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窺
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うかゞ
ふりがな文庫
“
窺
(
うかゞ
)” の例文
其
(
そ
)
の人の作った戯曲の面白さが分らないとすれば、
罪
(
つみ
)
は自分の方にある。残念ながら、自分は藝術の
殿堂
(
でんどう
)
を
窺
(
うかゞ
)
う資格がないのである。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
眼
(
まなこ
)
を
放
(
はな
)
たず
睥睨
(
へいげい
)
して
居
(
を
)
る、
猛狒
(
ゴリラ
)
も
益々
(
ます/\
)
猛
(
たけ
)
く
此方
(
こなた
)
を
窺
(
うかゞ
)
つて
居
(
を
)
る、
此
(
この
)
九死一生
(
きうしいつしやう
)
の
分
(
わか
)
れ
目
(
め
)
、
不意
(
ふい
)
に、
實
(
じつ
)
に
不意
(
ふい
)
に、
何處
(
どこ
)
ともなく
一發
(
いつぱつ
)
の
銃聲
(
じうせい
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
よしんば力松を
買收
(
ばいしう
)
したところで、此處からさまで遠くない店の衆の寢息を
窺
(
うかゞ
)
つて、曲者を引入れるのも容易な
業
(
わざ
)
ではありません。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
読者は、鹿太がどんな性質の人で、どんな境遇にゐて、どんな閲歴を有してゐると云ふことも、おほよそは
窺
(
うかゞ
)
ふことが出来たであらう。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
掛内に
這入
(
はひり
)
て
伏
(
ふし
)
み居し
折柄
(
をりから
)
燒場の
外面
(
おもて
)
の方に
大喧嘩
(
おほげんくわ
)
が始りし樣子故何事かと存じ
密
(
そつ
)
と出て
窺
(
うかゞ
)
ひしに
闇
(
くら
)
き夜なれば一
向
(
かう
)
に
分
(
わか
)
らず
暫時
(
しばらく
)
樣子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
『おろかものの
愚老
(
ぐらう
)
、
碌
(
ろく
)
な
智慧
(
ちゑ
)
も
持
(
も
)
ち
合
(
あ
)
はせませんが、どういふ
儀
(
ぎ
)
でござりませうか。』と、
玄竹
(
げんちく
)
はまた
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
氣色
(
けしき
)
を
窺
(
うかゞ
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
さて我山中に入り
場所
(
ばしよ
)
よきを
見立
(
みたて
)
、木の
枝
(
えだ
)
藤蔓
(
ふぢつる
)
を以て
仮
(
かり
)
に
小屋
(
こや
)
を作りこれを
居所
(
ゐどころ
)
となし、おの/\犬を
牽
(
ひき
)
四方に
別
(
わかれ
)
て熊を
窺
(
うかゞ
)
ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
廊下へ出て様子を
窺
(
うかゞ
)
いますと、隣座敷の客達は
皆
(
みん
)
な遊びに出て留守ですから、安心をして自分の座敷に立戻り、何程かの金子を紙に包んで
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
蜂
(
はち
)
はそれにとまつて
暫
(
しばら
)
く
夫
(
をつと
)
の
氣配
(
けはい
)
を
窺
(
うかゞ
)
つてゐるらしかつたが、それが
身動
(
みうご
)
きもしないのを
見
(
み
)
ると、
死骸
(
しがい
)
を
離
(
はな
)
れてすぐ
近
(
ちか
)
くの
地面
(
ぢべた
)
に
飛
(
と
)
び
降
(
お
)
りた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
俯
(
うつむ
)
き
窺
(
うかゞ
)
ひつゝみないひけるは、メヅーサを來らせよ、かくして彼を石となさん、我等テゼオに襲はれて怨みを報いざりし
幸
(
さち
)
なさよ 五二—五四
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
いづれも肥え
膏
(
あぶら
)
づいて、竹の串に突きさゝれてある。
流石
(
さすが
)
に嗅ぎつけて来たと見え、一匹の小猫、下女の
背後
(
うしろ
)
に様子を
窺
(
うかゞ
)
ふのも
可笑
(
をか
)
しかつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
お
糸
(
いと
)
は
稽古
(
けいこ
)
の
隙
(
すき
)
を
窺
(
うかゞ
)
つてお
豊
(
とよ
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
して、「ぢや、晩ほど。どうもお
邪魔
(
じやま
)
いたしました。」と
云
(
い
)
ひながらすた/\帰つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
此
(
この
)
派出好
(
