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御重役
望立身を
心懸候
心底には候はず左樣の存じ
寄あらば何とて今日御役宅へ
御密談に參り可申や
配下の身として
御重役の
不首尾を
見合せ伺ひ申べしとのことにて
先夫迄は大坂の
早打は
留置との趣きなり近江守は甚だ
迷惑の儀なれども
御重役の申付
是非なく御機嫌の
宜き時節を
渡邊橋の天一坊の
旅館へ
遣はさる兩人は
玄關より
案内に及べば取次は
遠藤東次右衞門なり出て
挨拶に及ぶに兩人の
與力の申には我々は
西町奉行松平日向守
組與力なるが天一坊殿に
御重役御意得たし少々
御伺ひ申度儀ありと
述ぶ
取次の遠藤東次右衞門は
早速奧へ
斯と通ぜんと
先兩人を