くだ)” の例文
太古たいこ遺跡ゐせき發掘はつくつに、はじめてくだしたのは、武藏むさし權現臺ごんげんだいである。それは品川しながはたくからきはめてちかい、荏原郡えばらぐん大井おほゐ小字こあざこと
このこと、急務にあらざるに似たりといえども、にわかに弁ずべからざるものなれば、早く手をくださざれば、その全成を期しがたし。
国楽を振興すべきの説 (新字新仮名) / 神田孝平(著)
ハツ/\うも御親切ごしんせつ有難ありがたぞんじます、何卒どうか貴方あなたたくかへつてくださいまし。金「かへらんでもいからおあがりな、わつしの見てめえで。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
高山から飛越国境の蟹寺までの間、二十里ばかり、宮川は奔馬ほんばのように急勾配の渓底を駆けくだっている。恐ろしいほど荒い川である。
雪代山女魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
が、不幸にも彼の日記はちょうど最後の打撃を受ける一日前に終っている。ただ前後の事情により、大体の推測すいそくくだせぬこともない。
馬の脚 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
くだらなく遊んでいるより魚でも釣って来いッてネ。僕下らなく遊んでいたんじゃない、学校の復習や宿題なんかしていたんだけれど。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「いやいや、」ととりった。「ただじゃア、二は、うたいません。それとも、その石臼いしうすくださるなら、もう一うたいましょう。」
中でもチェリーの中毒症状は殆んど致命的ちめいてきだと診断をくだされた。しかし一体誰が、丘田医師のところからヘロインを盗み出したのだ。
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
で、貴方あなた時代じだいやうとすましてもゐられるでせうが、いや、わたくしふことはいやしいかもれません、笑止をかしければおわらください。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
くだれる世に立って、わが真を貫徹し、わが善を標榜ひょうぼうし、わが美を提唱するの際、拖泥帯水たでいたいすいへいをまぬがれ、勇猛精進ゆうもうしょうじんこころざしを固くして
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
というまでにも、正成は脚下きゃっかの陣へ、一令だにくだしてはいなかったが、心もからだも自分と一つものにそれを見ることができていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これはすべて天照大神あまてらすおおかみのおぼしめしである。また、底筒男命そこつつおのみこと中筒男命なかつつおのみこと上筒男命うわつつおのみことの三人の神も、いっしょに申しくだしているのだ」
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
將軍樣しやうぐんさまより其方へくださるゝ金子なれば有難く頂戴ちやうだい致されよとて渡しあらためて申けるは當將軍樣には加納將監方にて御成長遊ばし御幼名ごえうみやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひどく剛情を張るような事があれば、父母の顔色をむずかしくして睨む位が頂上で、如何いかなる場合にも手をくだしてうったことは一度もない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あゝなに御存ごぞんじなしにのやうによろこんでお出遊いであそばすものを、かほさげて離縁状りゑんじようもらふてくだされとはれたものか、かられるは必定ひつぢよう
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ふいとつて、「一所いつしよな。」で、とほりて、みぎ濱野屋はまのやで、御自分ごじぶん、めい/\に似合にあふやうにお見立みたくだすつたものであつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くだらん何んで相島は時々あゝ平凡になるんだらうと考へながら彼れの心は今迄で熱烈に彼れを捕へて居た希臘の悲劇に飛んで居る。
半日 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
そのわり一つおねがいがあります。どうぞくすのきでふねをこしらえて、みずをいっぱいれて、その中にささのかべてください。
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
私は常に言うのである、「選挙権は陛下が国民にくだし給える鍵である」と。しかるに国民はその鍵を抛棄なげすてて顧みぬとは何事であるか。
選挙人に与う (新字新仮名) / 大隈重信(著)
船頭は竿さをを弓のやうに張つて、長い船縁ふなべりを往つたり来たりした。竿さをを当てる襦袢じゆばん処々ところどころ破れて居た。一竿ひとさを毎に船は段々とくだつて行つた。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
スサノヲの命は、かようにして天の世界からわれて、下界げかいくだつておいでになり、まず食物をオホゲツ姫の神にお求めになりました。
湖龍斎が全盛期の豊艶なる美人とくだつて清長の肉付よき実感的なる美人の浴後裸体図等に至つてはそぞろ富本とみもとの曲調を忍ばしむる処あり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
井戸いどのことは、もうおねがいしません。またどこか、ほかの場所ばしょをさがすとします。ですから、あなたはどうぞ、なないでください。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
心ここにあらざれば如何いかなる美味ものんどくだらず、今や捕吏ほりの来らんか、今や爆発のひびき聞えんと、三十分がほどを千日せんにちとも待ちびつ
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