はでずき
)
な
弟
(
おとうと
)
が、
其後
(
そのご
)
何
(
ど
)
んな
徑路
(
けいろ
)
を
取
(
と
)
つて、
何
(
ど
)
う
發展
(
はつてん
)
したかを、
氣味
(
きみ
)
の
惡
(
わる
)
い
運命
(
うんめい
)
の
意思
(
いし
)
を
窺
(
うかゞ
)
ふ
一端
(
いつたん
)
として、
主人
(
しゆじん
)
に
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
た。
主人
(
しゆじん
)
は
卒然
(
そつぜん
)
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
併しその一流の境を求める自分はまだその
俤
(
おもかげ
)
の
窺
(
うかゞ
)
はれる仕事すらしてをらぬのに、孫四郎はとも角その「面白い」自家の一道を既に掴まへてゐる。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
世間話を二つ三つしたが、油井は「は、は。」と謹んで挨拶して、煙草ばかり吹いて居る。妹は勿論一言も云はぬ。
額越
(
ひたひごし
)
に兄の気色を
窺
(
うかゞ
)
つて見る。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
そして、上からじっと下方の闇を
窺
(
うかゞ
)
った時、何かしら自分の行く先が、泥水に満ちた深い谷間のように思われるので、自然と足の進みを
躊躇
(
ちゅうちょ
)
せしめた。
ラ氏の笛
(新字新仮名)
/
松永延造
(著)
すた/\と
入
(
はひ
)
つて
来
(
く
)
ると、
棚
(
たな
)
を
視
(
なが
)
め、
席
(
せき
)
を
窺
(
うかゞ
)
ひ、
大鞄
(
おほかばん
)
と、
空気枕
(
くうきまくら
)
を、
手際
(
てぎは
)
よく
取
(
と
)
つて
担
(
かつ
)
いで、アルコールの
青
(
あを
)
い
火
(
ひ
)
を、
靴
(
くつ
)
で
半輪
(
はんわ
)
に
廻
(
まは
)
つて、
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
くとて——
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
すてんか
明日
(
あす
)
こそはと
窺
(
うかゞ
)
ふ
心
(
こゝろ
)
に
怠
(
おこた
)
りなけれど
人目
(
ひとめ
)
の
關守
(
せきもり
)
何
(
なん
)
として
隙
(
ひま
)
あるべき
此處
(
こゝ
)
に
七年
(
しちねん
)
身
(
み
)
はまだ
籠中
(
ろうちゆう
)
の
鳥
(
とり
)
。
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そしてそれ以来われ/\は、毎日ホテルの土塀にのぼつては遠くに見える客室の様子を
窺
(
うかゞ
)
ふやうになりました。そのうちに、たうとう私は奥さんと近づきになりました。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
「奧さんが仰しやつてましたわ、あの
厄介者
(
やくかいもの
)
の
氣立
(
きだて
)
の惡い子供を
追拂
(
おつぱら
)
へるので嬉しいつて。いつでも人のすることを
窺
(
うかゞ
)
つてゐて、こつそり
惡企
(
わるだく
)
みをするやうな子をね。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
我が平民界の侠客をうつして文章に録せしもの、甚だ多し、われは一々之を参照する能はず、こゝに馬琴が其「侠客伝」に序して曰ひし数句を挙げて、其意見を
窺
(
うかゞ
)
ひ見む。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
目星をつけた家の
気勢
(
けはひ
)
を暫く
窺
(
うかゞ
)
つた後、格子戸を開けてみると、額の
蒼白
(
あをじろ
)
い、
眉毛
(
まゆげ
)
の濃い、目の大きい四十がらみのお神が長火鉢のところにゐて、ちよつと困惑した顔だつた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
〔評〕長兵京師に
敗
(
やぶ
)
る。木戸公は岡部氏に
寄
(
よ
)
つて
禍
(
わざはい
)
を
免
(
まぬか
)
るゝことを得たり。
後
(
のち
)
丹波に
赴
(
おもむ
)
き、
姓名
(
せいめい
)
を
變
(
か
)
へ、
博徒
(
ばくと
)
に
混
(
まじ
)
り、
酒客
(
しゆかく
)
に
交
(
まじは
)
り、以て時勢を
窺
(
うかゞ
)
へり。南洲は
浪華
(
なには
)
の某樓に
寓
(
ぐう
)
す。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
勿論
之
(
これ
)
は二三日の滞在に外観を一
瞥
(
べつ
)
した
丈
(
だ
)
けの感じであつて、
其
(
その
)
学問芸術の方面に
伯林
(
ベルリン
)
を圧する力を持つて居ると云ふ最近の
維納
(
ヰイン
)
の内景に到つては容易に
窺
(
うかゞ
)
ひ
得
(
う
)
べくも無かつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
一番にも二番にも何より私は佐伯の鼻意気を
窺
(
うかゞ
)
