとなり佐助どんなんぞ疑ぐられるようなこと云うたんと違うかわてが迷惑めいわくするよって身に覚えのないことはないとはっきり明りを立ててほしいと云うくぎ
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「むろんあやまる時は僕たちから申しあげる。けっしてきみに迷惑めいわくはかけない」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あついにつけ、さむいにつけ、せつないおもいは、いつも谷中やなかそらかよってはいたが、いまではおまえ人気娘にんきむすめ、うっかりあたしがたずねたら、あらぬ浮名うきなてられて、さぞ迷惑めいわくでもあろうかと、きょうがまで
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
迷惑めいわくではありませんかな。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
博士は迷惑めいわくそうな顔をした。
海底大陸 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ところへ赤シャツが来て昨日は失敬、迷惑めいわくでしたろうと云ったから、迷惑じゃありません、お蔭で腹が減りましたと答えた。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見合せ伺ひ申べしとのことにてまづ夫迄それまでは大坂の早打はやうち留置とめおけとの趣きなり近江守は甚だ迷惑めいわくの儀なれども御重役ごぢうやくの申付是非ぜひなく御機嫌のよろしき時節を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかしこれはいぬ役目やくめで、夜中よなかになにか足音あしおとがすればほえるのに不思議ふしぎなことはありませんけれど、あまりよくほえますので近所きんじょ迷惑めいわくすることであります。
おじいさんの家 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしいて何か不愉快はなきやとたずねらるれば、やはり往昔むかし、東海道を旅行した人が、雲助くもすけのために迷惑めいわくを受けた——程度は違うにしても——と同じように
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
いゝえ御婦人ごふじんかぎつたことはありますまいとも。……げんわたくし迷惑めいわくをしたんですから……だれだつて見境みさかひはないんでせう。其奴そいつ砂利じやりつかんで滅茶々々めちや/\擲附ぶツつけるんです。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「何かお取込みのようですが、御迷惑めいわくなら、あっしはまた出直して来てもいいのでごぜえます」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)