ぢゃによって、おゆるしなされ、はやなびいたをば浮氣うはきゆゑとおもうてくださるな、よるやみ油斷ゆだんして、つい下心したごゝろられたゝめぢゃ。
というのは、この事件が藩中の評判となり、主君の耳にもきこえて、その笛というのを一度みせてくれという上意がくだったことである。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しもあなたのようなさしい御方おかた最初さいしょからお世話せわをしてくださったら、どんなにか心強こころづよいことであったでございましたろう……。
其處そこ何者なにものかゞるに相違さうゐない、ひとか、魔性ましやうか、其樣そんことかんがへてられぬ、かく探險たんけん覺悟かくごしたので、そろ/\とをかくだつた。
ええ、又唯今程は格別に御茶料をくだし置れまして、はなはだ恐入りました儀で、難有ありがたう存じまして、厚く御礼を申上げまするで御座います。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
誰が言い出すとなく言い出し、誰が同意するとなく同意して、車を回したのは、その先の四つ角を通り過ぎ坂道をくだりかかった時だった。
シェイクスピアの郷里 (新字新仮名) / 野上豊一郎(著)
幼児をさなごたちはみな十字架クルス背負しよつて、しゆきみつかたてまつる。してみるとそのからだしゆ御体おんからだ、あたしにけてくださらなかつたその御体おんからだだ。
炭焼すみやきじいさんの、まご秀吉ひできちは、よく祖父そふ手助てだすけをして、やまからたわらはこぶために、村端むらはずれ坂道さかみちのぼったり、くだったりしました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
煙草屋たばこやへ二町、湯屋へ三町、行きつけの床屋とこやへも五六町はあって、どこへ用達ようたしに出かけるにも坂をのぼったりくだったりしなければならない。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
艸木のまろきをうしなはざるも気中にしやうずるゆゑ也。雲冷際れいさいにいたりて雨とならんとする時、天寒てんかん甚しき時はあめこほりつぶとなりてくだる。
くだるわ、/\、/\。ながれは何處どこまでつてもきないのかしら?『いままでにわたしいくマイルちたかしら?』とあいちやんは聲高こわだかひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
昭和二年しようわにねん大噴火だいふんかをなしたときも噴火口ふんかこうからなが鎔岩ようがんが、あだか溪水たにみづながれのように一瀉千里いつしやせんりいきほひもつくだつたのである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それを私は、道を間違えて、その辺で東南にくだるところを、景色のいい回りの山にだまされて西南の方角へ踏み入っていたのです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
なんて教えてくだすッたんだけど、まさか、こんな洗いざらした着物五拾銭も借さないでしょうのに、私とてもさびしくなってしまった
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
などと年甲斐としがひもなくをとこぴきがそんなくだらないことをかんがへたりするのも、麻雀マアジヤン苦勞くらうした人間にんげんでなければわからないあぢかもれない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
この八月はちがつ十五日じゆうごにちにはてんからむかへのものるとまをしてをりますが、そのときには人數にんずをおつかはしになつて、つきみやこ人々ひと/″\つかまへてくださいませ
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
「そうよ。おまけにこいつァ、ただのおんなつめじゃァねえぜ。当時とうじ江戸えどで、一といって二とくだらねえといわれてる、笠森かさもりおせんのつめなんだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
私は諸戸が持って来てくれたマッチを懐中すると、しっかりと縄を掴んで、井戸端へ足をかけて、少しずつ真暗な地底へとくだって行った。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
いかさまこれならば伏見ふしみから船でおくだりになってそのまま釣殿の勾欄こうらんの下へともづなをおつなぎになることも出来、都との往復も自由であるから
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それから四時過ぎやや日蔭の出来るのを待って、九州ホテルにいとまを告げ、そのさんと共に島原にくだった。しかしそれは雲仙と別れたのではない。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
将校は不審さうに眉をひそめて、それを読みくだしてゐたが、暫くすると腹の底からゆすり上げるやうに笑ひ出した。手紙にはかう書いてあつた。
と。鮑叔はうしゆくすで管仲くわんちうすすめ、もつこれくだる。((鮑叔ノ))子孫しそんよよせい祿ろくせられ、封邑ほういふたももの餘世よせいつね名大夫めいたいふたり。
ところが五年目に突然この手紙、何事かと驚いて読みくだすとその意味は——お別れしてから種々の運命あつすゑ今はある男と夫婦同様になつて居る
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「わたしはもう六十年も山をくだったことがないのに、あいつがとんだおしゃべりをしたので、また浮世へ引き出されるのか」
世界怪談名作集:18 牡丹灯記 (新字新仮名) / 瞿佑(著)
これから、ゐもりの黒焼屋などへ薬を買ひに行かねばならないことが、くだらない道草の気がしてイヤでイヤでならなかつた。
イボタの虫 (新字旧仮名) / 中戸川吉二(著)
私たちの軽舟けいしゅうは急流に乗って、まだ大円日だいえんじつの金の光輝が十方に放射する、その夕焼けの真近をまたたく間に走りくだって来た。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)