ひ、気に入るやう細心に骨折つてゐた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
バルタ いや、
僕
(
ぼく
)
は
能
(
え
)
い
行
(
ゆ
)
きませぬ。
主人
(
しゅじん
)
は
僕
(
わたくし
)
をば
既
(
はや
)
往
(
い
)
んだとのみ
思
(
おも
)
うてをられます。
若
(
も
)
しも
此處
(
こゝ
)
に
止
(
とゞ
)
まって
樣子
(
やうす
)
など
窺
(
うかゞ
)
はうならば、
斬殺
(
きりころ
)
してのけうと、
怖
(
おそろ
)
しい
見脈
(
けんみゃく
)
で
嚇
(
おど
)
されました。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
われは
屏息
(
へいそく
)
してこれを
窺
(
うかゞ
)
ひ居て、我脈搏の亢進するを覺えたり。既にして三人は立ちあがりぬ。新婦は二兒を
延
(
ひ
)
きて
梯
(
はしご
)
を上り、しばらくありて靜かに
傍廂
(
かたびさし
)
の戸を閉ぢ、獨り梯を下り來りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
一句
(
いつく
)
・
二句
(
にく
)
の
景色
(
けしき
)
は、
西行
(
さいぎよう
)
にその
強
(
つよ
)
い
力
(
ちから
)
のあることが
窺
(
うかゞ
)
はれます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
なんともいへない
無邪氣
(
むじやき
)
な
顏
(
かほ
)
つきや
樣子
(
ようす
)
をしてゐるところなど、いかにも
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
の
飾
(
かざ
)
り
氣
(
け
)
のない
心
(
こゝろ
)
が
窺
(
うかゞ
)
はれるばかりでなく、
當時
(
とうじ
)
の
人
(
ひと
)
の
風俗
(
ふうぞく
)
だとか
服裝
(
ふくそう
)
なども、これによつて
知
(
し
)
ることが
出來
(
でき
)
ますから
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
(内を
窺
(
うかゞ
)
ひて)病人の容態は
如何
(
いかゞ
)
でござりませうか。
近松半二の死
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
巡警看守の隙を
窺
(
うかゞ
)
い
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
跡取がお杉になり相なので、徳松はお道をそゝのかして、權八に金を持逃げさせ、その晩庄吉の寢息を
窺
(
うかゞ
)
つてあんな事をしたのさ。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
窺
(
うかゞ
)
ひ友次郎殿事お花樣の
御部屋
(
おへや
)
へ忍び來られたり此事
確
(
たしか
)
に見屆け候故御
注進
(
ちうしん
)
申上候と云ければ喜内は
騷
(
さわ
)
ぎたる
體
(
てい
)
もなく吾助其方
供
(
とも
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
代助は
黙
(
だま
)
つて三千代の様子を
窺
(
うかゞ
)
つた。三千代は始めから、
眼
(
め
)
を
伏
(
ふ
)
せてゐた。代助には其長い
睫毛
(
まつげ
)
の
顫
(
ふる
)
へる
様
(
さま
)
が能く見えた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然るに
生憎
(
あいにく
)
横井は腸を
傷
(
いた
)
めて、久しく出勤しなかつた。邸宅の辺を
徘徊
(
はいくわい
)
して
窺
(
うかゞ
)
ふに、大きい
文箱
(
ふばこ
)
を持つた
太政官
(
だじやうくわん
)
の使が
頻
(
しきり
)
に
往反
(
わうへん
)
するばかりである。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
と
云附
(
いいつ
)
け置きました。さて源次郎は皆寝静まッたる様子を
窺
(
うかゞ
)
い、そっと
跣足
(
はだし
)
で庭石を伝わり、雨戸の明いた所から
這
(
は
)
い
上
(
あが
)
り、お國の寝間に忍び寄れば
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『
何処
(
どこ
)
へ行くのだらう、
彼
(
あの
)
男は。』斯う思ひ乍ら、丑松は其となく高柳の様子を
窺
(
うかゞ
)
ふやうにして見ると、
先方
(
さき
)
も同じやうに丑松を注意して見るらしい。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
何をするかと
窺
(
うかゞ
)
っていると、
彼方此方
(
かなたこなた
)
を蹈み分けて行って、云いようもなく腐りたゞれた死人の傍に寄って、或は眼を閉じ、或は眼を開いて祈念を凝らし
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
立
(
た
)
つに
扨
(
さて
)
は
孃
(
じよう
)
さまの
心
(
こゝろ
)
汲
(
くみ
)
とり
給
(
たま
)
ひてかと
嬉
(
うれ
)
しきにも
心
(
こゝろ
)
ぽそく
立上
(
たちあが
