接吻を盗む女の話せっぷんをぬすむおんなのはなし
一街裏の露地で 社は五時に退けることになっていた。 併し、鈴木三枝子は大抵の日を六時か六時半まで社に残るのだった。別に仕事はしなくてもタイム・レコードで居残り割増金をくれることになっているからだった。 鈴木三枝子は、昼の仕事をなるべく残すよ …