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今年
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ことし
ふりがな文庫
“
今年
(
ことし
)” の例文
お
父
(
とう
)
さん、しゃくやくも、
紅
(
あか
)
い
芽
(
め
)
を
出
(
だ
)
しましたよ。また
今年
(
ことし
)
も、きれいな
花
(
はな
)
を
咲
(
さ
)
くでしょうね。ああ、
☆
げんぶきも
芽
(
め
)
を
出
(
だ
)
しましたよ。
さまざまな生い立ち
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
霧島躑躅
(
きりしまつつじ
)
常
(
じやう
)
——
常談
(
じやうだん
)
云つちやいけない。わたしなどはあまり
忙
(
せは
)
しいものだから、
今年
(
ことし
)
だけはつい
何時
(
いつ
)
にもない
薄紫
(
うすむらさき
)
に咲いてしまつた。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「木之さん、
今年
(
ことし
)
も出かけるかな」。木之助が家の前の坂道をのぼって、広い県道に出たとき、村人の一人がそういって
擦
(
す
)
れちがった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
暴風雨
(
ばうふうう
)
の
年
(
とし
)
から、ばつたり
來
(
こ
)
なく
成
(
な
)
つた。それが、
今年
(
ことし
)
、しかもあの
大地震
(
おほぢしん
)
の
前
(
まへ
)
の
日
(
ひ
)
の
暮方
(
くれがた
)
に、
空
(
そら
)
を
波
(
なみ
)
のやうに
群
(
む
)
れて
渡
(
わた
)
りついた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「いや、なさいました。正月の元日になさいました。僕に日記をお見せになって、
今年
(
ことし
)
から本気になって勉強するとおっしゃいました」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
それは
今年
(
ことし
)
の夏になろうとする頃で、私と妻は、この村にはじめて来た画家の深沢さんを案内しながら、近所の林のなかを歩き廻った
挙句
(
あげく
)
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「
今年
(
ことし
)
も来月
一月
(
ひとつき
)
だもの。」と女は片手に髪を押え、片手に陶器の
丸火鉢
(
まるひばち
)
を引寄せる。その上にはアルミの
薬鑵
(
やかん
)
がかけてある。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
法皇は知らせを受けて、寝殿の
階
(
はし
)
がくしの
間
(
ま
)
に上皇を待っていた。高倉上皇、
今年
(
ことし
)
二十歳、夜明けの月の光をやわらかに浴びて立っていた。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
今年
(
ことし
)
みたいに、
紅白
(
こうはく
)
の
花
(
はな
)
がたんと
咲
(
さ
)
いた
歳
(
とし
)
は
無
(
な
)
い。
野
(
の
)
は
一面
(
いちめん
)
に
眼
(
め
)
が
覚
(
さ
)
めるやうな
色
(
いろ
)
だ。どこへ
行
(
い
)
つても
垣根
(
かきね
)
の
上
(
うへ
)
に
主
(
しゆ
)
の
御血潮
(
おんちしほ
)
は
煌々
(
ぴかぴか
)
してゐる。
浮浪学生の話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
その塚田弥之助というのは、
今年
(
ことし
)
二十二の若い人で、正月いっぱいに江戸を引き払って甲府勤番ということになりました。
半七捕物帳:51 大森の鶏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お
月見
(
つきみ
)
にといってあなたを
誘
(
さそ
)
い
出
(
だ
)
して、こんな
山奥
(
やまおく
)
へ
連
(
つ
)
れて
来
(
き
)
たのは、
今年
(
ことし
)
はあなたがもう七十になって、いつ
島流
(
しまなが
)
しにされるか
分
(
わ
)
からないので
姨捨山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
仕事屋
(
しごとや
)
のお
京
(
きやう
)
は
今年
(
ことし
)
の
春
(
はる
)
より
此裏
(
このうら
)
へと
越
(
こ
)
して
來
(
き
)
し
者
(
もの
)
なれど
物事
(
ものごと
)
に
氣才
(
きさい
)
の
利
(
き
)
きて
長屋中
(
ながやぢゆう
)
への
交際
(
つきあひ
)
もよく、
大屋
(
おほや
)
なれば
傘屋
(
かさや
)
の
者
(
もの
)
へは
殊更
(
ことさら
)
に
愛想
(
あいさう
)
を
見
(
み
)
せ
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「いや、半蔵には
御嶽
(
おんたけ
)
の
参籠
(
さんろう
)
までしてもらったがね、おれの寿命が
今年
(
ことし
)
の七十歳で尽きるということは、ある人相見から言われたことがあるよ。」
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今年
(
ことし
)
は例年より気候がずつと
緩
(
ゆる
)
んでゐる。殊更
今日
(
けふ
)
は
暖
(
あたゝ
)
かい。三四郎は
朝
(
あさ
)
のうち湯に行つた。
閑人
(
ひまじん
)
の
少
(
すく
)
ない世の
中
(
なか
)
だから、午前は
頗
(
すこぶ
)
る
空
(
す
)
いてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
今年
(
ことし
)