)
る
男
(
をとこ
)
の
顏
(
かほ
)
そと
窺
(
うかゞ
)
ひてホロリとこぼす
涕
(
なみだ
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『
愚老
(
ぐらう
)
にお
話
(
はなし
)
とは、どういふ
儀
(
ぎ
)
でござりますか。』と、
玄竹
(
げんちく
)
は
盃
(
さかづき
)
を
傍
(
かたはら
)
に
置
(
お
)
いて、
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
氣色
(
けしき
)
を
窺
(
うかゞ
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
鄰村
(
となりむら
)
で
空臼
(
からうす
)
を
磨
(
す
)
るほどの
音
(
おと
)
がすればしたで、
慌
(
あわたゞ
)
しく
起
(
た
)
つて、
兩方
(
りやうはう
)
の
空
(
そら
)
を
窺
(
うかゞ
)
はないでは
居
(
ゐ
)
られない。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それと同じやうに
御厩河岸
(
おうまやかし
)
の
渡
(
わた
)
し
鎧
(
よろひ
)
の
渡
(
わたし
)
を始めとして市中諸所の
渡場
(
わたしば
)
は、明治の初年
架橋工事
(
かけうこうじ
)
の
竣成
(
しゆんせい
)
と
共
(
とも
)
にいづれも跡を絶ち今は
只
(
たゞ
)
浮世絵によつて当時の光景を
窺
(
うかゞ
)
ふばかりである。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ロマンチック・アイデアリストとしての馬琴の一端は、之を以て
窺
(
うかゞ
)
ひ知るを得んか。
処女の純潔を論ず:(富山洞伏姫の一例の観察)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
梧桐
(
ごとう
)
が茂り、大きな葉が陰影をさし延べると、彼は前よりも大胆に枝を見透かして、下の物音を注意深く
窺
(
うかゞ
)
はうとした。やがて和作はその日本風な
謎
(
なぞ
)
を解きあかされた。紹介された。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
樣子
(
やうす
)
を
窺
(
うかゞ
)
つて
居
(
を
)
るとは
氣付
(
きづ
)
いた
人
(
ひと
)
はありませんかつたが、
今
(
いま
)
現
(
げん
)
に
海賊
(
かいぞく
)
仲間
(
なかま
)
の
其
(
その
)
息子
(
むすこ
)
が
此
(
この
)
港
(
みなと
)
に
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
と、
今
(
いま
)
の
話
(
はなし
)
の
樣子
(
やうす
)
で、
朧
(
おぼろ
)
ながらも
其
(
そ
)
れと
覺
(
さと
)
つた
亞尼
(
アンニー
)
の
驚愕
(
おどろき
)
はまアどんなでしたらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
さして立去たり
跡
(
あと
)
に殘りし男は
猶
(
なほ
)
内の樣子を
窺
(
うかゞ
)
ひ居る故
旅僧
(
たびそう
)
は見付られなば殺されもやせんと
息
(
いき
)
を
堪
(
こら
)
へて車の
蔭
(
かげ
)
に
屈
(
かゞ
)
み居る中此方の
板塀
(
いたべい
)
の戸を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
こんな事もあらうかと、平次の眼配せを讀んで、家中の者の樣子を
窺
(
うかゞ
)
つてゐた八五郎です。女の動作は八五郎が思ひも及ばないほど
敏捷
(
びんせふ
)
なものでした。
銭形平次捕物控:159 お此お糸
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
檜
(
ひのき
)
の
植込
(
うえご
)
みの所から伝わって
随竜垣
(
ずいりゅうがき
)
の脇に身を潜めて様子を
窺
(
うかゞ
)
うと、
長
(
なが
)
四畳で、次は
一寸
(
ちょっと
)
広間のようの所がありまして、
此方
(
こちら
)
に道場が一杯に見えます。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
椽側から
外
(
そと
)
を
窺
(
うかゞ
)
うと、奇麗な
空
(
そら
)
が、高い
色
(
いろ
)
を
失
(
うしな
)
ひかけて、
隣
(
となり
)
の
梧桐
(
ごとう
)
の
一際
(
ひときは
)
濃
(
こ
)
く見える
上
(
うへ
)
に、
薄
(
うす
)
い
月
(
つき
)
が
出
(
で
)
てゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
武裝した軍兵百人を載せた大舟と、二
艘
(
さう
)
の小舟とから、此舟番は成り立つてゐる。利安等は
隙
(
すき
)
を
窺
(
うかゞ
)
つてゐたが、どうも舟番所を拔ける手段が得られなかつた。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
窺
漢検準1級
部首:⽳
16画
“窺”を含む語句
窺知
窺見
窺視
差窺
窺窬
窺伺
窺寄
窺得
窺測
窺覗
窺込
管窺
自能窺宋玉