十二
歳
(
さい
)
の
少年
(
せうねん
)
には
珍
(
めづ
)
らしき
迄
(
まで
)
に
大人似
(
おとなび
)
て、
氣象
(
きしよう
)
の
凛々
(
りゝ
)
しい、
擧動
(
きよどう
)
の
沈着
(
ちんちやく
)
な、まるで、
小櫻木大佐
(
せうさくらぎたいさ
)
を
茲
(
こゝ
)
に
見
(
み
)
るやうな、
雄壯
(
をゝ
)
しき
少年
(
せうねん
)
とはなつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
去年までは車にしたが、
今年
(
ことし
)
は今少し
楽
(
らく
)
なものをと考えて、到頭以前
睥睨
(
へいげい
)
して居た自動車をとることにした。実は自身乗って見たかったのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
されば
暖国
(
だんこく
)
の人のごとく初雪を
観
(
み
)
て
吟詠
(
ぎんえい
)
遊興
(
いうきよう
)
のたのしみは
夢
(
ゆめ
)
にもしらず、
今年
(
ことし
)
も又此
雪中
(
ゆきのなか
)
に
在
(
あ
)
る事かと雪を
悲
(
かなしむ
)
は
辺郷
(
へんきやう
)
の
寒国
(
かんこく
)
に
生
(
うまれ
)
たる不幸といふべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
マタン紙上で
今年
(
ことし
)
の流行服の予想を各女優から聞いて
公
(
おほやけ
)
にして居る。日本の「キモノ」から影響せられて細くなつた
裳
(
ジユツプ
)
の
形
(
かた
)
は
未
(
ま
)
だ当分広くなるまい。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
夫人はジャンヌさん、娘はイヴォンヌさんといって、
今年
(
ことし
)
十七歳になる。
朝露
(
あさつゆ
)
をうけた白薔薇といった感じで、
剛子
(
つよこ
)
はたいへんこのお嬢さんが好きだ。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今年
(
ことし
)
の正月には
男踏歌
(
おとことうか
)
があった。御所からすぐに
朱雀
(
すざく
)
院へ行ってその次に六条院へ舞い手はまわって来た。道のりが遠くてそれは夜の明け方になった。
源氏物語:23 初音
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そこで、彼女の、
今年
(
ことし
)
四つになる女の子と、頭の白い母親とが食卓を前にして彼女の帰りを待っているのだった。
接吻を盗む女の話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
私は
今年
(
ことし
)
はこのままで黄色く枯れてしまいますけれども、来年あなたの来る時分にはまたわかくなってきれいになってあなたとお友だちになりましょう。
燕と王子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「うム、
今年
(
ことし
)
ゃあ、行こう。だが、もすこし、持病の喘息が
快
(
よ
)
くならねえことには、おれの体がうごけねえ」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私は
今年
(
ことし
)
三十九になる。
人世
(
じんせい
)
五十が
通相場
(
とおりそうば
)
なら、まだ
今日明日
(
きょうあす
)
穴へ入ろうとも思わぬが、しかし未来は長いようでも短いものだ。過去って了えば実に
呆気
(
あッけ
)
ない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
今年
(
ことし
)
もとう/\
行
(
ゆ
)
かれなかつたと、お
互
(
たがひ
)
に
思
(
おも
)
ひながらも、それがさしてものなげきでなく、
二人
(
ふたり
)
の
心
(
こゝろ
)
にはまた
來年
(
らいねん
)
こそはといふ
希望
(
のぞみ
)
が
思浮
(
おもひうか
)
んでゐるのであつた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
右
(
みぎ
)
の
次第
(
しだい
)
にて
大陰暦
(
たいゝんれき
)
は
春夏秋冬
(
しゆんかしうとう
)
の
節
(
せつ
)
に
拘
(
かゝは
)
らず、一年の
日數
(
ひかず
)
を
定
(
さだむ
)
るものなれば
去年
(
きよねん
)
の
何月何日
(
なんぐわつなんにち
)
と、
今年
(
ことし
)
の
其日
(
そのひ
)
とは
唯
(
たゞ
)
唱
(
となへ
)
のみ
同樣
(
どうやう
)
なれども
四季
(
しき
)
の
節
(
せつ
)
は
必
(
かなら
)
ず
相違
(
さうゐ
)
せり。
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
えゝ、忙しいのは結構なんですけれど、
今年
(
ことし
)
はお爺さんも弱つちやつて、おらあ、もう働くのはいやだ、東京の息子の所へ行つて暮したいと云ふんで困りますよ。
水不足
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
作蔵
今年
(
ことし
)
も十六日からの盆踊りで、あの人ぐらいいい声のはいなかった。宮の次郎でも、
平湯
(
ひらゆ
)
の又さんだとて、
岩瀬
(
いわせ
)
の角三郎だって、較べ者にはならなかったね。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
おや、
旦那
(
だんな
)
好
(
よ
)
くお
出
(
い
)
でなさいましたね、
金吹町
(
かねふきちやう
)
さんまア
好
(
よ
)
く
入
(
い
)
らつしやいましたね、
今年
(
ことし
)
は
元日
(
ぐわんじつ
)
から
縁起
(
えんぎ
)
が
好
(
よ
)
い事ね。乙「
時
(
とき
)
に
昼飯
(
ひるめし
)
の
支度
(
したく
)
をしてちよいと一
杯
(
ぱい
)
おくれ。 ...
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まだ、
年
(
とし
)
の
變
(
かは
)
らない
舊年
(
ふるとし
)
の
間
(
あひだ
)
に、あゝ
春
(
はる
)
がやつて
來
(
き
)
たことだ。して
見
(
み
)
ると、この
一年
(
いちねん
)
が
二
(
ふた
)
つに
分
(
わか
)
れて、きのふまでを
去年
(
きよねん
)
といはうか。
今日
(
けふ
)
から
後
(
のち
)
を、
今年
(
ことし
)
といはうか。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
根葉
(
ねは
)
からち
置
(
お
)
けば、
昨年
(
こぞ
)
今年
(
ことし
)
なてや、
首里
(
しゆり
)
納
(
をさ
)
めならぬ、
那覇
(
なは
)
納
(
をさ
)
めならぬ、
御百姓
(
おひやくしやう
)
のまじりかつ
死
(
じに
)
に
及
(
およ
)
で、
御願
(
おねげ
)
てる
御願
(
おねげ
)
、
祈
(
たか
)
べてるたかべ、
肝揃
(
きもそろ
)
て
立
(
た
)
てゝ、
肝揃
(
きもそろ
)
て
願
(
ね
)
げは
ユタの歴史的研究
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
これらは
大方
(
おほかた
)
、
而
(
しか
)
も
今年
(
ことし
)
六ツになる
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
のわたしたちの
玲子
(
れいこ
)
——千
草
(
ぐさ
)
は、まだやつと
第
(
だい
)
一のお
誕生
(
たんじやう
)
がきたばかりで、
何
(
なんに
)
も
解
(
わか
)
りません——に、
宵
(
よひ
)
の
口
(
くち
)
の
寐床
(
ねどこ
)
のなかなどで
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
私
(
わたし
)
は
今年
(
ことし
)
三十八である。父親が海をこえてこの遠い九州の野に来た
年齢
(
とし
)
は殆ど同じである。
私
(
わたし
)
は二十年
前
(
ぜん
)
、死ぬ四日前に
此処
(
こゝ
)
に来た父親の心を考へずには
居
(
ゐ
)
られなかつた。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
旦那
(
だんな
)
の
山林開墾
(
やまおこ
)
しちやうめえのよ、
場所
(
ばしよ
)
によつちや
陸稻
(
をかぼ
)
も
作
(
つく
)
れるし、
俺
(
お
)
らこんでも三四
反歩
(
たんぶり
)
づつは
作
(
つく
)
つてんだが、
今年
(
ことし
)
はえゝ
鹽梅
(
あんべえ
)
な
降
(
ふ
)
りだから
大丈夫
(
だえぢよぶ
)
だたあ
思
(
おも
)
つてんのよ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
是非なくおろし參らせ、清盛の女が腹に生れし
春宮
(
とうぐう
)
の
今年
(
ことし
)
僅に三歳なるに御位を讓らせ給ふ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
はなしかの柳家なにがしらとお
成道
(
なりみち
)
なる
祇園
(
ぎおん
)
演芸場へ出演せしが席への
途次
(
みちすがら
)
今年
(
ことし
)
の干支なる羊或は雪達磨の形せる狸に破れ傘あしらひたるなど、いと
巨
(
おほ
)
いなる雪人形をみいでたり。
滝野川貧寒
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
の
長男
(
ちやうなん
)
の
勉
(
つとむ
)
は
夢
(
ゆめ
)
のやうに
成人
(
せいじん
)
した。
小學時代
(
せうがくじだい
)
から
學業
(
がくげふ
)
品行
(
ひんかう
)
共
(
とも
)
に
優等
(
いうとう
)
の
成績
(
せいせき
)
で、
今年
(
ことし
)
中學
(
ちうがく
)
を
卒
(
を
)
へると、すぐに
地方
(
ちはう
)
の
或
(
あ
)
る
專問學校
(
せんもんがくかう
)
の
入學試驗
(
にふがくしけん
)
を
受
(
う
)
けるために
出
(
で
)
て
行
(
い
)
つたのである。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
これが私の兄で
巳之助
(
みのすけ
)
という大工で、
今年
(
ことし
)
七十八歳、
信心者
(
しんじんもの
)
で毎日神仏へのお
詣
(
まい
)
りを
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
昨日、洋服をきてきたので、だいぶハイカラさんだとは思っていたが、自転車にのってくるとは思わなんだ。困ったな。なんで
今年
(
ことし
)
にかぎって、こんな
上等
(
じょうとう
)
を
岬
(
みさき
)
へよこしたんだろう。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
それでは
今年
(
ことし
)
が
初
(
はじ
)
めてだの
昔
(
むかし
)
からも
一年
(
いちねん
)
の
謀
(
はかりごと
)
は
元旦
(
ぐわんたん
)
にありといふから、お
前
(
まへ
)
さんも
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
然るに
今年
(
ことし
)
抽斎が往って見ると、名は発会式と称しながら、趣は全く前日に
異
(
ことな
)
っていて、京水時代の静粛は
痕
(
あと
)
だに
留
(
とど
)
めなかった。芸者が来て
酌
(
しゃく
)
をしている。森枳園が声色を使っている。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
其
(
それ
)
も
其筈
(
そのはづ
)
、
実家
(
さと
)
は
生計向
(
くらしむき
)
も
豊
(
ゆた
)
かに、
家柄
(
いへがら
)
も
相当
(
さうたう
)
に
高
(
たか
)
く、
今年
(
ことし
)
五十
幾許
(
いくつ
)
かの
父
(
ちゝ
)
は
去年
(
きよねん
)
まで
農商務省
(
のうしやうむしやう
)
の
官吏
(
くわんり
)
を
勤
(
つと
)
め、
嫡子
(
ちやくし
)
は
海軍
(
かいぐん
)
の
大尉
(
たいゐ
)
で、
今
(
いま
)
朝日艦
(
あさひかん
)
に
乗組
(
のりく
)
んで
居
(
を
)
り、
光子
(
みつこ
)
は
唯
(
たつ
)
た
一人
(
ひとり
)
の
其妹
(
そのいまうと
)
として
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
今年
(
ことし
)
——大正七年に彼女は四十四歳になるが、この上の平和と幸福とは重なろうとも、彼女の身辺に冷たい風の
逼
(
せま
)
ろうはずはない。私が彼女は幸福だといっても、
錯
(
あや
)
まった事ではなかろうと思う。
竹本綾之助
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「僕は
今年
(
ことし
)
一年中のことを葬ってしまいたいんだ。噂をも何もかも葬ってしまいたいんだ。皆で忘年会をやって大に飲もう。なるべく早い方がいいね。最後の思い出に、蓬莱亭の二階でやろう。」
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
または前の年からやくそくをして、
今年
(
ことし
)
葺きかえる家々を廻っていた。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
もう
今年
(
ことし
)
は、七つになっているはず……同じ駕籠にあたしが抱いてどこかへ連れ出したら、どんなに喜ぶことだろう。このおなじ江戸に住みながら、往き来はおろか、たよりひとつしなかった罪を
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
俊男は
今年
(
ことし
)
三十になる。
某
(
ぼう
)
私立大學
(
しりつだいがく
)
の
倫理
(
りんり
)
を
擔任
(
たんにん
)
してゐるが、講義の
眞面目
(
まじめ
)
で親切である
割
(
わり
)
に生徒の
受
(
うけ
)
が
好
(
よ
)
くない。
自躰
(
じたい
)
心に
錘
(
おもり
)
がくツついてゐるか、
言
(
ことば
)
にしろ態度にしろ、
嫌
(
いや
)
に沈むでハキ/\せぬ。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
年の内に春は来にけり
一年
(
ひととせ
)
を
去年
(
こぞ
)
とや言はむ
今年
(
ことし
)
とや言はむ
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
おもはれて
今年
(
ことし
)
えうなき舞ごろも
篋
(
はこ
)
に
黄金
(
こがね
)
の
釘
(
くぎ
)
うたせけり
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
淋しげに
今年
(
ことし
)
の春も咲くものか
一樹
(
ひとき
)
は
枯
(
か
)
れしその
傍
(
そば
)
の桜
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
“今年”の意味
《名詞》
今 年(ことし、コンネン)
今現在が属する年次。
(出典:Wiktionary)
今
常用漢字
小2
部首:⼈
4画
年
常用漢字
小1
部首:⼲
6画
“今年”で始まる語句
今年竹
今年米
今年藁
今年頃